ジュズサンゴは暖地で越冬する!
名前どおりの形と色の実を付けるジュズサンゴ(数珠珊瑚)は、非耐寒性の常緑多年草亜低木です。寒さに弱いため日本では一年草とされていますが暖地では冬を越し、前年の茎は木質化します。原産地の南米や沖縄、小笠原諸島などでは、こぼれ種から繁殖して雑草化するなどの旺盛な性質です。
花もちのよい白い花も可愛いらしく、花期には実も付けて切り花でも流通しています。寒冷地では室内の鉢植えもできるので、ジュズサンゴの栽培に挑戦してみましょう!(この記事は2021年5月12日時点の情報です)
ジュズサンゴの基本情報
原産地 | 北米南部・南米 |
科目 | ヤマゴボウ科 |
属名 | リヴィナ属 |
学名 | Rivina humilis |
英名 | Bloodberry |
草丈・樹木 | 30~150㎝ |
耐暑性 | 強い |
耐寒性 | 弱い |
ジュズサンゴは、南米付近の暖かい地域が原産ということが示しているように、暑さには強くて寒さには弱い性質です。日本では関東以南の地域が育てやすいといえます。一年草として栽培する場合は、暖地・寒地に関係なく庭などの地植えでもよいでしょう。
しかし寒冷地だけではなく、本州の暖かい地域でも多年草として栽培するならば庭は厳しいといえます。鉢植えで育てて冬期間は室内での管理がおすすめです。
ジュズサンゴの開花時期と結実時期
ジュズサンゴの花期は6月~10月です。開花時期にはジュズサンゴの上部にある葉の付け根から花序が出て、3ミリメートルほどの小さな花が房状に軸に付きます。4枚のピンクがかった花弁のように見えるのは"萼(がく)"で、花はその中心部分にあるのです。
小さくて肉眼では花の形が分かりにくいので、ルーペなどで観てみましょう。約5か月間、ひたむきに花を咲かせる可愛いジュズサンゴは、花を付けたと思うと実も付ける、ちょっと不思議な植物です。
ジュズサンゴの結実時期
ジュズサンゴの結実時期は8月から12月となります。開花時期は6月から10月なので、8月から10月ころまでの3か月間は花も実も楽しめるのです。育て方も難しくないのに、一粒で二度おいしいという表現が当てはまりそうな、とても魅力的な植物です。
ジュズサンゴはヨウシュヤマゴボウの仲間
ジュズサンゴは関東以北の寒い地域での地植えが難しく、北国ではあまり見かけない植物です。しかしヤマゴボウ科といえば日本全国で自生している、赤紫色の茎に黒い実を付ける帰化植物のヨウシュヤマゴボウを連想する方も多いことでしょう。
仲間同士のジュズサンゴとヨウシュヤマゴボウは実の付き方が少し異なりますが、共に秋を華やかに彩ってくれるのでガーデニングでは大変人気があります。
ジュズサンゴの育て方
①季節ごとの置き場所
耐陰性のあるジュズサンゴですが、基本的に直射日光以外は日当たりが好きな植物です。日光不足は花付きを悪くして実成りも悪くするため、季節に応じて日当たりのよい場所に置くよう注意してください。
庭植えの場合は植え付けする場所を事前によく考えて、半日陰の場所に植えてください。直射日光が当たりそうなときは、遮光ネットや寒冷紗で管理しましょう。霜に何度も当たると枯れる場合もあるため、暖かい地域でも敷き藁や腐葉土を使って株元をマルチングしましょう。
鉢植えの場合
ジュズサンゴの鉢植えは、夏場は室内のレースカーテン越しに日光を当ててください。寒さが厳しい地域は、必ず冬は5℃以上の場所で管理します。
注意点として、暖かい地域でも地植えのジュズサンゴが心配なときは、鉢に植え替えて室内で管理したほうがよいでしょう。
②ジュズサンゴの用土
ジュズサンゴが好きな用土は酸性となり、ブルーベリー用の土が適しています。特にこだわらなければ市販されている花用の培養土でもよく育つので、手軽に購入できる点からもおすすめです。
