日本の象徴「サトザクラ」
私たち日本人にとって、切っても切れない身近な存在のサクラは日本の象徴です。日本全国でサクラが見られることから、花見はもはや私たちの1年の1つの行事と言っても過言ではありません。
日本全国でサクラが見られるほか、現在では世界でもそのサクラが広がりつつあります。筆者がいるカナダでも、日本が原産地となるサクラが公園に植栽されて、開花時期はまるで日本と同じような光景です。私たちが普段よく目にするサクラは「サトザクラ」ということを知っていましたか?
古くから私たちの身近な存在
サトザクラは古くより私たちの身近な存在として、春の季節を物語る花木でした。サトザクラは人が住んでいる場所に植っていることから、「サトザクラ」と言われるのです。ですので、サクラの代名詞でもある「ソメイヨシノ」を始め「シダレザクラ」「八重桜」はみな「サトザクラ」なのです。
そのサトザクラは、平安時代より庭木として楽しむことから始まり、栽培や生育を経て、今日の私たちが目にする「サクラ」と総称するサトザクラが生まれたのです。
サトザクラの特徴
サクラはバラ科のサクラ属に分類されますが、バラ科の植物はサトザクラを始め、バラはもちろんのこと、ウメやモモ、イチゴやリンゴ、ビワ、アーモンドもみな同じ種類です。数多くの花木やフルーツなどがあり、私たちの身近にあることがよくわかります。
バラ科の植物は害虫の被害が少々多いですが、それでも人々に好まれ愛される植物でしょう。サトザクラもさまざまに種類が存在し、親も存在します。その親というのは、サトザクラと対になるような存在の「ヤマザクラ」です。
サトザクラとヤマザクラの違い
ヤマザクラとは、山に自生しているサクラを総称したものですが実はサトザクラは元を辿れば、みなヤマザクラなのです。サトザクラはみな、人間の手によって栽培されたもので、ヤマザクラを使って交配されたものを、私たちの身近にある「サクラ」として呼びます。
平安時代に日本の山に自生していたヤマザクラを、かつての人たちは、栽培や交配、接ぎ木などを行って数を増やし、個々の庭でも楽しめるように手にしたのです。時は経て日本全国どこでも見られる存在になりました。
自生品種と栽培品種の種類
サトザクラは栽培品種でヤマザクラは自生品種とわかりましたが、では自然に存在する日本が原産地のサクラは何種類なのでしょうか。現在確認されている自生品種は10〜11種類で、この種類の中から「サトザクラ」は生まれました。
「オオシマザクラ」を軸に、「エドヒガン」などの基本野生種を使って、あらゆるサトザクラは増えたのです。基本種11種類、変種が100種類以上あり、さらに栽培品種の200種類と合わせると、サクラの種類は300種類以上存在します。
有名なサトザクラたち
サトザクラの中で特に有名で、一番身近な存在となっている品種は「ソメイヨシノ」ではないでしょうか。そのソメイヨシノは日本の固有種である「オオシマザクラ」と日本の山に自生して基本野生種として分類される「エドヒガン」の交配によって生まれたのです。
シダレザクラはエドヒガンだけで生まれたのですが、親が一人だけで生まれたことは極めて稀なことです。また「八重桜」は総称で、八重咲きに咲く特徴から八重桜と言われ、サトザクラの中での違いがあります。
サトザクラの花と花言葉
開花時期のサトザクラ
サトザクラの開花時期は個々の品種や場所によって変わりますが、暖かくなころの3月から梅雨入り前の5月くらいです。サクラと近しい私たちですので、すでに知っていることとは思いますが、サクラの開花情報と春のたよりを教えてくれるのは「ソメイヨシノ」です。日本ではソメイヨシノを基準に開花の観測を行っています。
ソメイヨシノは5枚の花弁で成り立つ通常のサクラですが、八重桜のように無数の花弁で咲くものもり、中には200枚以上の花弁を付ける品種もあります。
サトザクラの花言葉
サトザクラにも花言葉はありますが、品種によってそれぞれ違った意味と花言葉をもちます。ソメイヨシノは「清純」「高貴」、八重桜は「理知」「豊かな教養」、シダレザクラは「優美」「純潔」などの意味をもちます。
サクラのイメージ通り、美しくきれいな意味と花言葉で、日本だと学校に入学する時期はサクラの開花時期であることから、学問にちなんだ意味の花言葉のようです。また、ヨーロッパ諸国では"spiritual beauty(精神の美)"と意味があります。
サトザクラの育て方重要項目6選
サトザクラの育て方①置き場所
植え付ける場所や、鉢を置く場所はとても重要になります。まず日が当たるように確保することが前提です。特に東からの日光と南からの日光が重要となります。午前中にかけて、十分に東南からの日差しを当てて夕方は木陰に入るくらいがちょうどよいです。
