高野山登山について
高野山に登山するとは
高野山登山ガイドや初心者が日帰りできるコースの紹介する前に、高野山の場所や高野山と弘法大師空海の関係どを説明しましょう。唐から帰朝した空海は、まず初めに京都に東寺を建立し真言密教の布教を始めました。その後、時の帝に願い出て山上の密教拠点として山上伽藍を開いたのが高野の地となります。
高野山の不思議
一説によれば空海が唐から帰国する前に「密教を開く土地を」と願い、日本に向け投げたと言われる「仏教の法具である独鈷所」を高野山山頂付近で発見しました。そのような不思議な因縁から、高野山を密教布教の場所と決め開山したと伝わっています。
その後空海は高野山を開山するにあたって、この山の主であった「狩場明神」に山を開く許しを得たと言われています。一説には山中で二匹の山犬を連れた狩場明神に出会い許しを得たと伝わっています。詳細な地図も無い古代に、標高の高いこの山に仏教寺院を開いたのです。
高野山は道場を開く最高の場所
高野山を囲んだ山々の様子は、八葉の「蓮の華」に見立てる事が出来ます。その事が仏の教え「密教の教え」を開く場所として、まさにうってつけの場所でした。山の上は地下水は出ないとされていますが、不思議な事に地下水が出た為、高野山に多くの寺を建立することが出来ました。
2004年には世界遺産に登録され、年間に多くの人々が高野山参拝にこの山に登山してきます。地図を片手に山登りの装備をした人達や、様々な格好をした大勢の外国人ツアー登山客なども訪れて山上は賑わっています。
高野山登山のスタートは慈尊院
真言密教の山上伽藍がある高野山へのアクセスは、慈尊院の奥の石段を上がった場所にある丹生官省符神社からです。この神社の横に「町石道」があり、簡単に初心者でも日帰り可能なトレッキングコースのスタート地点となっています。
母の身を案じた空海が、月に九度高野山から慈尊院に通った事から九度山と名付けられました。そして高野山から山を下って降りてきた道が「町石道」です、秋の時期になれば周りを紅葉が美しい難易度の低いハイキング道です。
初心者も日帰り登山が可能で難易度も少ない
この登山道は初心者でも日帰りでき、ハイキングの装備で聖地に登ることができる登山の難易度が低い山です。現在の道標は石造ですが、空海の当時は卒塔婆が使われていました。現在の石標は鎌倉時代からで、朽ちた木製の卒塔婆が石製に作り替えられたのです。
高野山登山の注意点
空海が辿ったこの道の距離は20.5kmに及び、高野山の表参道で「高野山町石道」と呼ばれています。この道へのアクセスは、南海電車の九度山駅から慈尊院までバスまたはウォーキングで、そこから頂上の高野山まで日帰りでトレッキングできます。
マイカーで来て慈尊院の駐車場に車を置き、トレッキングが手軽に出来る為、初心者でも簡単にアクセス出来ます。最近では高野山山登りのツアーが企画され、様々な格好のハイキング客を見かけるようになりました。
登山の後の下山コース
高野山からの下山は「山上のケーブルカーの駅」である極楽橋駅に向かい、南海電車に乗り大阪南海難波駅に帰るコースがあります。または高野山から紅葉を眺めながら、町石道を下山するコースもありますが冬になれば雪が深く町石道は通行できません。
女人高野の由来と信仰
高野口町九度山の麓の「慈尊院」は弘法大師空海が、高野山開創時に表参道となる地に伽藍を創建しました。高野山の庶務を行う事務所(政所)を置き高野山の宿所として活用しました。冬の時期は雪が多く山登りが困難なため、避寒修行の場所として使われてきました。
慈尊院の本尊は平安時代の作と言われ、世界遺産に登録された「弥勒菩薩座像」です。この「弥勒菩薩座像」は20年に一度、像を安置した堂の屋根の葺き替えが行われ開扉されるため、一般の人々も目にすることができます。
高野山登山「町石道のコース」の概要
①登山のスタート地点は慈尊院
慈尊院の奥にある石段を登り切った場所の、丹生官省符神社(にうかんしょうふじんじゃ)の右側に180番の町石があり、高野山登山のスタート地点です。スタート地点の神社から、ゴールの1番町石を目指して登山の開始です。
町石の番号を辿るため現在の位置が確認でき、ペース配分しながらトレッキングできます。標高が高くなるほど町石の番号は小さくなるため、登山の初心者でも容易にゴールが近くなる事がわかり疲れた体に自然と力が湧いてきます。
