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簡単に見分けられる!あやめ・菖蒲(しょうぶ)・杜若(かきつばた)の違いを解説!

あやめ、菖蒲(しょうぶ)、杜若(かきつばた)は見た目がよく似ており見頃も近い花です。見分け方を忘れてしまって再度調べている、という方も多いのではないでしょうか。あやめ、菖蒲(しょうぶ)、杜若(かきつばた)の簡単な見分け方や覚え方、それぞれの育て方を紹介します。
更新: 2023年12月23日
葵ふみ
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あやめ、菖蒲、杜若を一目で見分けよう

あやめと菖蒲(しょうぶ)、杜若は見た目がよく似ており見頃の季節も近いため、花が好きな人でも一度はどれか分からず困ってしまう花です。3つの花を一目で見分けられる簡単な見分け方と、忘れにくい覚え方をチェックしましょう。花の模様と花の名前を結びつけて覚えるのがポイントです。

また、あやめ・菖蒲(しょうぶ)・杜若は同じアヤメ科アヤメ属の植物で花や葉の形がよく似ていますが、もとの生息地は全く異なる植物です。それぞれの生態にあった育て方や手入れの方法の違いも合わせて知っておくと、より間違えにくくなりますよ。

簡単な見分け方①花の特徴

網目状の模様ならあやめ

花の根元にある網目状の模様があやめの一番の特徴です。菖蒲(しょうぶ)には花びら全体に大きな網目のような筋模様が入る品種もあるため、花びらの付け根から網目模様になっているかをチェックすると間違いが少ないでしょう。この網目模様にちなんで、あやめは漢字で「文目」「綾目」と書かれます。花に「あみめ」があるのがあやめ、と考えると覚えやすいでしょう。

根元が黄色なら菖蒲(しょうぶ)

菖蒲(しょうぶ)は花びらの付け根に、筆でちょんとつけたような黄色の斑があることが特徴です。ややこしいですが、あやめにも花びらに黄色が乗る品種が多くあるので、やはり花の根元が網目状になっているかどうかをよく観察してくださいね。花びらの根元に網目模様がなく、黄色の斑があるものが菖蒲(しょうぶ)です。

スッと白い線なら杜若

かきつばたの白い線のような模様は、一番見分けがつきやすいでしょう。スッと小筆でなぞったような控えめな模様のため、あやめや菖蒲(しょうぶ)と比べると色をべた塗りしたような印象の花になります。杜若はその濃く鮮やかな花の色を布に擦り付けて染料にしたということから「書き付け花」と呼ばれたことが名前の由来です。

また本来の意味合いとは異なりますが、「筆でスッと白い線を書き付けたような花が杜若」と考えると杜若の花の特徴と合わせて覚えることができますよ。

簡単な見分け方②開花・見頃の時期

4月下旬~5月中頃に開花なら杜若かあやめ

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/3444918?title=%E3%81%8B%E3%81%8D%E3%81%A4%E3%81%B0%E3%81%9F%E3%80%80%E5%A4%AA%E9%BC%93%E6%A9%8B&searchId=2363782911

杜若とあやめは4月下旬から5月中旬、春から初夏の季節に開花します。花の見頃はあやめの方が少し早めで、杜若はちょうどゴールデンウィークが被る時期が見頃なので、行楽で寄った公園やお寺などの庭園に咲いていることも多いかもしれません。夏の蒸し暑さがやってくる前に、あやめ園や杜若の池の爽やかな景色を楽しみたいですね。

梅雨の時期に開花なら菖蒲(しょうぶ)


菖蒲(しょうぶ)が開花する時期は杜若やあやめより一足遅く、5月下旬から6月下旬ごろです。しとしと雨が降り、蒸し暑くなってくる季節ですね。この時期はちょうどアジサイの見頃とも重なるので、合わせて「あじさい・花しょうぶまつり」といったイベントを開催している庭園が多いです。

簡単な見分け方③植え付け場所

陸地ならあやめ

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/4094086?title=%E3%82%A2%E3%83%A4%E3%83%A1%20%E6%98%A5%E6%99%AF%E8%89%B2&searchId=3529676313

