リラとも呼ばれるライラックの特徴
モクセイ科ハシドイ属の落葉高木
寒さに強くヨーロッパをはじめとする北国の街の街路樹として人気の花木であるライラックは、モクセイ科ハシドイ属の落葉高木です。学名はSyringa vulgarisと表記します。フランスでは別名で「リラ」と呼ばれています。英名(英語)は「Lilac(ライラック)」と書き、その意味は暗青色の花という意味です。
原産地はヨーロッパ
ライラックの原産地はヨーロッパ南東部です。現在、ライラックは2000種以上の園芸品種があります。日本には明治時代に渡来。北海道を中心に北国の代表的な花として親しまれてきました。
樹高は2mから大きな木では5mくらいの樹高になるものもあります。花色は紫、白、ピンク色で、枝の先に小花がまとまって房状に花が咲きます。花には甘い香りがあるのが特徴です。
開花時期は4月~5月
ライラックの花の開花時期は4月~5月。ヨーロッパではライラックの花の匂いが香り始めると、「春がやってきた」と親しまれています。日本では北海道の札幌の代表的な花となっているライラック。毎年5月に札幌市でライラック祭りが開催され楽しまれています。
札幌ではライラックの咲くころに気温が下がる日があり、そんな寒さを「リラ冷え」などと呼んでいます。いわゆる寒の戻りの意味をライラックの咲く季節にちなんでこのような言葉にあてはめて、ライラックを親しんでいます。
ライラックの別名「紫丁香花」とその由来
別名「紫丁香花(ムラサキハシドイ)」という
ライラックは別名で「紫丁香花(ムラサキハシドイ)」と呼んでいます。この呼び名の由来は芳香のある紫色の花を咲かせることにちなんで、このような名が付いています。また中国に伝わる説話より由来するという説もあります。そのほか「花丁香花(ハナハシドイ)」という別名で呼ぶ地方もあります。
別名「紫丁香花」にちなむ中国の伝説とは
「紫丁香花」という別名にちなむ中国の伝説とはこんな話です。幼くして母親を亡くし、父親にも先立たれた丁香(ディンシャン)という少女は継母に朝から晩までこき使われ辛い日々を送っていました。
しかし心優しく美しく成長した丁香。何よりも彼女の魅力は体から香るかぐわしい香りが魅力でした。その香りは、思わず人を振り向かせるほどでした。それを継母はとても面白くなく思い、丁香を憎らしいと思っていました。
継母にいじめられ命を落とした丁香
ある日、丁香は1人の若者と出会いお互いにとても好きになりました。しかし二人の仲は継母によって引き裂かれてしまいます。継母は、自分の醜い娘と強引にその若者を結婚させようとしたのです。そしてそんな継母の策略に恐れを感じ若者は逃げてしまいました。
その腹いせに継母と娘は丁香をかわるがわる気絶するまで痛めつけたのだと。夜になりふと気が付くと、今は亡き丁香の本当の母が傷口を擦ってくれていました。そして丁香は母親の胸の中で眠る意識の中で死んでしまったのです。
丁香の生まれ代わりの木
気の毒に思った人々は、丁香を埋葬し弔いました。やがてそこから1本の木が生えてきて紫色の花を満開に咲かせたのだと。その花は丁香と同じ香りがしたことで、彼女の名前からその木を「紫丁香(ツーディンシャン)」と呼ぶようになったそうです。
これは中国に伝わるライラックにまつわる伝説ですが、ライラックの別名「紫丁香花」はこんな話から由来した花名であるという説があります。
花言葉に由来するこんな可愛い伝承も!
花びら5枚の花を見つけたら!
