コスモス（秋桜）は耐寒性に弱い植物
コスモスは、原産地が温暖なメキシコということが示しているように、耐暑性は普通ですが耐寒性に弱い特徴を持っています。コスモスは20℃くらいの気温で発芽し、15～30℃が生育適期とされているのです。
日が短いことで咲く性質（短日性）のため秋に咲くのがコスモスの特徴でしたが、品種改良によって、短日性ではない6月頃に咲く早咲き品種も生み出されました。何気なく見ていることが多いコスモスですが、いろいろな発見があるコスモスについてチェックしておきましょう。（この記事は2021年5月2日時点の情報です）
悪影響の少ない外来植物としての位置づけ
コスモスはメキシコ原産のキク科コスモス属の一年草で、幕末に日本へ輸入されました。栽培のしやすさもあり、園芸品種としてまたたく間に北海道から沖縄までの日本全国に広がったのです。
コスモスは外来種とされていますが、繁殖力の非常に強い多年草のオオハンゴンソウやセイタカアワダチソウほどの悪影響はないため、全国的にも特定外来生物には指定されていません。
コスモスのいろいろな名前と花言葉
コスモスの学名
コスモスという名前は、学名の「Cosmos bipinnatus」から付けられています。「Cosmos」の意味は「秩序」「調和」「美」で、コスモスの端正な姿は秋の景色に見事に調和しており、まさに秩序的です。
「bipinnatus」は「二回羽状の」という意味で、キク科植物の特徴である深く裂けた葉が、鳥の羽のようにさらに細かく裂けて対生している点が由来の様です。やはり規則正しさから美が感じられます。
コスモスの和名と別名
コスモスの和名は「秋桜」で、別名が「大春車菊」となりますが、心地よい秋の風にやさしく揺れる姿は、心情に訴えてくるかのようです。山口百恵さんの名曲でも、もの悲しさの中にどことなく甘美なニュアンスが醸し出されています。
コスモスはメキシコからの外来種ではありますが、今ではすっかり秋桜として日本に定着し、日本の晩夏や秋を彩る季節の風物詩として欠かせない存在になりました。
コスモスの花言葉
コスモスの花言葉は、「乙女の純真」「乙女の純潔」「調和」「謙虚」などです。これらの意味は、「秩序」「調和」「美」の意味があるコスモスの学名「Cosmos」と共通点が感じられます。
秋の季節に、整然と規則正しく開く花弁や繊細な葉の様子から、とてもふさわしい花言葉といえるのではないでしょうか。
コスモスの種類ごとの咲く季節
一般的な早咲きの「センセーション」
「センセーション」は短日性を失った夏咲きの早生品種で、初夏の季節、6月頃から開花します。ピンク色の花弁が8枚付き、花径が10センチメートルほどになる、公園や道路縁などで多く植えられている種類です。
コスモスはこのセンセーションの他にも、花弁に特徴がある品種が数十種類も生み出されているのです。花弁の中心が濃紅色の「ラジアンス」、赤い花弁の「レッドベルサイユ」、花弁がグラデーションの「あかつき」や「日の丸」、さらに八重咲種もあります。
種をまいてから1か月ほどで開花
夏の季節に花が咲く、センセーションを始めとする多くの早咲きコスモスは、種をまいてから60日～90日ほどで開花します。地域にもよりますがコスモスの発芽気温は20℃前後なので、秋に膝くらいの草丈になるようにするならば、1か月ほど前に種をまくのがベストです。
希望する開花時期に合わせて、春の季節の4月から夏の季節の7月下旬にかけて種まきをすることで、6月～8月中旬に美しい花が咲くのです。
キバナコスモス
コスモスの近縁種である「キバナコスモス」の開花時期は、初夏の季節である6月からと早く、期間も10月頃までと長いのも特徴です。一年草で一重咲きと八重咲があり、花径は通常のコスモスより一回り小さめです。通常のコスモスとは異なる印象を受けます。
濃い黄色のキバナコスモスは、場所をパッと明るくしてくれる点が人気です。大正時代に日本に紹介されて以降、赤色の「サンセット」や「サニーレッド」、オレンジ色の「サニーオレンジ」など、多様な品種が生まれています。
希望の開花時期に合わせて種をまく
夏から秋の季節にかけての長期間で花を咲かせるキバナコスモスですが、一度種をまいたら咲きっぱなしというわけではありません。種をまく時期を、開花時期に合わせて春と夏の季節でずらすのです。
