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キンモクセイ(金木犀)の育て方!時期や日当たり条件など13つのポイントを解説!

秋の風物詩といえばキンモクセイです。涼しくなってきた時期に、どこからともなく漂ってくるあの甘い香りは、嗅ぐだけで幸せな気分にしてくれますよね。花言葉や育て方など、人気のキンモクセイの基本知識を13の項目に分けてご紹介します!
更新: 2021年4月20日
三ツ矢ナオ
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秋の風物詩、キンモクセイ

儚く、香りが素晴らしい花

キンモクセイはあま~い密のような香りが大人気の、オレンジ色をした花を咲かせる樹木です。 どこからともなくキンモクセイの香りが漂ってくると、「ああ、秋が来たんだな」と感じますよね。 人気のいっぽうで開花期間はとても短く、秋の桜のような儚さを併せ持っています。この儚さがまた、日本的な風情を感じさせます。 今回は、魅力いっぱいのキンモクセイについて、13の基本知識をご紹介します!

①キンモクセイの基礎知識

まずはキンモクセイの基礎知識をおさえておきましょう。 キンモクセイの故郷は中国南部です。日本には江戸時代に渡ってきました。 キンモクセイはもともと、ギンモクセイの変種です。日本にあるキンモクセイはみんな雄株。なので、日本のキンモクセイは実をつけることがないのです。これは渡来してきたとき、雄株しか伝わってこなかったことによります。 モクセイ科・モクセイ属で、常緑性なので冬でも葉を落とすことはありません。 また樹木としては小型で、だいたい5~6メートルほどの大きさになります。お庭に植えても大きくなりすぎることはなく、冬でも緑の葉を楽しむことができます。

②キンモクセイの名前いろいろ

キンモクセイは故郷の中国で「丹桂(たんけい)」や「桂花(けいか)」と呼ばれます。 学名は「Osmanthus」で、これはギリシャ語のosme(香り)とanthos(花)が由来です。ちなみに、「fragrans」は「芳しい香り」、「aurantiacus」は「橙色の」という意味があります。 英語での一般的な呼び名は、「香りの良いオリーブ(Fragrant olive)」です。オリーブの香りの良さが海外でも認められているのだと分かる名前です。

③キンモクセイの葉

キンモクセイの葉は硬く、形はやや細長いです。水気をあまり含んでいないような手触りをしています。 おもに枝先に、放射状に広がるようにしてつきます。

④キンモクセイの花

キンモクセイの花はオレンジ色で、放射状に広がっている枝先の葉のつけ根部分を中心に、たくさ細かくまとまって咲きます。 この花は、まだ枯れていなくても、時間と共にポトリと落ちてしまう性質があります。とくに風が吹くと、桜の花びらのようにあっけなく散ってしまいます。ですが地面に落ちてできるオレンジ色の絨毯も、また見事です。 開花時期はお住まいの地域にもよりますが、関東では9月の下旬ごろからです。あっという間に散ってしまうので、ぜひ開花時期をチェックしておいて、キンモクセイを探しに出かけてみてください。

⑤キンモクセイの香り

キンモクセイの花は、咲き始めがもっとも香ります。 花が散ってくるころにはあまり香りがしなくなってくるので、キンモクセイの香水やジャムを作りたい! という人は、つぼみ交じりの段階から収穫を始めましょう!  2~3日もすると、あっという間に香りが落ちるので要注意。 突然の雨や風で花がすぐに落ちてしまう植物なので、思い立ったらすぐ加工しましょう。

⑥キンモクセイの花言葉

キンモクセイの花言葉は、以下のようなものがあります。 ①謙虚 ②気高い人 ③真実 ④陶酔 ⑤初恋 それぞれの意味や由来をご紹介していきます!

①謙虚


キンモクセイの花ひとつひとつの小ささに由来する花言葉です。 遠くからでも強い香りを感じられるキンモクセイですが、一輪一輪はとっても小さく、控えめ。だから「謙虚」という花言葉がつけられました。

②気高い人

こちらは、キンモクセイがすぐに花を散らせることに由来しています。 咲いたと思ったら、あっというまに散ってしまうキンモクセイ。その潔い姿が気高く品がある、というところからこの花言葉がつけられました。

③真実

この花言葉は少し由来の想像がつきづらいかもしれません。 なにが「真実」なのかというと、それはキンモクセイの本当の花姿のこと。とても強い香りがするので、どんな大輪の花かと思ったら、控えめで小さい花だった……という、想像と真実は異なることからつけられた花言葉です。

