ジギタリスってどんな花
ジギタリスってどんな花①花の形・色
ジギタリスは洋風ガーデンに人気の多年草で、植物分類は、オオバコ科ジギタリス属シソ目です。ジギタリスはベルのような花を穂状につけるのが特徴といえます。
花の色もバリエーション豊かで、ピンクや白、紫、黄色と5月の庭を可憐に彩り、愛好家も多い植物です。
別名「キツネノテブクロ」
ジギタリスの別名は「キツネノテブクロ」です。ベルのようにも見える花ですが、確かに小さなキツネの手のようにも見えますね。
この別名は英名「foxglove」を直訳したもので、特徴的な花が世界中で愛されていることがうかがえるでしょう。
ジギタリスってどんな花②開花時期
ジギタリスの開花時期は5月の初夏になります。さわやかな風が薫る庭に、ジギタリスの花がそよぐ様は圧巻で、ほかの花とのコントラストも見事です。
ジギタリスってどんな花③耐寒性は高い・耐暑性は弱い
ジギタリスはとくに準備をせずともそのまま越冬できる高い耐寒性を持ちます。日陰でも育つたくましさがある反面、暑さや多湿にはかなり弱く、寒冷地である東北以北では夏越しが可能ですが、それ以外の地域ではほとんど夏を越せません。
そのため、本来は多年草ですが日本では一年草あるいは二年草扱いなのが一般的です。
ジギタリスってどんな花④開花には越冬経験が必要
ジギタリスが開花するには条件があります。1つはある程度の大きさにまで育った大株であること。そして「寒さ」を経験することです。
種から育てた場合、1年では十分な大きさにならないため、もう1年管理して、越冬させて花を咲かせます。越冬経験のある大きな苗を購入し、植え付けた場合はその年に花を楽しめるでしょう。
ジギタリスってどんな花⑤草丈
ジギタリスは草丈が大きなものが多いです。背の高い品種が豊富で、大きいものでは2m近くにまで成長します。
草丈が高く、草の先端から花を穂状につけるジギタリスの存在感は非常に大きく、1、2本あるだけで庭に奥行きが生まれ、一気に英国風ガーデンの雰囲気が漂うでしょう。
ジギタリスってどんな花⑥有毒性
ジギタリスは有毒性の植物です。植物全体に毒性があるため、誤って口にしないように注意しましょう。一方で、その毒性を利用し、薬草としての役割も果たしてきたという歴史も持ちます。
ジギタリスの育て方と基本の管理
ジギタリスの特徴を確認した後は、実際の育て方や管理方法について解説していきましょう。5月に美しい花を咲かせるために越冬の必要があるジギタリスは、植え付けの時期などに注意が必要です。
ジギタリスの育て方と管理①植え付けする時期
ジギタリスの植え付け時期は年に2回あります。1度目は開花時期を迎える5月の少し前、3~4月。2回目は冬前の10~11月です。見ごたえのある花を楽しみたい人は、越冬経験をさせるため、10~11月に植え付けるのをおすすめします。
秋に出回るジギタリスの苗はロゼット状の葉が低く展開しているだけの苗ですが、高い耐寒性を持つため、この姿で越冬できます。株間は50cmほどあけましょう。
ジギタリスの育て方と管理②用土
ジギタリスの用土は水はけがよく、適度に水を保てるものがおすすめです。地植えでも鉢植えでもこのポイントは変わりません。鉢植えの際は、赤玉土小粒6~7割、腐葉土3割、軽石1割にブレンドするとよいでしょう。
地植えする場所が、水はけがよすぎる場合は赤玉土や腐葉土などを加えます。粘土質で水はけが悪い場合はパーライトなどを加えるとよいでしょう。
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ジギタリスの育て方と管理③置き場所・植え付け場所
ジギタリスを地植えする場合、場所は日向~半日陰を選びましょう。暑さや蒸れには弱いので、西日が強く当たるような場所は避けます。鉢植えで育てる場合も同様に、暑さや蒸れが極端に強くなるような場所は避けましょう。
バラやクレマチスといった植物の根元に植えるのもおすすめです。適度に日陰となり、暑さからジギタリスを守れます。花のレイアウトとしても美しくおすすめです。
秋に地植えするときは場所をよく考えて
ジギタリスは、株から穂が立ち上がると非常に存在感がある植物ですが、越冬前の姿はロゼット状の葉だけの地味な姿です。
秋に植え付けをする際は、場所を覚えておきましょう。花が咲くまでは草丈も低いですが、5月に開花時期を迎えると一気に大きくなります。ほかの植物との相性を考えながら配置しましょう。
ジギタリスの育て方と管理④水やり・肥料
水が常にあるような土は根腐れの原因となります。土の表面が乾いたときにたっぷりと水やりをしましょう。肥料は、植え付け時に化成肥料を用土に混ぜ込んで元肥とします。
秋に苗を植え付けて越冬させる場合は地植え、鉢植えどちらの場合も3月頃に追肥し、開花に備えましょう。