菖蒲(しょうぶ)や杜若とは違い、陸地に植え付けられているのがあやめの大きな特徴です。あやめの生息地は低山から高原に位置する明るい草原で、水はけの悪い湿地や池はむしろ苦手な場所なのです。根が直接水に浸るような場所に植え付けてあるのを見かけることはまずないでしょう。

水辺なら菖蒲(しょうぶ)

水と共にあるイメージの菖蒲(しょうぶ)ですが、本来の生息地は水に浸かるか浸からないかの湿地なので、ずっと水に浸かったままの状態では上手く育ちません。菖蒲園では見頃の季節だけ水を張って、涼しげな景観を作っているのです。

水中に浸っていれば杜若

田んぼに植えられた稲のように、水中に植えられていることが杜若の特徴です。湿原や沼地のような場所が本来の生息地で、あやめや菖蒲(しょうぶ)よりも水になじむ植物と言えます。

愛知県の「小堤西池」、京都府の「大田の沢」、鳥取県の「唐川湿原」は日本三大カキツバタ自生地と呼ばれる、杜若の原生地として有名な場所です。いずれの場所も地名からうかがえるとおり湿地で、見事な群落が国の天然記念物に指定されています。

簡単な見分け方④草丈と花の大きさ

あやめは菖蒲(しょうぶ)と杜若より小ぶり

草丈の違いも見分け方の大きなポイントです。あやめは10~70cm、菖蒲(しょうぶ)は50~100cm、杜若は70~90cmとあやめは他の2つに比べて一回り小さく育ちます。山中や草原に咲く山野草らしく、植木鉢や花壇にも植え付けやすい大きさです。

花の大きさにも違いがあり、あやめは5~12cm、菖蒲(あやめ)は15cm、杜若は15cmとあやめが最も小さな花を咲かせます。あやめは全体的に小ぶりなことが特徴といえますね。また菖蒲(しょうぶ)は6枚の花びらがすべて大きい六英咲き、花びらが枝垂れる垂れ咲き、八重咲きなど大きく華やかに改良された品種が多くあります。
 

簡単な見分け方⑤花色の豊富さ・葉の大きさと厚さ

華やかな群生なら菖蒲(しょうぶ)

紫から白の青色系の花色がメインのあやめや杜若とは違い、菖蒲(しょうぶ)はピンクや赤みのある紫、黄色やオレンジなど豊富な花色を持っています。これは江戸時代、武士から庶民までが夢中になった園芸ブームの時期に、こぞって菖蒲(しょうぶ)の品種改良がおこなわれたためです。色とりどりの華やかな群生なら、菖蒲(しょうぶ)の可能性が高いでしょう。

あやめと杜若の葉は平ら、菖蒲(しょうぶ)の葉には筋がある


あやめの葉は横幅が10~15mmと狭く、野に咲く草花らしい華奢な印象を受けます。太い葉脈の筋はなく、断面が平らです。杜若の葉の幅は20~40cmと広いのが特徴で、こちらも葉の断面は平らです。菖蒲(しょうぶ)の葉の横幅は13~30mmで、中心の葉脈に沿って盛り上がる筋があります。そのため、あやめと杜若とは違い凹凸のある葉の断面です。

花菖蒲(はなしょうぶ)と菖蒲(しょうぶ)の違い

菖蒲湯の「菖蒲(しょうぶ)」とは?

端午の節句の風習として湯船に菖蒲(しょうぶ)の葉を浮かべて入る菖蒲湯がありますが、ここでいう「菖蒲(しょうぶ)」はご紹介してきた花を見る菖蒲(しょうぶ)とは全く別のもの。これはサトイモ科の植物で、クチナシの芯のような大変地味な花を咲かせます。葉には香りがあるため「香り菖蒲(しょうぶ)」とも呼ばれ、お湯に入れると一層すがすがしい香りを感じることができますよ。

かつては葉を使う方を「菖蒲(しょうぶ)」、葉が似ているが花を観るアヤメ科の植物の方を「花菖蒲(はなしょうぶ)」と呼んで区別していましたが、今では厳密な呼び分けがされなくなっています。

あやめの育て方・手入れの方法

陸地に咲くあやめは山野草のように鉢植え・庭植えのどちらの育て方でも楽しむことができます。庭植えにする場合は10~20cmほど盛り土した場所に植えると、生育がよくなりますよ。

