パプリカの花とは
パプリカは野菜の中でも実にカラフルな色をしています。そのため、その花をイメージする際にはカラフルな色を想像することでしょう。ですが、そのイメージとは違って、実際にはとても素朴な印象の花を咲かせます。
パプリカの花の特徴
とてもカラフルで元気な印象のパプリカですが、その花の色は意外にも白一色となります。元気というよりはむしろ、目立たずひっそりと咲いている印象で、6月から10月ごろに、15mm前後の小さな花がそっと咲きます。一つの花に5~7つの花びらがついていて、その1枚1枚が先のとがった筒状のかたちをしています。
パプリカの花言葉
いろいろな色のパプリカがあるため、花言葉も色によって異なるのではないかと想像する方もいるのではないでしょうか。ですが、パプリカの花言葉はすべて一緒になります。では、元気で明るいイメージとはかけ離れた、パプリカがもつ少し切ない気持ちになる花言葉をご紹介します。
パプリカがもつ花言葉は「同情」「憐れみ」「君を忘れない」
パプリカがもつ花言葉は、「同情」「憐れみ」「君を忘れない」です。そのいろとりどりでカラフルな実の、元気ではつらつとした明るいイメージからは、予想外な花言葉となっています。このようなイメージとはほど遠い花言葉になったのはなぜでしょうか。そこにはいくつかの説があります。
アステカ神話の中に登場するチャンティコにちなみ「同情」「憐れみ」「君を忘れない」
古代のアステカ神話に、火山や怒りで燃えさかる火を司っているチャンティコという女神が登場します。このチャンティコは、断食の際、パプリカと焼き魚を食べるという禁忌をおかしてしまい、その罰として犬にされてしまいます。
ある説ではその様子から「同情」「憐れみ」、また、犬にされてしまったチャンティコを忘れないという意味で「君を忘れない」がうまれたといわれています。
ピーマンと似ているから「同情」「憐れみ」「君を忘れない」
ピーマンは、苦みや青臭さから、特にこどもには苦手な子が多いですが、そのピーマンの仲間であるためパプリカも敬遠されがちであるという切ない理由から、花言葉が「同情」「憐れみ」となったという説もあります。
ピーマンに似ているだけで敬遠されてしまうというかわいそうなパプリカ。そんなパプリカに対する「大丈夫だよ、食べるよ」と思う気持ちから「君を忘れない」になったのでしょう。
はるばる大海原を渡っていったパプリカへの想いから「君を忘れない」
もう一つの説があります。パプリカはピーマンからつくられた野菜ですが、そのピーマンは、大航海時代に中・南アメリカから大海原を渡ってヨーロッパへ入ってきました。その時代からすると、その距離は永遠のわかれともいえます。そんなピーマンを見送る中・南アメリカのひとびとの気持ちからできた花言葉ということです。
パプリカと似ている花言葉をもつ植物
なぜパプリカには「同情」「憐れみ」「君を忘れない」という花言葉がついたのでしょうか。その由来をいくつかご紹介しましたが、似たような意味の花言葉をもつ他の植物をみてみると、その由来に対してさらに想像が広がるかもしれません。
マツの花言葉は「同情」「哀れみ」
マツの花言葉には、「不老長寿」というとても縁起のよいものがありますが、それ以外に「同情」「哀れみ」という花言葉があります。ギリシャ神話の中の、ある嫉妬からおこる悲しい話が由来となっているといわれています。
アルメリアの花言葉は「思いやり」「同情」
アルメリアは、小さな花がぎゅっとたくさん集まって丸くなっています。この様子がお互いを支え合って見えるため、花言葉が「思いやり」「同情」になったということです。アルメリアの「同情」は、パプリカよりも明るい意味合いであるように感じます。
アツモリソウの花言葉は「君を忘れない」
珍しいかたちの花をつけるアツモリソウですが、そのかたちが平安時代の武将、平敦盛が防具として背中につけていた母衣のように見えることから、アツモリソウと名づけられました。花言葉の「君を忘れない」は、源平合戦において、10代の若さで首を切られたといわれる平敦盛を想いできたと言われています。
パプリカの実について
パプリカは、唐辛子の仲間になります。日本では1990年代にオランダから輸入され、その後韓国やニュージーランドなどからの輸入品が流通するようになりました。現在は国内でも栽培されていますが、まだまだ新しい種類の野菜です。
