はじめに
オステオスペルマム栽培の日当たりや肥料のコツ
オステオスペルマムはマーガレットなどとよく似たかわいらしい花を咲かせる植物。ただし色はカラフルなものから少しスモーキーな大人っぽい色まで非常に豊富なのが特徴です。下から次々と花芽があがってきて開花するオステオスペルマムの開花時期の様子は花壇やプランター栽培にぴったりと感じるでしょう。この花の日常の水やり・肥料といったお世話から健康的に育てるための伸びすぎた株の切り戻しの方法、挿し木などの増やし方から花が咲かない・夏冬のお世話のコツに触れつついろいろな種類のオステオスペルマム栽培に役立つ解説をお届けします。
オステオスペルマムについて
育て方の前にオステオスペルマムの基本情報や植物としての性質や特徴・似た花との見分け方や違いを御覧いただきましょう。何科の植物かわかれば、育て方や草姿・気をつけたい病害虫などの大きなヒントとなるでしょう。原産地は植物が好む環境の目安となります。
基本情報
科・属:キク科キンセンカ属
原産地:熱帯アフリカ
英語名/学名:African daisy/Osteospermum
和名:アフリカキンセンカ
この花の特徴は
挿し木や種まきから栽培すると越冬して翌年も同じ株から花を咲かせる多年草ですが、種類によっては何度も越冬できない2年草扱いのものもあります。種類によっても草丈が伸びすぎる・たくさん脇芽を出させて花数を増やしたいという場合は切り戻しをすることも可能です。
ディモルフォセカとの違い
オステオスペルマムは似たような植物がいろいろとありその中でもディモルフォセカとは見分けが付けにくいという方が多い花。それだけでなくこの2種類は混雑してその中間的な植物も生まれてきていますが、日本ではとてもシンプルな方法でこの花と他の花を分けています。単純に冬越しできるのものがオステオスペルマム。越冬できない、または2年草なのがディモルフォセカです。
夏のオステオスペルマム栽培の注意点
真冬の短い時間以外はほとんど開花時期になるオステオスペルマム。夏や冬にもしっかりとしたお世話が必要です。まずは夏場に気をつけることが解説していきましょう。
夏に気をつけること1.過湿に注意
この花はキク科で丈夫と言われていますが、唯一といっていいほど苦手なものが過湿です。夏のはじめ、まだ梅雨からの雨が続いているようなときは軒下の雨水が当たらない場所に置いてあげましょう。
夏に気をつけること2.日当たり注意
この植物は夏季は休眠期に当たります。そのためあまり強い日差しは強すぎて株を弱らせてしまうことも。くれぐれも真夏の直射日光には当てないようお気をつけください。
夏に気をつけること3.西日に注意
日差しの中でも特に植物に良くないといわれるものに西日があります。オステオスペルマムにとっても例外ではありません。花壇に植え付けるなら東か南側へ!
