カフェレーサーバイクが今もっとも熱い
かつてヨーロッパで生まれ、ライダーの間に一世を風靡したカスタムスタイルであるカフェレーサーが、今また人気を集めています。バイクメーカーが作るカフェレーサーモデルのおすすめや、カフェレーサーカスタムを作り上げるテクニック、カフェレーサーカスタムのベース車として最適なバイクについてご紹介します。
カフェレーサーとは
時は1960年代、イギリスで”ロッカーズ”と呼ばれたライダーの若者たちが、行きつけのカフェに集い、自ら改造したバイクで速さを競い合ったことに端を発し、彼らが行った改造を模したカスタムスタイルがカフェレーサーです。細長い燃料タンクにセパレートハンドルとバックステップで前傾をきつくしたポジション、無駄な装飾を省いたデザインは瞬く間に若者たちの人気となりました。かつてはノートンやBSAなどのメーカーのバイクがベースとされましたが、その後さまざまなメーカーからもカフェレーサーカスタムのベースとなる車種が登場しました。レーシーなスタイルはワインディングやツーリングでもライディングを楽しむことができ、現在ではカスタムの一つの分野として確固たる地位を築いています。
モトグッツィ V7レーサー
おすすめカフェレーサーバイク①
長い歴史をほこるイタリアのバイクメーカーであるモトグッツィが、クラシカルなデザインで人気のV7をベースにカフェレーサーカスタムをほどこしたのがこのV7レーサーです。90°縦置きVツインの独特なエンジンレイアウトに、イタリアンバイクらしい洗練されたデザインは、ライダーならずとも思わず振り返ってしまうほど人目を引きます。セパレートハンドルにバックステップ、出力をアップされたエンジンと、ライダーをその気にさせる走りの本気度の面でも、れっきとしたカフェレーサーといえる一台です。
スペック
エンジン形式:4ストローク OHV2バルブ V型2気筒
排気量:744cc
冷却方式:空冷
最高出力:52PS(38kW)/6,200rpm
最大トルク:60N・m (-)/4,900rpm
全長×全幅×全高:2185mm×740mm×1100mm
シート高:770mm
車両重量:213kg
燃料タンク容量:21.0リットル
おすすめカフェレーサーバイク②
ノートン コマンド カフェレーサー
カワサキのWシリーズやヤマハのXSなど、かつて多くの日本のバイクメーカーがお手本にしたと言われるノートンコマンドをベースに、本格的なカフェレーサーとしてカスタムされたバイクがノートンコマンドカフェレーサー です。タンクからテールカウルへの直線的なラインに、カーボン製のメーターバイザー、セパレートハンドルにバックステップとカフェレーサーとしてのスタイルのポイントはしっかりとおさえられ、倒立フロントフォークにオーリンズ製のサスペンションと街乗りからツーリングまでその走りを堪能できます。
スペック
エンジン形式:4ストローク OHV2バルブ 並列2気筒
排気量:961cc
冷却方式:空油冷
最高出力:80PS/7,700rpm
最大トルク:84N・m /6,000rpm
全長×全幅×全高:非公表
シート高:813mm
車両重量:218kg
燃料タンク容量:17.0リットル
おすすめカフェレーサーバイク③
トライアンフ スラクストンR
ノートンとならんで世界最古のバイクメーカーといわれるトライアンフのカフェレーサースタイルのバイクがスラクストンです。トライアンフが生んだ名車として今もライダーに人気のボンネビルをベースに、フロントホイールを18インチとすることでレーサーらしい軽快なハンドリングを実現しています。セパレートハンドルにバックステップ、短くカットされた前後フェンダーやメガホンマフラーなど、カフェレーサーのデザインは踏襲しつつ、ツーリングでの走りも十分楽しめるモデルといえます。
スペック
エンジン:水冷4ストロークSOHC並列2気筒
排気量:1200cc
最高出力:97PS/6,750rpm
最大トルク:112N・m /4,950rpm
