花姿は花言葉にも由来!ヤグルマギクの特徴
キク科ヤグルマギク属の1年草
もともとは麦畑の中の雑草であったけれど、その可憐な花姿が多くの人に愛されてきたヤグルマギクは、キク科ヤグルギク属の1年草です。学名はCentaurea cyanusと表記します。
開花時期は4月~6月。種類は花壇や切り花に向く高性種(こうせいしゅ)と、鉢植えなどに向く矮性種(わいせいしゅ)があり、花は一重咲きと、八重咲きの品種があります。
学名「Centaurea cyanus」の由来
ギリシャ神話の中に登場する上半身が人間で、下半身が馬である怪物であるケンタウロスが、ヤグルマギクの葉を用いてけがの手当てをしたという話があります。学名Centaurea cyanusの属名「Centaurea(ケンタウレア)」は、この話が由来となり、この怪物であるケンタウロスの名にちなんで付けられました。
種小名の「cyanus(キアヌス)」は、ヤグルマギクの魅力的な青さから、ギリシャ語の「青い」という意味です。
サファイアの青色はこの花の青にちなんだ色
ヤグルマギクの花色は青紫、青、紫、白、ピンク、黄色などがありますが、中でも原種の青紫の美しさは、自然界の青い花の中でも際立って美しいと言われています。
その青色の美しさは宝石のサファイアがたとえたくなるような美しい青色です。最高級のサファイアの青色は、ヤグルマギクの花にちなみ「cornflower blie(コーンフラワー・ブルー)」とヨーロッパでは呼ばれているのです。cornflowerとはこの後に解説するヤグルマギクの英名です。
麦畑の雑草だった丈夫な花
ヤグルマギクの草丈は30cm~1mくらいで、花径は3cm~4cmくらいの繊細は花を咲かせます。その花の繊細な見た目が花言葉にも由来しています。もとは麦畑の雑草だったほど丈夫な草花で、こぼれ種からどんどん増えていきます。
花壇にまとめてヤグルマギクを植えると一面が埋め尽くされ、その様子は大変素敵な光景です。花壇はもちろん、鉢植えや切り花、またドライフラワーにしても楽しめる花です。
原産地はヨーロッパ
こぼれ種からでも丈夫に育つヤグルマギクの原産地はヨーロッパです。ヨーロッパでは古くから栽培されており、古代エジプト第18王朝の王であったツタンカーメンの墓が発見された時に副葬品と発見された花であったことは有名な話です。
そのほかマリー・アントワネットが好んだことでも有名で、彼女も好んだ洋食器の人気の図柄である「アングレーム・パターン」は、ヤグルマギクがモチーフとなっています。
和名「矢車草」の由来
鯉のぼりの矢車が由来する
ヤグルマギクの和名は「矢車草(ヤグルマソウ)」と言います。「矢車草」という和名の由来は、鯉のぼりの先端にある矢車に、一重咲きのヤグルマギクの花が似ていることから「矢車草」というだそうです。
英名はcornflowerまたはblue bottle
和名「矢車草」に対して英名は「cornflower」と言い、それは小麦の花という意味。また「blue bottle」とも言い、青い瓶という意味です。英語の名前の由来は、原種が麦畑の雑草であったことから「cornflower」、また「blue bottle」とは、見ての通り、清らかな青い花を咲かせることから付いた名だそうです。
ヤグルマギクの花言葉
「繊細」「優美」
ヤグルマギクの代表的な花言葉は「繊細」「優美」という言葉です。「繊細」「優美」という花言葉の由来は、ヤグルマギクの見た目の印象から付いた言葉だと言われます。
ヤグルマギクにはピンクや白いなどの花を咲かせる種類もありますが、白い花もピンクの花も、どの色の花も繊細で優美な花姿をしています。中でも原種となる青紫の美しさは、先に解説したように、ヨーロッパでは「コーンフラワーブルー」といい、最高級のサファイアの色の表現に使われています。
「永遠の愛」
ヤグルマギクの花言葉には「永遠の愛」という花言葉があります。これは古代エジプトの王であったツタンカーメンにまつわる話に由来する花言葉です。ツタンカーメンのお墓が発見された時、小さな花束が見つかりました。その中にヤグルマギクが束ねてあったのだとか。
それは当時まだ18歳だった若き王に捧げた、王妃の贈り物だったのだと。ツタンカーメンの墓が発掘された時には、ヤグルマギクはかすかにまだその魅力的な青色をとどめていたそうです。
愛が永遠に続く象徴の花
発掘にあたったイギリスの考古学者が、墓を掘り上げた時にこの光景を目にして、「夫に先立たれたまだ少女であった王妃が若い夫に捧げた最後の贈り物」だと思ったそうです。
3300年以上の歳月があろうとも、考古学者の目に留まったこの墓の中の小さな自然は、古代と現代の文明を近いものにし、まさに愛が永遠に続いている象徴の花であるとされたのでした。
こんな花言葉でもイメージされている!