夏に気をつけること4.切り戻しの季節
夏があまり得意ではないこの植物にとって夏というより夏前の梅雨どきにやっておきたいのが切り戻しのお世話です。詳しいタイミングややり方は後述で詳しくご紹介しますのでそちらをご参照ください。
冬のオステオスペルマム栽培の注意点
暑い夏だけでなく日本は冬も厳しい国です。熱帯アフリカ原産のこの植物、実は耐寒性が高くて冬でも屋外で栽培することが可能。冬場のお世話の注意点を御覧ください。
冬に気をつけること1.水やり
冬は気をつけたいのが朝方の霜です。水やりが多すぎると霜の心配も増えるでしょう。乾いたらあげるという基本の方法で良いのですが、量も控えめにしてください。
冬に気をつけること1.置き場所
水やりと同様に霜に対する対策として天井のある場所に置く・植えるということが大切。いくら耐寒性が高いとはいえ水分が凍るような霜は植物にとっては大きなダメージとなってしまいます。
オステオスペルマムの育て方1.日当たり
植物の栽培をはじめようと考えたとき一番最初にしって欲しいのが栽培対象の植物の好きな日当たりです。鉢植えにしてもどこに置くのかが決まる大切な要素。オステオスペルマムはどのような日当たりが好きなのでしょうか。
この植物が好む日当たりは
日当たりが悪いと徒長といってひょろひょろと上にばかり伸びすぎる現象もおこります。背が高くなったとしても決して健康的ではありませんので、避けたいですね。この花に向いている日当たりは明るい軒下。これは真夏が休眠期であり、冬でも地上部分が枯れずに花を咲かせることもあるということに由来します。必ずしも日なたである必要はありませんが、上に天井や笠となるようなものがある日当たりは必須です。
鉢植えやプランターの置き場所
地植えと比べて鉢植えやプランターはがんばれば季節によってよい日当たりの場所に移動することができるので、それほど気にする必要はありません。しかしベランダ栽培の場合はエアコンの室外機の前などその風が当たるところはNGです。
オステオスペルマムの育て方2.植え付けと植え替え
この花のように1年中青々としている植物はいつ植え付けたり植え替えたりするのか悩まれることも多いでしょう。基本的には夏と冬の環境の厳しい季節を除いて春と秋が植え付けや植え替え・種まき・挿し木などを行うのに良いとされる季節です。
ポット苗や鉢植えの定植・植え替え
苗や鉢植えが売られている時期が植え付け・植え替え時。具体的には春に花が先終わった後梅雨までの間が適期です。草丈が伸びて乱れ気味な場合は、切り戻しを先に行っておくと良いでしょう。
鉢植えの植え替え時期目安
つぼみのついている鉢植えを購入して育てる場合、株が大きくなってきたら2年ごとを目安に植え替えて植木鉢をサイズアップしてください。ただし8号鉢まで上げたらそれ以降は大きくする必要はありません。挿し木で増やして別の鉢を作るか、種類によっては種まきで増やすと良いでしょう。
オステオスペルマムの育て方3.土の配合
土だけに植物の生命線の土台を固める役割が高い大切な土づくり。基本的に市販の腐葉土でも育つ丈夫な草花ですが、苦手なのは赤土・粘土質の土。庭土がちょっと粘度が高いようであれば、他の水はけをよくする土を混ぜ込んで植え付け準備をしてから作業しましょう。
この植物の植え付け用土の配合は
過湿を嫌うため植え付け用の土も水はけ重視で混ぜていきましょう。一般的な赤玉土と腐葉土の配合に鹿沼土をプラス。比率として5:3:2くらいになるようにすると良いですね。
オステオスペルマムの育て方4.水やりと肥料
水やりと肥料はどんな植物にも必要な基本的な日常管理ともいえるお世話です。しかしそのやり方は植物により少しずつやり方を工夫する必要があるので気をつけてください。このオステオスペルマムの場合気をつけるのは過湿にならないこと。少し乾かし気味に水やりをして、肥料は定期的にあげるのがコツ。
オステオスペルマムの水やり
ほとんどの植物が何日おきというやり方でなく土の状態を見ての水やりをすすめてきますが、特にこの植物は過湿を嫌うので絶対に土が乾く前に水やりをするのはやめてください。梅雨時から秋の長雨シーズンまでは特に土を毎日観察しながら水やりするようにするのがコツ。逆に何日たっても土が乾かないのは日当たりが悪い証拠。鉢植えであればもう少し明るい所へもってくる・花壇であれば移植できればするのが良いですね。
肥料の時期とあげかた
