はじめに
岩殿山は都心からアクセスもいい山梨県大月市(最寄り駅は大月駅)にあります。むき出しになった岩肌が特徴の山で、標高は634mと高尾山より少し高い程度での低山ですが、最短30分程度で山頂まで登ることができます。
山頂近くからは富士山や桜を見ることもでき、景色を見ながらランチも食べられるので登山初心者におすすめの山。今回は岩殿山の魅力とともに、初心者の方が富士山の景色を満喫しながら登れる登山ルートと温泉もご紹介します。
岩殿山の概要
岩殿山登山口への最寄り駅とアクセス
新宿駅から最寄り駅の大月駅までは特急で約1時間。車の場合も、中央自動車動大月ICからは2kmととても近く、登山口の側には無料駐車場もあるため、移動手段に関わらずアクセスのしやすい山です。
徒歩で登山口まで移動ができるため、バスの時間を考えて早めに出発する必要もありません。最寄り駅の大月駅には観光案内所もあり、地図を手に入れることもできるので岩殿山が初めての初心者の方でも迷うことなく登山口までアクセスすることができます。
岩殿山の歴史
平安時代には天台宗の寺院があったと言われており、その後16世紀頃に武田氏の重臣、小山田氏によって岩山としての地形を要害とし、後に武田氏三名城の一つとも呼ばれる「岩殿城」が作られます。
現在城は無く、正式には「岩殿城跡」となっています。ところどころ城だった頃の跡が残っているので、城好きな方はハイキングがてらどのように敵を食い止めようとしていたのかと、想像をしながら巡っていただくのもおすすめです。
富士山や桜の景色がのぞめる岩殿山
秀麗富嶽十二景に選ばれる抜群の景色
秀麗富嶽十二景とは、富士山を望む優れた景観がある場所として大月市が選定した山域のことで、岩殿山山頂近くの展望所からは富士山と大月市内を見渡せ、冬場には積雪富士が、4月にはさくらと富士を見ることができます。
秀麗富嶽十二景については、岩殿山以外の山々も富士山が見える上、登山の難易度もあまり高くなく、初心者や夏休みの親子連れなどでも登れる程度の山ばかりです。登山初心者が無理をせず2つ目、3つ目に選ぶ山として、かなりおすすめの山々です。
壮大な景色 300本以上の桜がある桜まつり
岩殿山丸山公園には約300本の桜が咲き、3月末から4月前半にかけて桜の見頃となります。春には桜まつりが行われ、展望所から見る富士山はまわりを桜と他の山々に囲まれ、他では中々見ることのできない景色が広がります。
夜にはライトアップも行われ、夜桜を楽しむこともでき、夏は新緑、秋には紅葉、冬には積雪富士と四季を通して楽しむことができるのも岩殿山の魅力です。
また、近くには真木お伊勢山桜、猿橋公園などのお花見スポットもあります。
夏はお祭りも
最寄り駅の大月駅では、夏に大月市最大のお祭り「かがり火市民まつり」が行われます。大月駅はアクセスがいいので県内外からお祭りを楽しみしている方が訪れます。
お神輿、よさこい、阿波踊り、盆踊り、民謡、和太鼓など色々楽しむ事ができ、お祭りの最後には岩殿山から花火も上がります。
岩殿山ハイキングで初心者におすすめな登山ルート
岩殿山からスリルのある稚児落としを回るルート
岩殿山は最寄り駅から徒歩で登山口までアクセスでき迷う可能性は低いのですが、駅の観光案内所で必ず地図を手に入れておきましょう。
今回は畑倉登山口から登るルートをご紹介します。
ルートの時間目安(3時間20分)大月駅(40分)畑倉登山口(40分)岩殿山山頂(60分)天神山(20分)稚児落とし(40分)大月駅
※現在崩落により一部のルートが通行止め。崩落の他、夏は気温、冬は積雪などの情報を観光協会のサイトを確認しながらルートを決めてください。
最寄り駅JR大月駅から畑倉登山口へ
改札を出ると駅のバックに見える岩肌が見せながらそびえ立つ山が岩殿山で、最寄り駅の大月駅からは一般道を通って登山口を目指します。登山口まではところどころに岩殿山までのルートを指す看板が取り付けてあります。