ジギタリスの育て方と管理⑤越冬
ジギタリスは耐寒性が強いため、保温したりカバーをかけるといった特別な冬越しの準備は必要ありません。鉢植えも外に出したまま、寒さを経験させましょう。水やりは、完全にストップさせず、土が乾燥したら与えます。
ジギタリスの育て方と管理⑥支柱・切り戻し
無事に5月に開花時期を迎えるとジギタリスは背丈をぐんぐんと伸ばします。品種によっては人の背を追い越し、2mに迫るため、風の強い場所であれば支柱をしましょう。
株から1本の穂を姿勢よく伸ばすジギタリスですが、1本目の花の8割が終わりかけの頃に茎の根元から切り戻すと、脇目から2本目の穂が伸びてきて開花時期を長くできます。
ジギタリスの増やし方
元来、多年草であるジギタリスですが日本の環境では2年程度で命を終えてしまいます。見ごたえのある花を毎年楽しみたい人は、ジギタリスの増やし方も押さえておきましょう。
ジギタリスの増やし方①種まき
ジギタリスの花が終わると種がつきます。こぼれ種でも増えますが、本格的に増やしたいのであれば、種を採取しましょう。5月に花を咲かせ、7月頃に種ができます。
採取した種のまき時は9月頃。ジギタリスは光発芽種子といって光を感じて発芽するので、覆土は必要ありません。細かな種なので、播種トレーなどを使いましょう。
種まきした翌年咲かなければもう1年
種まきしたあとは、適度に水やりをしながら発芽を待ちます。葉がロゼット状に広がり、4枚ほど展開したら鉢上げするとよいでしょう。ここから、どこまで大きく育てられるかがポイント。成長を見ながら少しずつポット(鉢)を大きなものに植え替えていき、越冬させます。
1回目の冬に穂が伸びず、開花しなければもう1年育てます。大きな株になり、もう一度冬を経験してから花が咲く場合があるからです。
ジギタリスの増やし方②挿し木
ジギタリスは種まき以外にも挿し木で増やせます。5月頃に花を切り戻したあと、脇芽が出てくるのでこの脇芽をとって挿し木しましょう。とった脇芽を5~10cmほどの長さに切り、水揚げした後、挿し木用の土に挿し木します。
ジギタリスの人気品種
近年のめざましい品種改良によってジギタリスの種類は非常に豊富です。草丈は60cmごろのものから、2m近くなるものと幅広くあります。花の色、形も品種によって特徴的です。好みのものを選びましょう。
ジギタリスの人気品種①プルプレア種
ジギタリスの品種でもっとも多いのが「プルプレア」です。ヨーロッパを原産とし、さまざまな品種があります。草丈が高く、派手な花を咲かせる品種が多いのが特徴でしょう。ジギタリスらしく、耐寒性はかなり強いので冬越しも簡単です。
ジギタリス・アプリコット
この品種は「アプリコット」の名前にもあらわれているように、淡いオレンジ色の花が特徴です。草丈は120cmほどにまで成長します。
ジギタリス・スノーシンブル
ジギタリス・スノーシンブルは純白の花が印象的です。ジギタリスの多くは、葉に黒く小さな点が模様としてはいりますが、スノーシンブルにはそれがありません。
草丈は120cmほど、ホワイトガーデンを目指す人や、ローズガーデンを作る人たちから人気を集める品種です。
ジギタリスの人気品種②ラナータ種
個性的な花の形が多いのがジギタリス・ラナータの特徴です。一般的なジギタリスに比べて、ラナータの花はよりふっくらと丸い形をしています。
夏の暑さには弱いため、半日陰を選んで植えましょう。耐寒性はかなり強いので、冬越しは容易です。
ジギタリス・カフェクリーム
ラナータ種の中でも、「カフェクリーム」と呼ばれる品種は、花の色が茶色やベージュといったシックなものが多く、セピアカラーが人気です。
ジギタリスの人気品種③バリニー種
バリニー種は2012年に登場した比較的新しい品種です。一般的なジギタリスよりは夏の暑さに強く、日本の夏でも育てやすい品種といわれています。ただし、耐寒性はやや低くなっているため、関東以西の栽培がおすすめです。
ジギタリス・ベリーカナリ
ジギタリス・ベリーカナリは矮性品種です。草丈は60cmほどでコンパクトに収まるので鉢植えでの管理もしやすく人気があります。花の形は、袋が上下に裂けるような形をしており、小さな草丈ながら存在感は十分です。
ジギタリスで風薫るガーデンを楽しもう
耐寒性の高いジギタリスは冬の管理が非常に簡単です。ジギタリスがあるだけで高さや奥行きが生まれ、庭に風が薫るでしょう。暑さに弱く、日本では二年草扱いですが、環境によっては多年草のように毎年芽を出すこともあります。
多くの品種はこぼれ種でも増えるので、想像以上にジギタリスは育てやすいですよ。背の高い見ごたえある花を咲かせる喜びを体験してみませんか。
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