土にこだわりがある人は、通常の培養土にピートモスや鹿沼土を混ぜることで酸性になるので、土作りに挑戦してみましょう。水はけもよくするために、腐葉土も混ぜ込むと完璧です。
③ジュズサンゴの植え付け・鉢替え
ジュズサンゴを植え付けるときの注意点は用土と時期だけで、難しいことはありません。苗と酸性土を用意し、4月~6月に植え付けます。苗は乾燥しやすい夏場に出回ることもあるので、根付くまで水切れにご注意ください。
庭に地植えする場合は株よりもひと回り大きめの穴を掘り、掘り出した土にピートモスや鹿沼土を混ぜて酸性土を作ります。苗を入れて土を戻して完了。水はけが気になる場合は腐葉土を混ぜ込みましょう。鉢植えは二回り大きめのものがおすすめです。
ジュズサンゴのよい苗の選び方
ジュズサンゴのよい苗は、葉の色がきれいなことと、株元まで葉がしっかりついているものです。病気や害虫が付いていないかも念のためにチェックしておきましょう。
ジュズサンゴの鉢替え
鉢植えしたジュズサンゴが根詰まりを起こしている場合は、ひと回り大きめの鉢に植え替えてください。根を傷つけないように根に付いた土を静かに取り除きます。
鉢穴に鉢底ネットと鉢底石を置き、新しい酸性土壌を1/3ほど入れます。ジュズサンゴの株を真ん中に置き、鉢の縁から1センチメートルほど下まで土を入れて完成です。
④ジュズサンゴの肥料
ジュズサンゴは生育旺盛なため、特別な肥料を与えなくても問題ありません。元気がないなどの気になることがあれば肥料を与えてください。ジュズサンゴに肥料を与える季節は、春の5~6月と秋の9月~10月で、2~3週間に一度だけ液体肥料か置き肥の緩効性肥料を与えるだけで充分です。
注意点は、ジュズサンゴは肥料を与えすぎるとかえって花付きが悪くなるので、与えすぎないようにしましょう。
⑤ジュズサンゴの水やり
ジュズサンゴの水やりは、地植えの場合は根付いたあとは必要ありません。鉢植えの場合は、土の表面が乾いていたら、鉢底から水が出るくらいにたっぷり与えてください。
ジュズサンゴは、花期の夏に乾燥状態が続いていると枯れてしまうこともあるため、小まめにチェックして水やりをします。水やりをする時間帯は気温が下がってきた夕方にしてください。休眠期の冬は乾燥気味で大丈夫なので、水やりは控えます。ジュズサンゴの水やりは季節に応じて変えましょう。
⑥ジュズサンゴの増やし方
ジュズサンゴの一般的な増やし方は「種まき」で行います。ジュズサンゴの種の採取は、ジュズサンゴのガクがはっきり反り返り、実が熟して柔らかくなったときがベストタイミングです。
採取したあとは水洗いし、日陰でしっかり乾燥させて種まきの春まで保管しておきます。
種まきの方法
種まきによい季節は春先、3月から5月となります。暖かい地域では採ってすぐに種をまけますが、寒さに負けて発芽しないこともあります。確実に発芽させるには春先で、種をポット苗などにまいて発芽させます。種が隠れる程度に土で覆い、明るめの日陰で水切れしないように管理しましょう。
本葉が3~6枚になったらポットから上げ、根が回っていたら鉢に定植します。庭などの屋外に直に種をまく場合は、20℃以上の暖かくなる5月ころがおすすめです。
挿し木でも増やせる
ジュズサンゴの増やし方は「種まき」が主体ですが、挿し木でも増やせます。挿し木には切り戻しした枝を使うとよいでしょう。挿し木によい時期は、開花時期でもある春から秋にかけてとなります。
10センチメートルほどに切り戻した挿し穂を用意します。下の葉を取り除いてから水揚げしましょう。葉がない部分を土に挿しておくと根が付きます。
⑦ジュズサンゴの病気と害虫対策
