鹿児島の開聞岳は初心者でも挑める日本百名山!
開聞岳は、九州の本土最南端の日本百名山に数えられる山です。開聞岳は、標高924mとさほど高くはないため、初心者レベルでも登山しやすい山として知られています。登山ルートはひとつで、山頂には360度のパノラマの眺望が待っています。
今回は、そんな開聞岳の登山コースを、細かいコースタイムや所要時間、難易度や距離、登山におすすめの季節や登山装備や服装などの情報とともに、細かくご紹介したいと思います。
登山で目指す開聞岳とは
日本百名山の中でも標高の低い山
登山で目指す開聞岳は、標高1000mに満たない山です。日本百名山の中では、茨城県つくば市に鎮座する筑波山に次ぐ標高の低さですが、新日本百名山や九州百名山に選ばれています。開聞岳は、標高は低いものの、海抜0m近くからの登山となるため、標高差は900m以上です。
開聞岳山頂からは360度のパノラマの展望が楽しめます。天気のいい日には、北側に桜島や池田湖、西側に薩摩半島の最南端の岬、長崎鼻、東側に枕先の白い砂浜、南側に種子島や屋久島などの離島を望むことも可能です。
薩摩富士とも呼ばれる見事な山姿
開聞岳は、海からそびえる山で、その南麓の海底に開聞海底崖と呼ばれる崖などが存在します。山麓の北東は陸地に面していますが、開聞岳はまるで海に浮かんでいるように見えます。左右対称の側線で、その美しい円錐形の姿から、薩摩富士との異名も持っています。
一見すると、開聞岳は単式火山のように見えますが,玄武岩質の成層火山に、安山岩質の溶岩円頂丘が乗っかる複式火山です。いまからおよそ4400年前から噴火が始まり、9世紀ごろの噴火で現在の姿になったのだとか。
うずまき状の登山道がマップでもわかる
開聞岳山頂までは、うずまき状に登っていきます。登山マップなどを見ると、その道のりが視覚的に見て取ることができます。実際に登山すると、延々とまっすぐに登っていくように錯覚するはず。地図を見ればわかる通り、登山は北からスタートし、道中の植物は、方角によって花の咲き方や芽吹き具合が異なるので、意識して観察すると発見があるかも。
この不思議な感覚、登山マップで確認しながら記録していくのもおもしろいはず。ぜひ地図で確認しながら登山してみましょう。
開聞岳の登山コースの所要時間・難易度・距離とは?
開聞岳登山の所要時間はだいたい5時間半
開聞岳登山の所要時間は、だいたい4時間~6時間です。平均すると5時間半ほどで、登りは3時間ほど、下りは2時間半ほどとなっています。登山計画の目安として、この所要時間を基準に考えてみましょう。
ただし、体力や経験に応じて登山の所要時間はそれぞれ異なります。また、休憩時間は含まれていませんので注意してください。あくまでも、所要時間を計算する上での参考程度に考えるようにしましょう。
開聞岳は難易度が低いわけではない
開聞岳には登山コースがひとつしかありません。標高は低い山ですが、登山口の標高が低いことから、900mもの標高差があるため、登山の難易度は決して低くはありません。岩場などもあり、危険個所もあります。
しかし、地域の小学生の子供が遠足で登る山でもあるため、難易度は高いわけではありません。初心者レベルの方でも、ある程度の登山経験があれば、登山が可能です。登山をはじめたばかりの初心者の方は、体力と相談してから登山に臨みましょう。
開聞岳登山の距離はだいたい8km
登山の歩行距離は、どこからスタートするのかによって微妙に変わってくるもの。開聞岳を登山するにあたって、その拠点となるかいもん山麓ふれあい公園から山頂を往復する距離は、およそ8kmほどとなっています。
また、最寄り駅となる開聞駅から距離を測ると、だいたい往復11kmとなります。ただし、列車の本数が少ないため、JR開聞駅よりも、JR指宿駅からバスで登山口へとアクセスする方が便利です。事前チェックを忘れずに。
開聞岳の登山コースはこれ!