国道139号線沿いを進むと「岩殿城跡入口」がありますが、こちらのルートは現在崩落により途中で通行止めになっているため、このまま通り過ぎます。自動車教習所の看板を過ぎ、道路がカーブしているところに登山口があります。
畑倉登山口から岩殿山山頂へ
岩殿山の標識よりも目立つ「鬼の岩屋」の看板が登山口の目印です。岩殿山丸山公園を通る強瀬登山口からのコース現在崩落によって封鎖されているため、今回は畑倉登山口からのコースを紹介していきます。
木々に囲まれたルートで、約40分程度で山頂まで登ることができます。登山道は整備されているのでハイキング初心者でも歩きやすいコースですが、シューズの紐を締めたり、ストレッチをしたりと準備をしてから登り始めましょう。
岩殿山山頂へ到着
山頂には烽火台という木看板があり、残念ながら大部分をパラボラアンテナの施設がしめています。元々は岩殿城の本丸があったところで、ここから司令を発したとあるのでかつては見晴らしが良かったと思われます。
山頂から5分ほど進むと展望所があります。秀麗富嶽十二景の看板や石碑もあり、低山ながら富士山と大月市街の景色が見渡せます。開けた場所となっているので、景色を見ながらここでのんびりランチなどもおすすめです。
岩殿山山頂から天神山を通り稚児落としへ
展望所からは浅利登山口の看板に沿って、稚児落としへと向かいます。ここからは本格的な登山道がはじまり、途中鎖場やロープ場も出てくるのでハイキングに慣れていない初心者は十分に注意が必要となります。
カメラやストックを持っている場合は、岩肌にぶつかってしまったり危険のなので、鎖場の前にザックの中にしまっておきましょう。鎖場を過ぎると天神山の看板がありますが、周りを木々で囲まれており特に見どころはありません。
怖さのある景色が見れる稚児落しへ到着
登山道を進むと岩肌がむき出しになった崖が見えてきますが、ここが展望所に次ぐ絶景スポット稚児落としです。稚児落としの上まで登ると、切り立った崖で手すりなどもなく高所恐怖症ではなくても怖さを感じます。
そこからは今まで登ってきた岩殿山を含め、遮るもののない広い空と周辺の山々、市街地などが眺められます。稚児落としの上は大きな岩となっており座ることができます。下山の前に少しの休憩にも最適な場所です。
稚児落しの名前の由来
小山田信茂の側室が、織田軍に岩殿城を包囲された際に、赤子を連れて脱出をはかります。途中、側室に抱かれていた赤子が泣き出してしまい、織田軍に見つかるのを恐れた護衛が側室から赤子を奪い、崖から投げ落としたことが由来とされております。
その後、捨てられた子は、浅利郷の名家の子として成人したとされ、残された稚児鎧により物語が伝承されたとし、側室はその後逃げ延び、小山田氏縁の寺である東光寺へと訪れましたが、この寺の下で自刃してしまったと言われております。
稚児落しから大月駅へ
看板に従って大月駅へと向かいます。木が崩れて根がむき出しになっている部分や、一部ロープが張ってある下りがあったりとまだまだ本格的な山道が続きますので気を抜かず注意しながら歩く必要があります。
途中開けた場所があり、山々とその間には団地が見えてきます。ところどころ大月駅への看板があるのでそれに沿って進むと、民家の前、そして県道512号に出ます。ここから舗装された道路に沿って40分程歩くと最寄り駅の大月駅に到着します。
岩殿山をハイキングするためのおすすめ装備
基本となる服装、レイヤリングとは
登山ウェアは汗や雨、気温の変化にも柔軟に対応するため、服の着方が重要になってきます。3つの層に分けたレイヤリングが基本となり、これを間違えると高価な登山ウェアを着ていても、その機能を活かすことができません。
例えば、長時間あるき続けるハイキングで汗に濡れたTシャツを着続けた場合、汗冷えで体が冷え切ってしまい大変危険です。初心者の方で装備が揃っていない方も、レイヤリングを意識し服装だけは早めに整えましょう。
1:ベースレイヤー
肌に直接着用するもので、汗冷えをしないよう汗を素早く吸収し肌をドライに保つ速乾性のあるものを選びます。化繊のTシャツなどがこれにあたり、前述したように汗を吸って乾きにくい綿などの素材は適していません。