ジュズサンゴの病気と害虫に関しては、ほとんど心配ないといわれています。それでもときどきハダニやナメクジが付くこともあるので、見つけた場合はすぐに処理してください。
ハダニの防止は葉水がおすすめで、発生したら殺虫剤をまきます。ナメクジの場合は割り箸などでつまんで取り除きましょう。
ジュズサンゴの花言葉
ジュズサンゴの花言葉は「ひたむきな姿勢」と「移り気」となります。「ひたむきな姿勢」という花言葉は、脇目も振らず一生懸命に、花を次々に咲かせて結実する様子が由来かもしれません。「移り気」の由来は、実の色が白から薄紅色、そして赤へと変化することにあると考えられます。
「ひたむきな姿勢」と「移り気」は正反対の意味なので、同じ植物でも捉え方によって花言葉が変わるのもおもしろいですね。
ジュズサンゴが誕生花の日
ジュズサンゴが誕生花の日は、ジュズサンゴが本格的に結実する秋、9月22日となります。ジュズサンゴの6月~10月までの長い開花時期の間に実を付けるので、9月22日が誕生日の人に鉢をプレゼントすると間違いなく喜ばれることでしょう。
ジュズサンゴの鉢以外におすすめなプレゼントは、寄せ植えや切り花、リースなど。花言葉「ひたむきな姿勢」も添えて大切な人に贈ってみてはいかがでしょうか。
ジュズサンゴを楽しむ方法
ジュズサンゴのアレンジメント
ジュズサンゴはそのまま鉢でもよいですし、盆栽風にしても素敵です。アレンジメントフラワーの世界ではリースにして楽しむ人もいます。いろいろな楽しみ方をしている事例をご紹介します。ぜひ参考にしてジュズサンゴをいろいろ楽しみましょう。
写真はノコンギクとコラボレーションしたジュズサンゴです。メインはノコンギクですがジュズサンゴが加わることで動きが生まれ、生き生きとしたニュアンスになっています。
ジュズサンゴの寄せ植え
こちらはジュズサンゴをコンパクトにまとめ、他の背の高い観葉植物を入れることでワイルドな雰囲気を演出しています。白と赤、グリーンのシンプルな色使いが涼し気ながらもジュズサンゴの赤がアクセントになっており、非常に魅力的な寄せ植えです。
ジュズサンゴは鉢植えで越冬させよう!
ジュズサンゴは寒さに弱い植物ですが、沖縄などの暖かい地域では庭植えで越冬させることも可能です。寒い地域では鉢植えにして楽しみましょう。冬に室内で育てるときは、必ず5℃以上の環境に置いてください。
基本的な育て方は他の植物同様で、寒さに注意すること・真夏の直射日光を避けること・土の表面が乾いてから水やりすることなど。育てた苗木から採取した種で増やせるのも便利ですね。「ひたむきな姿勢」という素敵な花言葉のあるジュズサンゴを育ててみましょう!
実がなる樹木が気になる人はこちらをチェック!
ジュズサンゴのような赤い実を付ける樹木が気になる人は、ぜひご参考にしてください。ツルウメモドキ・ツルコケモモ・センリョウなどは、ジュズサンゴとはまた違った趣があります。詳しい育て方や水やりの方法、注意点などを紹介しているので、いろいろチェックしておきましょう!
果実と果皮のコントラストが美しい!ツルウメモドキの特徴や見頃の時期をご紹介!
北海道から沖縄まで自生するツルウメモドキは、黄色と赤の果実の色合いが美しく、ガーデニングでも大人気。見分け方は果実が熟す秋にならないと難しい...
真っ赤な果実が鮮やかなツルコケモモの育て方講座!暑さと乾燥に弱いので要注意!
ツルコケモモは、学名をVaccinium oxycoccosと言う常緑の小低木です。本州以北に分布し、耐寒性は強いものの、対処性は弱く、育て...
千両(センリョウ)とは?特徴と育て方をご紹介!剪定はどうする?
千両の特徴を知っていますか?赤い実がつく鑑賞時期がとっても長いですが、結実するためには必要なことがありました。そして、珍しい黄色の実がなる千...
出典:photo-ac.com