クランベリーってどんな果実?
クランベリーとは、ツツジ科スノキ属ツルコケモモ亜属に属するつる性植物で、樹高が30cm程度の低木で、育て方がさほど難しくないのでガーデニング初心者の方から上級者まで人気があります。名前は鶴の好物ということや、花が咲く前の茎や花弁が鶴に似ていることから由来されました。和名は「苔状に茂る実のなる植物」という意味から、「ツルコケモモ(蔓苔桃)」と呼ばれています。
概要
学名 | Oxycoccos |
英名 | Cranberry |
原産地 | 北アメリカ北部・東部 |
開花時期 | 5月~6月 |
別名 | ツルコケモモ(蔓苔桃)・アクシバ(灰汁柴) |
花・実の特徴
5月~6月に開花時期をむかえるクランベリーは、白色やピンク色の花をつけます。実の大きさは約2cmの楕円形で小さく、深い赤色の皮が特徴です。実がつきたての時期は皮が硬くしっかりしていますが、熟してくるととても柔らかくなり、収穫時期によってさまざまな食感を楽しめます。
花言葉
花言葉
- 心痛を慰める
- 心を癒す
- 天真爛漫
クランベリーの花言葉は三つあります。「心を慰める」「心を癒す」は昔クランベリーが食用だけではなく薬用としても用いられ、身体の不調を整えていたことが由来です。「天真爛漫」は、クランベリーに近寄っていく鳥の姿が天真爛漫にみえることからつけられました。
主な産地・旬
クランベリーの主な産地は、ユーラシア大陸から北アメリカ大陸にかけての寒帯域です。日本では主に北海道で栽培されていますが、国産のものはあまり多くありません。旬の時期は品種によって異なりますが、主に9月中旬~11月中旬で、皮が全体的に赤くツヤがでていたらよく熟している証拠です。
栄養価
クランベリーは、可愛らしい見た目と育て方が簡単なことから人気がありますが、実は栄養価が高いことでも注目されています。深い赤色をしている皮や中身には身体が喜ぶ栄養素が豊富に含まれているので、みていきましょう。
成分①ポリフェノール
クランベリーに含まれているポリフェノールは果実の中でもトップクラスで、赤ワインと同等の量が含まれています。非常に強い抗酸化作用があり、肌の色素沈着を予防する効果が期待され、注目を集めている成分です。
成分②ビタミンE
ビタミンEは抗酸化作用を持つ脂溶性の成分です。ホルモンバランスを整えたり血流を促進したりする効果が期待され、血液を循環させることで身体が温まり、冷えの改善にも繋がります。また細胞の酸化を防ぐので、皮膚を綺麗な状態に保つためには必要不可欠な成分です。
成分③キナ酸
キナ酸とは、キナという樹木の皮の成分です。ベリー系の果実に多く含まれ、殺菌作用が強く老廃物の排出を促進する働きがあり、細菌の繁殖を防ぐ効果が期待されます。特に膀胱炎や尿道炎の尿路感染症を予防する効果があるとされ、ネットや店頭ではサプリの購入が可能です。
成分④ペクチン
ペクチンとは、善玉菌を増やして腸内環境を整える働きがある成分です。ほかにも老廃物と結びついて便のかさを増やし、腸内の動きをよくする効果が期待されます。動きが活発化することで便秘解消になり、腸内環境を整えることで肌荒れの予防も期待できる、特に女性には嬉しい成分です。
ブルーベリーとの違い
科名 | ツツジ科 |
属名 | スノキ属 |
学名 | Vaccinium corymbosum. |
英名 | blueberry |
和名 | ヌマスノキ |
違い①樹高・葉の色
クランベリーの樹木が約30cmの低木に対し、ブルーベリーは約2m~3mまで成長します。樹木の高さが大きく違うので、見分け方は簡単です。またブルーベリーは秋になると葉が鮮やかな赤色になり、紅葉を楽しめます。クランベリーは一年を通して緑色の葉をつけるので、育て方によってガーデニングでもそれぞれ違った楽しみ方ができるでしょう。ブルーベリーは、鉢植えよりも地植えにした方が樹木の高さを活かせます。
違い②品種の多さ
クランベリーに対して、ブルーベリーの品種は豊富です。クランベリーの品種は冬の寒さに強く、夏の暑さに弱いものがほとんどですが、ブルーベリーは品種によって異なります。寒さに強いものもあれば弱いものがあり、育て方もさまざまなので、環境にあわせた品種を選べることが大きな違いです。また皮の色も豊富でまだら模様や深い紫色などがあるので、クランベリーと違う楽しみ方ができます。
