はじめに
オダマキ(苧環)は、日本を含む多様な地域や環境で見られる植物です。名前や花言葉が変わっていて、花の色によって怖い花言葉から勇気の出る花言葉まで幅広くあります。不思議な名前や特徴的な花言葉がなぜ付けられたのか?面白い由来と合わせてオダマキの魅力をご紹介します。
オダマキの特徴
オダマキ(苧環)学名:Aquilegia(読み方:アクイレギア)は、キンポウゲ科の花です。鉢植えでも、地植えでも育ち、水はけに気をつければ日当たりを気にする必要がなく、寒さにも負けない丈夫さが特徴でガーデニング初心者から上級者まで人気があります。
交配させやすく毎年のようにあたらしい種類が作られるので、赤、白、黄色、紫、ピンク、黒など色の種類や形も豊富、庭や花壇を美しく彩ります。種類によりますが、4月~6月に開花するのが一般的です。
オダマキには毒性があるので注意
オダマキにはキンポウゲ科全般が持つプロトアネモニン(英語:protoanemonin)という毒性があります。プロトアネモニンは肌に触れると痒みがでて、皮膚炎や水疱もひきおこす可能性があります。ガーデニングの際にはゴム手袋を着用して慎重に作業しましょう。
小さいお子様やペットが、オダマキをむしったり口に入れるも怖いですから、十分に注意しましょう。綺麗なバラにはトゲがあるように、綺麗なオダマキには毒があるのです。
オダマキ(苧環)の種類
オダマキには70種以上の品種が存在し、世界中に分布しています。交配もしやすく盛んなため、品種は今も増え続けています。その多様な色形も人気の理由です。その中から日本に自生している代表的な品種と、西洋の人気品種の特徴を紹介します。
ヤマオダマキ(山苧環)
このオダマキは赤い萼(がく)の中に黄色の花弁が特徴の種類で、日本の北海道から九州まで広く分布している花です。特に北海道、東北の山地や草原に多く自生しています。稀に黄一色のヤマオダマキがあり、これはキバナノヤマオダマキと呼ばれます。
ミヤマオダマキ(深山苧環)
このオダマキは日本の北海道と本州、朝鮮半島でも見られる種類で、高地の岩場や草原で見られる高山植物です。紫、ピンク、白と色も豊富で小さな可愛らしい花です。
セイヨウオダマキ(西洋苧環)
ヨーロッパ原産のオダマキと、北米産の大きな花をつける種類のオダマキを交配したものです。もっとも一般的なオダマキで、日本の生花店などで売られているオダマキはセイヨウオダマキ(西洋苧環)が多いです。
花色も、紫、白、ピンク、黄色と豊富で、咲き方や形も多数のバリエーションが楽しめるのでガーデニングで大人気です。
クロバナオダマキ(黒花苧環)
一般的に黒色のオダマキ全般をこう呼びます。黒い花弁がフリルのように重なった怖いほどの存在感が人気のブラックバローや、チョコレートのような落ち着いた色合いが特徴のチョコレートソルジャーなど、多様な品種があります。
カナダオダマキ
北米に分布するオダマキです。赤い萼の中で明るい黄色の花弁が灯っているように見える特徴からリトルランタンとも呼ばれます。
オダマキ(苧環)の名前の由来
和名:オダマキ(苧環)
日本ではオダマキ(苧環)という変わった名前ですが、これは木枠に苧(お)や麻で作った糸を巻く苧環(オダマキ)という道具があり、花の見た目と似ている事が由来です。また、そのことから糸繰草(いとくりそう)とも呼ばれます。
糸巻き道具の苧環は昔から着物用の文様としても好まれ、今でも子供用のかわいい柄として人気があります。
英名:コロンバイン(英語:Columbine)
英名ではコロンバイン(Columbine)です。コロンバインは「鳩のような」という意味があり、蕾(つぼみ)の状態の姿かたちが鳩に似ている事から名付けられたと言われています。確かに、ずんぐりと愛らしい姿は似ていますね。
実はアメリカの国花
バラと共にアメリカ合衆国の国花でもあります。アメリカでは国花よりも州花の方が一般的で、あまり知られていないようです。コロラド州の州花がソライロオドマキ(空色苧環)で英語ではコロラドブルーコロンバイン(Colorado blue columbine)やロッキーマウンテンコロンバイン(Rocky Mountain columbine)と呼ばれています。
オダマキ(苧環)全般の花言葉『愚か』
丈夫で美しいオダマキの花ですが、英語でFolly(愚か)という意味のネガティブな花言葉が付けられました。誕生日のプレゼントで贈られたら少し怖いと思ってしまいそうですね。では、なぜ愚かという花言葉が付いたのでしょう?