全長×全高×全幅:- ×1030mm×745mm
シート高:810mm
車両重量:203kg
燃料タンク容量:14.5リットル
おすすめカフェレーサーバイク④
トライアンフ ストリートカップ
トライアンフボンネビルシリーズの中でも気軽に乗れるストリートバイクとして人気の高いストリートツインをベースに、カフェレーサーらしいテイストにカスタムされたバイクがストリートカップです。ドロップタイプのハンドルやシートカウルでカフェレーサースタイルを演出しつつ、個性あふれるカラーリングでモダンな雰囲気も醸し出しています。トラクションコントロールやトルクアシストクラッチなどライダーの走りをサポートするシステムも装備され、ツーリングでの使い勝手にもすぐれたモデルとなっています。
スペック
エンジン形式:4ストロークSOHC8バルブ並列2気筒
排気量:900cc
冷却方式:水冷
最高出力:55PS(40.5kW)/5,900rpm
最大トルク:80N・m /3,230rpm
全長×全幅×全高:- ×740mm×1105mm
シート高:780mm
車両重量:200kg
燃料タンク容量:12.0リットル
おすすめカフェレーサーバイク⑤
ヤマハ XJR1300C
ヤマハが古き良き時代のバイクのスタイルに、現代的な解釈を加えたスポーツヘリテイジバイクとして世に送り出したのがXJR1300Cです。ライディングポジションはややアップライトながら、長く扁平なフューエルタンクや、かつてのプロダクションレースを思わせるゼッケンプレート風のサイドカバーなどがカフェレーサー然としたイメージを演出しています。熟成された空冷インラインフォーエンジンは幅広いパワー特性で、ツーリングでも非常に扱いやすいネオレトロスポーツとなっています。
スペック
エンジン形式:4ストローク DOHC4バルブ 並列4気筒
排気量:1251cc
冷却方式:空冷
最高出力:97.8PS(71.9kW) /8,000rpm
最大トルク:108.4N・m(11.1kgf・m)/6,000rpm
全長×全幅×全高:2190mm×820mm×1120mm
シート高:829mm
車両重量:240kg
燃料タンク容量:14.5リットル
おすすめカフェレーサーバイク⑥
カワサキ Z900RS CAFE
かつてZ1で多くのライダーを魅了し、ビッグバイクメーカーとしての地位を確立したカワサキが、当時の名車をイメージして作り出したネオレトロスタイルのバイクがZ900RSです。その人気Z900RSをベースに、当時Z1で流行したカフェレーサー風カスタムを施したのがZ900RSカフェです。ビキニカウルやローポジションのハンドルだけでなく、サウンドチューンされた迫力のエキゾーストノイズなど、街乗りからツーリングまでライダーをその気にさせるテイスト満載のバイクです。
スペック
エンジン形式:4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒
排気量:948cc
冷却方式:水冷
最大出力:82kW(111PS)/8,500rpm
最大トルク:98N・m(10.0kgf・m)/6,500rpm
全長×全幅×全高:2100mm×845mm×1190mm
シート高:STD 800mm、カフェ 820mm
車両重量:217kg
燃料タンク容量:17.0リットル
おすすめカフェレーサーバイク⑦
BMW R nineT RACER
ドイツで最も古い歴史をほこるバイクメーカーであるBMWの、伝統的なエンジン形式がボクサーツインです。このエンジンを搭載した人気のRシリーズに、往年のレーサースタイルをまとわせたのがR nineT RACERです。ライダーがべったりとタンクに伏せるような前傾の強いライディングポジションに、かつての耐久レーサーを思わせるロケットカウルなどレーシーなスタイル満載ながら、重心の低い水平対向エンジンの安定感もあって、ロングツーリングも十分楽しめる一台に仕上がっています。
