はじめに
ウエストリンギアはシソ科の植物で、オーストラリアが原産地です。ローズマリーに似ている事から「オーストラリアン・ローズマリー」とも呼ばれます。常緑低木で年間通して楽しめ、手入れも簡単な事から大人気です。
そんなウエストリンギアの地植え、鉢植えの方法や、剪定(切り戻し)のやり方、挿し木での増やし方と、株分けの方法など育て方の注意点をまとめました。
ウエストリンギアの特徴
ウエストリンギアはローズマリーやバジル、ミントなどのハーブと同じシソ科ですが香りは強くありません。常緑低木で針状の葉をたくさんつけた姿を年中見ることができ、春を中心に長い間、薄紫や白色の小さくかわいい花をたくさん咲かせるのが特徴です。
庭で地植や、花壇、鉢植えでも育てられますし、低木で品種によって差はあるものの約1.5mまで成長し、たっぷりと枝葉をつけるので刈り込んで生垣のようにも剪定でき、幅広く活躍させる事ができます。
ウエストリンギアの品種を紹介
ウエストリンギアは品種もさまざま。「スモーキーホワイト」は、シルバーがかった独特の光沢ある葉が渋いです。「シーミスト」は小ぶりでキュートな紫色の花を咲かせます。細く薄い葉に白斑が繊細な「フルティコサ・バリエガータ」や、黄色っぽい葉で暖かな印象の「イエローフォーム」など、花や葉の色や形を庭や部屋に合わせて変える事で、主役にも脇役にもできますね。
品種によっては大きく育ち、刈り込めば生垣や、花壇のブッシュにもなり幅広く活躍できます。
オージープランツ
ウエストリンギアはオーストラリアが原産地の植物ですが、他にもオーストラリア原産のいわゆるオージープランツには魅力的な植物がたくさんあります。面白い形のシダ植物「ディクソニア」、コアラの好物「ユーカリ」、立ち上がったカンガルーのような形の「カンガルーポー」などは強い耐寒性が特徴で日本でも越冬しやすいです。
北半球にある日本とは反対の南半球にあり、同じ国の中で様々な気候があるオーストラリアは特徴的で面白い植物の宝庫ですね。
ウエストリンギアの植え方
庭や花壇への地植えの方法や越冬の仕方
ウエストリンギアの耐寒性はそこまで高くないものの、日当たりのいい場所を選んで地植えする事で暖地であれば日本でも越冬する事ができます。湿度の高い場所は苦手なので、風通しが良い場所に地植えしましょう。土は一般的な培養土で十分に育ちます。
非常に丈夫で、やせ地でも育つ植物ですので、いくつかある育て方のポイントを押さえれば元気に成長してくれます。
地植えでの越冬
ウエストリンギアは耐寒性が低いわけではないですが、気温がマイナスになると枯れる恐れがでてきます。十分に育って大きな株になっているなら、そこまでの対策を必要とはしませんが、まだ若い株は守ってあげる必要があります。地植えでは移動させる事が難しいので、冬場はマルチングなどで雪や霜に当たらないような工夫をしましょう。
鉢植えの方法や越冬の仕方、植え替えも必要?
ウエストリンギアは鉢植えにすると置き場所を移せるので越冬もしやすく、日当たりや湿気の対策も簡単になります。丈夫な植物で植え付け、植え替えの時期は広いですが、出来るだけ夏の暑い時期や冬の寒い時期は避け、春か秋の暖かい日に植え付けるのが無難です。
土は排水性の良いものを選び、日当たりが良く、風通しの良い場所に置きます。やせ地でも育つウエストリンギアに肥料は殆ど必要がなく、花が咲きにくく元気がない時に少量の穏効性肥料を与える程度でかまいません。
鉢植えでの越冬
冬になり、気温がマイナスになるようなら越冬の対策が必要になります。小型の鉢で、持ち運べるうちは室内に鉢を移しましょう。大きく育ち大型の鉢に植え替えたウエストリンギアは、ある程度の耐寒性がでてきます。雪がかぶりにくく、吹雪が当たりにくい場所に移せば外でも越冬が可能です。
植え替えの方法や時期
ウエストリンギアはぐんぐん成長し、根も大きくなっていきますので、成長に合わせて1~2年ごとに大きな鉢に植え替えます。春か秋の暖かい日に植え替えましょう。ある程度大きな株になると丈夫になるので、気温がマイナスになるような真冬の時期でなければ植え替えできます。植え付けの時と同じく水捌けの良い土を選んで植え替えましょう。
株分けが大変なウエストリンギアは挿し木で増やす
挿し木の方法
ウエストリンギアは挿し木での発根率が高いので、株分けよりも楽でおすすめです。ウエストリンギアの切り戻しは、梅雨前に行う場合が多いので、その時期に剪定した枝を挿し木するのが効率が良いですが、秋でも挿し木で発根させる事ができます。
挿し穂は、新芽がついているものが良いです。切り戻しの際に新芽がついている枝を先端から10cmほどのところで斜めにカットし、その枝を乾きにくい土に3cmほど差し込みます。挿し木した鉢は風通しがよい場所に置きましょう。
それでも株分けがしたい