登山口手前にはかいもん山麓ふれあい公園や駐車場なども
開聞岳の登山コースはひとつです。標高が低い山とはいえ、日本百名山に数えられる火山ですので、気を引き締めて登山を目指しましょう。開聞岳の登山口は、かいもん山麓ふれあい公園内にあります。
こちらの公園までは、JR開聞駅から徒歩20分ほど、バスの場合は開門登山口バス停から15分ほどです。JR指宿駅前からバスが通っていますので、バスを利用する際は便利。アクセス方法はいろいろありますので、登山計画とともにチェックしましょう。ここが開聞岳登山の起終点となります。
かいもん山麓ふれあい公園ではキャンプもOK
かいもん山麓ふれあい公園には、ログハウスやキャンプ場もあります。キャンプ場はオートキャンプ場とフリーキャンプ場があり、コインランドリーやシャワーもあります。
また、こちらの公園には、パターゴルフ場やゴーカートなど、家族連れや仲間と楽しめる施設も。そばうちの体験ができるそばの館・皆楽来もあるので、開聞岳の登山の後、その雄姿を眺めながらキャンプで過ごしたいという方はぜひ利用を考えてみて。
かいもん山麓ふれあい公園
- 住所〒891-0603
鹿児島県指宿市開聞十町2626 - 電話番号0993-32-5566
- アクセスJR開聞駅から徒歩20分
- 公式サイトURLhttps://www.ibusuki.or.jp/stay/camp/kaimoncamp/
登山口は開聞岳2合目に【コースタイム:10~15分】
かいもん山麓ふれあい公園内に駐車場や中央管理棟があります。この中央管理棟にはトイレや売店があり、登山証明書やキャラクターグッズなども販売されています。駐車場があるのもこちらです。
駐車場から10分ほどで登山口となります。登山口は開聞岳2合目です。登山口付近にもトイレがあります。なお、公園内にトイレは数か所ありますが、ここのトイレを最後に、登山中にトイレはなし。念のため、トイレに立ち寄って登山準備を。
2月下旬ごろから桜の季節がはじまる
かいもん山麓ふれあい公園内では、2月下旬ごろから桜の季節がはじまります。まずカワツザクラが見頃を迎え、カンザクラ、ヤマザクラ、ソメイヨシノ、ヤエザクラと、さまざまな桜が咲き競います。この時期の登山では、春色の心がウキウキする登山が楽しめるはずです。
開聞岳登山口付近の桜は、4月ごろまで咲き続けます。この季節に開聞岳登山を目指す方は、桜の美しい姿を満喫できますので、お花見のひとときも計算に入れて、登山計画を立てたいです。
2.5合目に休憩所がある【コースタイム:15分】
本格的な開聞岳の登山道を歩きはじめて15分ほどで、2.5合目に到着します。ここにはベンチがあり、休憩が取れる場所です。小休止を取ってから先へ進みましょう。初夏の季節の登山では、キランソウの小さな花と出会えるかもしれないとのこと。5月ごろの登山では気にしてみましょう。
なお、ここは、開門山麓自然公園からの遊歩道と合流地点となっています。登山道の道標がありますが、間違えないように注意したいです。
5合目から視界が広がっていく【コースタイム:45分】
うっそうとした登山道を高度を上げて登っていくと、4合目あたりで徐々に様相を変えていきます。岩が増え、砂礫の登山道になり、足元が滑りやすくなってきます。5合目に到着すると、視界が広がり、展望ポイントが眼前に。ベンチが置かれ、休憩を取るのにちょうどいい場所となります。
5合目の展望ポイントからは池田湖や桜島、佐多岬などの眺望が楽しめます。気持ちのいい小休止を取って、山頂を目指しましょう。
7合目で絶景が待っている【コースタイム:35分】
5合目を過ぎると、さらに登山道の登りが厳しくなってきます。6合目のあたりから、登山道上にも大きな岩が現れ、体を使って岩を越えていくことに。7合目を過ぎると、いよいよ展望が開けてきます。美しい海が眼前に広がり、天気のいい日には種子島や屋久島までの眺望も。
7合目を越えると岩場が続きますので、ここで休憩を取るのもよし。東シナ海に浮かぶ島々の遠望を楽しみましょう。
影開聞岳を拝めるチャンスはここに
7合目の展望ポイントは、影開聞岳が見られるポイントとしても有名です。これは、太陽が登山道の背後から照らすタイミングで、大隈半島に開聞岳の影がきれいに映し出されるというもの。登りの場合、日の出から2時間ほどがひとつのタイミングで、下山の場合も夕陽に映し出される影開聞岳を目にする方もいらっしゃいます。
天気にも左右されることですが、もしも条件が合ったらぜひ影に映し出される開聞岳の姿もぜひ確認したいものです。
9合目で長いはしごが【コースタイム:35分】
7合目から先には仙人洞と呼ばれる洞穴が現れます。9世紀ごろに開聞岳が噴火した際の火口部で、修行僧たちの修行に使われた場所です。穴に落ちないように登山時は十分に気を付けましょう。8合目以降も開聞岳の登山道は険しくなっていきます。
9合目を過ぎると岩を乗り越えるための長いはしごが。いささか怖いものの、用心して登れば問題なし。ここから山頂までの距離がおよそ400m、時間にして20分ほど。山頂はもうすぐです。
海が臨める開聞岳ならではの山頂の景色【コースタイム:20分】
はしごを越え、しばらくすると、御嶽神社の赤い鳥居と石祠が見えてきます。神社の横を通り過ぎると、裏手が開聞岳の頂上です。
開聞岳の山頂は大きな岩がゴロゴロとしています。山頂から海が眺められるのは開聞岳ならでは。九州一大きな池田湖や、池田湖の向こうの霧島連山など、360度のパノラマを存分に楽しみながら、海と山の景色を独り占めしましょう。天気がいい日には、屋久島の宮之浦岳まで見えます。
開聞岳登山の下山時に注意したいこととは?
