検索アイコン
エックス
Facebook
LINE

【連載】甘い香りが春の訪れを告げるジンチョウゲの花言葉を解説!

三大香木の1つに数えられるジンチョウゲの香りは、春の訪れを感じさせてくれます。早春にピンクや薄いクリーム色の可愛い花が咲くジンチョウゲは古くから人気の常緑低木です。月曜連載、花と花言葉。今週は可愛い花と共に甘い芳香が魅力のジンチョウゲの花言葉を解説します。
更新: 2021年5月13日
ティンカー・ベル
※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。

縁起のよい花言葉を持つジンチョウゲの特徴

ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の常緑低木

風に春を感じる季節になると、あちこちの庭先からジンチョウゲの甘い香りが漂い、季節が変わりつつあることを感じます。そんな甘い芳香が特徴のジンチョウゲはジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の常緑低木です。

学名はDaphne odoraと表記します。Daphne(ダフネ)とはギリシャ神話に登場する女神の名前がそのまま付けられており、odora(オドラ)はギリシャ語で「よい香りがする」という意味です。

雌雄異株で日本のものはほとんどが雄株

夏はクチナシ、秋はキンモクセイと並び、三大香木の1つに数えられている甘い香りが魅力のジンチョウゲは、春の季節の訪れを知らせる花木として古くから人気です。原産地は中国で、日本へは室町時代に渡来してきました。

樹高は1m~1.5mほどで、とくに剪定を行わなくても、枝が分岐して生長するため、丸くこんもりとした樹形を維持したまま庭木として楽しめます。ジンチョウゲはイチョウなどと同じように、雌花と雄花と別々の株を持つ雌雄異株。日本の渡来してきたものは雄株のみであったため、ほとんど結実はしません。

開花時期は3月~4月

春の季節を知らせるジンチョウゲの開花の時期は3月~4月です。花の色はピンクと白。ピンクの花を咲かすものの蕾は濃いピンク色をしており、開花すると薄いピンク色の花を咲かせます。また白いものの蕾はクリーム色をしており、開花するとどことなくクリーム色っぽい白い花を咲かせます。

どちらも開花の季節になると分枝した枝先に花序を出し、手毬状に花を咲かせます。1つの花序には1cm~2cmくらいの大きさの花を10~20個くらい付けます。手毬状になった大きさは5㎝くらいです。

花びらに見える部分は萼!

じつは私たちが可愛い花と観賞している部分は萼の部分!ジンチョウゲは花びらを持たない花です。肉厚な萼なので花持ちがよいと言われます。

また先に解説したように、日本のジンチョウゲのほとんどは雄株なので実を付けませんが、雌株があると結実し、赤い実を付けます。ただこの実には猛毒があるので食べることはできません。 

和名とその由来

和名「沈丁花」そしてその由来について


三大香木の中で、その香りが春の季節を感じさせるジンチョウゲの和名は「沈丁花」と書きます。和名の由来は、同じジンチョウゲ科の樹木でも常緑高木の沈香(じんこう)の匂いにジンチョウゲの香りが似ていること。

そしてスパイスに用いる丁字(クローブのこと)の香りにも似ていることや、丁字の葉とジンチョウゲの葉が似ていることなどが由来し、「沈丁花」という花名が付きました。
 

別名はセンリコウ(千里香)

ジンチョウゲは別名「センリコウ(千里香)」と呼ばれています。「センリコウ」という呼び名の由来は、ジンチョウゲの甘い芳香が、千里も離れたところまで香るといわれたことで、「センリコウ=千里香」という別名が付けられたそうです。

ジンチョウゲの誕生説

Photo byDariuszSankowski

ジンチョウゲの誕生説はギリシャ神話の中で語られています。学名の属名に付けられているDaphne(ダフネ)とは、ギリシャ神話の中に登場する女神の1人。太陽神のアポロンは、愛情を司る神様の放った矢で射抜かれ、熱烈にダフネに恋をしてしまいます。

一方鉛の矢に射られダフネは拒絶して逃げたのですが、力尽きてしまい、河の神様に「どうか私の体が穢されぬように」と頼んだのだとか。

ダフネが生まれ変わった木

Photo by annieb

河の神様に助けを求めたダフネの体は、みるみる硬くなり、体は樹皮で包まれ始め、足は大地に根付き、髪の毛は葉に、腕は枝になり、1本のジンチョウゲの木となったという話があります。

このような話がギリシャ神話の中で語られているジンチョウゲの誕生説となる伝説です。

ジンチョウゲの花言葉

「栄光」「不滅」「勝利」

ジンチョウゲを代表する花言葉は「栄光」「不滅」「勝利」です。これらの花言葉の由来には諸説はありますが、その1つはジンチョウゲの花が古代の北欧の戦いの神様に捧げられた花だという伝説にまつわる説です。