暑さに強い野菜
パプリカは、寒さに弱く暑さに強い多年草の植物で、原産地は中・南アメリカの暖かい地域となっています。6月から10月に開花し、しっかりと実が熟してからの収穫となるため、開花から40~50日後が収穫時期となります。
パプリカの色
赤やオレンジ、黄色など明るい色のパプリカが思い浮かびますが、そのほかにも緑や紫、茶色、白、黒などのパプリカもあります。色によって、少しずつ栄養素や味にも違いがあるため、食べ比べてみるのもおもしろいかもしれません。
パプリカとピーマンの違い
そのかたちがとてもよく似ているパプリカとピーマンですが、違う名前がつけられているということは、何か理由があるはずです。植物学的にみても同じ仲間であり、花もそっくりですが、どのような違いがあるのでしょうか。その違いをご紹介していきます。
見た目の違い
パプリカの方が一回り大きく厚みがあるため、持つと重みがあります。また一番の違いは、緑色のピーマンと違って、パプリカには数種類の色があり、とてもカラフルです。(ピーマンも完熟するまで待つと赤色になります)
栄養素の違い
ピーマンにもしっかりと栄養素が含まれていますが、パプリカにはさらにたっぷりの栄養素があります。その栄養素は、ピーマンに比べておよそ2倍のビタミンCと、2~3倍のベータカロテンが含まれていると言われています。
ただしパプリカは加熱時間を控えめにしないと栄養素が減ってしまいますが、ピーマンは加熱しても栄養素があまり減ることはありません。
味の違い
パプリカは、青臭さをあまり感じません。また、苦みも感じにくいため、ピーマンが苦手な方にも比較的食しやすい野菜となっています。肉詰めなどを作る際はピーマンの方が薄い分、味がしみこみやすく、おいしく食べられるかもしれません。
収穫時期の違い
ピーマンは熟す前の緑色のうちに収穫してしまうため、開花後2週間ほどしたら収穫時期となりますが、パプリカは、きれいに色づいてからの収穫となるため、開花後40から50日も待たなければ収穫時期となりません。
花言葉の違い
ピーマンには「海の利益」「海の恵み」という花言葉があります。パプリカの花言葉のイメージとは違い、ピーマンの花言葉は堂々たる明るいイメージです。なぜそんなに違うのか由来が気になりますね。また、土を必要とする畑でとれる植物なのに、花言葉に「海」とついているのは不思議に感じますが、その意味はなんでしょうか。
熟したピーマンが珊瑚のように見えたから
「菜園の珊瑚」とは、ヨーロッパでは赤い色をした唐辛子のことです。ピーマンは、緑色のうちに収穫せずにとっておくと熟して赤い色になるため、唐辛子と同じように珊瑚のように見えたのかもしれません。珊瑚から海を連想し、ピーマンには「海の利益」「海の恵み」という花言葉がうまれたといわれています。
ピーマンが海を越えてヨーロッパに伝わったから
ピーマンは、アメリカ大陸よりコロンブスが大海原を渡り持ち帰ってきたと言われていますが、このことから海が連想されます。また、栄養をもたらすありがたいピーマンから「利益」「恵み」という花言葉がついたのでしょう。
海の近くでもしっかりと育つため
潮風にさらされる場所ではうまく育たない植物もたくさんあるなか、ピーマンは、海の近くでもりっぱに育ち収穫することができます。そんな事情から、花言葉が「海の利益」「海の恵み」となったともいわれています。海の近くに暮らす人々にとっては、まさに恵みの野菜ですね。
まとめ
とてもカラフルで元気なイメージのパプリカに、こんなに切ない花言葉があるとは想像がつきませんでした。また、同じ唐辛子の仲間でありよく似ているピーマンには、まったく違った印象の花言葉があることも面白く感じます。
明るいイメージだけではなくこのような花言葉が隠されているのだと思いながらパプリカに接すると、今までよりも深みが増すように感じるのではないでしょうか。
もっと花言葉がしりたい方はこちらをチェック!
今回、パプリカをはじめピーマンやマツなどほかの植物の花言葉も少しご紹介しましたが、もっといろいろな花言葉が気になる方はこちらの関連記事を参考にしてみてください。
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