ツバキの特徴
ツバキ科ツバキ属の常緑樹
古くから人々に親しまれてきた日本を代表する花の1つであるツバキは、ツバキ科ツバキ属の常緑樹です。学名はCamellia japonicaと表記します。
原産地は日本をはじめ台湾や朝鮮半島の南部です。「日本書紀」などに登場するほど古くから愛されてきたツバキの和の名前は「椿」と書きます。
「木」へんに「春」と書くように、かつてはサクラより春を代表する花として、その美しさを味わい感動されており、招福、長寿、吉兆の花と考えられていました。
英語の名前は「camellia(カメリア)」
ツバキの英語の名前は学名の中に表記されている属名にあたる「camellia(カメリア)」です。学名というのは国際植物命名規約に基づき、全世界に共有するその植物の名前のことです。属名と種小名の二名法に従ってギリシャ語で表記されています。
ツバキの場合はそれが英語の名前にもなっている「属名」というのは、植物の特徴や性質を表す語で、通常はその植物の名前の由来となる語で記載されています。「種小名」は「属名」を修飾する語で記載されています。
ツバキの場合、属名の「camellia」とは、東洋の植物調査をした植物学者のその功績を讃えて、彼の名前から命名した名前。小種名の「japonica(ヤポニカ)」は「日本の」という意味です。
艶のある肉厚の葉と鮮やかな花が特徴
ツバキの花は赤、白、ピンク、そして園芸種の中には混色もあります。黄色花を咲かす珍しい種類もあり珍賞されています。開花時期は12月から翌年の4月頃です。
成長すると樹高が15mの高さになる生命力を持ち合わせています。艶のある肉厚の葉を持ち上品な花との対比に気品があり、とても美しいと海外でも高く評価されています。
ツバキが西洋に伝わったのは18世紀
ツバキが西洋に伝わったのは18世紀頃で、その端正な美しさに「日本のバラ」と賞賛されました。フランスの恋愛小説「椿姫」では、ツバキの美しさが小説のあらすじのモチーフとなり、19世紀の西洋(ヨーロッパ)の女性の間で話題となって、女性たちの間では胸にツバキの花をつけるのが大流行しました。
そしてこの時代に日本の固有種であるヤブツバキやユキツバキをもとに、西洋でたくさんの園芸品種が誕生したのでした。
ツバキの花言葉
「控えめなすばらしさ」「完全な愛」
ツバキを代表する花言葉は「控えめなすばらしさ」「完全な愛」という言葉です。この花言葉の由来は、ツバキの花はあでやかで、とても美しいのに香りがしないことに由来しているという説があります。
「完全な愛」という花言葉の由来は
つばきを代表する「完全な愛」という花言葉は、フランスの小説家デュマ・フィス作の恋愛小説「椿姫」から由来する言葉だと言われています。
ツバキの花を愛した高級娼婦が、純粋な心を持つ青年との出会いにより、真実の愛を見つける内容のこの小説の話は、美しい完全なる愛のシンボルだと言われています。そんなツバキにまつわる小説が由来している花言葉です。
赤と白いツバキの花言葉
赤いツバキの花言葉は「気取らない魅力」「控えめな美徳」
ツバキは花の色別にも花言葉があります。あでやかな花色ではありますが、赤いツバキの花言葉は「気取らない魅力」「控えめな美徳」という言葉でイメージされています。
赤いツバキの花言葉は、あでやかな色でありながらも、花には香りがなく控えめに咲いていることが由来する花言葉だという説と、バラほど華麗ではないけれど、上品な華やかさと品格を感じるという見た目の印象から付けられた言葉だという説があります。どちらにせよ謙遜な美徳を讃える言葉です。
白いツバキの花言葉は「理想の愛」「誇り」「美人長寿」
白いツバキの花言葉は「理想の愛」「誇り」「美人長寿」という言葉です。19世紀、西洋(ヨーロッパ)では恋愛小説「椿姫」のブームによって、社交界の女性はみな競ってツバキを胸に飾ったそうです。
白いツバキの花言葉「理想の愛」と「誇り」は、小説の「椿姫」の影響を受けた花言葉であると同時に、その気品と美しさを讃え、最高の愛らしさをイメージする言葉が白いツバキの花言葉となっています。
