サンチュってどんな野菜?
サンチュといえば、主に焼肉に巻いて食べるイメージを持つ方が多いでしょう。今では日本でもよく栽培や収穫・販売されていますが、昔はあまり馴染みのない野菜でした。栽培方法や収穫時期などをご覧になる前に、まずはサンチュについてよく知っておきましょう。
サンチュの概要
科名・属名 | キク科・アキノノゲシ属(ラクトゥーカ属) |
学名 | Lactuca sativa var. angustana |
英名 | Asparagus Lettuce |
和名 | 包菜(つつみな)・掻き萵苣(かきちしゃ) |
原産地 | 西アジア・地中海沿岸 |
分類 | 一年草・草本 |
「サンチュ」は韓国名
サンチュとは韓国名で、実は昔から日本に存在する野菜です。日本では「サンチュ」や「包み菜」と呼ばれ、焼肉に巻いて食べるだけではなく、サラダとしてもかかせないものとなっていますね。地域によっては「掻き萵苣(かきちしゃ)」や「茎萵苣(くきちしゃ)」などとも呼ばれます。
サンチュの栄養
サンチュは約95%が水分で、その中にはカルシウムや鉄分が豊富に含まれています。サンチュを食べることで貧血予防や高血圧予防に効果を発揮するので、積極的に食べましょう。またビタミン類も多く含まれているので血液をさらさらにしたり、目の疲れを取ったりする効果が期待できます。
サンチュを栽培する前に
サンチュをうまく栽培するためには、春夏秋冬にあわせて管理場所の気温を調整したり日光の当たり具合を確認したり、環境にあわせて判断することも重要です。サンチュ栽培が初心者の方でも、下記の情報を頭の片隅にいれておくときっと役立ちますよ。
園芸分類・野菜
- 耐寒性・強い
- 耐暑性・やや弱い
- 耐陰性・やや強い
サンチュを栽培するにはなにが必要?
サンチュを栽培するときは、特にガーデニング初心者の方はなにから準備すればよいのか困惑してしまうこともあるでしょう。あらかじめ準備しておくものをまとめておくと心強いですよ。実際に紙にメモしながら確認しましょう。
プランター
サンチュをプランターで栽培する場合は、標準サイズ(65cm×20cm×20cmが目安)か、種まきや苗を植え付けるときに株間をあける必要があるので、標準より少し大きめのものを準備しましょう。プランターを使うメリットは、春夏秋冬の気温にあわせて室内や木陰などのさまざまな場所に移動できることです。玄関先や庭の一角、水やりがいつでもできる場所など、ガーデニング初心者の方から上級者の方まで、育て方にあわせた要望に応えられることもポイントですね。
プランターの種類
プランターには長方形のかたちをした一般的なもののほかに、柵にかけたり天井から吊るしたりできるハンギングバスケットがあります。移動が簡単にできるものを希望する方や初心者の方は一般的なプランターがおすすめですが、ハンギングバスケットを使うとより観賞を楽しめるので、ぜひ使ってみてはいかがでしょうか。初心者の方は設置の仕方をしっかり確認しましょう。
畑の状態を確認
畑でサンチュを育てる場合は、土の状態を事前に確認しておきましょう。サンチュと同じ属性の野菜を育てた土は、1~3年の日数をあけて土の状態をリセットさせましょう。サンチュと同じ属性のものを育てたことのある土で種まき・植え付けをすると、生育が悪くなるときがあるからです。
収穫ハサミもはやめに
収穫ハサミは、基本的にサンチュを栽培して収穫できるようになってから使うので「収穫時期になってから準備しよう」と考える方も多いかもしれません。収穫ハサミは、特に初心者の方には重要な道具なので前もって準備しておくことをおすすめします。すでに自宅にある方は、消毒して収穫時期を待ちしょう。
肥料・薬剤を準備しておく
サンチュ栽培は、日光の当たり具合や水やりの頻度のほかに、肥料も重要なポイントになります。いつでも肥料を与えられるように、あらかじめ準備しておきましょう。またサンチュに害虫がついたり病気にかかってしまったりしたときはすぐに対処しなければなりません。肥料とあわせて薬剤もすぐに使えるように手元に置いておきましょう。
サンチュ栽培に支柱は必要なし
背が高くなるような野菜やつる性植物を育てるときには、上に向かってきれいに育つように支柱が必要になります。サンチュは、野菜自体の高さが約20cm~30cmなので支柱は必要ありません。
サンチュの栽培方法
サンチュは日本の気温に適応している野菜なので非常に育てやすく、ガーデニング初心者にもおすすめです。栽培日数もそれほど長くないことや、春と秋に植えつけ・種まきができることで気軽に始められます。日本の冬でも耐えられるほど耐寒性があるので、地域に関係なく栽培できますよ。
育て方①まずは苗選びから
