ホンダのニューモデルGB350:はじめに
ストリートカスタムの再来?
ホンダのGB350はクラシカルなデザインがかっこいいオールドルックバイクです。インドではH'ness350の車名で成功を収め、国内で生産が開始されました。2021年4月の新発売以降、売れ行きも好調です。
ここではGB350のスペックを徹底検証し、インプレ動画をまとめます。エンジンの馬力や乗り心地は気になるところですね。なお、この記事は2021年5月20日現在の情報をもとに作成しますことをご了承ください。
ホンダらしい中性的なデザイン
ホンダのGB350はホンダらしさの溢れる中性的なデザインがかっこいいですね。水平基調に整えられたシルエットはすっきりしていて、トゲのない印象を受けます。
ホンダのバイクを「優等生」と揶揄する情報も見かけますが、それがホンダの真骨頂。GB350の道具的な美しさは幅広いシーンに馴染み、バイクとの生活を豊かにしてくれます。
初心者ライダーだけでなく、ストリートカスタム世代にもおすすめです。
スポーティなSもラインアップ
ホンダのGB350には「S」モデルも存在します。太いリヤタイヤ、ショートなリヤ周りなど、GB350Sはスポーティなリヤビューがかっこいいですね。
チノパンにスニーカーを履いたような印象のGB350、デニムパンツにスポーツシューズを履いたような印象のGB350S、違いは僅かなものの、好みは大きく分かれるかもです。
デザインの完成度はどちらも高いですね。カスタムしなくてもノーマルのままで愛せます。
GB350のスペックとインプレ動画を検証
では本題!ホンダのGB350のスペックを徹底検証し、インプレ動画をまとめます。スペックシートの数値を見ると、エンジンの出力は低めです。最高速度や高速道路での余裕が気になります。
久々に登場したライフスタイルを語るタイプのバイクですので、乗り味もチェックしたいですね。巷の情報ではヤマハのSR400と比較されがちですが、GB350の本懐はどこにあるのでしょうか。カスタムの方向性についても模索します。
GB350のスペック
エンジン
ホンダのGB350には空冷SOHC2バルブの直立単気筒エンジンが搭載されています。ボア×ストロークは90.5mmのロングストロークエンジンで、鼓動感を楽しめるのが特徴です。
ピストンにエンジンオイルを噴射させるピストンジェット、燃焼室上部を冷やすシリンダーヘッドに設けたオイル経路などで冷却性と気密性を高め、平成28年規制をクリアしています。
エンジンの馬力
400ccクラスの現行モデルと比較すると、ホンダのGB350の最高出力はお世辞にも馬力があるとはいえません。その反面、最大トルクは馬力の割に高め。低いエンジン回転数で最大トルクを発生させる手法はホンダのシャドウクラシック400でも採用されました。
GB350は低いエンジン回転数でロングストロークエンジンの鼓動感を楽しむエンジンです。牧歌的な風景の中をのんびりとツーリングしたくなります。
GB350の馬力を400ccバイクと比較
㎇350 | 現行400cc 平均値 |
|
最高出力 | 20馬力/5500回転 | 38.0馬力/8504回転 |
最大トルク | 3.0kgf・m/3000回転 | 3.44kgf・m/6468回転 |
理論上の最高速度
400ccクラスの現行バイクと比較すると、GB350の理論上の最高速度はお世辞にも速いとはいえません。どちらかというと、単気筒エンジンを搭載した250ccバイクに近い最高速度です。
しかし、250ccバイクのようなエンジンを回して最高速度を出すタイプのバイクではありません。
GB350の最高速度には穏やかなエンジン特性が表れています。むやみに最高速度を求めない大人のバイクだといっていいですね。
GB350の最高速度を400ccバイクと比較
㎇350 | 現行400cc 平均値 |
|
最高速度1 | STD:140.6km/h S:141.2km/h 5500回転 |
155.6km/h 8504回転 |
最高速度2 | STD:76.7km/h S:77.0km/h 3000回転 |
115.7km/h 6468回転 |
※最高速度1:最高出力を発生させるエンジン回転数での理論上の速度(トップギヤ) ※最高速度2:最大トルクを発生させるエンジン回転数での理論上の速度(トップギヤ) |
一般道と高速道路でのエンジン回転数
400ccクラスの現行バイクと比較すると、GB350は低いエンジン回転数で速度を稼ぐ設定であることが分かります。高速道路ではパワー不足を感じるかもですが、一般道ではエンジン回転数に余裕があります。
GB350は紳士的で純粋に鼓動感を楽しめるバイクです。エンジンには一次振動と偶発振動を抑えるバランサーが仕込まれていますので、荒々しい雰囲気はありません。ツーリングでの長距離走行では疲労を軽減してくれます。
GB350のエンジン回転数を400ccバイクと比較
㎇350 | 現行400cc 平均値 |
|
60km/h | STD:2347回転 S:2338回転 |
3241回転 |
100km/h | STD:3912回転 S:3896回転 |
5402回転 |
120km/h | STD:4695回転 S:4676回転 |