季節や登る山によって気温や汗の量も変わってくるので、夏は薄手で半袖のもの、冬場は厚手で長袖、ハイネックのものなどを選びましょう。また防臭機能を備えているものもあるので、予算にどれを手に入れるか検討しましょう。
2:ミドルレイヤー
ミドルレイヤーはベースレイヤーの上に着用するもので、行動中、休憩中など状況によって着るものを変え保温性を保ちます。長袖シャツ(山用の乾きやすいもの)、フリース、ダウンなどがこれにあたります。
ベースレイヤーから上がってきた汗を外に逃がすため、ミドルレイヤーも通気性が重要で、その他にも行動中に着ることも多いので腕が動かしやすかったり、前を開けて熱を逃がせたりするものを選ぶん尾がおすすめです。
3:アウターレイヤー
アウターレイヤーは、直接的な保温性よりも風、雨、雪などから守ることが主な機能となり、風を通しにくく、防水機能があり耐久力があるものが主流になっています。レインウェアもアウターレイヤーにあたります。
表面は硬いものも多くハードシェルとも呼ばれます。耐風、防水の他にゴアテックスなどの透湿機能も必須です。アウターはあくまで外気を防ぎ、保温はミドルレイヤーで補うことで、脱ぎ着での温度調整が簡単になります。
岩殿山の春から夏ハイキングの服装
ベースレイヤー靴下は汗をかいても乾きやすいうウールや化繊を、ミドルレイヤーは紫外線から肌を守るため長袖シャツがおすすめです。夏場は暑いのでアウターレイヤーはレインウェアとの兼用のもので十分です。
夏場はハーフパンツを履く方も多いのですが、木の枝によるひっかきや、泥はねなどもあるので、素足ではなくタイツを履くと快適です。タイツは保温性や筋肉サポートなど色々あるので、ショップで自分に合うものを選んでみましょう。
岩殿山の秋から冬ハイキングの服装
冬場のベースレイヤーは吸湿速乾性の他に保温性があるものを選びましょう。標高634mの岩殿山くらいの低山であればアウターレイヤーに関しては春夏と同様にレインウェアでも問題ありません。
肝となるのがミドルレイヤーです。行動中と休憩中で分け、行動中はフリース、休憩時はダウンがおすすめです。ダウンはユニクロなどでは寒いので注意してください。
冬のハイキングでは休憩中思っている以上に体が冷えますので、レイヤリングには気を遣い準備をしてください。
岩殿山ハイキングのシューズ
岩殿山は短時間で登り切ることができ、荷物もそれほど重くならないので、春から秋にかけては本格的な登山靴ではなく、少しやわらか目の低山ハイキング向けのシューズで大丈夫です。
逆に冬場に関しては、滑り止めとなるアイゼンが必須となり、これをしっかりと取り付けるために、しっかりとした登山靴の方がおすすめです。余裕があれば雪が入らないように足首を覆う、ゲイターまであるとより一層快適にハイキングができます。
初心者でも持っていくべき登山用品
必ず持っていくべき登山用品
低山で行動時間は短くて済む初心者向けの山とはいえ、岩殿山は鎖やロープに捕まらなければ歩けない場所があったり、途中お店や自動販売機もなかったりと、準備をしないで登り始めてしまうと大変な思いをしてしまいます。
岩殿山ハイキングでを行う上で必要な登山用品をご紹介します。
これがなければはじまらない登山ザック
日常生活で使うザックでも代用可能ですが、できれば胸と腰にベルトがついてズレにくく動きやすいものがおすすめです。登山用はサイズもあるので必ずショップで店員さんにもアドバイスをもらいましょう。
温泉に入った後の着替えなどの取り出しがしやすいように、ザックの横や下からアクセスできるものも使い勝手がいいです。
雨が降ると濡れてしまうので、必ずザックカバーも用意しましょう。
水分補給に必須な水筒類
岩殿山を含め多くの山ではお店や自動販売機がないため、水筒類は必須になります。夏場は思っている以上に水分を摂ってしまうので、2リットル程度持っていくことをおすすめします。軽く多少形も変化する袋タイプの水筒だとザックの隙間に入れられます。