スペック
エンジン形式:4ストロークDOHC8バルブ水平対向2気筒
冷却方式:空油冷
排気量:1169cc
最高出力:110PS(81kW)/7,750rpm
最大トルク:116N・m/6,000rpm
全長×全幅×全高:2105mm×770mm×1125mm
シート高:805mm
車体重量:218kg
燃料タンク容量:17.0リットル
おすすめカフェレーサーバイク⑧
ドゥカティ スポーツクラシック スポーツ1000S
イタリアンスポーツバイクのメーカーとして高い人気を誇るドゥカティが、伝統のL型90度Vツインエンジンを搭載し、特徴的なロケットカウルやシングルシート、クリップオンハンドルなどカフェレーサースタイルのカスタムをほどこしたネオレトロモデルがスポーツ1000Sです。ドゥカティらしく単なる懐古趣味のクラシックバイクでおわることなく、電子制御のフューエルインジェクションやマルゾッキ製の倒立サスなどその走りは現代のレーサーのものであり、ワインディングを軽快に走り抜けるツーリングライダーにおすすめな一台です。
スペック
エンジン形式:L型2気筒 2バルブデスモドロミック
排気量:992cc
冷却方式:空冷
最高出力:92PS(67.7kW)/8,000rpm
最大トルク:91.1N・m(9.3kg・m/6,000rpm
全長×全幅×全高:2180mm× - ×1150mm
シート高:825mm
車両重量:201kg
燃料タンク容量:15.0リットル
おすすめカフェレーサーバイク⑨
ロイヤルエンフィールド コンチネンタルGT535
イギリスで生まれた現存する世界でもっとも古いバイクメーカーであるロイヤルエンフィールドの、これぞカフェレーサーともいうべき代表的なバイクがコンチネンタルGTです。ベースは実際にカフェレーサースタイルがライダーの世界を席巻していた時代である1965年製のコンチネンタルGTで、ロングタンクやシングルシート、クリップオンハンドルなど当時のままのスタイルが忠実に再現されています。それでいて実際のライディングポジションは比較的アップライトで、スポーツライディングを楽しみつつロングツーリングもこなすことができます。
スペック
エンジン形式:4ストロークOHV単気筒
排気量:535cc
冷却方式:空冷
最高出力:29.1bhp(21.4kw)/5,100rpm
最大トルク:44N・m/4,000rpm
全長×全幅×全高:2060mm×760mm×1070mm
シート高:800mm
車両重量:184kg
燃料タンク容量:13.5リットル
おすすめカフェレーサーバイク⑩
ハーレーダビッドソン XL1200CXロードスター
アメリカのバイクメーカーであるハーレーダビッドソンが、ヨーロッパ発祥のカフェレーサースタイルに挑んだのがXL1200CXロードスターです。ベースとなったスポーツスターの前後サスペンションを延長し、リアタイヤを18インチとすることで前傾のきついポジションを作り出しています。短くカットされたフェンダーや扁平ロングなタンクなどでカフェレーサーらしいイメージを出しつつ、ハーレーらしくツーリングを楽しみたいライダーにも対応できる人気の一台となっています。
スペック
エンジン形式:4ストロークOHV V型2気筒
排気量:1202cc
冷却方式:空冷
最高出力:非公表
最大トルク:96N・m/4,000rpm
全長×全幅×全高:2185mm×840mm×1080mm
シート高:785mm
車両重量:259kg
燃料タンク容量:12.5リットル
カフェレーサースタイルへのカスタム手法
基本的な考え方
カフェレーサーカスタムで重視されるのは①フロントからリアへかけてのラインが一直線、②前後ホイールの外側に無駄なものがない、③タンクの高さがもっとも高い、④タンクの下に重いパーツが集中している、の4点をポイントにカスタムが行われます。ですがあくまでこれはカスタムの基本であって、ベースとなる車両や、ツーリングなど実際の使い勝手によってこのポイントからはずれる場合があっても、全体的なイメージがカフェレーサーっぽくなっていれば、あまりこれにとらわれすぎる必要はありません。