株分けが大変なため、挿し木で増やしたいウエストリンギアですが、植え替えできる大きな鉢がない場合など、どうしても株分けしたい状況もあると思います。その時は春の暖かな日を選んで、思い切って裂いて株分けしてみましょう。
植え付けと同じように植え直し、蒸れずに育ちやすい環境を作ります。日当たりが良く、かつ直射日光は避けられる場所に置きましょう。株分けした後しばらくして安定したら、通常の育て方に戻します。
ウエストリンギアの育て方
地植えでの育て方:水やり・肥料
ウエストリンギアは乾燥を好み、痩せ地でも育つので、地植えの場合は水やりも肥料も殆ど必要ありません。植え付けてから根付くまで少量の水を与える程度でいいです。特に梅雨から夏場は湿度が高くなるので、水のやりすぎや肥料のあげすぎに気をつけましょう。湿度には剪定(切り戻し)での対処法もあります。
鉢植えでの育て方:水やり・肥料
鉢植えのウエストリンギアの場合、土の表面が乾いた時にたっぷりと水を与えます。表土が湿っている間に水やりの必要はありません。肥料も殆ど必要がなく、元気がない鉢に限定して、春のはじめや秋冬に遅効性の置き肥を少量与える程度で大丈夫です。くれぐれも夏場の過肥に注意しましょう。
剪定・切り戻しの方法
ウエストリンギアは四季咲きなので基本的には剪定時期を選びません。成長が早いので、葉色がくすんでいたり悪くなっている枝葉は気がついた時に枝元でどんどん剪定しましょう。
剪定時期は選びませんが、梅雨の前の時期には切り戻しをして混み合った枝葉をすっきり整えた方が良いです。この時期に切り戻しをせずにいると、枝葉が混み合って蒸れてしまいます。ウエストリンギアは生け垣にできるほど剪定に強いので、3割ほど切り戻して風通しを良くしていきましょう。
ウエストリンギアを生垣にする時の注意点
ウエストリンギアは常緑低木で剪定に強いのが特徴で、生垣にする事もできます。成長が早く、どんどん枝葉をつけていきますが、大雑把に刈り込んでいると、枝が別れて混み合ってしまうので、蒸れないようにするために混み合っている枝は枝元から剪定しましょう。
育て方に気を配ることで健康に育ちますし、見た目もナチュラルになります。慣れてきたら高い場所から垂れさせたり、丸や三角など好きな形に整えたり、花壇に植えておしゃれに仕立てたりと楽しみ方は自由です。
ウエストリンギアの病気や害虫対策は?
ウエストリンギアは頑丈な植物ですので、病気や害虫に対する特別な対策は必要ありません。まれに害虫の被害にあう事もありますが、どうしても心配なら、事前に家庭園芸用の殺虫剤で予防するなどの対策をしましょう。
ウエストリンギアの名前の由来や花言葉
ウエストリンギアの名前の由来はお医者さん?
ウエストリンギアという学名の由来は、スウェーデンの王室の医師であり、地衣類の研究者としても知られた『ウエストリング医師(Johan Peter von Westring)』です。
別名はオーストラリアンローズマリーで、オーストラリアが原産地でローズマリーに似ている事から呼ばれています。オーストラリアンローズマリーという名前やシソ科である事から、ハーブとして使えると誤解される事もあり、今ではウエストリンギアと呼ぶのが一般的になったようです。
ウエストリンギアの花言葉は『真実の愛』と『誠実』
ウエストリンギアの花言葉は、痩せ地でも丈夫に根を張り、枝葉を茂らせ、たくさんの花を咲かせてくれる様子にちなんでいるようです。『誠実』であれば、逆境にも負けない『真実の愛』を育めるといったところでしょうか。夫婦でウエストリンギアを育てれば、真実の愛も同時に育めそうですね。
育ちすぎに注意は必要ですが、常緑なので、鉢植えでのプレゼントもいいかもしれません。
まとめ
オーストラリアが原産地であり、頑丈で枯れにくい特徴を持つウエストリンギアは、夏場の蒸れや若いうちの冬越しにだけ注意した育て方をしていただければ、どんどん成長してくれます。ある程度成長し安定すると、ほっておいても枯れないほど頑丈な植物です。
品種によって花の色はもちろん、葉の色でがらっと変わる雰囲気も魅力で、お庭の主役から脇役までこなすウエストリンギア、手入れも楽ですし簡単に増やせますのでぜひ育ててみてください。
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当サイトでは『【丈夫で枯れにくい】ウエストリンギアの育て方をご紹介!病気&虫にも強いのが特徴!』の他にも、常緑低木やハーブなど植物の育て方についての記事をたくさん掲載しています。
有名な植物はもちろん、一風変わった植物まで、いろんな植物の紹介や育て方を掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください。くらしーのではみなさんが植物やアウトドアをより楽しめるような情報をお届けします!

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