②高野山登山「九度山展望台・目印は166番の町石」
180番の町石柱を出発して初めてのポイントは、166番町石付近のにある九度山の柿畑を抜けた所の展望台です。ここまでは、慈尊院から距離で1.6km・時間は35分です。ここは九度山や高野山の山々を見る事が出来、秋ともなれば一面紅葉にです。
ここは登山開始してから最初の一息出来る場所です、特に夏場の時期はハイキング初心者にとって一番きつさを感じるところです。そのため夏場は水分補強や暑さ対策などや、登山装備品はしっかり準備しておきましょう。
③高野山登山「雨引山分岐・町石の番号は153番」
スタートしてから1.3km・時間は約25分経過しましたが、雨引山の分岐点を目指し登山を続けて行きます。町石の番号は153番となり、緩やかな山登りの道を歩けば付近は樹影が多く、あたかも登山道を上がっている心境になります。
雨引山の名の由来は、丹生津比売神社のお供え米を作る場所として、養水の保存池としての神田応其池(こうだおうごいけ)が作られました。その池の半島に雨引の神として善女竜王が祀られた事から、雨引山の名がついたとされています。
④高野山登山「雨引山分岐を出て六本杉分岐点」へ
雨引山の分岐点からの歩行時間は約35分・距離にして1.8kmくらい上がってくると、全体の工程4/1ほどの位置である六本杉の分岐に到着します。ここの町石番号は136番で、この場所には大門方面への標識がありますが、見落とさないよう地図などを参考にして登山を続けてください。
⑤高野山登山「六本杉分岐から古峠」
六本杉分岐から大門方向へと、距離にして約1.4km/約25分ほど歩けば町石124番が見えてきます。この場所が古峠です、登山に自信がなく途中でリタイアする場合は、ここから上古沢駅には距離も近いため簡単に降りることもできます。
⑥高野山登山「古峠分岐から二つ鳥居」
古峠からのリタイアせず、大門を目指す山登りに自信がある方は、ここから距離0.4km、時間にして約7~8分ほど進めば、やがて町石の番号120番に到着、地図で確認しましょう。このポイントは二つ鳥居で、空海が建てた丹生明神と高野明神の二つの鳥居です。
石の鳥居となったのは1649年(慶安2年)とされています。なおここから上に向かう町石道は「祈りの聖道」と言われ、周りの木立の伐採も禁止されました。高野山登山の参拝者はこの場所から丹生津比売神社に参拝しました。
⑦高野山登山「二ツ鳥居 から神田地蔵堂」
この二つ鳥居の手前に東屋があって絶好の登山休憩ポイントです、ここで休憩して水分の補給を行いましょう、装備の中に水筒を忘れた方は自販機があります。二つ鳥居からの歩行時間は約25分。距離は1.3kmをウォーキングすれば、町石107番付近にある「神田地蔵堂(こうだじぞうどう)」に着きます。
この地蔵堂から50mほど下った場所でトイレ休憩が出来、絶好の休憩地点です。この地蔵堂は遠く平安・鎌倉の時代に高野参詣の人々の休憩場として存在していたとされています。そしてこのお堂には弘法大師・子安地蔵・応其上人も安置されました。
⑧高野山登山「町石100番から88番の笠木峠を過ぎて矢立峠へ」
神田地蔵堂を出発し紀伊高原ゴルフ場の横を通れば100番の町石を通過します。やがて道は緩やかな登り道となり2.4km凡そ40分ほど歩けば町石88番の笠木峠に到着します。この笠木峠から、次の目標の矢立峠に向かいウォーキングを続けて行きます。
林の中の道を、ウォーキングしていくとやがて70番の町石があり、しばらく地図を手に歩けば、道は開け遊歩道のようなコースに代わります。笠木峠から距離2.7km・歩行時間約45分の末に辿り着いた先の車道がある場所が矢立峠で、ここで装備を下ろして休憩しましょう。
⑨高野山登山「矢立峠から矢立茶屋の横を通り大門方面」
この矢立の町石の番号は60番で、ここの矢立交差点に矢立茶屋が建っており、矢立やきもちを頂き休憩ができます。トイレも自販機もあって休憩に良いポイント。ここから大門までの山道はトイレがない道が続いており、そんな山道をウォーキングしていきます。