④陶酔

酔ってしまいそうなほどのかぐわしい香りに由来します。 まさにキンモクセイは、人をうっとりと酔わせるような香りをしていますよね。

⑤初恋

最後の花言葉は「初恋」です。 花が散った後も記憶に残る香りが、まさに初恋の思い出のようだというところからつけられました。

⑦キンモクセイは鉢植えでも育てられる

魅力いっぱいのキンモクセイを、ご自宅で育ててみたくありませんか? キンモクセイは、苗さえ買ってくれば、ホームセンターで手に入る土と肥料で育てることができます。実は栽培難易度が低く、初心者でも簡単に育てることができるんです。古くからあちこちの家で植えられているポピュラーな木であることを思えば、その丈夫さが想像しやすいのではないでしょうか。 植え方から管理の方法まで、キンモクセイの育て方をご紹介します!

キンモクセイの鉢植え

キンモクセイといえば地植えのイメージがありますよね。 でも実は、鉢植えでも育てられるんです。 「キンモクセイは好きだけど、植えられる場所がないから……」と諦めるのは少し早いですよ!

⑧キンモクセイを植える準備

育て始める時期

春と秋が植え付けに最適な時期です。 春なら4~5月、秋なら10~11月が良いでしょう。 真冬と真夏の時期は避けてください。

用意する鉢

鉢植えの場合、8号以上の大きめなサイズの鉢を用意しましょう。 キンモクセイは樹木ですので、大きく生長します。 小さい鉢だとすぐに植え替えが必要になってしまいます。あらかじめ大きめの鉢で育て始めることが大切。 かといってあまりにも大きすぎると根腐れしてしまうので、数年したら一度は植え替えるつもりで育てましょう。


キンモクセイは酸性の土が好きです。 また、水はけのよさも重要。 鉢植えの場合、赤玉土(小粒)7:腐葉土3の配合でブレンドした土を用いて育てましょう。 赤玉土は水はけをよくし、根腐れを防止します。 腐葉土は有機質でできているので、キンモクセイにたっぷり栄養を与えてくれますよ。 鉢底の3分の1ほどは、鉢底石で埋めます。 地植えなら、有機堆肥をあらかじめ地面によくすき込み、培養土をプラスします。

日当たり

日当たりのよい場所で育てましょう。 日当たりが良ければ大きく生長します。 逆に日当たりが悪いと、花があまり咲かず、葉を落とす場合もあります。 キンモクセイは花の香りが楽しみな樹木ですから、せっかく植えるなら日当たりのよい場所にしましょう。

苗を買ってきて植えるのがオススメ

キンモクセイは挿し木でも増やせるのですが、その場合開花まで何年間かかかってしまいます。 おすすめは苗を買ってきて植え付けること。こちらのほうが早く簡単に育ちます。苗が比較的よく出回る時期は、春と秋です。

⑨キンモクセイの苗を植えよう 鉢植え編

キンモクセイを鉢に植える手順をご紹介します。 まず、用意した鉢の底に鉢底石を敷きます。 その上から上記の項目でご紹介した、配合済みの土を入れてください。これから苗が入るので、鉢の2分の1くらいまでにしておきます。 土を敷いたら苗を入れます。その後、まわりを土で埋めてください。 最後に水やりをして、土が凹んでしまったら、さらにその部分に土を足します。 あとで肥料成分が流れ出さないよう、土は縁のぎりぎりまで入れず、8~9割目くらいまでにしましょう。

⑩キンモクセイの苗を植えよう 地植え編

お次は地植えするときの手順についてご紹介します。 まず、土の項目で記したとおり、苗を植えたい部分の庭の土に有機堆肥と培養土をよくすき込みましょう。このときアルカリ性のもの(石灰等)は使わないでください。おすすめは鶏糞や腐葉土です。必ず日当たりの良い場所を選んでください。 次に、苗を植えるための穴を掘りましょう。 穴を掘ったら、あとは鉢のときと同じ手順です。苗を穴の中に入れ、土で埋め、水やりをします。

⑪キンモクセイの植え付け後の管理

木を植え付けるというと、大がかりな作業のイメージがあったかもしれませんが、苗を買ってくれば案外簡単にできそうだと思っていただけたのではないでしょうか。 では、植え付け後にどんなお世話をしていけばいいか見ていきましょう。

水やり

苗を直接庭の地面に植えた場合、水やりは特に必要ありません。 キンモクセイは木なので、深くまで張った根が地中の水分を吸い上げます。 ですが花つきが気になる場合は、他の植物に水やりをするついでに、キンモクセイにも水をあげてみましょう。 キンモクセイは乾燥すると花つきが悪くなるのです。特に夏場は水を多めにします。逆に、冬の時期は水のあげすぎに注意しましょう。 鉢植えにした場合、土の表面が乾いてきたらたっぷりと水を与えましょう。 やりすぎると根腐れするので注意してください。