北欧で讃えられていたこの神様は戦争を司り勝利と栄光を約束したのだと。そんな伝説に由来し「栄光」「不滅」「勝利」という花言葉でイメージされているという説が1説にあります。ちなみに「不滅」という言葉は、冬の間も緑を絶やさない常緑樹に共通する花言葉でもあります。

色別に付く花言葉はない


たとえば春の花ならチューリップ、そして花の女王と言われるバラなど花色の多い花には、花の色別に花言葉がありますが、ピンクのジンチョウゲ、そして白いジンチョウゲともに、ジンチョウゲには色別に付けられた花言葉はありません。

もう1つの別名「瑞香」に由来する花言葉

別名が由来した花言葉「不老不滅」

ジンチョウゲの原産地である中国では、ジンチョウゲを別名で「瑞香(ズイコウ)」と呼びます。ジンチョウゲは中国でも縁起のよい芳香花として人気です。この別名は中国に伝承される1人の比丘尼(ビクニ=尼僧)にまつわる話から由来する呼び名で、ジンチョウゲに付けられたこの別名が由来となり「不老不死」という花言葉が付きました。

別名「瑞光」にまつわる伝説

Photo by digitalpimp.

1人の比丘尼が谷川沿いの岩の下で昼寝をしていた時にいい香りが漂ってくる夢を見たのだと。目を覚まし、その場所を探してこの花を見つけました。その比丘尼は夢の中で見た花なのでこの花を「睡香(スイコウ)」と名付けました。

その後「睡」という文字を同じ音の「瑞」に改め「瑞香(ズイコウ)」と呼ばれるようになったそうです。

出家した尼僧・比丘尼が名付けたことが由来

ジンチョウゲの花言葉「不老不滅」とは、出家した尼僧である比丘尼が夢で見た縁起のよい花であり、花名も比丘尼が名付けたことにちなみ、「不老不滅」という花言葉が付いたという説があります。

ジンチョウゲの怖い花言葉

ジンチョウゲに怖い花言葉はない!

花束や花のアレンジメントなど花の贈り物は、お祝いや愛の告白などの喜ばしい場面や、お見舞いなどの励ましの場面に贈ることが多いですが、花によってはその場面にふさわしくない、ちょっと怖い花言葉や縁起の悪い花言葉を持ち合わせている花もあります。

しかしジンチョウゲをイメージする花言葉には、怖い言葉や縁起の悪い言葉はありません。ジンチョウゲは幸せの家庭の庭先には必ずある木とされているほど、縁起のよい花とされていて、怖い花言葉は持ち合わせていません。

毒性があるので怖い?


ジンチョウゲは有毒植物です。日本で栽培されているジンチョウゲのほどんどは実を付けませんが、ジンチョウゲの実、そして根や花には毒があります。しかし毒を持つ特徴を象徴するような怖い花言葉はありません。

ジンチョウゲの毒性に関しては、怖い意味ではなく、古代北欧の戦いで戦いの神にささげられた花である理由が、毒性が強いことから勝利を約束するというよい意味に解釈されています。

古来は薬草として使われていた

ジンチョウゲは有毒植物とされていますが、古来は薬草として利用していました。たとえば歯痛、のどの痛み、神経痛などに活用していたとされています。

そのことは1600年ごろまでヨーロッパで用いられていた植物学や本草学書であり、ローマ帝国期の医者、薬理学者、植物学者であったペダニウス・ディオスコリデスが母語のギリシャ語で綴った「薬物誌」の中に記載されています。

花言葉を知ってジンチョウゲを楽しもう

怖い花言葉はない、縁起がよく喜ばしい花言葉「栄光」「勝利」「不滅」、また中国の伝説から「不老不滅」という花言葉をもつジンチョウゲは、幸福な家庭の庭先に植えられると伝えられて、庭木として人気の花木です。

花が少なくなる冬の季節が終わり、花々が咲きだす春の季節の訪れを告げる三大香木の1つであるジンチョウゲの花言葉を知って、春の訪れを感じながら可愛い花を楽しんでください。

花言葉についてもっと知りたい方はこちらもチェック!

当サイト暮らしーのでは、花言葉について他にもまとめています。特に月曜日は連載して、季節の花を紹介しながら、その花の花言葉、花名の由来、その花にまつわる伝説などを解説しています。贈り物の花束にメッセージの代用としても活躍してくれる花言葉。花言葉についてもっと知りたい方はこちらもチェックしてみてください。