残りは全行程の3/1、距離は5.8km、約1時間50分~2時間ほどあるので、しっかり水分補給を行い大門に向けてウォーキングしましょう。矢立茶屋の手前を山の方に入り、「袈裟掛石」や「押上石」という名物の町石道を眺めながら通過します。
⑩「40番町石から国道480号線を横断大門」へ
その後40番町石付近に来たら国道480号線を横断し歩いていきます。さらに「四里石」や「鏡石」などを見ながら通過していくと、町石の番号は小さくなりカウントダウンが始まります。その後9番の町石を過ぎた後に、最後の登り坂を登りきると目の前に高野山大門が現れます。
⑪高野山登山ゴール「 大門から町石1番」
大門をくぐると、そこは高野山に到着で、ここにでトイレ休憩しましょう。目の前にはいろんな寺院や駐車場や高野山の街並みが広がっています。左手は町石が110mごとに続き、しばらく歩くと1番石のある高野山の壇上伽藍・根本大塔が見えてきます。
この根本大塔の場所が、高野山町石道のゴール地点です。高野山の壇上伽藍を見物した後は、町内のお寺をハイキングしながら下山コースに向かいます。高野山町内散策を終えれば、日帰り高野山登山は終わりとなります。
高野山登山「散策!大門~金剛峯寺~女人堂」
大門を過ぎて高野山の中にあるお寺を眺めながら、町石1番がある壇上伽藍に向かいます。町内の寺院を眺めながら歩いていると、目の前に赤い色に塗られた中門が見えてきます。中門をくぐり境内の中へ、目の前には高野山金堂があります。
この金堂は高野山開山当時に建てられ、平安時代の中ごろから高野山の総本堂ろして重要な役割を果たしてきました。その裏にあるのが「壇上伽藍の根本大塔)です。慈尊院から続いていた町石道の1番石はここに置かれ、この場所が町石道登山のゴール地点です。
高野山「町石道登山・全行程まとめ」
九度山の慈尊院は出てから、山頂の高野山までの登山ポイントを列挙しました。長い登山の全行程を参考にして、安全で快適な高野山登山を行ってくださることをおすすめします。
高野山登山「このルートの注意点・水分補給ポイント」
夏場のみでなく冬の季節でも高野山登山には、水分補給が重要なポイントです。下記に水分補給が可能なポイントを参考までに列挙します。街中を歩くのと違い、高野山には自由に給水できる設備がありません。十分に気を付けて登山する事をおすすめします。
高野山町石道水分補給ポイント
- 高野山町石道の全行程約20.5kmのトレッキングコースですが、水分補給ポンとは少ないったため補給ポイントを紹介します。特に②~③の区間および③~④の区間は距離があるので注意が必要です。
- ①九度山駅(自販機)
- ②九度山駅~慈尊院までの道中
- ③矢立(自販機)
- ④高野山大門から先(コンビニ)
高野山からの下山ルート
金剛峯寺を出て目的の極楽橋駅まで向かいます。途中には熊野古道の小辺路があります、その先にある千手院橋交差点から、不動坂の入口の辺りにある女人堂を目指し歩きます。この途中に3代将軍の徳川家光の建立した徳川家霊台があります。この徳川家霊台には徳川家康と秀忠の霊が鎮められており、この霊台の前をとおり女人堂に到着します。
高野山下山ポイント
- ①高野山町内のりんかんバス
- ②高野山駅(ケーブルカー)
- ③極楽橋駅(ケーブルカー)
- ④南海高野線極楽橋駅(南海高野線)
京大阪道「不動坂」を下り極楽橋駅へ
女人堂を出て京大阪道の「不動坂)を下って極楽橋駅へと向かいます。ケーブルの下をくぐって極楽橋駅に到着します。ここから九度山駅まで南海電車で向かい、車で来た方は駐車場に駐車したマイカーで帰宅して日帰り登山の終了です。帰りには付近にある温泉で汗を流して下山もおすすめです。温泉は宿坊の複智院や、金剛峯寺から車で15分の場所にあります。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。高野山町石道は全体的に整備された道の為、ハイキングもトレッキングにも快適です。また秋ともなれば、道中は紅葉に包まれており、全山が紅葉に染まった眺めは、登山に疲れた気分を和ましてくれます。地図を片手に、装備をリュックに詰めて、足取りも軽く出かけましょう。疲れたら山上の宿坊にある温泉で体を癒しましょう。
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