違い③収穫時期
クランベリーは秋から冬の寒い時期に収穫しますが、ブルーベリーは大体春から夏にかけて行います。種類によって異なるのでブルーベリーを育てるときは、育て方と同時に品種別の収穫時期を確認しましょう。ブルーベリーは挿し木でどんどん増やせるので、収穫も楽しくなりますね。
クランベリーの上手な育て方
クランベリーは、正しい育て方で栽培するとたくさんの果実が実り、ガーデニングをより楽しめます。地植えや鉢植えで育てる場合や、水やり・収穫時期はどのタイミングで行えばよいのでしょうか。ふやし方や剪定方法など、詳しい育て方をみていきましょう。
育て方①苗選び
クランベリーの苗を選ぶときは、葉がしっかりついていて元気なものを選びましょう。特に海外産は病気に強いのでおすすめです。また接木の接ぎ目部分にすき間があると害虫がはいる可能性があるので、つなぎ目の部分が太くしっかりしているものを選びましょう。育て方と同じように、苗選びも重要です。
育て方②植え付け・栽培環境
クランベリーの植え付け時期は2月~3月・11月が適期で、場所は日当たりのよいところを選びます。暑さや乾燥が苦手なので、地植えする場所は明るい日陰を選びましょう。栽培場所によって実がつかなかったり病気にかかりやすくなったりして、育て方が難しくなります。またクランベリーは寒気にさらすことで実をたくさんつけるので、鉢植えの場合もなるべく屋外で栽培しましょう。地域によって気温差があるので、環境にあった育て方をすることが大事です。
育て方③水やり・肥料
クランベリーは水分を好みます。鉢植えで育てる場合は、鉢土の表面が乾き始めた頃にたっぷりと水を与え、地植えの場合は、土が常に湿っている状態が好ましいのでこまめに水やりをしましょう。特に夏の暑い時期は、一日2回以上水やりをします。肥料は、2月・9月に有機質肥料か速効性化成肥料を施します。生育状態が良好な場合は、追肥しなくても構いません。
育て方④植え替え・用土
鉢植えの場合、植え替えは年2回を目安に行います。鉢の大きさは、生育状態をみて余裕のあるサイズを用意しましょう。用土は、鉢植え・地植えのどちらも酸度未調整のピートモスや水ゴケ、鹿沼土などの等量配合土で作ります。水はけがよく、水もちもよい土を作ることが重要です。もともと寒冷地で栽培される植物なので、その環境にあわせた育て方をしましょう。
育て方⑤ふやし方
クランベリーは、挿し木か株分けでふやせます。どちらの方法も簡単ですが、挿し木は成功率が高く、乾燥させないように水やりをすることで発根率はあがります。
挿し木での育て方
挿し木は、元気な枝を20cmほどの長さにカットして葉を取り除き、1時間ほど水につけて土に挿しましょう。直射日光が当たらない場所で管理します。環境によって異なりますが、数日でしっかりと根がはってくるでしょう。適期は湿気が多い6月頃です。ガーデニング初心者の方や確実に株を増やしたい方は、挿し木をおすすめします。
株分けでの育て方
株分けの適期は2月中旬~3月上旬です。株を優しく掘りだしたら消毒したハサミで地下茎を切り、切り分けた株を大きめの鉢に入れ替えます。株分けをするときは、土から掘り出す時に根を傷つけないように気をつけて行いましょう。傷がつくと、成長する過程で枯れたり腐ったりして育たなくなる原因となります。挿し木よりも株分けは手間のかかる方法ですが、丁寧に時間をかけて作業することはガーデニングの醍醐味です。
育て方⑥夏超し・冬越し
クランベリーは暑さに弱い植物なので、暖地で栽培する場合は環境にあわせた育て方をするように意識しましょう。ポイントは、直射日光が当たらないように明るい木陰で管理することです。遮光ネットで覆う場合は内側の温度が上がっていないか、こまめに確認しましょう。また日本の夏は湿気が多いので、蒸れると根や茎が腐る原因となります。冬は、実をつけるために屋外で管理し、通常通りに育てましょう。
育て方⑦剪定方法
剪定時期は特に決まっていなく、1年を通して行えますが果実を収穫したあとがおすすめです。花芽がついていない枝を選んでカットしましょう。剪定することで全体に日光が当たり生育がよくなります。枝が混みあうと害虫が発生したり枯れたりする原因となるので、丁寧に剪定しましょう。
