ボケの特徴
ボケは平安時代に中国から渡来し、庭木や生垣、切り花として古くから親しまれている春の花です。バラ科ボケ属で、学名はChaenomeles speciosa。原産地は中国南部です。和名でもある「ボケ」とは、瓜に似た実がなることから「木瓜(モケ)」と呼ばれるようになり、これが転訛して「ボケ」と呼ばれるようになりました。漢字では「モケ」と読む「木瓜」と書き「ボケ」と呼びます。別名にカラボケ(唐木瓜)、モケ(毛介)と呼ばれています。花色は美しい紅色、時には緋色と表現されることもあります。そして品種改良によって現在は、白、ピンク、オレンジ色、紅色と白の混色の花色があります。ちなみに花の色が紅色のものをヒボケ(緋木瓜)、白いのをシロボケ(白木瓜)、紅白に混じるのがサラサボケ(更紗木瓜)と呼びます。
甘い香りの実は生薬にもなる
ボケの花の見頃の時期は3月~4月です。また11月~2月に花を咲かせる種類もあり、その時期に花を咲かす種類を「寒咲き」と言います。花は7日~10日で見頃を終えてしまいますが、春に咲く「春咲き」のボケは花が咲いた後、9月~10月にカリンによく似た実をつけます。ボケの花には香りはありませんが、実は甘い芳香があり、むくみを抑えたり、痰をとる生薬として利用されるほか、熟した実は果樹酒にして楽しむ方もいます。ボケの木の実を籠などに盛り、部屋に飾っておくと、甘い香りの芳香剤としても活躍してくれます。
ボケの中国名
ボケは中国で「放春花」とよばれている
中国が原産地であるボケは、中国では「放春花(ホウシュンカ)」という名前で呼ばれます。暖かくなり始めると葉が出るより先に花を咲かせるボケ。葉が出る前に枝につく花はとても神秘的に見えます。咲いた花は明るく鮮やかな紅色をしており、これまでに品種改良されて花の色も増えました。花色の白やピンクも人気ですが、どれにしても明るい春を放っているような色を感じます。そんな特徴のイメージから中国では「放春花」という名前を持っているのです。ボケの中国での名前は、このあとご紹介するボケの花言葉の由来の一つなっています。
ボケの花言葉
「先駆者」「早熟」
和名に「木瓜」という名を持つボケは、中国では「放春花」と名付けられています。この名前は春をいち早くつくり出す花という意味があり、中国でのこの名前が「先駆者」「早熟」という花言葉の由来となりました。春の花として親しまれているボケの花は、和名は「木瓜」、中国では春をいち早くつくり出す花という意味をもつ「放春花」という名で愛されている花です。
「妖精の輝き」「平凡」
ボケの花は「妖精の輝き」「平凡」という花言葉も持ち合わせています。「妖精の輝き」という花言葉の由来は、葉が出る前に枝につく美しい紅色の花が、神秘的に見えることからこのような言葉が付けられているのだとか。そして「平凡」という花言葉の由来は、ボケはとても丈夫な花木であることから、多くの家の垣根に利用されていたことが由来して、「平凡」という花言葉が付いています。「妖精の輝き」と「平凡」とは対照的にも感じる花言葉ですが、ボケの見た目の特徴と、植物学上の特徴からこんな花言葉に象徴されています。
「魔除け」「不老長寿」
ボケの花は5枚の花びらを持つ花ですが、5枚の花弁を持つ花は、5弁花と言って、古来から災いや病気を除ける形とされており、5弁花のボケは「魔除け」という花言葉で象徴されることもあります。また古くからボケの果実をつけたお酒は滋養強壮の効果があるとされ、不老長寿の薬用酒とした飲まれていたことが由来し「不老長寿」という花言葉も持ち合わせています。ちなみにボケの花以外でも、古くから5枚の花弁を持つ5弁花の花は、魔除けのシンボルとされている花が多く、門口や庭の入り口に植えられてきました。花言葉には付けられていませんが、春を代表するウメやサクラ、梅雨に季節に美しく咲くアジサイも5弁花で、魔除けの花木として家の門口の花木として好まれています。
ボケも一緒に歩んだ日本の歴史が由来する花言葉
戦後の日本に勇気と希望を与えた花
