ツルコケモモの育て方や増やし方って?
ツルコケモモは夏を乗り切れば本州でも栽培可能
ツルコケモモはツツジ科のつる性の常緑小低木です。茎は細く、葉は楕円形で、つるを伸ばしながら、草丈20cm程度の低木に生長します。花は夏に咲き、夏の耐暑性は弱いものの、耐寒性は強く、野生のツルコケモモは、北海道や本州の北部で自生することから、涼しい場所で夏の管理に気をつければ、うまく育てることが可能です。
その学名が示すツルコケモモの特徴とは
ツルコケモモの学名はVaccinium oxycoccosで、この学名のVacciniumはスノキ属を意味し、ブルーベリーやコケモモ、ハックルベリーなど、果樹として古くから知られる植物が含まれています。このため、ツルコケモモも、この学名が示すように、食用にもなる果実が成り、この実はクランベリーという名の方が有名です。ビタミンが豊富に含まれ、栄養価が高いことから、美容や健康にも人気で、さまざまなレシピを楽しめます。
ツルコケモモの植え付けや植え替え
ツルコケモモの植え付けは2~3月ごろ
ツルコケモモの植え付けは、2~3月ごろが適期です。ツルコケモモは通常、苗から育てます。葉がたくさんついている元気な鉢を選び、ツルコケモモの生育環境に合った水持ちのいい酸性土を使って植え付けましょう。
地植えの場合、元肥を施し、明るい日陰を選んで植え付けるようにします。とくに、夏の日差しが強く当たらない場所を選ぶことが大切ですが、まったく日当たりがないと元気に育ちません。植え付けの場所は慎重に選びたいです。
ツルコケモモの植え替えの周期と方法
ツルコケモモは通常2年ごとに植え替えをするようにします。ずっと同じ土で育てていくと、酸性度が弱ってくるほか、鉢の中で根がつまり、生育が遅くなってしまうほか、根腐れを起こしてしまうこともあるからです。
植え替えの時期は3月ごろ、根を傷つけないように株を取り出し、傷んだ根を切り落とし、古い土を落として、ツルコケモモが好む土に変えましょう。ツルコケモモの成長に合わせて鉢の大きさも替え、植え替えの後は水をたっぷりと与えることも大切です。
ツルコケモモの育て方
ツルコケモモが好む環境とは?
ツルコケモモは、常緑小低木ですが、日本では北海道、本州では東北地方や中部地方の高冷地などが育てやすいとされています。とくに寒地の高層湿原などで自生することからもわかるように、寒くて湿度のある環境が好みです。このため、夏の過ごし方がとても重要で、夏を元気に乗り切ることができれば、本州でも育てることができます。
水はけがよく保水性もある土づくり
ツルコケモモは、酸性の土を好みます。このため、鉢植えでも地植えでも、市販されている果樹用の培養土は、アルカリ性に調整されているため、使わないようにしなければなりません。
アルカリ性の土を酸性にするには、無調整の水苔やピートモスを土に加えます。水はけがよく、保水性も含まれる土にするために、腐葉土や赤玉土を混ぜて土を準備しましょう。
ツルコケモモは水やりがとても重要
ツルコケモモは湿地で自生する植物であるため乾燥が苦手です。春や秋には毎日、夏になったら一日2回程度、冬の間は3日に1回程度、水やりを行うようにしましょう。いつも土が湿っている状態を保ち、土が乾燥するのを避けるように心がけてください。夏の間はとくに注意が必要です。
なお、地植えの場合も土の状態に応じて水やりを行いましょう。ただし、水のやりすぎも根を腐らせてしまうので、植木の状態を見ながら行うことが大切です。
肥料はさほど多くを必要としない
ツルコケモモは、花期の前後に肥料を与えます。春、新芽が伸びはじめようとする3月ごろと、花期が終わった9月ごろの2回です。肥料の量はあまり多くを必要としません。鉢植えの場合は、即効性のある化成肥料で、地植えの場合は有機質肥料か緩効性の化成肥料を与えましょう。
ただし、肥料を与えすぎると、花芽がつきにくくなるため、あまりたくさんの肥料を与えないように注意しすることが大切です。
ツルコケモモの1年のサイクル
花期は6月~7月
ツルコケモモは、春になると新芽が出てきます。前年の枝の先端にできた花芽から数本の花柄を出し、うつむき加減の淡いピンク色の花が咲きます。肥料を与え、ツルコケモモの生長を楽しむ時期です。花期は6月~7月ごろで、花冠は4つに分かれ、裂片は1cmほどとなり、後ろに反り返るような花形をしています。
秋には実の収穫
花期が終わると、ツルコケモモは実をつけ始めます。ツルコケモモは、自らの花粉を受粉して実をつけることができるため、いくつもの株を必要とはしません。秋になるころには、実が赤く色づいてきます。秋になったらツルコケモモを霜に当てないように注意しましょう。