タンク・シートの変更
フロントからリアへ、横から見て一直線のラインを作り出すためにまず行われるのが、燃料タンクとシートの交換です。タンクはできるだけ細くて長いシルエットのものに交換します。形状も扁平なものがよく、極端に前の部分がラウンドしているようなものは避けます。シートもタンクから続く一直線のラインを形成するようなものを選びます。できればシングルシートがおすすめですが、ツーリングなどの使い勝手を重視するのであればあえてこだわる必要はありません。
ハンドル・ステップの変更
燃料タンクの高さがもっとも高くなるように配置するのがポイントですので、ハンドルはクリップオンタイプのセパレートハンドルに交換し、タンクの上に伏せているかのような前傾姿勢を作り出します。ステップも上半身の前傾に合わせ、バックステップに交換してできるだけ位置を後ろにずらします。
フェンダー・シートカウルのカット
カフェレーサーカスタムのポイントであるホイールのセンターより外側に無駄なものを配さないようにするため、前後のフェンダーは短くカットしてしまいます。シングルシートに合わせて取り付けられるシートカウルも、後ろに向かってシェイプしていく形状のものを選び、後端は短くカットしてしまいます。
細かいパーツの変更
ここまでの作業で、バイクはかなりカフェレーサースタイルの雰囲気を醸し出してきているはずです。あとはこまかなパーツ交換でディテールを整えていきます。カフェレーサーのライトはやはり丸目のものがしっくりきます。またこれは必須ではありませんが、ビキニカウルやロケットカウルなどのカウリングを装着したり、小型のメーターバイザーを取り付けるのも雰囲気を出すのに効果的です。あとはエキゾーストをメガホンマフラーに交換したり、ミラーを小型なものや、バーエンドタイプのものに交換すれば、カフェレーサー カスタムの完成です。
カフェレーサーカスタムベースおすすめバイク
ヤマハSR400
発売以来かわらないクラシックなスタイルや、美しい冷却フィンを刻む空冷単気筒エンジンなど、カフェレーサーカスタムのベース車として高い人気を誇るのがヤマハSRシリーズです。細身でやや長めのタンクはそのままでもカフェレーサー風ですし、セパレートハンドルやバックステップなどカスタムパーツの豊富さも魅力的です。
カワサキW800
カワサキが生んだバーチカルツインの名車、W1をイメージして作られたネオレトロイメージのバイクがこのWシリーズです。クラシカルなイメージはカフェレーサースタイルのカスタムにも最適な上、この800の他にも400、650と3種類のシリーズ展開のおかげで、カフェレーサー仕様のカスタムに流用可能なパーツも数多く販売されています。
ホンダCB1100
オーソドックスなスタイルに加え、空冷インラインフォーの見た目にも美しいエンジンで、往年の耐久レーサーを彷彿とさせるカフェレーサーカスタムにぴったりの一台です。ホンダのカスタムパーツメーカーである無限から、カフェレーサー スタイルのパーツが発売されているのも嬉しいところです。
ヤマハXSR900
ヤマハが近年力を入れているクラシカルな外観に現代風の解釈を加味したスポーツヘリテージバイクがこのXSR900です。ノーマル状態からすでにカフェレーサー然としたイメージを持っている上に、メーカーオプションでメータースクリーンやシングルシートの設定もあり、比較的容易にカフェレーサースタイルを作り上げることができます。
カフェレーサースタイルでカッコよく走りませんか
バイクのカスタム手法の一つであるカフェレーサーについてご紹介してきました。かつて若者たちを熱狂させた速くてカッコいいスタイルは現代でも色褪せることなく、変わらぬ輝きを放って我々に訴えかけてきます。あなたもそんな魅力あふれるカフェレーサーカスタムで、カッコいいライダーの仲間入りをしてみませんか。