千両の特徴と育て方
千両といえば、同じような植物の「万両」と並んで、和風の日本のお庭には欠かせない植物になっていますね。そして、正月には、お正月飾りや生け花にも使われている日本の縁起木のひとつにもなっています。
生け花や飾りで彩を感じさせてくれる赤、黄色の実は冬から翌年まで長く鑑賞することができるんですよ。今回は、この千両の詳しい特徴と育て方について紹介していきます。
千両の育て方とは
千両とは、もともとは山林の湿った半日陰で自生していた植物でした。特に冬に鮮やかな実をつけるので、花の少ない冬場には、貴重な正月の縁起物としてされている植物ですよね。そして千両は常緑性なので、お庭を一年中緑を感じさせてくれますよ。
千両の意味は、文字通り貨幣の「千両」のことを表しています。このほかに、万両や百両もあります。このなかでも千両の草丈は、高さ50~80cm程度で低木になります。
千両の特徴
千両の特徴は、観賞期間が長いことにあります。6月に花が開花して、秋ごろから結実します。結実した状態で翌年まで干渉することができるうれしい植物なんですね。千両は、新梢の先から穂状の新枝を、地下茎から出してきます。毎年少しずつ千両の株が広がります。
切り花、剪定をしても良く芽吹くのも特徴の一つです。また、千両には赤い実以外の結実をすることもあります。この千両の品種には、黄色の実をつける「キミノセンリョウ」が人気ですよ。他にも、常緑の葉っぱにもバリエーションがあります。斑入りの品種などは、一味違ってきれいな葉色も鑑賞できます。
千両育て方の基本情報
それでは、千両の基本情報について見ていきましょう。
科名属名
千両の科名属名は、センリョウ科センリョウ属です。他の万両などとは異なる科名属名になっていますよ。
和名別名
和名は、千両でセンリョウと読みます。別名で、草珊瑚とも呼ばれています。赤い実がたくさんつく姿から付けられたといわれています。
学名
センリョウの学名は、「Sarcandra・glabra」・「Chloran・hus・glaber」です。
原産国
千両は、日本や朝鮮半島・中国・マレーシア・東アジアが原産国になっています。温帯地域に自生していた植物だとされています。
分類
千両の分類は、常緑性の低木です。特徴は、半日影や日陰でも育つ植物という点です。しかし上手に結実させるためには、直射日光を避けて日に当てたほうがよいと思います。
千両の花・実の情報
千両の開花時期、花の色の情報と、結実時期などを紹介します。実がつかない場合の対策も合わせてみていきましょう。
開花時期
千両の開花時期は、6月です。花は目立たず地味なので、観賞にはあまり向いてはいないようです。
花の色
花の色は、白・淡いピンク色をしています。花が咲く前は緑色をしていて地味ですがしっかり花を開きます。ここから結実するのが楽しみですね。
結実時期
結実を観賞できるのは、11月中旬~1月とされています。このため、雪のかかった千両の赤い実のコントラストも十分に楽しむことができるんです。
結実の色
千両の実には、赤い実しかないと思っていませんか?黄色の千両もあるんですよ。「キミノセンリョウ」という品種です。キミノセンリョウは、千両よりも実つきが悪いのが特徴です。でも赤い実にはない華やかで美しい黄色で、一味違った実が人気の植物です。
実がつかない場合
実が付かない場合は、6月に花が咲かなかったことも原因です。そして花が咲いたのに実が付かなかった場合は、日照不足と水切れが原因だと思います。日陰でも栽培できる植物ですが、結実させたいい場合は最低でも半日影に植え替えるようにしましょう。
草丈
低木の千両の草丈は、約0.7~1mほどにコンパクトにまとまります。
千両の育て方①種まき
前年度に実から収穫して種まきを行いましょう。結実したての秋から熟した冬の果実を選んで摘み取りいましょう。果肉を水洗いして、きれいに取り除いて種まきを開始します。
種まき時期
種まきは、果肉を取り除いてすぐに棚まき培養土に種まきするようにしましょう。乾燥させてしまうとダメになってしまいます。種まきのに適した時期は1月から3月頃です。発芽に必要な温度を保って、種まき後、たねから芽が出るまで3~4ヶ月かかるとされています。種まきで植え付けてから、3ほどで実をつけるようです。
種まき方法
種まきに適した用土を作りましょう。腐葉土を入れて、適湿な土をつくります。乾燥しないように気をつけましょう。また、種まきを鉢植えで行う場合は、赤玉土:腐葉土を8:2で混ぜて土をつくります。芽を出すまでは、保温と乾燥に気を付けておきます。
相葉がそろったら、3号ポットに植え替えます。本葉が出て大きく育ってきたら、苗として庭に植え付けることができるようになります。植え付けの適した時期は、暖かくなってきた5月あたりに植え付けます。
千両の育て方②土作り・植え付け
苗で購入する場合、植え付の時期や植え付け方法を紹介します。
植え付け方法
もともと千両は、森林の下などの半日影のような場所に自生していた植物です。そのため、植え付け場所は、夏の西日や直射日光4が当たらない場所が適しています。千両に強い日差しを当ててしまうと、葉焼けしてしまい生育不良・枝枯れを引き起こすようになります。
