アボカドとは
アボカドは食材として人気がありますよね。外食でもアボカドを前面に出したメニューを見かけたりします。カフェなどでフォトジェニックな料理によく使われていたり、食べた時の濃厚感に加えて、高い栄養価を持っているから、女性のファンが多くいます。 アボカドは自宅でも栽培できる上、鉢植えで観葉植物としてお部屋に飾れちゃいますよ。緑色のキレイな葉っぱをつけたアボカドをインテリアグリーンにしてみませんか?
基本情報
クスノキ科ワニナシ属になります。 学名は「Persea americana」。 樹高が25mほどまで伸びる常緑高木の果樹です。 原産地は中南米で、熱帯やその周辺で育ちます。日本で流通されるアボカドの多くは原産地から輸入されています。
アボカドの花
アボカドは1つの花に、めしべと、おしべを持った両性花です。結実しやすいと思いきや、複雑な仕組みをしているため簡単ではありません。 先に“めしべ”が受粉できる状態で咲き、一度花が閉じて、次に“おしべ”の花粉が熟した状態で咲くという雌雄異熟花(しゆういじゅくか)です。しかも1本の木に咲く花はいっぺんにこの動きをします。なので1本の木だけでは、自然に受粉し結実することはありません。
自然に受粉するためには
雌雄異熟花のようなややこしいつくりになっているのは、自家受粉はせずに色んな遺伝子のかけ合わせで結実し、多様性のある子孫を残していくためなんですね。 じゃあ自然に受粉するにはどうするのかというと、めしべの花と、おしべの花が咲くタイミングが異なるアボカドを2本用意すればいいわけです。 ただ、風や昆虫などによって花粉が“めしべ”まで到着できなければ受粉し結実することはありません。
人口受粉で結実させる
人の手で簡単に人口受粉させることができます。この方法なら1本の木だけでも結実が可能です。 開花したおしべの花を切り取って冷蔵庫に保存しておきます。めしべの花が開花したら、おしべの花から筆などに花粉をのせて、めしべにつけてあげればOKです。あとは結実を待ちましょう。
アボカドの果実
アボカドといえば、あの濃厚な果実ですよね。「森のバター」の名にふさわしく、まったりとした味わいは多くの料理に合います。 異名の由来は味わいだけではありません。果実の20%〜25%ぐらいは脂肪分です。そんなに脂肪が多いなら食べるのをひかえようかなと思った人、大丈夫です。このうち8割ほどは、不飽和脂肪酸(ふほうわしぼうさん)という良い油分になります。
栄養価
不飽和脂肪酸はサラサラ血液にしてくれるほか、悪玉コレステロールを減少させる働きがあるそうです。 他にも食物繊維や、栄養価としてはビタミン類やミネラルをたっぷり含んでいます。これらは、美肌効果、アンチエイジング、ダイエット、生活習慣病対策などに効果があるといわれているんですよ。女性からの人気が高い理由でもありますね。
食べ過ぎに注意
アボカドは高カロリーなので、食べ過ぎに気をつけましょう。健康に役立ち、ダイエットに効果的なのは、個人差はありますが半分までの量になります。多く食べるほど高い効果が得られるということはありません。 たくさん食べてしまうと、脂肪分のせいでニキビが出てきちゃいます。 それとラテックスアレルギーの人は、アボカドでアレルギー反応が出ることがありますので注意してください。
ペットには厳禁
アボカドを食べても無害なのは人間だけという噂を聞きます。 鳥や小型の哺乳類などが食べると、死んでしまうらしいです。犬や猫も中毒症状が引き起こされるようなので、ペットには与えないようにしてください。
アボカドの育て方/適した環境
アボカドは日当たりのよい場所で栽培しましょう。日光をたくさん浴びればグングン成長してくれますよ。 樹高が1m未満の幼い木は、寒さに弱いので屋外での冬越しは難しいです。いずれに地植えにする場合でも、1m以上ぐらいに成長するまでは鉢植えで育てましょう。鉢植えであれば、寒さから逃げれますし、日当たりのよい場所へいつでも移動させることができます。
アボカドの育て方/種について
アボカドは種から栽培することができます。なんと、果実を食べた時に出る種も発芽するんですよ!これから栽培しようと思っている人は、アボカドを買ってきて果実を味わい、残った種を使って発芽させるのもいいですね。 ただ、この方法で栽培したアボカドは結実が難しいため、果実の収穫はあきらめる可能性がでてきます。ですが、それでも鉢植えで観葉植物としてだけでも十分楽しめますよ。発芽するだけでも嬉しいものです。
アボカドの育て方/種まき
食べたアボカドの種を使う場合、すぐに植え付けます。種は乾燥に弱いため保存に適しません。寒さも苦手で種が冷えると発芽しなくなります。発芽させるため、冷蔵庫には入れないでくださいね。 それと植え付ける前に、うすめた洗剤を使って種をしっかりと洗います。果実の油分が残っていると発芽しないばかりか、植え付けた周辺がくさる原因になります。これを知っていれば発芽させられます。