西日に強く当たってしまうと、暑さのストレスや葉焼け、水切れを起こしやすいです。また、害虫の被害も多くなるので十分に気をつけましょう。庭植えの場合は、隣の樹木の間隔も空けて植えてください。
サトザクラ育て方②用土
庭に直に植える場合は特に大きく気にする必要はありませんが、水はけと通気性がよいことには問題がないので、できる限り水はけをよくしましょう。土を掘ってから、腐葉土を混ぜるとよいですが、あまり多く入れても土が軽くなって、樹木が倒れやすくなるので気をつけてください。
鉢植えでは赤玉土の小粒タイプのものと腐葉土、黒土を4:3:3の割合で混ぜて用土として使うとよいです。水はけもよく、肥沃もちで丁度いい水持ちのある土壌でしょう。
サトザクラの育て方③水やり
水やりはたくさんやる必要はなく、特に庭植えの場合は水やりは基本的にしません。しかし、夏の季節の乾燥が続く時期は植物にとって水切れを起こしやすい環境です。土壌が乾いていたら、2週間に1回のペースで与えることが好ましいでしょう。
鉢植えの場合は夏場に2日に1回のペースで与えてください。また、暑さに気をつけて、朝のうちに水やりをすることがさらによいポイントになるので、なるべく暑くなる前の午前中に与えてください。暑い昼間に与えることは厳禁です。
サトザクラの育て方④肥料
植え替えや植え付けの際に肥料を与えることが好ましいです。12月から2月の間と開花後の5月に追肥をしますが、その際は植え付ける穴の底に化成肥料と堆肥を混ぜたものを入れて、土を被せ植えます。
また秋終わりから冬にかけては、樹木の周りに穴を開けて、有機肥料と暖効性化成肥料を混ぜたものいれるとよいでしょう。肥料を土に埋めないと、根が地表に伸びて、出てきてしまうので、土に埋めるのです。施肥の際はそういった点も注意して行ってください。
サトザクラの育て方⑤植え替え
施肥と同じ時期の12月から3月がよく、施肥を行う際は植え替えとセットで行いましょう。また植え替えは最低でも2年に1回のペースで行うことです。植え替えを疎かにしてしまうと、生育が悪くなるだけではなく、枯死の原因にもつながります。
植え替える鉢は、現在の鉢よりも一回り大きめの鉢を用意することがポイントです。水はけをよくするために予め用意した、腐葉土混ぜた土と、肥料をすでに入れた用土に必ず植え替えをしましょう。
サトザクラの育て方⑥剪定
剪定は栽培する中で特に最善の注意を払って行う必要があります。何より剪定に弱い樹木でもあり、剪定をしないで自然樹形を楽しむことがよいとされているのです。しかし剪定をしないと病害虫にも弱いので、しないわけにはいきません。
切らないで枝を伸ばし続けていても、光があまり当たらない枝は徐々に枯れて、リスクを負いやすくなります。また放置していても、大きくなってからは樹形を整えられないので、小さいうちから、ケアをしていかないと後々問題に繋がるのです。
剪定の仕方
剪定は葉が落葉した11月ごろがよく、成長期の暖かい時期にすることは花芽の付き具合を悪くします。また、休眠期の真冬に行うことは、切った後の病気の耐性が低いためよくないです。
剪定は落葉後の枝が混み合った箇所や絡み合った箇所を軽くし、弱くなった枝も切ります。サトザクラは細く枝分かれした先に花芽をつける特徴を持っているので、枝先は残さなければなりません。しっかりした新しい枝を切らないように注意してください。
桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿
これは少し余談ですが、サクラの剪定は昔から気をつけられていたと考えられます。「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」と言われている通り、サクラを切ることには注意を払っていたのです。
サクラは枝を切ってしまたら、花も付けなければ病気にかかる弱点があるのです。しかし、サクラの寿命は60年と言われていますが、樹齢100年以上のサクラは存在します。これは、しっかりケアがされた樹木で、剪定などしっかり行っているからこそ、100年以上も生きられるのです。
サトザクラのまとめ
サトザクラで季節を手元に
今回サトザクラの特徴や種類、育て方について解説しましたがいかがだったでしょうか。私たちの身近で親しみあるサトザクラですが、意外と知らないことは多く、初めて知ったこともあるのでなないでしょうか。
春の季節になるとその圧巻で壮観なサトザクラは、本当に心を奪われます。それは今や日本人だけではなく世界中の人もみな同じです。庭のシンボルツリーにすることは、少々メンテナスやケアが大変ですが、しっかりとすれば春の季節を感じられる美しい庭になるでしょう。
サトザクラ以外の花木の育て方が気になる方はこちらをチェック!
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出典:ライター撮影