サンチュを栽培する第一のポイントは、状態のよい苗を選ぶことです。双葉がしっかりついていることや本葉が5枚ほどついていること、葉の色が濃い緑色をしていることなど、ひとつひとつしっかり確認しましょう。葉の裏に病害虫が潜んでいないかも見落とさないようにします。苗はネットや通販でも購入できますが、実際に見て苗選びをすることがおすすめです。
育て方②栽培する場所
サンチュは、日光を好みます。日当たりがよい場所を選びましょう。生育温度は、15度~20度の気温が目安です。25度を超えると、発芽しにくくなったり生育がうまくいかずに枯れてしまったりします。植える場所やプランターの置き場所は、高温になりやすい場所を避けるようにしましょう。
育て方③土づくり
サンチュは酸性が強い土に弱いので、サンチュが好む土を作ります。土を作るのは意外と時間がかかるので、種まきや植え付けをする前に余裕をもって土づくりを終えておきましょう。苦土石灰で畑を耕すことで、サンチュの好む土に近づきます。プランターで栽培する場合は、野菜用の培養土でも育てられますよ。
育て方④植え付け
畑やプランターへの植え付けは、春は4月上旬~5月下旬、秋は9月中旬~10月上旬に行うとよいでしょう。植え付けるときのポイントは、株間を約30cmあけることです。苗を植えるとき、土が乾燥している場合は植え穴に水をたっぷりいれて、水が染み込んでから苗を植え付けましょう。
種まきから栽培を楽しめる
サンチュは苗を植え付けるほかに、種まきから発芽するまでの過程も楽しめる野菜です。種まきも植え付けと同様、株間30cmあけて1か所に3粒程度の点まきにするか、1cm間隔のすじまきにしましょう。発芽するまでの日数は約4日ですが、種まきする深さを浅めにすると発芽するまでの日数が短くなる場合があります。種まきしてから発芽するまではとてもデリケートな状態なので、プランターで育てていつでも観賞できるようにするとよいでしょう。
育て方⑤水やり
サンチュに限らず、野菜を育てる際には水やりはとても重要です。発芽するまでは土が乾燥しないように、こまめに水やりをします。芽がでたら、頻繁に水やりを行う必要なありませんが、気温が高くなる夏や乾燥した火が続くようであれば、普段よりも多く水をあげましょう。プランターで栽培する場合は、表面が乾いたら底から水が出るまでしっかりと与えます。
育て方⑥肥料
種まき・植え付けから約1ヵ月の日数を目安に、肥料を与えましょう。緩効性の化成肥料を3週間おきに追肥するか、液肥を1週間に一度の目安で行います。気温の低い冬の期間や生育が順調な場合は、肥料は少なめにすることがポイントです。
育て方⑦お手入れ
サンチュ栽培が順調に進み徐々に葉がついてきたら、一枚の葉に対して周りに空間を作ってあげましょう。葉が混みあうと、均等に日光が当たらなくなります。また株元がぐらついていないか、常に確認するように心がけましょう。様子次第で、土寄せしてあげると安定します。
育て方⑧害虫
サンチュは害虫がつきにくく、栽培しやすい野菜です。地域によってはまれにアブラムシやハモグリバエがつくことがありますが、滅多にありません。心配でしたら、あらかじめ防虫ネットでサンチュを囲み害虫から守りましょう。もしも害虫がついたときは、はやめに薬剤で駆除します。
育て方⑨病気
サンチュは害虫がつきにくいので簡単に育てられる野菜ですが、残念ながらさまざな病気にかかる可能性があります。日当たりや風通しが悪い場所で栽培したり土の水はけが悪かったりしたときに、株元にカビが生える灰色カビ病や、葉の表面に斑点ができて枯れてしまう軟腐病という病気が特に要注意です。病気になったときは早急に薬剤を使って対処しましょう。
育て方⑩収穫
サンチュの収穫時期は5月~6月か10月~11月で、全体の直径が約30cmになったものか、長さが約20cmになった外葉が収穫可能です。春まきでは60日、秋まきでは60日から100日前後の日数が収穫時期の目安ですが、栽培環境や肥料の量などの栽培方法によっては早まる場合があります。サンチュは収穫の時期が過ぎたあとも、ある程度収穫できる日数が長いこととや、冬~春以降も比較的簡単に育つので、主婦の強い味方ですね。
サンチュ栽培のコツ
サンチュを初めて栽培してみたけど、思ったよりも葉が育たなかったり葉の大きさが小さかったりしたら悲しいですよね。うまく育たないときは、いくつかのポイントを確認してみましょう。
冬越しの仕方
サンチュをうまく栽培する方法として、冬越しの仕方は大きなポイントになります。基本的に耐寒性が強いので寒さに強いですが、北海道や東北地方などのように雪の量が多ければ、葉がつぶれてしまいます。雪から葉を守るために、トンネル栽培をしましょう。トンネル栽培は、春や秋にも害虫から葉や株を守ってくれる効果があります。北海道や東北地方だけではなく、害虫対策を目的としても大活躍するのでおすすめです。
