キンセンカの特徴
キク科キンセンカ属の1年草
南ヨーロッパが原産地のキンセンカは、キク科キンセンカ属の1年草です。学名はCalendula officinalisと表記します。出回る時期は10月~5月ですが、本来の開花時期は12月~5月ごろに明るいオレンジや黄色の花が咲きます。
性質が強く丈夫で育てやすいことから、花壇や寄せ植えなどに広く利用され、重宝されている草花です。
学名のCalendula officinalisの意味
学名Calendula officinalisの「calendula(カレンデュラ)」とは、ギリシャ語で「月の初めの日」「1ヵ月間」「暦」という意味を示します。
この花の花期が長いことが由来した言葉であるという説と、この花が太陽の出入りと共に開閉するから「暦」を意味するラテン語に由来するという説があります。ちなみに「calendula」とは日付や曜日を表示した「カレンダー」と同じ語源です。
種小名は「薬用の」という意味
種小名の「officinalis(オフィキナリス)」は「薬用の」という意味です。南ヨーロッパが原産国のキンセンカは、ギリシャ・ローマ時代から栽培されていたと言われています。
中世のヨーロッパではキンセンカの葉を野菜に、花びらを料理の色付けに使っていたそうです。現在も薬用や料理の着色料として利用されています。
和名は金盞花
キンセンカの英名は「Pot marigold」とか「Common marigold」です。そして和名は「金盞花」と書きます。キンセンカの和名「金盞花」の意味は、浅いカップ状に咲く黄色の花を金の盞(さかずきのこと)に見立てて「金盞花」と付けられました。
別名では「チョウシュンカ(長春花)」とか「フユシラズ(冬知らず)」とも呼ばれていますが、これは花期が長いこと、花の少なくなる寒い冬の季節に明るく咲く花姿から付けられたキンセンカの別名です。
キンセンカの花言葉に由来するギリシャ神話
太陽の神様に恋した水の精
明るい雰囲気のキンセンカですが、花言葉は意外にも悲しい思いの言葉が付いています。由来はギリシャ神話の中で語られている話にあります。
太陽の神様であったアポロンに恋をした水の精のクリティアの悲しい物語です。アポロンと王女の仲を嫉妬したクリティアは、王様にそのことを告げ口してしまいました。それを知った王様は王女を生き埋めにしてしまうのです。
自分の行いを恥じた水の精のクリティアは、9日間地面に座り続け、やがてキンセンカに姿を変えてしまったという話です。
見つめるうちにキンセンカになった!
1説では、水の精クリティアが、太陽の神様アポロンに叶わぬ恋をして、アポロンの姿を見ることができる空を、ずっと見つめているうちに、太陽のような形の花の姿に変わってしまったという説もあります。
どちらの解釈にしても太陽の神様に叶わぬ恋をした、水の精クリティアの悲しい物語です。
シチリア島に住む少年の話
ギリシャ神話の中には水の精・クリティアの叶わぬ恋の話の他に、イタリアのシチリア島に住む少年が太陽の神様アポロンに恋をした話も物語られています。
アポロンに恋をしてしまった1人の少年。アポロンが姿を見せている昼間は喜びに浸り、姿を隠してしまう夜は寂しくてたまりませんでした。その様子を見ていた雲の神様が、いたずら心を起こしアポロンの姿を暫く雲で隠してしまったのです。
アポロンに会えない寂しさから死んでしまった少年。その少年の姿を見つけたアポロンは彼を憐れに思い、キンセンカの花に変えて、この世に再生させたのだと。今でもキンセンカが太陽に向かって咲くのは、太陽を慕って見つめているからだという1説もギリシャ神話の中で語られています。
キンセンカの花言葉
「別れの悲しみ」「慈愛」
水の精・クリティアなどで知られる悲しい物語にちなみ、キンセンカの花言葉は「別れの悲しみ」「慈愛」という花言葉が付いています。花色も鮮やかで、太陽のように明るい雰囲気の花姿のキンセンカですが、花言葉は意外にも悲しい言葉で印象付けられています。