夏の季節に花が咲くようにするためには、種まきを春の季節の4月～6月に行います。秋に花が咲くようにするためには、夏の季節の7月～8月に種まきを行います。
チョコレートコスモス
コスモスの近縁種であるチョコレートコスモスは、春から秋まで咲く種類と秋に一斉開花する2種類に分けられます。早いものは春の季節の5月から開花し、期間も晩秋の季節の11月まで長く楽しめます。花弁の色がチョコレート色という点もですが、チョコレートのような香りが特徴です。
多年草ですが高温多湿には弱く、少し栽培しにくい特徴も持っています。野生の原種は絶滅されたといわれており、出回っているものは種ではなく、さし芽や球根を分けて増やしたものです。
コスモスの地域ごとの咲く季節
北海道の開花時期
北海道のコスモスの季節は、全国の中で緯度が高い地域のため、本州よりも一ヶ月ほど早くなります。例年のコスモスの開花時期は、夏から秋にかけてです。具体的には、7月下旬から9月下旬となります。
北海道は広大なため、気候は函館のような南部地域と稚内などの北部地域では異なり、一概に開花時期が同じとは言えません。目安として北海道におけるコスモスの季節は、7月下旬～9月下旬までの一ヶ月間と考えておくとよいでしょう。
コスモスの季節に行きたいスポット情報
北海道で一面のコスモスが楽しめる名所といえば、道北地域の遠軽町の「太陽の丘えんがる公園」があげられます。例年咲き始めるのは夏の季節の7月下旬からですが、人気のシーズンは開花時期真っ盛り、秋の季節に入る8月中旬から9月下旬です。
北海道らしく日本最大級の10ヘクタールの広大な丘に、約1,000本のピンク色のコスモスが咲く大人気スポットです。20～30種類ほどもあり、さらに色違いの品種も楽しめます。北海道の初秋の季節を彩る人気スポットです。
東北の開花時期
東北地方も全国の中では高い緯度にあるため、九州や関西圏と比較するとコスモスの季節は秋とされています。東北各地にある多くのコスモスの人気スポットは、例年秋の季節の9月上旬から咲き、開花期間は一ヶ月ほどです。
東北でも人気なコスモスの種類は「センセーション」となり、コスモスが咲くころに名所となるスポットがいくつかあります。青森県の「モヤヒルズ」、秋田県の「南由利原高原」、宮城県の「松山御本丸公園コスモス園」、山形県の「面白山高原コスモベルグ」などです。
コスモスの季節に行きたいスポット情報
全国的に人気のあるコスモスの種類は「センセーション」ですが、地域によってはいろいろな種類を植えているところもあります。山形県山形市山寺の「面白山高原コスモスベルグ」では、秋の季節の9月上旬になると一面に咲くキバナコスモスも人気です。
7ヘクタールの敷地に、センセーションなどのピンク色の種類のコスモスの他、陽を浴びて黄色に輝くキバナコスモスも植えられています。全部で6種類、100万本ほどが一斉に開花する景色は見事です。
関東の開花時期
関東では、早生品種を除くと、北海道や東北に比べると開花時期は1か月ほど遅い10月頃です。生育に最適なのは秋の季節の9月下旬頃のため、6月～7月に種をまきます。太陽の時間が短くなる秋には草丈だけが生長するため、高さのあるコスモスを育てたい場合は、早めに種まきをするのがおすすめです。
反対に膝丈にしたい場合は、種まきを遅めにするのがベストです。早生品種は春の季節の4月～5月に種をまいて夏の季節の7月～8月に花が咲きます。
コスモスの季節に行きたいスポット情報
関東で人気があるコスモス畑は「国営昭和記念公園」で、広大な敷地に植えられた約550万本ものコスモスが、例年秋の季節の9月中旬から11月上旬にシーズンとなります。
種類は一般的なセンセーションの他に、中心部に特徴的な赤い輪の模様があるセンセーションの改良種やキバナコスモスなどです。見ごろの時期にはコスモスまつりが開催され、大勢の人でにぎわう関東屈指のコスモス園となっています。
中部の開花時期
中部地方のコスモスの開花時期は、主に秋の季節の10月上旬～11月上旬となります。種まきの時期は他の本州の地域と同じですが、逆算して花が咲く時期が考えられています。生育に最適な時期の9月下旬から10月頃の秋に楽しみたい秋咲き品種の場合は、6月～7月に種をまいているのです。