実の収穫は9月ごろから11月ごろです。ガーデニングなどではそれほど多く実ることもありませんが、実が成ったらぜひ収穫しましょう。そのまま食べると甘酸っぱいため、通常、砂糖などで味つけをします。
耐暑性の弱いツルコケモモの夏の過ごし方
ツルコケモモは、耐暑性が弱いため、夏に水を切らさないようにすることがとても大切です。直射日光にさらされて、水切れを起こしてしまったら枯れてしまいます。鉢植えの場合は、必ず明るい日陰に移動させるようにしましょう。地植えの場合、直射日光が当たらないように注意し、遮光ネットなどで覆うのも手です。
耐寒性の強いツルコケモモの冬は
一方、ツルコケモモは、耐寒性がとても強いため、冬場はあまり神経質になる必要はありません。乾燥が苦手なので、定期的に水やりをし、春に芽吹く前に植え替えなどの作業を終わらせておきましょう。植え替えの適期は3月ごろです。
ツルコケモモの増やし方
ツルコケモモは生命力が強く、繁殖力も強いため、株分けや挿し木などの方法で増やすことができます。株分けは休眠期に2月ごろ、挿し木は6月ごろが適期です。とくに挿し木はうまくいくケースが多いため、ツルコケモモの鉢を増やしたいという方はぜひ挑戦してみましょう。
ツルコケモモの株分けによる増やし方
ツルコケモモをもっと増やしたいという方は、3月ごろに株分けを行いましょう。株分けの方法は、鉢からツルコケモモを取り出して、根をほぐして株を分けるだけです。親株と子株をつないでいる地下茎を切り取り、鉢を分けて植えます。
ツルコケモモは繁殖力が強いため、比較的、簡単に株分けすることが可能です。ぜひ挑戦してみましょう。
ツルコケモモの挿し木による増やし方
ツルコケモモは、挿し木で増やすのがかんたんです。挿し木の時期は、6月ごろがよいとされ、その年に伸びた枝を20cmほどに切り取って使います。十分に水上げしてから、ツルコケモモが好む土に挿し込み、水をたっぷりと与え続けて管理しましょう。
ツルコケモモの挿し木は成功しやすいため、増やしてみたいという方はまず挿し木で増やしてみるのがおすすめです。ただし、生育環境によっては、根が張るまで時間がかかることもあります。気長に育てていくことが大切です。
ツルコケモモの名前の由来
名は体を表すツルコケモモの由来
ツルコケモモの名は、ツルが地上部に地面を這う姿を苔にたとえ(ツルコケ)、果実の総称として桃の語を用い(モモ)、この名がつけられたというのがその由来だとされています。ツルコケモモの特徴をとらえた名前の由来です。
ツルコケモモには2つの種類がある
ツルコケモモの名前は属名ですが、狭義ではツルコケモモとオオミノツルコケモモに分かれます。この場合、ツルコケモモは日本の北部をはじめ、北アジア、北ヨーロッパ、北アメリカ北部などで見られるものです。
一方のオオミノツルコケモモは、北アメリカでも北東部で育ち、とくにオオミノツルコケモモの実はひとまわり大きいことでも有名です。なお、この大きな実は、北アメリカからクランベリージュースやドライフルーツとして輸入されています。
野生のツルコケモモは減っている
最近では野生のツルコケモモはめっきり減ってきているといいます。事実、野生のツルコケモモの自生地は日本ではわずかしかないのだとか。
ただ、一方で、そんなツルコケモモを北海道で栽培化し、アメリカのクランベリー産業のように取り組む動きもあります。アメリカやカナダでは、クランベリーの収穫風景を真っ赤な絨毯になぞらえ、秋の風物詩として人気です。いつしかこのツルコケモモ色の赤い絨毯を北海道でみられる日が訪れるかもしれません。
ツルコケモモの実を上手に利用しよう
ツルコケモモのレシピは、クランベリーレシピとして実にさまざまです。ガーデニングでのツルコケモモは、大量のジャムやソースが作れるほど、多くの収穫はできませんが、少しでも収穫できたら、ぜひ楽しく味わってみたいもの。
ほかの野生の果物を使ったレシピと同じように、ツルコケモモも準備できた量の半分程度の砂糖を加え、水と調整しながらジャムを作ることが可能です。ツルコケモモは、収穫後、日持ちしますが、ぜひ調理して楽しんでみましょう。
ツルコケモモをおしゃれに育てよう
夏に花期を迎え、秋に真っ赤な実をつけるつる性常緑小低木のツルコケモモ。品種によっていくつかの種類があり、地植えはもちろん、鉢植えで育てるのもかわいいと人気です。とくにその実は栄養価が高く、健康食としてもおすすめで、さまざまな利用法が楽しめます。
育てて楽しみ、鑑賞して楽しみ、食して楽しめるツルコケモモ、管理がいささかむずかしいものの、かわいくおしゃれに育ててみましょう。
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