そのため、半日陰の場所に植え付けるようにするとよいと思います。大きめの穴を掘って、根鉢を崩さないように植え付けます。たっぷりの水を与えて養生させておきましょう。
植え付け時期
植え付けは、暑くなってくる前の5月あたりか、寒くなる前の10月が適しています。
千両の育て方③肥料・水やり
千両の水やり方法と、肥料の与え方についてまとめました。
万両の水やり
千両を庭植にした場合、植え付けしいてからしばらくは土が乾いたら水を与えます。根付いてきたら、その後の水やりは必要ありません。
千両を鉢植えにした場合は、夏場に極端に乾燥した場合は土の表面が乾いたら水やりをします。水切れを起こした状態が続くと結実しなくなってしまうので、鉢植えの場合は注意して水やりをするようにしてくださいね。
万両の肥料
千両は、必要ないといわれていますが、より見付きをよくしたい場合や早く成長させたい場合は適時肥料を与えましょう。また、千両にとって肥料は多ければよいというものではありません。
千両の肥料が多すぎると、枝葉だけが伸びて実付きが悪くなる徒長が起きてしまうんです。野菜と同じで、窒素分が多い肥料の場合に多く見られる症状です。千両に肥料を与える場合は、必要な分だけを与えることにいよってより株が充実して実付きもバランス良くなります。
肥料の与え方
千両に与える肥料は、年に1度2月に与えます。肥料は、化成肥料・油かす・骨粉を混ぜた物がよいと思います。根に直接触れないように、株もとに肥料を施します。千両の株を早く大きくしたい時は、5月から6月の成長期前に肥料を与えましょう。
千両の育て方④剪定
きれいな形をとるために、剪定も行いましょう。特に大きく育った千両は、中が日が当たらず見付きが悪くなってしまいます。剪定した枝を使って、増やし方も可能です。挿し木にして新しい株を作ってみましょう。
剪定の仕方
千両の剪定は、自然とまとまる樹形のためほとんど必要としません。ローメンテナンスですが、徒長してしまったり樹形が乱れてきた場合などは適時剪定を行います。千両は株立ちに成長するので、地際から枝を出して成長していきます。
さらに枝葉ほとんど枝分かれせず、すっとまっすぐに伸びていきます。たくさんの枝が増えてしまうと、風通しが悪くなって蒸れてしまいます。このため、重なり合っている枝を切り詰めるようにして剪定しましょう。実がなっている枝も、地面の際あたりからバッサリと剪定します。
万両の剪定時期
剪定:3年以上たった古い枝や細い枝には、花がつかない(実がつかない)ので、3月に地際から剪定します。 作業の適期は12月~1月で
千両の育て方⑤増やし方
千両の増やし方について説明していきます。
千両の増やし方
千両の増やし方には、種まきと挿し木の二つがあります。種まきでの増やし方の方法は、このまとめの全編にかいてあるので見てくださいね。挿し木は、5月~6月が適期になっています。
特に挿し木については、剪定でで切り取った健康な枝を使用することもできます。さらに、園芸店で売られている切り花用の千両でさえも、上手に挿し木が出たら簡単な増やし方で大きく育てることもできるんですよ。成功率も高いので、たくさんの増やし方を試してみてくださいね。
千両の育て方⑥挿し木
千両の挿し木について説明していきます。挿し木専用土などを使うと簡単に挿し木が行えます。自分で土を作るときは、水もちと水はけがよい土を作りましょう。赤玉土と腐葉土を9:1で混ぜ合わせて作ります。
千両の挿し木方法
挿し木をするときは、2~3節の長さで穂を切り取ります。挿し木する側の先端の4枚だけの葉を残して、他の葉っぱをかき取っておきます。挿し木でよっく水を吸うことができるように、挿し木する側のほうをコップの水につけておきます。
1時間ほど吸水させたら、用意しておいた挿し木用培養土に挿し木しましょう。挿し木後の管理は、日が当たらない場所で風が当たらない日陰に置きます。乾燥しないように水やりに気を付けるようにします。
千両の挿し木時期
千両の挿し木に適した時期は、3月から4月です。剪定をしなかった時でも、千両の新芽が伸びる前切り取って挿し木を行います。挿し木をしてから、約3か月で発根してきます。
千両の育て方⑦植え替え
千両の株が大きくなって、植え替えの時期になったら新しい場所に植え替えてあげましょう。
千両の植え替え方法
千両を鉢植えで育てている場合、根が回ってしまい実付きが悪くなってくることがあります。この場合は、一回り大きな鉢に植え替えをおこないましょう。春に新芽が伸びてこなくなったら、植え替えのサインです。2年に1回、今の鉢よりも一回り大きな鉢に植え替えを行います。
土作りを行って、鉢底石を敷き詰めます。掘り起こした千両の株についている地下茎を園芸用ばさみで半分に切っておくと植え替えた後も良く成長しますよ。庭に植え替える場合は、半日陰から日陰に植え替えるようにします。千両の植え替えの適期は、3月~4月です。
千両の特徴に合わせた育て方
千両の特徴や育て方について説明してきましたが、いかがでしたか?剪定方法や、増やし方も簡単なので株が大きくなってきたら随時行って、毎年たくさんのきれいな花と実をつけられるとよいですね。縁起物としても大切のされてきた植物なので、ぜひお庭で上手に栽培してほしいと思います。