早生品種の場合は、関東や関西と同じように、4月～5月にコスモスの種をまくと7月～8月の夏の頃に花が咲きます。
コスモスの季節に行きたいスポット情報
中部地方で人気のあるコスモス園は、東海最大級といわれている岐阜県羽鳥市の「市之枝コスモス広場」です。6ヘクタールの敷地に1,200万本ものコスモスが咲く様子は見事です。コスモスのシーズンは秋の季節の10月中旬～11月中旬となり、シーズン中はイベントも開催されています。
他の人気名所で、夏の季節に楽しめるスポットは、岐阜県郡上市の「ひるがの高原牧歌の里」で8月下旬から9月下旬、岐阜県高山市の「飛騨乗鞍の里ほおのき平コスモス園」などがあります。
関西の開花時期
関西地方のコスモスの開花時期も、主に10月上旬～11月上旬となります。種まきをするときは他の地域も同じですが、逆算で花が咲く時期を考えて行われています。
10月頃に楽しみたい秋咲き品種の場合は、6月～7月に種をまくとよいでしょう。関東と同じように、早生品種のコスモスは4月～5月に種をまくと、夏の7月～8月に花が咲きます。
コスモスの季節に行きたいスポット情報
中部にも見ごたえのあるコスモス園がいくつかあります。おすすめは、50年前からコスモスを植えているという奈良県奈良市北部の「般若寺」です。
堂塔や石仏などのモノトーンと、ピンクや白、赤などのカラフルなコスモスのコンビネーションがとても美しい景色となっています。メリハリが効いている光景は、フォトジェニックな場所としても人気なので、ぜひお出かけください。
山陽・四国の開花時期
山陽や四国で人気なコスモスのシーズンは、9月中旬～10月下旬となります。他の地域も同じですが、種まきをするときは逆算して花が咲く時期を考えましょう。
10月頃に楽しみたい秋咲き品種の場合は、6月～7月に種をまいてください。早生品種は関東や関西、中部地域と同じように、コスモスの種を4月～5月にまくと、花が夏の7月～8月に咲きます。
コスモスの季節に行きたいスポット情報
山陽地域で人気のあるコスモス園は、約150万本のコスモスが9月中旬～10月下旬が咲く広島県庄原市の「国営備北丘陵公園」です。コスモスのシーズンに合わせて30万本近くのジニアも咲き、ピクニック気分が満喫できると好評です。
他には9月上旬～11月上旬が開花シーズンとなる岡山県の「笠岡湾干拓地」、10月上旬～下旬が開花時期の「コスモスの里」、8月中旬～9月上旬がシーズンとなる愛媛県の「翠波高原」、山口県の「リフレッシュパーク」などです。
九州と沖縄の開花時期
九州地域でコスモスが咲く時期は、秋の季節の10月上旬～11月上旬となります。早生品種を別として暖かい地域の九州では、開花時期も北海道に比べると1か月以上も遅くなります。
沖縄は秋でも日がまだ長いため、コスモスの生育に適した季節とはいえません。そのため沖縄でのコスモスの開花時期は1月～3月となっています。春の桜と共にコスモスも、同じ季節でも植物の生育具合が異なるため、日本の緯度の幅の大きさを実感させられる植物です。
コスモスの季節に行きたいスポット情報
九州地域でのコスモス園はいくつもありますが、多くは秋の季節に楽しめます。人気なのは、佐賀国際空港の滑走路側の4ヘクタールほどの敷地で、10月中旬～11月上旬の秋の季節に咲く300万本ほどのコスモスです。離発着する飛行機とのコラボレーションに人気が集まっています。
沖縄では、北部地域の国頭村金武町伊芸にあるコスモス畑です。冬期間は遊休地となる水田を利用し、住民が協力して植えているものです。新春の沖縄でコスモスを楽しめるのも素敵ですね。
コスモスの季節に全国の名所をめぐろう！
コスモス一般的な開花時期は、和名を「秋桜」と書くように、日が短くなる秋とされています。しかし南北に長い日本は地域差があるため一概にはいえません。北海道の早い地域では7月下旬に咲き、沖縄では2月の冬の季節が開花時期となります。
品種によっても開花時期が異なり、短日性の失われた夏咲きの早生品種の場合は、6月頃の初夏の季節に咲き始めるものもあります。コスモスは地域や種類によって咲く季節が異なるため、全国で咲くコスモス園めぐりをするのも楽しそうですね。
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