種のまき方
種はトガっている方が上で、平の方が下になります。地植えを考えていても最初は鉢植えで育てます。 種に対して3まわり以上の大きさの鉢へ、鉢底ネットを置いて鉢底石を敷き、赤玉土を入れてください。上下の向きに注意して、種の高さ半分ぐらいの位置まで土へ埋めます。仕上げでふんだんに水を与えましょう。 水切れに気をつけながら、自宅内で日光のよく当たる場所に置いて管理していきます。2ヶ月以内には発芽しますよ。
アボカドの育て方/植え付け
発芽して半年ほどすると、根っこが張ってきます。ここまで自分で栽培した苗か、売られている苗を購入して鉢植えにします。地植えしたい人も樹高が1m以上になるまでか、3年ほどは鉢植えで育てた方が確実です。 苗に対して1まわり以上の大きさになる鉢へ植え付けてください。幼いうちは茎が折れてしまうことがあるので、支柱を立ててあげます。麻ひもで苗と支柱を軽く結べば大丈夫です。
用土
アボカドは酸性の土が適しています。それと水はけの良さも必要です。 観葉植物用の培養土(ばいようど)を使えば問題ありません。自分でブレンドできる人は、赤玉土小粒6割、ピートモス3割、川砂1割、または、赤玉土小粒7割に腐葉土(ふようど)3割を混ぜた土がいいですよ。 より水はけをよくするために、鉢には鉢底ネットと鉢底石を下につめておいてください。
アボカドの育て方/水やり
水やりは栽培の基本です。アボカドは乾燥に弱いので、こまめに確認しなければいけません。 土の表面を触ってみて乾いていたら、たっぷりと水やりします。鉢の底から水が流れるぐらいあげるのが水やりのコツです。土が常に湿った状態だと、根っこがくさって枯れてしまいますので気をつけてください。 地植えの場合は、根付いたら基本的に水やりの必要はなくなりますが、土が干上がった時には水を与えます。
アボカドの育て方/肥料
アボカドの成長期は春〜夏で、この時期に肥料を与えます。 緩効性化成肥料(かんこうせいかせいひりょう)という、ゆっくりと肥料の効き目がでてくるものをほどこします。 肥料の主な要素は、チッソ、リン酸、カリウムですが、これらが均等に配合されているもの、またはリン酸が多めになっているものがアボカドには適しています。 アボカドを観察して適量を判断し、あげすぎないように気をつけてください。
アボカドの育て方/剪定
何も手を加えずに育てていると、枝が混み合ってきて見た目や風通し、内部の日当たりが悪くなってきます。その問題を解決し、サッパリしてあげるために剪定(せんてい)が必要になります。長く伸びた枝や、細かったり痛んでいる枝を根元の部分からカットしてください。 花つきをよくするために、水平と斜め上の方へ伸びている枝はそのままにしておきましょう。
摘心で樹高を止める
アボカドは大きさのある果樹です。自宅や室内で栽培するなら樹高の成長を止めないと、天井を突き破ってしまいます。というのは冗談ですが、どんどん大きさが増えていくので、自宅や室内での栽培は難しくなります。 そこで摘心(てきしん)をおこないます。ストップさせたい樹高になったら、木のてっぺんを摘んでください。これで枝が横へ生えていくようになります。剪定と組み合わせて、ちょうどいい大きさをキープできますよ。
アボカドの育て方/植え替え
地上部分の大きさが増すにつれて、地下の根っこも大きさがビッグになってきます。そのままにしていると、鉢の中で根っこがパンパンになり、根詰まりという状態になって枯れてしまいかねません。そうなることを防ぐために、植え替えをします。 水が土に入っていかなかったり、鉢底から根っこが出ていたら根詰まりの危険性大ですよ。2年に1回おこなうようにしましょう。5月〜6月が植え替えする時期です。
植え替え方法
基本的にはこれまで使っていた鉢よりも、1まわり以上の大きさの鉢へ植え替えていきます。ですがこれはアボカドの大きさを気にしない段階のことです。より大きさのある鉢になれば根っこが張って、地上部の大きさも増していきます。 アボカドの大きさをキープするためには、枝と葉っぱを半分ぐらい剪定して、根っこは3分の1ほどまで小さくしてください。鉢はそのままに、新しい培養土を入れて植え替えします。
アボカドの育て方/水耕栽培
アボカドは水耕栽培でも育てることができます。 水耕栽培はハイドロカルチャーともいわれていて土を使わず、主にハイドロボールという人工的な軽石と水などを入れた透明なカップで、植物を育てる方法です。 厳密には、ハイドロボールや肥料、培養液も使わず、水のみで育てることを水栽培ともいいます。この水栽培でアボカドを育ててみましょう!