育て方⑧病気・害虫
クランベリーは病気にかかりにくいので、育て方はさほど難しくない植物です。害虫としてまれに「ハマキムシ」や茎葉に付着して吸汁する「カイガラムシ」がつきます。枯れたり腐ったりする原因になるので、害虫を発見したらはやめ薬剤を使って駆除しましょう。
育て方⑨収穫
クランベリーは正しい育て方をしていると、9月中旬~11月上旬に収穫できる時期が訪れます。皮が赤く色づき柔らかくなってくるので、どんどん収穫していきましょう。地域によっては春先まで収穫できますが、雪が積もると収穫が困難になるので、果実の状態や環境にあわせて行いましょう。
クランベリーのおすすめの飾り方〈2選〉
クランべリーは、常緑性であることや可愛らしい実をつけることから、ガーデニングでも人気です。玄関先や庭の一角に赤色があると雰囲気がぱっと明るくなり、全体のイメージががらりと変わります。クランベリーのおすすめの飾り方をみていきましょう。
飾り方①ハンギングバスケット
ハンギングバスケットとは、高い位置から植物を吊るしたり壁に掛けたりして、さまざまな育て方・観賞ができる花鉢です。クランベリーはつる性植物なので、ハンギングバスケットを用いて飾るとより魅力を惹きだせます。白色・ピンク色の花から、深い赤色の実をつけるまでの長い間を楽しめて、室内や玄関先、どこに飾っていても飽きないおすすめの飾り方です。
飾り方②寄せ植え
クランベリーは、他の植物と寄せ植えすると果実の色が映えてより綺麗に飾れます。地植えする場合は、水やりや剪定時期が同じ植物を選びましょう。育て方が似ている植物と一緒にすることで、枯れたり腐ったりする可能性が低くなります。鉢植えで楽しむ場合は、高さを揃えると一体感がでてガーデニングのクオリティがあがるのでおすすめです。
クランベリーの品種
クランベリーの品種はそれほど多くありません。どれも見た目はそっくりで、ほかの品種もクランベリーと呼ばれる場合があります。育て方も似ているので、同時に栽培してみるのも面白いですね。
品種②ヒメツルコケモモ
ヒメツルコケモモは、クランベリーとも呼ばれる品種です。日本では北海道や本州の高山の湿原にごくまれにみられます。クランベリーとよく似ていますが、全体的に小ぶりなことから「ヒメ」という言葉がつけられました。またクランベリーは花柄に毛がありますが、ヒメツルコケモモは毛がありません。
品種③オオミノツルコケモモ
オオミノツルコケモモもクランベリーと呼ばれる品種で、「アメリカンクランベリー」とも呼ばれます。日本ではオオミノツルコケモモが多く出回っていて、育て方が簡単なので果樹としても人気です。通常のクランベリーよりも一回り実が大きく、葉が細長いことで見分けられる北アメリカに多く分布する品種です。
クランベリーの保存方法
クランベリーは育て方が簡単なので、一度の収穫でたくさんの実が収穫できます。量がありすぎて困ってしまわないように、クランベリーの鮮度と風味が保てる保存方法をご紹介します。
保存方法①冷凍・冷蔵
クランベリーをすぐに使わない場合は、冷蔵庫で保存できます。実が乾燥しないように袋にいれましょう。しばらく調理しない場合は、冷凍保存がおすすめ。約半年~1年は新鮮な状態を保てますので、風味を長く保つことができます。クランベリーを水で洗い、よく水気を切ってから冷凍しましょう。小分けにしておくと解凍しやすいので便利です。
保存方法②加工
クランベリーをジャムやピューレ状にしても保存できます。育て方によって少し傷んでしまったものや色味が悪いものを使って作るとよいでしょう。冷凍保存と同様、小分けにすると使いやすいのでおすすめです。自然解凍して使いましょう。
クランベリーの育て方を覚えてたくさん収穫しよう
クランベリーは水やりのタイミングや挿し木、剪定などの栽培方法が難しくなく、ガーデニング初心者の方でも地植え・鉢植えなどで観賞を楽しめます。果実は栄養価が高く、身体の健康面を支えてくれる植物です。保存方法によっては約1年鮮度を保てるので、育て方をしっかりマスターしてクランベリーを栽培してみてはいかがでしょうか。
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