「誠実」「楽しい時間」
植物図鑑などではあまり紹介されていませんが、ヤグルマギクには「誠実」「楽しい時間」という花言葉でも印象付けられています。「誠実」や「楽しい時間」という花言葉は、ヤグルマギクの見た目の印象から付けられた言葉です。
「誠実」は花が咲く時期になると、非常に清らかな青い花を咲かすことから、そして「楽しい時間」という言葉は、花が風に吹かれてくるくる回る矢車に似ていることで、無邪気に遊ぶ時間を思い出す花だという理由から付けられた花言葉です。
「豊穣」「奇跡」
ヤグルマギクにイメージされている花言葉には「豊穣」「奇跡」という花言葉もあります。これらの言葉の由来はギリシャ神話の中で語られている内容によるものです。
「豊穣」はギリシャ神話に登場する豊穣の女神であったデメテルのシンボルがヤグルマギクであったこと、そして「奇跡」とはギリシャ神話に登場する怪物ケンタウロスが、ギリシャ神話の最大の英雄であるヘラクレスの誤って射た毒矢で死んでしまうが、傷口をヤグルマギクの花びらで覆うことで生き返ったという話に由来します。
「不屈の精神」
現在ドイツの国花、そして紋章となっているヤグルマギク。「不屈の精神」というヤグルマギクの花言葉は、初代ドイツ皇帝がフランスとの戦いに勝利したことに由来します。
子供の頃、ナポレオン軍の侵略によりベルリンを脱出する途中、麦畑に隠れた時に、母親がヤグルマギクで花の冠を作って、幼い王子の頭にかぶせてくれたのだと。そんなことを覚えたいたドイツの皇帝ヴェルヘルム1世は、ヤグルマギクを「皇帝の花」呼んで、現在もドイツ国民から親しまれている国花、そして紋章になった話に由来します。
ヤグルマギクの上手な育て方
種からなら直まきがおすすめ!
とても丈夫な植物なので、ガーデニング初心者でも簡単に育てることができます。花壇などに植える場合は、日当たりと水はけのよい場所を選んで種まきするとよいでしょう。丈夫な植物ですが、移植を嫌うので、種をまくときは直まきするのがおすすめです。
種まきの時期は9月~10月。苗を購入して植え付ける場合は3月~4月に植え付けします。水やりは地面が乾いた時にたっぷりと施す程度で構いません。寒さや害虫にも強い植物ですが、春先にアブラムシが付くことがあります。その場合は市販の殺虫剤で駆除してください。
花言葉を知ってヤグルマギクを観賞しよう!
ツタンカーメンのお墓の中に収められていた花であるヤグルマギクは、発掘された時にまだほんのりとヤグルマギクの自慢とする青色が残っていたとは、とても神秘的な話であり、花言葉通り若き王と幼き王妃の「永遠の愛」を感じます。
白もピンクもそして黄色いヤグルマギクも花はとても繊細で花言葉でイメージされているとおりです。とくにこの花の青は、宝石のサファイアさえもたとえたくなるような美しい青色。ガーデニング初心者でも丈夫で育たやすい草花です。花言葉を知ってあなたも育ててみませんか。
花言葉についてもっと知りたい方はこちらもチェック!
当サイト「暮らしーの」では花言葉について他にもまとめています。特に月曜日は連載して、季節の花を追いながら、その花の花言葉と同時に花名の由来やその花にまつわる伝説などを解説しています。花を贈るときには、言葉に表現できない想いのメッセンジャーになってくれる花言葉についてもっと知りたい方は、こちらもチェックしてみてください。
【連載】花期が長く花壇や寄せ植えを素敵に飾るペチュニアの花言葉を解説!
アサガオに似たラッパ型の花を咲かすペチュニア。花色が豊富で、花壇や寄せ植え、ハンキングなどに楽しまれる人気の花です。最盛期は夏ですが、開花時...
【連載】花も実も癒しの可愛さ!イチゴの花言葉を解説
可憐な花の後に、次々に赤く色付くイチゴの実を見ると微笑ましい気分になります。月曜連載、花と花言葉。今週は食べるだけではなく、近頃は鉢植えやハ...
【連載】あの綿毛にも花言葉があった!タンポポの花言葉とその由来を解説!
ふと足元を見るとタンポポが咲いていました。そう、季節はもうタンポポが咲く時期を迎えようとしています。今週は野草として親しまれているタンポポの...