ライラックの房状に咲く小さな花には、花びらが4枚付いています。しかしもし5枚付いているものを見つけたら、誰にも言わずに、その花を飲み込むと、愛する人と永遠に過ごせるとか、幸せが訪れるという言い伝えがあります。
ライラックには切ない伝承もありますが、こんな可愛い言い伝えもあり、この話にちなんで、ライラックの花言葉には恋にまつわる花言葉が多いと言われます。房状の花の中から5枚の花びらの花を見つけたら、大切に持っているとよいことがあるかもしれませんね。
ライラックの花言葉
「初恋の香り」
ライラックの代表的な花言葉の1つに「初恋の香り」という言葉があります。この花言葉の由来はライラックの葉がハート形をしているからと言われる説や、花びらが5枚付いていた花を見つけた時の伝承などから付いた、ライラックを代表する花言葉だと言われています。
「青春の思い出」「青春の喜び」
ライラックは「青春の思い出」「青春の喜び」という花言葉でもよくイメージされます。その由来の根拠ありませんが、これらの花言葉は、春に良い香りを漂わせることと同時に、春を人生にたとえ若々しさを表す季節としてこんな言葉でイメージされているという説があります。
「友情」「謙虚」
「友情」「謙虚」という言葉も、ライラックを代表する花言葉に紹介されています。ただこれらの花言葉の由来も、明らかではありません。
1説によると「友情」という花言葉は「青春の思い出」から連想させるものは友達であることから「友情」という言葉でイメージされていると言われます。また「謙虚」という言葉はライラックの咲く時期、寒の戻りがある季節であるにも関わらず、寒さに耐えて綺麗に花を咲かせることではないかと言われます。
ライラックの色別の花言葉
紫は「恋の芽生え」
ライラックの紫の花にはとくに「恋の芽生え」という花言葉が付いています。ライラックの花は甘い香りが特徴ですが、特に紫色の花は強く香ります。
紫色のライラックに付けられた「恋の芽生え」という言葉の由来は明らかではありませんが、ただ5つの花びらを持つライラックの花にまつわる伝説や、葉がハートであることから恋にまつわる花言葉の多いライラックの中で、紫色は特にうっとりするような香りが強いことから、こんな言葉で特にイメージされているのでしょう。
白は「純粋」「無邪気」
白いライラックにはとくに「純潔」「無邪気」という花言葉が付いています。「純粋」という言葉は、ライラックに限らず白い花に共通する花言葉です。
「無邪気」という言葉は、素直であどけなく可愛さをイメージする意味の言葉。言い換えればそれは純粋であるということです。「純粋」という花言葉と同時に、これが同じ意味合いの「無邪気」という言葉でもイメージされている理由だと言われています。
ライラックの切ない花言葉
「傷ついた心」
恋にまつわる暖かい花言葉がある反面、ライラックにはちょっと悲しい花言葉もあります。イギリスに伝わる昔話にまつわる花言葉は「傷ついた心」という言葉です。
1人の少女が信じていた英国紳士に裏切られて傷つき死んでしまったのだと。友人たちは彼女のお墓に山ほどのライラックの花を供えました。しかし朝になるとその花は白いライラックに変わっていたという話です。こんな昔話からイギリスでは白いライラックは「不吉」とされ「傷ついた心」という花言葉が付いています。
「悲しみ」「怠惰」
ライラックの切ない花言葉に「悲しみ」という言葉があります。イギリスに伝わるライラックにまつわる伝承から、白い花を若い娘のいる家に持ち込むと婚期を逃す。あるいは病気見舞いに持っていくのは禁物の花とされ、「悲しみ」というちょっと切ない言葉でもイメージされています。
あまり知られていませんが、ライラックの花の咲く時期は気温の差も激しく、人々が疲れやすくなる季節であるため「怠惰」などという花言葉でもイメージされていることがあります。
花言葉を知ってライラックを観賞しよう!
北国に春を知らせるライラックの花言葉は、可愛い言い伝えや葉っぱの形から恋にまつわる花言葉が生まれたと言われます。切ない花言葉もあるので、ライラックの花を贈るときには、誤解を受けないようにメッセージに前向きの花言葉を書き添えて贈るとよいでしょう。
甘い香りが魅力のライラックの花。花言葉を知って、北の街を訪れた際にはとくと観賞してきてください。
花言葉についてもっと知りたい方はこちらもチェック!
当サイト「暮らしーの」では花言葉について他にもまとめています。伝えきれない想いを花言葉に託してプレゼントに花を贈るときは、言葉に出して伝えるよりも、おしゃれな贈り物になるかもしれません。月曜日は特に連載で季節の花を追いながら、その花の花言葉や誕生説、またその花にまつわる伝説などを解説しています。花言葉を知ると、花選びももっと楽しくなります。花言葉についてもっと知りたい方はこちらもチェックしてみてください。
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