四季なりイチゴとは?
イチゴの栽培条件
イチゴの中には四季なりと一季なりの、2つの種類の性質があり、四季なりイチゴとは育てられるイチゴの中でも時期や温度、日照時間に左右されず花を咲かせ、結実させることができる種類・品種のイチゴのことをいいます。
四季なりイチゴは主に温度を整え、適切な育て方をすることで、食べたい時期に収穫できるように育てることができます。そのため、より生活スタイルに応じて栽培できる、便利な種類のイチゴと言えます。冬越しも容易に可能です。
お店で買えるイチゴとの違い
四季なりイチゴが栽培環境で収穫時期を左右できるのですが、一季なりのイチゴは育つ過程での気温の変動の仕方と日の長さによって花部分ができ、開花し実がなります。そのため、四季なりイチゴとは育て方が異なります。
一季なりイチゴの育て方は、四季なりイチゴとは異なり適期が決まっています。9月下旬ごろに花をつけ、休眠して冬越し、春先に花を咲かせて実がなり、初夏に収穫できます。
育てやすい四季なりイチゴのおすすめ品種3選
四季なりイチゴは、以前は小粒で美味しくないと言われていましたが、現在市場では育てやすく、果実を収穫できる数や味、一粒の大きさが多かったりと魅力的な四季なりイチゴの品種が数多く出回っています。その中でも特におすすめしたいものをご紹介します!
おすすめ品種3選
すずなりいちご→病気に強く、とにかくたくさん実がなる
エンジェルエイト→白い実が取れ、甘味も良い
桃娘→花の色がピンクで、丈夫で実がよくつく
四季なりイチゴの栽培に必要なもの
元気な苗
四季なりイチゴにはタネで増やすこともできるものもありますが、自宅で自分と家族が楽しむ分だけ食べる分を育てるだけであれば、せっかくタネを買っても余らせてしまうことも。一株二株育てたい場合は、ホームセンターや園芸店などで苗を買って、鉢植えするのがいいでしょう。
郊外の大きな敷地のホームセンターに足を伸ばすと、四季なりイチゴも数品種の苗から選ぶことができるので、手軽でおすすめです。また、近年では通販で苗を買うことができます。一つ苗を買えば育てている間に株分けで増やせます。
元気な苗の選び方
販売店での管理状況にもよりますが、以下のポイントをおさえて選ぶと、四季なりイチゴの特徴である通年通しての栽培がしやすいです。
元気な苗の選び方
葉が大きく、濃い緑色である
茎の根元(クラウン)が太く、しっかりしている
根がしっかり育っている(ビニールポット底から根が見える)
土、鉢底石、プランター(鉢)
プランター、もしくは鉢植えで育てる場合、一つのイチゴ苗に対して必要な用土の量は1リットルほどです。また、イチゴは浅く根を張ります。そのため植えたい数と必要な土の量を考えて深くない(根菜用などではない)プランターを用意しましょう。
土は市販の野菜・果物用培養土を使うと簡単です。イチゴ専用の用土なども販売されていますのでよくほぐして使いましょう。また、プランターや鉢の底には鉢底石を敷いて、水はけと通気性を確保することで健康的に育てることができます。
ストロベリーポットが最適です
四季なりイチゴは「ランナー」と呼ばれるつるを使って株分けすることも可能。上の画像のようなストロベリーポットを使って鉢植えすると、株を増やしたい時にランナーをポケットに誘導して育苗・株分けできます。増やし方の詳細は後述します。
株分けをした新しい株の方に次の年は実がよくつきます。四季なりイチゴの栽培を何年か継続して楽しみたい場合は、株分け作業が楽なストロベリーポット活用しましょう。
じょうろ
四季なりイチゴを植え付けた後の水やりや、育てていく過程での水やりに必要です。専用のじょうろを用意することも良いですし、ペットボトルの先につけるじょうろ口(ハスくち)もホームセンターや100円ショップに売っています。
四季なりイチゴを育てるための水やりは、土の表面が乾いたらあげる程度で十分です。鉢植えの場合は、水を上げた時に鉢底から水が流れ出るくらいしっかりあたえるといいでしょう。
シャベル
植える容器に土を入れたり、四季なりイチゴを植え付ける穴を作る、土を平らにならすことなどに使います。柄の長い物ではなく、手で握って使う物で十分。土に肥料を混ぜるときなどにも使えるため、用意できると便利です。