水やりは表土が乾いてからたっぷりと、庭植えなら乾燥が続かないかぎり水やりは不要です。あやめは茎が分かれて良く増えるため、鉢植えの場合は毎年植え替えと株分けを行いましょう。

あやめの季節ごとの手入れ

Photo by salchuiwt

あやめの植え付け・植え替えの時期は2~3月の芽出し直前か、開花が終わった後の6~7月です。このタイミングで株分けも行い、一株を2~3つにハサミで切り分けましょう。鉢植えの場合は芽出し前の3月、秋の9月に緩効性の化成肥料を少なめに与えます。庭上の場合は肥料はほとんど必要ありませんが、施肥のタイミングは同じです。

菖蒲(しょうぶ)の育て方・手入れの方法

菖蒲(しょうぶ)は水を張った場所でなくとも、日当たりがよく乾燥しない場所ならあまり場所を選ばずに育てることができます。プランターや植木鉢、地植えで自分だけの菖蒲園を楽しみましょう。

水を好み、乾燥するとつぼみが綺麗に開かなくなるため、開花の季節は特に水切れに注意してくださいね。水やりは地植えの場合は表土が乾いてからたっぷりと、鉢植えの場合は腰水をするといいでしょう。花の見頃が来たら、咲き終わるまで水を張ったままで鑑賞しても大丈夫です。

湿地の植物には腰水がおすすめ

腰水とは水やりの方法のひとつで、植物を植えつけた鉢を水を張った浅鉢やバケツなどの中に置き、鉢底から土に水を吸わせることです。普通の草花では根腐れの原因になるため適しませんが、菖蒲(しょうぶ)のような水気を好む湿地生植物の栽培では腰水の方法で水を吸わせるといいでしょう。

菖蒲(しょうぶ)の季節ごとの手入れ


菖蒲(しょうぶ)の植え付けの時期はポット苗なら3~7月と9~11月です。株分けは7~8月の開花後すぐに行い、このタイミングか秋の間に株分け苗を植え付けます。花が咲いた茎は枯れてなくなるので、まだ花をつけていない若い芽を残して分けるとよいでしょう。

緩効性の化成肥料を9~10月に与え、翌年の花のために株を太らせます。3~4月に芽出し肥、見頃が過ぎたらお礼肥も与えるとなおよいでしょう。植え付けの際には肥料分を入れない方が根付きが良くなりますよ。

杜若の育て方・手入れの方法

水生植物である杜若は、あやめや菖蒲(しょうぶ)とは違い株元が常に水の中に浸かるように栽培します。鉢を水を貯めた容器に水深が5~15mになるように沈め、腰水のまま管理をしてください。

水の汚れ具合を見ながら、月に1回程度は水の入れ替えをしてくださいね。鉢植えは毎年土を植え替えたり水の入れ替えをしますが、水辺に植えてしまえば育て方は簡単です。

杜若の季節ごとの手入れ

水は冬に凍ってしまっても構いませんし、頻繁に入れ替える必要もありませんが、夏場に水温が上がりすぎないように注意してください。真冬や真夏でなければ、ポット苗は年中植え付けることができます。開花した直後に株分けをして、半分の長さまで葉を切り詰めます。

植え替えは花が終わった6月頃にするとよいでしょう。緩効性の化成肥料を、9~10月頃に株元の土に埋めます。

あやめと菖蒲と杜若をずばり見分けよう

Photo byCapri23auto

「菖蒲」という漢字は「あやめ」とも読まれます。またあやめ・菖蒲(しょうぶ)・杜若をまとめて「あやめ」と呼ぶ場合もあるため、「あやめまつり」と題したお祭りでも、実際咲いているのは菖蒲(しょうぶ)だった、ということもままあるので注意しましょう。

あやめと菖蒲(しょうぶ)と杜若の区別はとてもややこしく混同されがちですが、花の模様・大きさ・植え付けられている場所など複数の特徴を知っていれば一目で見分けることができます。育て方も覚えておくと見分けるときのヒントになるので、ぜひ合わせて頭に入れてみてくださいね。

あやめ、菖蒲(しょうぶ)、杜若の花言葉が気になる方はこちらをチェック!

似ているようで異なる特徴をもったあやめと菖蒲(しょうぶ)と杜若には、それぞれ違う花言葉がつけられています。花言葉の由来と合わせてチェックしてくださいね。