ジンチョウゲの育て方のポイントとは
ジンチョウゲは、春の開花の季節になると、心地よい香りを放つ常緑の庭木です。ジンチョウゲは沈丁花と漢字で当てることからもわかるように中国南部が原産で、古くから春の花として親しまれています。
あまり寒さには強くなく、育て方にはいくつかのポイントがありますが、鉢植えでも庭への地植えでも育てることが可能です。かわいらしいその姿やフローラルな香りを楽しみながら育てていきましょう。
ジンチョウゲのおもな特徴とは
ジンチョウゲは常緑低木で、人気の高い庭木です。樹高はだいたい1mほどの高さで、開花の季節は春、花色は白で、縁に薄い紅色がついたタイプなどもあります。耐暑性はあるものの、耐寒性はやや弱く、日が当たらないと花がつきませんが、直射日光は苦手で、乾燥を嫌い、根が切れると枯れてしまうなど、育て方はいささか難しい面も。
寿命は20~30年と短いものの、挿し木で増やすこともできるため、増やしながら楽しく育てていくことも可能です。
初心者でも難しい花木ではない
ジンチョウゲは、春を楽しむ庭木として人気の高い常緑樹です。冬が終わりに近づくと、フローラルな心地よい香りを放ち、春の訪れを知らせてくれます。植え付けや植え替え、水やりなどの細かい育て方のポイントはあるものの、基本的には初心者でも育てられます。
さして難しい花木ではありませんので、春先に季節感を楽しみたい方は、ぜひジンチョウゲを育ててみてはいかがでしょうか。コンパクトな鉢植えをベランダや室内で育てるのも楽しいです。
ジンチョウゲの花とは
何月ごろに花が咲く?
ジンチョウゲの花はいつ咲くのかというと、2月の終わりごろから4月ごろです。まだ寒さが残る冬の終わりの季節に、その芳香性の高い小さな花が密集して開花することから、春を告げる花として親しまれています。香りをかげば、いつ咲く花なのか、思い出されます。
ジンチョウゲが何月ごろに見頃を迎えるかというと3月のはじめです。枝の先に小さな花をつけ、2~3週間ほどの開花期を楽しむことができます。ジンチョウゲは花もちがいいのも特徴です。
花のように見えて花ではない
ジンチョウゲの花は、花弁のように見えますが、実は花弁ではありません。花弁のように見える部分は萼(がく)で、この萼が花弁のように変化したものです。アサガオの花に似ています。
ジンチョウゲの花が終わると、赤い実が成ります。ただし、日本にあるジンチョウゲはほとんど雄株なので、実が成る雌株はほとんど見られません。この赤い実には毒がありますが、実から種が取れれば、ジンチョウゲを種から増やすことも可能です。
ジンチョウゲは三大香木に数えられる芳香が魅力
その香りで春を感じる方も多いジンチョウゲですが、その芳香は三大香木に数えられるほど特徴的です。三大香木とは、春の訪れを知らせるジンチョウゲ、夏に清々しく香るクチナシ、そして秋にゆったりとリラックスできるキンモクセイのことを表します。
また、ジンチョウゲは、沈丁花も、学名Daphne odoraも、芳香があるという意味が含まれています。ジンチョウゲを育てる際、姿の美しさと香りの心地よさを同時に楽しめるのです。
ジンチョウゲの育て方
ジンチョウゲの植え付けでは根に注意
日本で育てられているジンチョウゲは、雄株がほとんどです。このため、種を収穫することもなく、種まきができません。したがって、ジンチョウゲは苗で購入して植え付けます。苗を選ぶ際は、勢いがよく、根が太くて元気な苗を選ぶようにしましょう。
ジンチョウゲを植え付ける際、根を傷つけないようにすることが大切です。根が傷つくと枯れてしまいますので、慎重に行いましょう。
植え付ける場所をしっかりと選ぶことも
また、ジンチョウゲを植え付ける際は、管理する場所をしっかりと見極めることも大切です。ジンチョウゲを地植えする際は、根を傷つけると枯れてしまうため、植え替えは基本的に行いません。ジンチョウゲが好む栽培環境の場所に植え付けましょう。
鉢植えで育てる場合は、少し大きめの鉢植え付け、植え替えをしないで育てましょう。ただし、小さな鉢植えであれば、根に注意すれば植え替えするのも可能です。
水はけのよい土を準備する
ジンチョウゲは、植え替えによって根を傷つけることを避けるため、なるべく水はけのよい土に植え付けるようにしましょう。とくに鉢植えでジンチョウゲを育てる方は、市販の培養土などでしっかりと準備する必要があります。
地植えでジンチョウゲを育てる場合も、水はけのよい土を準備したいです。水はけが悪い場合、パーライトなどを混ぜると土質が改善します。苗を植え付ける10日ほど前から準備して、ジンチョウゲを元気よく育てていきましょう。
ジンチョウゲの剪定のポイントとは