水栽培するために
アボカドの水栽培は自宅内など室内であれば、いつでも発芽させられます。ただ気温が常時15度〜20度ほどになっている環境に限ります。5月〜6月の気候なら特に温度を気にする必要はありません。 よく洗った透明なカップでおこないます。スケルトンの利点は、根っこの状態や水の具合が確認しやすいことと、涼しげでおしゃれなこと。ちょっとした自宅のインテリアにぴったりですよ。
水栽培のやり方
よく洗った透明なカップと種、爪楊枝(つまようじ)を用意します。 種の上下に気をつけて、爪楊枝を種に3本か4本ぐらい挿します。これはカップに引っかけるためのものです。種がカップ内の水に、3分の1か半分ほど浸かる状態を作りだせるよう挿してください。種をカップへ少し落とし込みたいので、水平でなく下に向けて斜めに挿しましょう。
水栽培の管理
水を入れたカップへ種を置きます。種に挿した爪楊枝を利用して、水に3分の1か半分ほどだけ浸からせた状態をキープできれば完成です! 管理は水替えで、毎日おこないます。気温も問題なければ、1ヶ月ぐらい経つと発根しますよ。その後、発芽してきます。 自宅のインテリアとして水栽培をしばらく楽しんだら、鉢植えにしてあげましょう。
アボカドの育て方/病害虫
アボカドを鉢植えにして、自宅で大切に栽培していても病害虫の被害にあうことがあります。 かかる可能性のある病気は「炭そ病(たんそびょう)」です。風通しに問題があると発症します。剪定をちゃんとおこなっておきましょう。 やってくる害虫はカイガラムシです。幼虫は殺虫剤が効くので、できればこのうちに退治してください。成虫は薬剤が効かないため、使い古した歯ブラシなどでこすって取り除きます。
アボカドの育て方/収穫
鉢植えにして自宅で育てていても、結実し上手くいけば、11月〜12月頃に果実がついて収穫できます。時期は品種によってバラバラなので、あらかじめ収穫時期を確認しておいた方がいいですね。 売られているアボカドぐらいの大きさになったら収穫します。結実せず収穫できなくても、めげずにインテリアグリーンとして楽しんでくださいね。
美味しく食べる
熟さないと美味しくないので、収穫後はしばらく常温で熟させてください。緑色からちょっと黒っぽくなったら食べ頃です。これは買ってきたアボカドも同じこと。 スーパーなどで売られているアボカドは、生産者によっては熟し具合に関わらず収穫されることがあります。未熟で食べてアボカドが苦手になることも。収穫したもの、買ってきたもの共に、熟してから食べましょう。
収穫後に保存する
保存する場所の気温は10度前後がベスト。収穫して、まだ熟してなければ常温、熟したら冷蔵庫で保存します。 アボカドはまず半分に切ることが多いと思います。1日に1人で食べる最適な量の上限が半分なので、ちょうどいいですね。それで残った半分の保存方法ですが、種つきの方を残します。変色が気になる人は、切った面にレモンの汁を塗って、ラップをかけておいてください。
アボカドの育て方/まとめ
鉢植えで自宅でもできるアボカドの栽培方法をご紹介してきました。食べ残した種から発芽させ育てられます。1本では結実できないといわれていますが人工授粉で結実させれば、果実の収穫も可能です。 栽培、鑑賞、収穫、食と、ひと通り楽しむことができます。栄養価もふまえながらアボカドを味わいましょう!でも食べすぎには注意してくださいね。鉢植えにしたアボカドで、自宅のインテリアをより素敵にできますよ。