「失望」「嘆き」
キンセンカの「失望」「嘆き」という花言葉も、ギリシャ神話の中で語られている水の精のクリティアの実のらない恋の結末から、クリティアの心の内を花言葉に託した言葉だと言われます。
また一方で、キリスト教が広まってからのヨーロッパでは、キリスト教を迫害したローマ皇帝のシンボルカラーの黄色を嫌い、黄色い花を否定的にみる傾向があり、鮮やかな黄色い花を咲かすキンセンカをこのような言葉でイメージしたという説もあります。
「静かな思い」「乙女に姿」
キンセンカの花言葉である「静かな思い」と「乙女の心」も、太陽の神様アポロンに恋をしたクリティアの心情にちなんだ言葉です。悲しい恋に終わりましたが、叶わない恋であるとは思いながらもアポロンに恋をした思いを「静かな思い」「乙女の心」と表現した言葉です。
イタリアのシチリア島の少年も、太陽の神様が恋しくてならなかった。彼はただただ空に輝くアポロンの姿をみると嬉しかった。「静かな思い」や「乙女の心」とは、そんな物語にちなんでつけられたキンセンカの花言葉です。
キンセンカは恋愛のお守り
恋愛のお守りとしても人気
花言葉は悲しい言葉で表現されていますが、花の少なくなる寂しい季節を色鮮やかに飾ってくれるキンセンカ。12月から咲き始め、季節が廻り暖かくなった5月の初めごろまで咲いている、その花期の長さにちなみ、変わらぬの愛を象徴するという喜ばしい一面も持ち合わせています。
そんなキンセンカは「恋愛のお守り」として大切にされ、ヨーロッパでは結婚式の花冠の材料の1つに使われて、2人の愛の守護にされています。「幸福な結婚」を約束する花、辛い状況でも愛し続けるそんな意味のある花だと大切にされています。
恋愛のお守りの花を長く咲かせる方法
キンセンカの花をより長く楽しむためには、鉢植えや地植えのものは、咲き終わった花がら摘みをこまめにすることと、花後は節を残してカットすると、脇から新芽が出て初夏まで花を楽しむこともできます。
種まきで簡単に栽培できるキンセンカ
種まきは9月~10月
花壇にたくさん植えると可愛いキンセンカは、寒さに強くガーデニング初心者でもとても育てやすい花です。苗を購入して植え付けるのもよいですが、種まきでも簡単に栽培することができます。
キンセンカの種まきの時期は9月~10月が適期です。日当たりと水はけのよい場所を選んで種まきしてください。鉢植えのものは市販の花草用の培養土を用土に使うと便利です。
キンセンカの種は光が当たり発芽が促進される好光性種子なので、土の上にパラパラと種を蒔いたら、軽く土をかぶせておくだけで構いません。
草丈は20~50cm
キンセンカは生長すると草丈が20cmから大きいものは50cmくらいになるものもあります。丈夫で育てやすい花で、水やりも地植えのものは、よほど乾燥が続かない限り、自然の降雨にまかせておけば大丈夫です。鉢植えのものは用土の表面が乾いた時にたっぷりと水を与えてください。
開花時期は、花が次から次へと咲きますので、咲き終わった後の花がらは摘んでいきましょう。そうするとたくさん花を咲かすことができます。
春先になるとアブラムシなどの害虫が付くことがあります。害虫は市販の殺虫剤などを利用して駆除してください。
花言葉を知ってキンセンカを育ててみよう!
悲しいギリシャ神話の物語にちなんだキンセンカの花言葉は、見た目の花姿とは裏腹に「別れの悲しみ」や「失望」などという言葉で表現されていますが、寒い冬に花を咲かせ、長い間花を楽しめることで「恋愛のお守り」としても大切にされてきました。ガーデニング初心者でも種まきから簡単に育てることができます。花壇や植木鉢にたくさん植えて、冬の花の少なくなる季節に明るい雰囲気の可愛い花を楽しんでみませんか。
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