6482回転 |
※トップギヤでのエンジン回転数 |
余談:STDとSの違い
GB350とGB350Sで理論上の最高速度やエンジン回転数に違いがあるのはタイヤサイズが原因です。GB350SはGB350よりもタイヤの外径が大きいため、エンジン1回転当たりの走行距離が長くなります。
しかし、違いは僅かで、体感できるレベルではありません。GB350とGB350Sはスペックではなくデザインで選ぶべきだといえます。バイク選びでもっとも重要なのはデザインですものね。
車体サイズ
400ccの現行バイクと比較すると、GB350の車体は大柄だといえます。全高は低く抑えられているものの、同じホンダの400Xに匹敵する大きさです。近い車体サイズの大型バイクを探すと、CB1100シリーズが挙げられます。
シート高も高めで、街乗りでは足つきに神経を使うかもです。しかし、エンジン特性はマイルドですので、極低速での扱いやすさに期待できます。最小回転半径は2.3mでCB250Rと同じ数値です。
GB350の車体サイズを400ccバイクと比較
㎇350 | 現行400cc 平均値 |
|
全長 | STD:2180mm S:2175mm |
2110.7mm |
全幅 | 800mm | 767.5mm |
全高 | STD:1105mm S:1100mm |
1169.6mm |
シート高 | 800mm | 782.5mm |
車両重量とトルクウエイトレシオ
400ccの現行バイクと比較すると、GB350の車両重量はやや軽いですね。しかし車両重量を最大トルクで割ったトルクウエイトレシオの数値は大きく、SR400と同等で、250ccのオフロードバイクに近い数値だといえます。
トルクウエイトレシオが250ccのオフロードバイクに近いのであれば、決して悪い数値ではありません。400ccバイクほどではないものの、力強さでは一定のスペックを有しています。
GB350の車両重量を400ccバイクと比較
㎇350 | 現行400cc 平均値 |
|
車両重量 | STD:180kg S:178kg |
187.6kg |
TWR | STD:60.0kg/kgf・m S:59.3kg/kgf・m |
55.5kg/kgf・m |
※TWR=トルクウエイトレシオ |
GB350のインプレ動画
GB350のエンジンスペックを確認すると、穏やかで紳士的な印象を受けます。低いエンジン回転数で鼓動を感じながら速度を稼ぐエンジンです。高速道路ではパワー不足を感じるかもですが、一般道では余裕があり、振動も少ないと考えられます。
では、GB350のフィーリングはスペック通りでしょうか?スペックシートでは推し量れない乗り味をインプレ動画で検証しますね。
GB350×モトベーシック氏のインプレその①
モトベーシック氏のインプレ動画(前半)ではGB350を味わい深い大人のバイクと評価しています。雑味のないクリアなバイブレーションと歯切れのいい排気音、低回転でのけり出し感と粘るトルク感、しなやかなフレームが生み出す大らかなハンドリングが楽しいとのこと。
モトベーシック氏はやや甘めのインプレ動画を発信しているプロライダーですが、完成度の高さをここまで評価したインプレ動画は珍しいですね。
完成度の高さを評価
初心者ライダーにとってGB350の完成度の高さは心強いですね。GB350はライディングスキルを問わず、アクセルを開けるだけで楽しめるバイクだといえます。
GB350は外観こそクラシックな雰囲気ですが、中身は最新技術が投入された新型バイク。シフトダウンのミスによるスリップを抑えるアシストスリッパークラッチや、アクセル操作のミスによるスリップを抑えるホンダセレクティブトルクコントロールを備えています。
GB350×モトベーシック氏のインプレその②
モトベーシック氏のGB350インプレ動画(後半)では、制動力が早めに立ち上がるブレーキ、スーパーカブを思わせる実用性の高いライディングポジションにつて言及されています。GB350の大らかなキャラクターに合わせたブレーキやライディングポジションですね。
インプレ動画からは、前後の重心はリヤ寄りで、ハンドルは軽い印象を受けます。また、サスペンションは硬めな雰囲気です。
完成度が高いがゆえに迷うこと
GB350は完成度が高いがゆえにカスタムする箇所を探すのが難しく、カスタムの方向性に迷いが生じるかもです。GB350の隙のないデザインはカスタムするのにセンスが問われます。
既存のカスタム手法にとらわれず、ボルトオンパーツから検討するのがおすすめです。ストリートカスタムにあったようなラフなカスタムではなく、ソリッドな雰囲気を目指すカスタム方法もあります。
GB350×ヤングマシン丸山浩氏のインプレ
ヤングマシンの丸山浩氏のインプレ動画ではGB350とSR400の比較が成されています。注目したいのは動画の半ばです。
GB350のハンドリングは重厚でクラシカルとのこと。対してSR400のハンドリングは軽快と評価しています。
フロントホイールのサイズはGB350が19インチ、SR400が18インチ。GB350はコーナリング中に立ち上がろうとするを抑え込むのが楽しい、そんな大人のハンドリングだといえます。
カスタムでは重厚なハンドリングを残す?