そうは言っても、用具の保管場所が少ないなどの場合は、シャベルの代用品を使うこともおすすめです。ペットボトルを斜めに切ったものや、紙コップなど、シャベルの代用品は意外と身近にあったりしますよ。
肥料
美味しい四季なりイチゴを収穫するためには、しっかり実を育てられるように肥料をあげることが大事です。イチゴ専用の肥料を使うと手軽に栄養を補給させることができるので、おすすめです。肥料を上げるタイミングは、植え付けの時と収穫後にあげるといいでしょう。
植え付けの時は、肥料分が含まれる土が一箇所に固まるのを防ぐため、肥料は土によく混ぜ込んで与えます。植える直前ではなく植え込む数日前にまぜ、肥料を土に馴染ませましょう。
液肥と固形肥料
四季なりイチゴの場合、季節にかかわりなく実をつけることができるため、長い期間じわじわと肥料が効いている状態を作ると健康的に株を育てることができます。そのため、固形の緩効性化成肥料であれば充分効果が得られます。
液肥は栄養分が一度に多く与えられることが利点ですが、水分として土から流れてしまうため、長い間栄養分を持続させることができません。しかし、水分として与えることもできるので、こまめに水をあげられない場合には向いているかもしれません。
あると便利なもの
上記に挙げた用品の他に、寒い時期に四季なりイチゴの株元を寒気から守り、保護する役目を果たすしきわらもあると便利です。しきわらを敷いていると、実がついたときに、土に直接実が触れて腐ることも防げます。
また、四季なりイチゴを植えつけをする際に手が直接触れて汚れることが嫌な方もいると思います。そんな時は使い捨てのビニール手袋をつけ、その上から軍手などをはめると、土や爪の間が土で汚れることを防ぐことができるのでおすすめです。
四季なりイチゴの植え付け
植え付けの仕方
四季なりイチゴを植える際、一番大事にすることは土へ植える深さです。茎の根本(クラウン)は四季なりイチゴの成長点なので、土に埋めてしまうとうまく成長できません。クラウンを土の中に埋めないで植えるようにしましょう。
土のかたまりなどがある場合はよくほぐし、フカフカの土にしてあげると四季なりイチゴは根がよく張らせます。通気性と水はけのよさをよくすることで健康的な状態で育ててあげることができるので、植えたら日当たりの良い場所に置きましょう。
地植えの場合
お庭や畑がある場合は地植えも可能です。その場合は植え付けの2週間前ほどに、土の酸度調整のため石灰と、元肥となる化成肥料をよく混ぜ込みます。四季なりイチゴは酸性の土壌を好むため、苦度石灰のまきすぎに注意しましょう。
畑の場合、排水性を確保するため、高く畝を作ることも有効です。鉢植えの場合と同じで、植え付ける場所は日当たりの良い場所をなるべく選びましょう。
四季なりイチゴのお世話
追肥の時期と方法
追肥は、四季なりイチゴの花の開花時と実を収穫したのちに行います。実をつけることにたくさん栄養を使うため、収穫を続けたい場合は定期的にリン酸が多く含まれた肥料を与えることがとても重要です。
追肥する際、植えている土を掘り返してしまうと根を傷つけてしまうため、土の上に置くだけの置き肥や、余っている土に肥料を混ぜ込み、株元に植えましょう。こまめに与えられるようであれば、液肥もいいでしょう。
脇芽かき
株元から茎ではなく新しい芽が出てくることがあります。もったいないと思われがちですが、栄養を取られないように脇芽を見つけ次第取ってしまいましょう。株の根元をよく見ましょう。(写真の指先あたりに脇芽があります)
実をつけたい時期以外に開花した花は可愛いので鑑賞してもいいと思います。しかし、咲き終わったら実をつける体力を株に残すため、摘み取ったほうがよさそうです。四季なりイチゴの花は通常は白い小さいものですが、ピンク色の品種もあるので、花を鑑賞する楽しみ方も素敵ですね。
人工受粉
屋外で栽培する場合は、虫が花粉を運んでくれます。しかし、花粉を運ぶ虫が少ないマンションのベランダや室内で栽培する四季なりイチゴには、虫がよりつけません。そのため、うまく結実させるために人工受粉をさせるといいでしょう。
方法は、毛筆の筆や綿棒などを使い、開花している全ての花の中心を軽く撫でてあげるだけです。花の中心には雌しべがあり、雌しべに十分花粉がつくことで苺の果実がなります。
気をつけたい虫
暖かい時期は、虫の活動も活発です。アブラムシやハダニ、地を這うなめくじなどに気を付けましょう。実がつく前は葉や茎が被害に遭いやすく、実がなりはじめてからは鳥も四季なりイチゴを狙います。