基本的なお手入れがしっかりしよう
サンチュは比較的に簡単に栽培できる野菜ですが、水やりや剪定など、最低限のお手入れをしないと成長しません。すぐに枯れたり害虫がつきやすかったりしたら、肥料の量や気温の変化などを再度確認してみましょう。
室内ではなく屋外で栽培する
サンチュは、日光に当てることで生育がよくなります。室内ではなく、屋外で栽培することですくすくと育ちます。スペースがない方や室内で育てたい方は、日光がよく当たる窓際に置いてあげるか、ときどき屋外に出して日光に当てる日数を数えながら栽培すると、次回サンチュを栽培するときに役立ちますよ。
サンチュを収穫してからすぐ腐る原因・対策方法
サンチュや葉物野菜は正しく保存することで、風味や食感を長い間楽しめます。購入・収穫してから日数がたつと風味や歯ざわりが悪くなるので、そうならないように正しい保存方法をみていきましょう。新鮮な状態でより長い日数保存するには、サンチュを乾燥させないことがポイントです。サンチュ栽培が初心者の方や上級者の方も、ぜひ目を通してみてくださいね。
原因①サンチュが乾燥して水分が抜ける
サンチュは約95%が水分でできているため、乾燥することですぐに腐ってしまいます。また乾燥は、葉の色が茶色くなったり全体にしわがつく原因です。多少の変色した状態だとぎりぎり食べられますが、新鮮なものと比べると劣ってしまうのでなるべく早く消費しましょう。鮮度を保てる日数は約1週間です。
原因②気温が高い場所で放置している
サンチュは耐暑性が比較的に弱く気温が高い場所が苦手で、すぐにしなびれてしまいます。栽培過程でも生育温度は重要ポイントです。常温保存で鮮度が保てる日数は約3日で、基本的に冷蔵庫で保存させる方法が好ましいので、収穫・購入したら正しい方法で保存しましょう。
対策方法
サンチュの水分を保つためには、ポリ袋にいれて水分の蒸発を防ぐことがポイントです。袋に空気がはいらないようにしたら、冷蔵庫で保存します。保存日数は約1週間ですが、気温が環境によって異なります。サンチュの栽培に成功して大量に収穫したあとは腐らせないように、はやめに対策しましょう。
サンチュによく似た野菜
今ではいろいろな野菜が多く出回っていますが、その中でもサンチュに似ている葉物野菜を見かけたことはありませんか?下記でご紹介している野菜は、気温の管理が比較的簡単なので初心者の方でも栽培できます。サンチュと一緒に栽培してみてはいかがでしょうか。
レタス
サンチュはレタスの一種なので二種はよく比較されますが、よく見てみると見た目や収穫時期がまったく違います。サンチュはプランター・ハウス栽培がされているので一年を通して収穫できますが、レタスは種類や栽培場所の気温によって異なりますが、夏から秋の始めが収穫時期です。サンチュは茎が短く、葉の一枚一枚が上に向かってどんどん成長します。一方レタスは、葉が巻き付いて最終的に丸いかたちをしていて、サンチュとレタスはよく見てみると全く違うので見分けることは簡単です。
サニーレタス
サニーレタスはレタスの一種ですが、見た目はレタスよりも葉が濃い緑色で、葉先に向かって紫色になっていることが特徴です。葉レタスやリーフレタスとも呼ばれ、ビタミンやカルシウムが豊富で緑黄色野菜に分類されます。サンチュと同様、栽培する際には種まきから楽しめる初心者の方にもおすすめです。
サラダ菜
サラダ菜は柔らかい葉が特徴で、サンチュと同じように焼肉に巻いて食べたりサラダとして使われたり、また成長過程で葉がまるくならないのでサンチュとよく似ている野菜です。サラダ菜もレタスの仲間ですが、レタスよりも実は栄養価が高く、特に食物繊維はレタスの約1.5倍の量が含まれています。栽培は、肥料や水やりはサンチュと同じようなスケジュールなので、比較的簡単です。
サンチュの栽培は簡単にできる
サンチュは日本の冬の気温でも栽培可能なので、北海道から沖縄まで、幅広い地域で栽培を楽しめます。害虫や病気などもあまりかかりません。葉物があると、食卓に彩りが加わるので常備しておきたいですね。サンチュは種まきから収穫時期まで、初心者の方でも簡単に栽培できるのでぜひ育ててみましょう。
サンチュと一緒に
サンチュの苗選びから栽培方法、収穫時期まで詳しく知ったところで、サンチュを使った簡単で美味しいレシピもみてみませんか?焼肉で巻いて食べるほかに、いろいろな食べ方があります。サンチュと似ているレタスについてもご紹介します。

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