肥料は植え付けるときに元肥として化成肥料(長く効果が続く緩効性肥料)を土に混ぜるか株元にばらまいておいてください。その効果がなくなった1ヶ月後くらいから水溶性肥料を水やり時に与えるか、古い粒を捨て同じ緩効性肥料を新たに株元に置くと良いでしょう。肥料は真夏を除く9-翌年5月まで続けましょう。
オステオスペルマムの育て方5.切り戻し
花が咲かないというお悩みをよく耳にしますが、その原因のひとつとなるのが切り戻し時期です。いつごろすると失敗しづらいのか、適期とやり方をご紹介しましょう。
草花の切り戻し方法
切り戻しの目的は枝葉を整理して株への風通しをよくしたり日当たり良くするということと、切り戻すことで切ったところから枝が分岐して花や茎・葉が増えるのを狙ったやり方もあります。この植物の場合どちらかというと後者ですが、時期的に前者の意味合いも強いといえるでしょう。
オステオスペルマムの切り戻し時期とやり方
時期は春の開花時期が終わったあとと夏が終わって涼しくなった10月。じめじめが苦手な花ですので梅雨前は草丈を1/3程度にハサミでカットするという切り戻し方を実行してください。これにより休眠期である夏の余分な水分の蒸発を防ぎ、混み合って株が蒸れることなく夏が過ごせます。秋には枝の数を増やして花をたくさん咲かせるという目的での切り戻しです。こちらもやり方は同じ。花芽が発達する冬になったらたとえ株がもっさりとしてきてしまっても、絶対に切り戻しはしないでください。
オステオスペルマムの育て方6.挿し木と種まき
鉢植えや苗を購入して育てはじめたこの花。気に入ったら自分で株の数を増やしてもっとたくさんの鉢植えや花壇の花をつくりましょう。やり方は主に挿し木でおこないますが、種類によっては種まきから増やすことができることも。
挿し木で増やすオステオスペルマム
この植物の増やし方は一般的には挿し木が用いられます。草花扱いですが、多年草ですので簡単に時間をかけずに数を増やすことができるのが挿し木が好まれる理由。挿し木時期は切り戻しと同様に梅雨前と暑さがおさまってきた9-10月頃。挿し木には発根剤を塗って湿らせた鹿沼土に挿し木にし、日陰で1ヶ月ほどすると根が出てきますので少しずつ日光に慣れさせていきましょう。
オステオスペルマムは種まきもできる
オステオスペルマムは品種改良によって種を付けない種類がありますので、全ての種類が種まきから増やせるわけではありません。種付きが良い種類の代表はパッション。他の種類はあまり種の収穫は期待しない方が良いでしょう。まき時期は挿し木と同様6月と9月。間引きで厳選してポットに苗を作って鉢植えや花壇に定植していきましょう。
オステオスペルマムの花言葉は「元気」
最後になりますがこの花の花言葉とその意味・由来をご紹介します。この植物には見た目や名前から花言葉がつけられていますが、どれもポジティブで良い意味ばかり。贈り物としても利用できる花といえますね。
花言葉の意味と由来
花色はいろいろありますが、どれも明るくはつらつとした印象を受けることが多いのがこの花の姿の特徴。そこからイメージできるものが代表的な花言葉として付けられるのもうなづけますね。明るい光の下でキラキラと輝くように咲き誇る花にぴったりと感じることでしょう。
そのほかの花言葉と意味・由来は
このほかの花言葉として無邪気と変わらぬ愛というものがあります。このどちらも花の名前の意味を知ると由来もわかってくるのですが、骨と種という2つの言葉を連結させた造語でオステオスペルマムというひとつの単語となっています。どちらも体の健康に関わる単語ということで、そこから関連づけられた元気と明るい元気の出るカラーからの無邪気や変わらぬ愛という花言葉が付けられました。
まとめ
夏冬に注意してきれいなオステオスペルマムを咲かせる
オステオスペルマムの育て方や増やし方・花言葉の意味と由来などご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。夏の直射日光や西日は苦手ですが基本的には明るいところに置かないと花つきが悪くなったり最悪花が咲かないということも。またいつまでも土が乾かないのも日当たりが不良であるための株からの救助信号です。日当たりと水はけの良い土・そして冬の霜の対策をしっかりすればはじめてという方でもきれいなお花を毎年見られる多年草の草花・オステオスペルマム。ぜひあなたの花壇やベランダでも栽培してみてくださいね。
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