また、お湯も手に入らないため、保温性のある水筒もおすすめです。山頂でのランチ時のコーヒーやカップラーメンなどにもお湯を使いますし、冬場は忘れると休憩中あたたまる手段がありません。
その他必須な登山用品
手袋、地図、痛み止め・絆創膏、ビニール袋、折りたたみ傘、ヘッドランプ、速乾タオル、替えのTシャツなどが必須で、冬場はこれにプラスしてアイゼンが必要になり、温泉による場合はその分の着替えも一セット必要です。
特に岩殿山では鎖場、ロープ場があるので手袋は必ず持っていってください。軍手では脱げてしまったり滑ってしまうので、しっかりと装着し滑り止めも付いている作業用の手袋がおすすめです。
岩殿山登山後に立ち寄れる温泉と、おすすめスポット
下山後の温泉はハイキングの楽しみの一つです。汗だくになる夏場も、体が冷え切る冬場も温泉で体を労りましょう。
最寄り駅の大月駅の徒歩圏内に温泉はありません。アクセスは少し離れてしまいますが、立ち寄ることができる温泉を二箇所紹介します。
おすすめの立ち寄り温泉
1:露天風呂から日の出が拝める温泉
日の出の一時間前からオープンする温泉で露天風呂から日の出を拝むことができ、温泉に浸かりながら富士山や山々、市街地が一望できます。
ほったらかし温泉
- 住所〒405-0036
山梨県山梨市矢坪1669-18 - 公式サイトURLhttp://www.hottarakashi-onsen.com
- 電話番号0553-23-1526
- アクセスJR中央本線新宿駅から特急で約90分山梨市駅下車→タクシーで10分中央自動車道 :勝沼I.C又は一宮・御坂I.Cから約25分
- 営業時間日の出1時間前から22時(最終受付21時半)
甲信エリアで人気の高い温泉
都留市駅よりアクセス抜群の温泉です。宿泊もできるので岩殿山を登った後はこの温泉に泊まるのもありです。
より道の湯
- 住所〒402-0056
山梨県都留市つる1-13-31 - 公式サイトURLhttp://yorimichinoyu.jp
- 電話番号0554-56-8600
- アクセス都留市駅より徒歩1分中央自動車道「都留IC」より車で2分
- 営業時間10:00〜23:00(最終受付22:00)
- 駐車場あり
無料駐車場110台完備
おすすめスポットとお店
1:日本三奇橋の一つ「名勝 甲斐の猿橋」
歌川広重の「甲陽猿橋の図」にも描かれ、橋脚を使わず両岸から張り出したはね木によって橋を支える珍しい構造をとっています。猿橋駅まで移動しますが一見の価値があります。
甲斐の猿橋
- 住所山梨県大月市猿橋町猿橋
- 電話番号0554-20-1829
2:大月で食べられる吉田うどんの店「吉田屋」
山梨県富士吉田市を中心とした郷土料理「吉田うどん」が食べられるお店です。吉田うどんの特徴の強烈なコシとすりだねでのうどんのカスタマイズを楽しむことができます。
手打ちうどん吉田屋
- アクセスJR中央本線 大月駅徒歩3分
- 住所〒401-0013
山梨県大月市大月3-1-15
3:有名な信玄餅のお店
山梨の銘菓 桔梗信玄餅を販売するお店です。通常の信玄餅の他、生プリン、クレープ、どら焼きの他、信玄餅ソフトも楽しめます。
最寄り駅の大月駅より徒歩1分の抜群のアクセスです。
桔梗屋東治郎 大月店
<br />
- 住所〒401-0013
山梨県大月市大月1-2-1 - アクセス最寄り駅JR中央本線 大月駅より徒歩1分
まとめ
岩殿山は都心からのアクセスもよい上、最寄り駅からも徒歩で訪れることができます。低山でありながら景色もよく、鎖場、稚児落しのスリルを味わうこともできる山です。
春夏秋冬登れる山なので、一度だけではなく、季節ごとに山の変化を楽しみながらハイキングするのもおすすめです。
富士山が見える登山コースが気になる方はこちらをチェック!
岩殿山の他にも富士山の見える登山コースが気になる方は、以下の記事も参考にしてみてください。
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