対策としては、四季なりイチゴの株をよく観察し、虫がついていたら捕殺することが大事です。プランターや植えている箇所を防虫ネットで覆ってしまうと外からの侵入を防ぐことができます。
害虫対策と病気対策は同じ
あまりに葉が重なり合い、混み合っていると虫もつきやすいです。その状態の株は病気にもなりやすい状態でもあります。害虫対策や病気対策には通気性を確保することが一番大事です。
葉や茎があまり重なり合いすぎないよう適度に切ってあげると、通気性を確保することができます。また、雨が多いと灰色カビ病にかかりやすいです。移動できるプランター栽培の場合は、雨の多い時期は雨のかからない場所に移動できると良いでしょう。
四季なりイチゴの収穫
収穫時期の見分け方
四季なりイチゴは、確実に何月が収穫できる時期、と言えないことが特徴です。そのため、収穫時期はよく果実を観察して見極めましょう。開花からおよそ1ヶ月ほどで果実が大きくなりきります。ヘタの近くまでしっかり色づいたら食べ頃です。
近年は白い品種の四季なりイチゴもあるため、色では収穫時期の判別がつかない場合もあります。色に左右されない見分け方としては市販の苺と同じで、ヘタが反り返ったものを選んで収穫すると良いでしょう。
株の増やし方
四季なりイチゴの株の増やし方は、時々株元から伸びてくるランナーという長いつるを使います。この方法で株を増やし、うまく子株ができたら株分けをすると、親と同じ性質の子株で収穫を継続させることができます。
方法は簡単です。マグカップほどの大きさの植木鉢もしくはポリポットを用意し、プランターや親株の近くにおきます。親株からランナーがのびたら、ランナーの先を用意した植木鉢やポリポットにおき、U字に曲げた針金で土に固定。すると数週間で子株の根がしっかり張ります。
ストロベリーポットが活用できます
また、ストロベリーポットに鉢植えした場合は、株が植えられていないポケットにランナーを誘導して針金で固定させるといいでしょう。継続して四季なりイチゴを楽しみたい場合は、最初からストロベリーポットに植えることをおすすめします。
冬越しさせる際のポイント
四季なりイチゴには耐寒性があり、寒い時期にも屋外で冬越しさせることができます。ただ、植物自体が凍ってしまうような氷点下気温の場合は、室内で冬越しさせてあげるといいでしょう。
また、地うえの場合は、しきわらで株元を覆い、苗カバーという苗全体にかぶせることのできる透明の帽子のようなものを使うと移植せずに保温させることができ、便利です。
冬場に四季なりイチゴを収穫するワザ
四季なりイチゴならではの楽しみ方!
四季なりイチゴはその特性から、育て方によっては食べたい時期に実を収穫することができます。例えばクリスマスの時期に自分で育てた四季なりイチゴを収穫し、ケーキ作りに使うということも可能です!
もしクリスマスの時期に四季なりイチゴを収穫したい場合は、移動が楽な、小さめのプランターに苗を植え付ます。そして寒さが出てきたら室内で栽培します。そして11月中旬に開花した花を人工授粉で結実させ、収穫まで見守ります。肥料や水やりの世話はかかさず行いましょう。
楽しく四季なりイチゴを育てて食べよう!
自宅でもイチゴ狩りを楽しんで
いかがでしたか?四季なりイチゴはなんといっても一年に何回も収穫を楽しめるのが最大の楽しみです。育てる楽しみ、眺める楽しみ、食べる楽しみなど、たくさんの楽しさが四季なりイチゴ栽培には詰まっています。
そして、自分で育てたイチゴの美味しさは格別!増やし方や冬越しも技術のいらない簡単なものです。皆さんにも是非ご自宅で育ててもらい、手軽なイチゴ狩りを楽しんでもらえると嬉しいです。
自宅で育てられるフルーツが気になる方はこちらもチェック
今回は四季なりイチゴ栽培を楽しむ方法をご紹介しましたが、他にも自宅で育てられるフルーツはたくさんあります。自宅での美味しいフルーツ収穫に目覚めた方はぜひ下のリンクもみてもらえると、ますます楽しい栽培ライフを送ることができると思います。

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出典:https://unsplash.com/photos/4hQaZN5a1Xc