GB350の重厚なハンドリングは車体のレイアウトが原因だと考えられます。フロント19インチリヤ18インチのホイールサイズや、エンジンの下部だけをマウントしたセミダブルクレードルフレームなど、GB350は挙動の変化も楽しめるバイクです。
立ちの強いハンドリングは初心者に安定感を与え、ベテランライダーに操作の最適解を探る楽しさを与えてくれます。
ノーマルのハンドリングを残すかどうかを踏まえてカスタムしたいですね。
GB350×MSTV小鳥遊レイラ氏のインプレ
MSTVの小鳥遊レイラ氏(身長160cm)のインプレ動画からはGB350の車体サイズや小柄なライダーの足つき性が分かりやすく解説されています。
GB350のサイドカバーはやや膨らんでいて、足つき性を邪魔していると評価しています。
正立フォークの二本サスですので、ローダウンカスタムはしやすいですね。サイドカバーは自作でカスタムできる領域です。
ローダウンカスタムは慎重に
リヤをサスペンションでローダウンするとせっかくの水平基調が崩れる可能性があります。また、より立ちの強いハンドリングになる可能性が高いですね。それを改善するためにフロントフォークの突き出しをするのですが、バランスをとるには根気が必要です。
その手間を考えると、ローダウンはほどほどにしたほうが無難だといえます。ローシートの発売を待ったり、シートのあんこ抜きを検討したりするのも一考の価値ありです。
GB350×ヘルメターヘルチャンネル氏のインプレ
ヘルメターヘルチャンネル氏のインプレ動画では、低いエンジン回転数でコーナーを通過する様子が撮影されています。「たったの20馬力」とコメントされていますが、GB350の低回転域の粘りあるトルク感が分かりやすいですね。
まったりとしたエンジンとハンドリングを「楽しい」と捉えるか?「遅い」と捉えるか?それは自分次第!そんなメッセージを感じます。ちなみに、リアブレーキはコントロール性がいいとのこと。
カスタムせずノーマルのまま愛するのもあり!
ヘルメターヘルチャンネル氏のインプレ動画を見ると、カスタムせずにノーマルのままで楽しむのもありだといえます。ヘルメターヘルチャンネル氏はウインドスクリーンを追加されていますが、そういったツーリングカスタムもありです。
足りないところを補うためにカスタムをし始め、それがエスカレートして沼にのめり込むケースは多いといわれています。完成度が高いGB350はボルトオンパーツのツーリングカスタムで十分かもです。
ホンダのニューモデルGB350:まとめ
価格以上の価値を得られるGB350
GB350はライダーの感性を刺激するバイクだといえます。スペックシートに表れない部分に長けていて、個性が明確で分かりやすいですね。しかも250ccクラスに近い価格帯で販売されています。
価格は50万円(税抜き)と、400ccの現行バイクでもっとも安いですね。国内で生産されていることを踏まえると、価格はさらに安く感じられます。スペックが低いから価格が安いのか?確かにそれもあるかもです。
ツーリングで味わい深いGB350
GB350はロースペックなバイクであることは確かです。しかし、価格以上の価値を感じられるのも事実。ツーリングペースで巡行するならハイスペックなバイクは必要ありませんし、GB350は高速道路走行で紳士的で快適なキャラクターを見せます。
しかも、一般道では味わい深いエンジンとハンドリングがツーリングを楽しくしてくれます。大人のクラシカルなクルーザーバイクと捉えると、価格にお買い得感が増しますね。
GB350のターゲット層
GB350はストリートカスタム世代以降のライダーをターゲットに販売されている印象を受けます。2021年の9月末まで実施されるU39割がその根拠です。
ストリートカスタムで人気だったFTR223、TW200/225、SR400、グラストラッカー、エストレヤ、これらも価格は安かったですよね。
SR400は生産が終了されましたので、かつての憧れを手に入れる準備ができた世代にとっては、GB350は救世主的な存在となることでしょう
GB350が気になる人はこちらをチェック!
GB350のカスタム手法として候補に挙げられやすいのはカフェレーサーやボバ―カスタムです。
カフェレーサーやボバ―カスタムの要素を取り入れながら、あなたらしさを表現できるGB350にカスタムしましょう。SR400だけでなく、BMWのR80/100のカスタム手法を取り入れるのもありです。
カスタムパーツを単品で見るより、目指すシルエットを明確にするのがおすすめ。カフェレーサーやボバ―カスタムに関する記事もチェックしてくださいね。
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