開聞岳登山の下山の所要時間はだいたい2時間半です。登りをそのままピストンで戻ることになります。山頂からしばらくは足場が悪いため、足元に注意し、吹き上げてくる風に注意しながら下山しましょう。帽子などを飛ばされることもしばしば。子供も登山する山とはいえ、用心するに越したことはありません。
9合目のはしごは慎重に下りましょう。はしごを使っている人がいる場合は、はしごを使い終わるのを待ってから下りるように心がけたいです。
開聞岳登山の服装や装備について
開聞岳登山の季節と過ごし方
開聞岳の一帯は春の桜が美しいことで知られています。花見と登山を合わせた登山もおすすめです。桜が終わってしばらくすると、南九州固有種の「カイモンサツキ」が6月ごろに咲きはじめます。
また、秋になると、ハゼが見事に紅葉します。紅葉時期の登山は、真夏の炎天下の登山よりも過ごしやすく、こちらもおすすめです。紅葉を過ぎ、冬になると雪がちらつく日もあります。岩場やはしごが滑りやすくなりますので気をつけたいです。
開聞岳登山の服装は日焼け・暑さ対策を中心に
開聞岳のある鹿児島県指宿市は、1月の最低平均気温が8.6度、7月8月の平均最高気温は30度を超えるなど、温暖な気候です。冬の登山では雪がちらつくこともありますが、開聞岳登山では寒さ対策よりも日焼けや暑さの対策を中心に考えたほうがベター。
登山の服装では、インナーは速乾性の高い素材のシャツで、冬以外は半そででも問題なし。海から吹く風が強いため、ウインドブレーカーなど、アウターの服装を忘れずに持参しましょう。日焼け対策として、夏場の服装では帽子を忘れずに。
開聞岳登山で持っていきたい装備は
開聞岳登山では、登山の基本的な装備を持ってきましょう。靴はもちろん登山靴。雨量の多いエリアですので、レインウエアは必須。必ず持ち物リストに入れておきましょう。トレッキングポールはあると便利。下山時などに役立ちます。
また、日焼け対策も必要です。日焼け止めなどの持ち物も忘れずに。さらに、夏の天気のいい日の開聞岳登山では虫よけなども持ち物に加えたいです。開聞岳はハチやアブが出ることで知られています。
開聞岳の登山後に立ち寄りたい温泉
レジャーセンターかいもん【川尻温泉・開門温泉保健保養館】
開聞岳から最も近い温泉がこちらです。地図上では川尻温泉と記されることもある温泉で、温泉のほかにプールなども併設されています。施設内は昔懐かしの雰囲気たっぷりで、一般浴槽のほか、ミストサウナ、ジェットバス、寝湯など、さまざまな施設あり。泉質は塩化物泉で、鉄分を多く含み、湯は茶色。神経痛や筋肉痛などに効能が期待できそう。
開聞岳より徒歩1時間、車で7分ほどとなっています。開聞岳の美しい円錐形が見える川尻海岸からの展望もチェックして。
レジャーセンターかいもん
- 住所〒891-0602
鹿児島県指宿市開聞川尻5401-6 - 電話番号0993-32-5584
- アクセスレジャーセンターかいもん前停留所から徒歩1分
- 公式サイトURLhttps://www.ibusuki.or.jp/spa/public/leisure/
開聞温泉
開聞岳から長崎鼻方面へと進んだところにある開聞温泉。地元の人たちが集う懐かしい印象の温泉で、泉質は塩化物泉で、胃腸、キズ、汗疹などに効能が期待できると評判です。開聞岳登山の後、薩摩半島の最南端の長崎鼻方面まで足を伸ばそうという方におすすめ。このあたりから眺める開聞岳は撮影必須。
開聞温泉
- 住所〒891-0513
鹿児島県指宿市山川岡児ケ水1446 - 電話番号0993-35-0457
- アクセス山川駅からバスで25分開聞岳より車で8分ほど
九州を代表する開聞岳の登山へいざ行かん
九州を代表する日本百名山の一つ、開聞岳。標高は低く、初心者レベルであっても、しっかりとした装備を準備すれば、さほど無理なく登山できる山です。山頂から海や山のはるかな景色を360度楽しめ、忘れがたい登山経験を積むことができるはずです。
地図で見ればわかるように、うず巻き状に登山する非常に変わった山、開聞岳。遠望を楽しむのもしかりですが、ぜひ登山で目指してみませんか。
もっと九州の登山が気になる方はこちらもチェック!
地図を開けば一目瞭然、九州には魅力的な山が点在します。もっとさまざまな山について知りたいという方、こちらの記事を参考にしてみてください。九州の登山に関する細かい内容となっています。
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