平安時代に中国から伝えられたボケは、その後の日本の歴史と共に、春をいち早く知らせる花として日本で親しまれてきました。戦争を知らない私たちも、1945年8月6日に広島へ原爆投下され、広島が焼け野原となった第二次世界大戦の痛ましい出来事は、忘れてはならない日本の歴史です。日本国民が絶望に陥っていた時期です。そんな最中、終戦の翌年の春、まだまだ暗い日本に、美しい紅色の花を咲かせ、人々に生きる勇気と希望を与えたのがこのボケの花だったそうです。
戦後の広島に生き残ったボケの花の花言葉
広島市西区に鎮座する三篠神社(さんじょうじんじゃ)の境内のボケの花木は、原爆投下後、焼け野原となった広島の地で唯一生き残り、現在も毎年春になると花を咲かせます。このボケは広島市で「被爆樹木」として登録され、「平和」の象徴とされています。その歴史が由来し、ボケの花は「命の再生」という花言葉も持ち合わせています。
ボケの花の学名に由来する花言葉
「魅力的な人」という花言葉
ボケは「魅力的な人」という花言葉で象徴されることがあります。この言葉の由来は、ボケの学名である「Chaenomeles speciosa(カエノメレス スペシオーサ)」の「speciosa」という言葉から由来しています。この言葉はギリシャ語で「美しい」とか「華やかな」という言葉を意味し、その意味から「魅力的な人」という言葉が付けられているのです。ちなみに「Chaenomeles」という言葉の意味は「裂けたリンゴ」とか「口を開けたリンゴ」という意味で、ボケの実の形がリンゴの形に見えるからなのだそうですが、日本ではリンゴではなく、瓜の実に見えるというので「木瓜」と書くのです。
漢字が難しい日本の花
果樹がリンゴではなく瓜に見えたから「木瓜(モケ→ボケ)」とは、通常では読みにくい漢字です。しかし和名にすると、当て字のような読みがたい名前の花がいくつもあります。先週ご紹介したタンポポも、「たんぽぽ」という和名を漢字で書くと「蒲公英」です。梅の花と同じ時期に咲きだすコブシも「辛夷」と書きます。知っていないと花と一致できない漢字ですね。花言葉と一緒に和名に書く難しい漢字を一緒に覚えておくのも、海外のお友達との会話に花を咲かすことができることでしょう。
ボケにまつわる子宝伝説
群馬の冠稲荷のボケは子宝祈願にご利益あり!
花にはその花が誕生した由来となる伝説があったり、その花にまつわる伝説が花言葉の由来となる、古来から伝わるエピソードが何かしらあるものです。ボケはボケが誕生した伝説や花言葉の由来となる伝説も残されていませんが、群馬県の冠稲荷神社境内にあるボケにまつわる伝説が由来となり、この境内のボケは子宝、縁結び、不老長寿にご利益があると参拝者が訪れ、お祭りの日にはこのボケの木の実で作ったボケ酒がふるまわれるそうです。樹齢400年と言われるこの神社の境内のボケにまつわる伝説とはこんな話です。
冠稲荷神社のボケにまつわる伝説
昔、子供に恵まれない夫婦が子に恵まれるようにと毎日お参りをしていたそうな。そんなある日のこと、1人の修験者であった老人が、この夫婦にボケの実をくれたのだと。夫婦でそのボケの実を食べたところ、間もなく子供に恵まれました。夫婦はそのお礼に、境内にボケの木を植えたのだと。その木が現在の冠稲荷神社のボケの木だと伝えられています。こんな伝説が残るボケの木が群馬県の冠稲荷神社にあります。子宝祈願、そして縁結びのご利益を願う方は、この神社を旅のプランに加えてみてはいかがでしょうか。
ボケが咲いた!もう春はそこまで来ています
ボケというと、物忘れしがちな人と関係があるかと思われがちですが、ボケの花と物忘れのボケ(呆け)は、何の謂れもありません。葉が出る前に鮮やかな紅色の花を咲かすボケの花。「先駆者」という花言葉どおり、春の訪れをいち早く知らせてくれる春の花です。庭先や公園の生垣でボケの花を目にしたら、もう春はそこまで来ている証拠!モノトーンの冬の季節もそろそろ終わりを告げ、春の季節の到来です。新しい季節の始まりを花たちと一緒に楽しんでくださいね。
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