肥料

2月下旬から3月に、有機肥料をあげてください。 キンモクセイはどちらかというと寒さに弱い樹木です。寒い時期の終わりに寒肥を与えると、つぎの秋も元気に花を咲かせます。 窒素の多い肥料には注意してください。窒素は、植物の葉を茂らせる成分です。葉の元気が無いなら窒素を多めに与えてもいいのですが、そうでない場合は、葉ばかりが茂って花つきを悪くすることがあります。液体肥料を与える場合のおすすめは、リンの多い商品です。

剪定は必要?

広いスペースがあるなら、特に剪定はしなくても育ちます。キンモクセイは一度大きくなれば、ある程度ほったらかしでもそれなりに花をつけてくれるのです。 ちなみに剪定とは、かんたんに言うと、不要な枝を切ることで形を整えたり、風通しを良くしたりする作業のことをいいます。 キンモクセイが大きくなりすぎた場合や、形が気になる場合に剪定を行ってみましょう。 時期は2~3月頃がおすすめです。あまりやりすぎると、木の体力がなくなり、真冬を越せないので注意します。

剪定を行うときは、どこを切ればいい?


こんもりとした外見に整えたいときは、外側の枝から刈り込んでいきます。 風通しを良くしたい場合や、不要な枝を落とすメンテナンスを行いたい場合は、枝が混み合っている部分から剪定していきましょう。 伸びた枝と枝が重なり合っている場所は、どちらか一方のみを残し、どちらか一方は切ってしまいます。 枯れかけている枝や、真上に伸びている「立ち枝」、下に伸びている「下がり枝」も優先的に切りましょう。 剪定をするとき気をつけたいのは、一気に切るのではなく、何年かかけて少しずつ切っていくことです。いきなりたくさん切ってしまうと、木の体力を奪ってしまいます。控えめに剪定するつもりで行ってください。

⑫キンモクセイの香りを楽しもう

キンモクセイはドライフラワーにできない

キンモクセイはたいへん香りのよい花なので、「今の時期だけではなく、この香りを一年中保存しておけないだろうか?」と考える方もいるのではないでしょうか。 そこでまっさきに思いつく方法がドライフラワーだと思います。 ですが残念ながら、キンモクセイはドライフラワーに不向きです。枯れてもいないのに、花がポロポロ落ちてしまうので、枝ごと取っておくことはできないのです。

乾燥させると香りが落ちる

また、キンモクセイは乾燥させると香りが落ちてしまいます。 ハーブのように乾燥させ、瓶詰めにして保存したらどうか? というアイディアも、残念ながらNG。乾燥したキンモクセイからはびっくりするほど香りが抜け落ちます。

収穫したらすぐに楽しむのが一番

キンモクセイを何かに使いたいのなら、収穫してすぐに楽しみましょう。 たとえば、ケーキやお菓子のトッピングにおすすめです。細かなオレンジの花は見た目にも美しく、鮮やかです。また、たくさんの花を水洗いし、茶葉と混ぜれば、ほのかにキンモクセイが香るお茶を楽しむことができます。 もっとも手軽な方法は、お花をそのまま湯船に散らすこと。キンモクセイの香りがいっぱいに広がり、夢のようなバスタイムでリラックスできます。

キンモクセイを保存したいなら、湿気を保てる方法で

香りの保存に一番有効なのは、水分を保ったまま保存する方法です。 無水エタノールに漬ければ、自分で香水を作れます。 また、砂糖と一緒に煮詰めればキンモクセイのジャムを作ることもできます。

⑬切り花なら2~3日

キンモクセイの花が咲いたら、枝を切りとって室内に飾るのも素敵です。 ですがやはり、キンモクセイの花はあまり長持ちしません。開花したばかりの状態なら2~3日、風ではらはらと花が散り始めた時期なら、ちょっと触るだけで花が落ちてしまいます。室内に置くときは風の当たらない場所にしましょう。 儚いキンモクセイですが、その儚さも合わせて短い美を楽しむのが醍醐味です。

魅力いっぱいのキンモクセイ

いかがでしたか? 咲いたと思ったら駆け足で散ってしまうキンモクセイ。 日本的な儚い美が詰まった、実に風流な樹木です。 香りよし、花を楽しむのもよし、儚さを惜しむのもまたよしなキンモクセイは、今年も秋の訪れを告げてくれます。