ジンチョウゲは、細かく枝が分かれて生長していくため、手をかけなくても自然に丸い樹形が作られていきます。このため、樹姿を整える剪定はあまり必要ありません。
ただ、枝が細かく分かれていくため、日当たりや風通しが悪くなってしまいます。こうなると、病害虫が発生しやすくなるため、込み合っている枝は剪定していきたいです。剪定は花後、なるべく早めに行い、花芽が作られる夏前には終わらせましょう。剪定した枝は、挿し木として使えます。
挿し木でジンチョウゲを増やす方法
ジンチョウゲの花は挿し木で増やしましょう。開花の季節が終わった後、剪定した際に切り取った枝を使うほか、花後に伸びた新芽を剪定し、挿し木にして増やすのが簡単です。
剪定したジンチョウゲの切り口は、水を吸いやすいように斜めに切り、水はけのいい小粒の赤玉土や鹿沼土などに挿して、水を切らさないようにしばらく管理しましょう。数か月後、切り口から根が出てきたら成功です。小さな鉢植えに入れて、春になったら植え付けます。
ジンチョウゲの生育環境
置き場所は明るい半日陰
ジンチョウゲは強い日差しが苦手です。しかし、まったく日を当てずに育ててしまうと花がつきません。このため、鉢植えでは、植え付けたあとは日当たりのいい場所で管理しましょう。午前中は日当たりのいい場所で、午後は日陰に置くなどして管理します。真夏の直射日光や強い西日は避けて、元気よく育てていきましょう。
地植えの場合、植え付け場所は十分に考慮する必要があります。日当たりがよく、午後には日陰になるような場所が理想です。
寒冷地では冬越しのための防寒対策も必要
ジンチョウゲの冬越しは、育てる地域によって、多少異なります。霜が当たらない地域では、地植えでも冬越しができますが、寒さがひどい地域では、冬越しのために防寒対策を施した方がよいでしょう。
鉢植えのジンチョウゲは、霜や寒風に当たらないベランダや室内に移動させ、冬越しをします。ただし、ジンチョウゲは、ある程度の耐寒性があるため、寒さがひどくなければ、室内に取り入れなくても冬越えが可能です。
乾燥させずに水やりを
鉢植えのジンチョウゲや植え付けたばかりのジンチョウゲは、土を乾燥させないように十分な水を与えてやる必要があります。毎朝、水やりをして、様子を見ましょう。真夏の猛暑時は、乾燥しやすいため、夕方にも水やりをしたほうがいい場合もあります。
地植えのジンチョウゲは、根がしっかりとついたら、とくに水やりは必要としません。ただ、雨が降らない日が続いたり、真夏の猛暑時は、土が乾燥したら水やりを行いましょう。
ジンチョウゲの管理方法
年に3回ほど肥料を与える
ジンチョウゲは、春にきれいな花を咲かせるため、年に3回ほど肥料を施すのが一般的です。まず、花が終わった4月~5月、新芽を伸ばすために、緩効性の肥料を与えます。そして、夏が過ぎた9月~10月ごろ、同じく緩効性の肥料を与えましょう。株が充実してくるのを促します。
冬になったら、成分があまり強くない肥料を与え、春の開花期を待ちましょう。有機肥料や緩効性の肥料がおすすめです。だいたい1月~2月ごろを目安にします。
ジンチョウゲによくみられる病気とは?
ジンチョウゲの元気がなくなったり、葉がしおれてきたり、茎が腐って白いカビが生えてきたら、ジンチョウゲによくみられる病気かもしれません。これは、白紋羽(しろもんぱ)病というもので、常緑樹のジンチョウゲの歯が落ち、枯れてしまうこともある病気です。
この病気の原因は、土による伝染病なので、土を処分するか、しっかりと消毒しなければなりません。また、ジンチョウゲを植え付ける際、新しい土を使うなど、ある程度の対策ができます。
春から夏にかけての害虫にも注意
ジンチョウゲは、春から夏ごろ、アブラムシやハマキムシの被害に遭うこともあります。アブラムシは新芽につきやすく、花が変形することもあるため、見つけたら早急に駆除しましょう。
また、ハマキムシは葉や茎を食べてしまう害虫で、その名が示すように巻いた葉の中に隠れて、葉や茎を食べつくしてしまいます。そのまま冬越しすることもありますので、冬に巻き付いた葉を見つけて駆除する方法も有効です。ひどい場合は殺虫剤を使いましょう。
ジンチョウゲと香り高い春を迎えよう
その香りをかぐと春の訪れを感じる方も多いジンチョウゲ。高さ1mほどの常緑樹の花木としても人気が高く、ポイントさえ押さえれば、楽しく育てることのできる花です。庭植えでも鉢植えでも十分に楽しめますので、しっかりと手入れをして、ぜひ来年は、愛らしいその姿と芳香で、心地よい春を迎えましょう。
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