花言葉:『愚か』(Folly)の由来
西洋にコロンバインという名前の愚かな女性が登場する喜劇があり、劇中にコロンバインが持つ杯がオダマキに似ていた事、オダマキの西洋での名前であるコロンバインと愚かな女性が同じ名前だった事が由来です。それだけで愚かの花言葉が付いてしまうというのも怖いですね。
しかし、オダマキには色ごとに別の花言葉もあり、その中にはポジティブな意味の花言葉もあります。
白色のオダマキの花言葉
白色のオダマキの花言葉『あの人が気がかり』(英語:anxious about him(her) )
白色のオダマキの花言葉は、「心配しています」という意味にも「あなたの事が気になっています」という意味にも取れます。しおらしい感じがしますね。うつむいたように咲く花なことも相まって控えめな印象の花言葉です。
『あの人が気がかり』の花言葉も元は西洋で付けられたのですが、日本にもこの花言葉を連想させるオダマキに関連した物語があります。
静御前と源義経の純愛物語
日本一の白拍子(当時の芸者のようなもの)といわれた静御前は源義経と恋に落ちます。時が過ぎ、源頼朝に疎まれた義経は追われる身となり、お腹に我が子を宿した静御前と離ればなれになるのです。
密かに腹の子を狙う頼朝に日本一の舞を見たいという名目で呼ばれた静御前は、その場で義経への想いを唄い「しずやしず しずのおだまき繰り返し むかしを今に なすよしもがな(昔のように幸せに暮らしたい)」と舞いました。命の危機にありながら純愛を貫いたのです。
赤色のオダマキの花言葉
赤いオダマキの花言葉①『心配して震えている』(英語:anxious and trembling)
赤いオダマキには2つの花言葉があります。1つ目は『心配して震えている』です。心配という意味では白いオダマキの花言葉と似ていますが、震えるほど心配なのでより強い意味を持つ花言葉です。元々は恋人が離れていく事を心配しているという意味がありました。
赤いオダマキをプレゼントされ意味深な花言葉を知ってしまったら、素直に喜んでいいものか少し怖いですね。
赤色のオダマキの花言葉②『素直』(英語:honest)
打って変わってこちらは素直に喜べる花言葉です。英語ではhonestですので、他にも正直や誠実などの解釈もできます。誕生日のプレゼントなどに赤いオダマキを考えている方は、『素直』の花言葉を添えた方がいいでしょう。
紫色のオダマキの花言葉
紫色のオダマキの花言葉①『勝利への決意』
勇気が湧いてくる前向きな花言葉です。かつて西洋では、ライオンが強いのはオダマキの葉を食べているからだと言われていました。その頃にはライオン草とも呼ばれ、それにあやかってオダマキの葉を手に擦ると勇気が出ると信じられていたのがこの花言葉の由来です。
勝利を目指している人へ、応援の意味を込めたプレゼントとして喜ばれそうですね。
『名探偵コナン』にも登場
2008年3月3日、読売テレビ・日本テレビ系にて放送されたアニメ『名探偵コナン』第498話「赤と黒のクラッシュ 攪乱」にて、紫色のオダマキとその花言葉が登場しています。
犯罪組織が紫色のオダマキの鉢の中に爆弾を入れて送りつけてくるという怖いストーリーです。コナンはこの花には「必ず手に入れる」「断固として勝つ」という意味の花言葉があり、犯人からの挑戦状だと受け止めます。
紫色のオダマキの花言葉②『捨てられた恋人』(英語:a forsaken lover)
白色の『あの人が気がかり』、赤色の『心配して震えている』の最終形でしょうか。オダマキにこのような花言葉が多いのは、西洋ではオダマキが『捨てられた恋人』の象徴になっている事に由来します。「捨てられたけど必ず手に入れる」なんて繋げてしまうと余計に怖くなってしまいますね。
紫色のオダマキを贈った場合、どちらの意味に取られるか分かりませんので、ある程度の説明はした方が良さそうです。
誕生日に贈っても大丈夫?
オダマキ全体の花言葉が『愚か』という事で、プレゼントすると勘違いされる恐れはあります。例えばバラの花言葉は赤いバラなら愛情や美、ピンクのバラなら上品や感銘という意味になり、贈り物として無難です。しかし綺麗なオダマキをどうしてもプレゼントしたい時には花言葉の説明を添えて適切な色の花を贈るとよいでしょう。
誕生花としての日付は?
誕生日にちなんだ誕生花としての日付も紹介します。
紫のオダマキは「5月10日」「5月14日」が誕生日の方に、赤いオダマキは「5月2日」「6月2日」が誕生日の方に、白いオダマキは「4月20日」「4月27日」「5月20日」が誕生日の方にプレゼントしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
日本でも人気のあるオダマキですが、貰って怖い花言葉から勇気が湧く花言葉まで、オダマキの色形と同様に多様な花言葉があります。正直な感想としてはネガティブな花言葉が多いですが、それに負けない美しさや丈夫さがあるからこそ時代を超えて人気が続き、多様な品種が産まれたのでしょう。
花言葉が気になる方はこちらをチェック!
当サイトでは「寒さに強く日陰でもよく育つオダマキ(苧環)の花言葉をご紹介!西洋の品種もある?」以外にも、花言葉を取り扱った記事をたくさん掲載しています。誕生日プレゼントや、好きなあの人に花を贈ろうと考えている方は参考にしてみてください!くらしーのではみなさんが植物やアウトドアをより楽しめるような情報をお届けします!

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