白いツバキは、花びらが清らかで、そしてツバキには匂いがないことで純粋な理想の愛情、そして曇りのない凛とした純粋さが「誇り」という言葉で象徴されているとも言われます。
白いツバキの花言葉「美人長寿」に由来する伝説
密かに白いツバキの花言葉には「美人長寿」という言葉もあります。これは日本の伝説上に登場する八百比丘尼(やおびくに)という尼僧の話に由来する言葉です。
人魚の肉など特別なものを食べたことで不老長寿を獲得した八百比丘尼は、誰よりも綺麗な白い肌を持ち、若々しい美しさを保ちながら800歳まで生きたという伝説があります。白い花を咲かすツバキの小枝を持ち全国を旅し、ゆく先々でツバキの苗を植えたのだと。
そしてそのツバキが生い茂る森は聖域とされてという伝説です。この伝説が由来し、白いツバキには「美人長寿」という花言葉があります。
ピンクのツバキの花言葉は「控えめな愛」
ピンクのツバキの花言葉は「控えめな愛」という花言葉です。ただピンクのツバキの花言葉の由来については、明白な根拠はわかりません。
19世紀に西洋でたくさんの園芸品種が誕生したツバキ。次から次へと新しい種類が生まれる中で、見た目の印象とピンクという色のイメージから単純に付けられた花言葉であるという説がありますが、残念ながらこの言葉の理由や根拠は乏しいです。ただ「控えめな愛」という言葉がピンクのツバキの花言葉として受け入れられています。
ツバキの怖い花言葉と伝承
「不吉」「短命な美」
ツバキは花が咲き終わると、花びらが散ることなく、花の首がそのままポトリと落ちてしまいます。咲いていた花の姿のまま散った様子も絵になる光景ですが、首の部分がポトッと落ちるため、縁起が悪いとされ「不吉」「短命の美」という、ちょっと怖い花言葉でもイメージされています。
首がポトッと落ちる不吉さを感じるツバキの散り際の特徴から「縁起の悪い花」に捉われているツバキは、通常は贈り物には使わない花であるとも言われていますが、特に花の少なくなる冬に花を咲かせることから、茶花の中では「茶花の女王」として愛されています。
富山県のツバキの伝わる怖い話
富山県氷見市には、樹齢500年の県の天然記念物に指定された「老谷(おいだに)のツバキ」というツバキの樹があります。このツバキには、ある女性の怨念が宿っているという怖い話が伝承されているのです。その怖い話とはこんな話です。
「老谷のツバキ」にまつわる怖い話とは
夫が無実の罪で殺されてしまったその妻と子供は、悲しみのあまりに絶望して、夫の後を追い死んでしまいました。妻と子供の2人は小山に埋められ、墓標の代わりにツバキの樹がその場に植えられたのだとか。そのツバキは途中で3本に分かれ、夫が捕らえられた時の捕具にそっくりな形に成長しました。
村人の供養によって美しい木になったツバキ
幹や枝はのたうつようにねじれ、赤い花はそれはそれはたくさん咲き乱れて、まるで血が滴るように見えたのでした。村人は無念の死を遂げた親子の怨念だと怖がり、供養すると、なんと真っ赤な血のように見えた花の数は徐々に減って、美しいツバキの樹なったという話です。
こんな怖い昔話のあるそのツバキは、現在は富山県の指定天然記念物とされて大切に見守られています。この伝承にまつわる花言葉はありませんが、こんな昔話が伝えられるツバキが富山県に息づいています。
花言葉を知ってツバキを観賞してみよう
花ごと散った様も絵になると言われるツバキ。首からポトッと散り落ちることで贈り物には使わない花とも言われますが、ツバキの美しさは、女性の美しさを表し、ツバキを贈ることは「その美しさはあなただけに備わった魅力」とも昔の人は言っていたそうです。
上品な美しい花でありながら香りがないなく、控えめに咲くツバキの花姿を讃えて、ツバキは「控えめなすばらしさ」という花言葉で賞されています。ツバキの花言葉を知ってツバキの花をとくと観賞してみてください。
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