フレッシュクリスマスリースに使える花材たち
クリスマス装飾に使われる花材って?
今回の日曜連載は、クリスマス花材特集。ハロウィンが終わると花屋もクリスマス一色になり、クリスマス装飾に使える切り花たちが店内に並び始めます。特にクリスマスリースは手作りする人も多く、いろんな花材や材料が出回ります。
クリスマスらしい葉っぱや枝ものはこれ
今回は、クリスマス装飾に定番の枝ものを一挙にご紹介。クリスマス花材の種類や特徴をそれぞれ解説していきます。よく見るヒバやスギってどんな植物?コニファーって庭木のコニファー?など、切り花ならではの名称の違いや植物の分類にもふれていますので、ぜひ参考にしてみてください。
クリスマスリース・装飾に使える生花1:ヒバ
ヒノキやサワラの別名
ヒバとはヒノキ科ヒノキ属の植物の別名。建材などでも有名なヒノキや、ヒノキに似たサワラ、アスナロなどのことを指します。平べったい葉っぱが特徴的な植物です。クリスマス装飾に使われる枝もの切り花のヒバは、ヒノキの変種のクジャクヒバやオウゴンヒバと呼ばれる品種がよく出回ります。
ボリューミーで香りがある
真緑のものや、黄色いグラデーションになる品種などがあり、年中出回りますが特にクリスマスシーズンによく出回ります。平べったいフォルムですが挿し方によってボリューム感を出しやすく、リースのベースに重宝するスグレモノ。すっきりとした香りがあるのも特徴的です。
花材の特徴
リース | ◎/ベースの材料向き |
---|---|
スワッグ | ◎/使いやすい |
ドライフラワー | ◎/散りにくい |
葉色 | 濃い緑・黄緑 |
特徴 | すっきりした芳香 |
クリスマスリース・装飾に使える生花2:ヒムロスギ
サワラの仲間
ヒムロスギもしくはサツマスギの名前で出回る、クリスマス花材の定番のひとつです。スギという名前がつきますがスギ属ではなくサワラの園芸品種で、ヒメムロ、ヒムロヒバなどの別名でも呼ばれる植物です。細かい葉っぱがもこもことついているのが特徴的で、触り心地もふんわり柔らかい花材です。
スワッグやリースの材料に
ブルーがかったシルバーの葉っぱが美しく、クリスマスシーズンによく出回ります。ヒバと同じくよい香りがするのが特徴的です。もこもこした質感がボリュームも出て立体感も出るため、リースやスワッグのベースに使うのがおすすめです。1本のボリュームに差があるので、よく選んで買うとよいかも。
花材の特徴
リース | ◎/ベースの材料向き |
---|---|
スワッグ | ◎/使いやすい |
ドライフラワー | ○/やや散りやすい |
葉色 | 濃い緑 |
特徴 | すっきりした芳香 |
クリスマスリース・装飾に使える生花3:モミ
クリスマス花材の定番
クリスマスツリーとしてもおなじみのモミ。マツ科モミ属の植物で、細い葉っぱが密集してたくさんついて立体的な印象です。オレゴン産と国産がよく出回り、国産のほうがやや平べったく緑が濃く、オレゴン産は葉が密集してよくカールし、色もシルバーがかっている傾向があります。
早めの入手がおすすめ
クリスマスらしいフォルムが特徴の人気花材です。切り花というよりリースやスワッグの材料としてよく出回るため、クリスマス直前にはなくなりがち。早めの入手がおすすめです。枝から出る松ヤニでベタベタしてしまったハサミや手は、アルコールジェルやクレンジングオイルできれいに落とせます。
花材の特徴
リース | ◎/ベースの材料向き |
---|---|
スワッグ | ○/使いやすいがやや重い |
ドライフラワー | ○/やや散りやすい |
葉色 | 濃い緑・シルバーがかった緑 |
特徴 | 松ヤニに注意 |
クリスマスリース・装飾に使える生花4:ネズ
果実はジュニパーベリーの名でも有名
切り花で並ぶネズとは、ヒノキ科ビャクシン属のセイヨウネズのこと。シルバーがかった柔らかい葉っぱが特徴です。クリスマス花材のネズは実つきのことが多く、この実はジュニパーベリーという名前でも有名。お酒のジンの香りづけに使われる実で、独特な強い香りがする花材です。
リースやスワッグの材料に
葉っぱはヒバにも似ており、ドライになっても葉がパラパラと落ちません。よく枝分かれして小分けにしやすく、リースのベースなどにも使いやすい材料です。実付きはアクセントにもなります。ただ実付きのネズ枝は香りが強いので、匂いが苦手な方へのプレゼントなどには避けた方がよいかも。
花材の特徴
リース | ◎/ベース・ポイント |
---|---|
スワッグ | ◎/使いやすい |
ドライフラワー | ◎/散りにくい |
葉色 | 緑・黄緑・実はグレー |
特徴 | 実に独特な香り |
クリスマスリース・装飾に使える生花5:コニファー
コニファーといってもいろいろ
コニファーとは、マツ科やヒノキ科、イチイ科などの針葉樹の総称。上述したヒノキやヒバ、モミやネズもコニファーと呼べますが、切り花では区別されて表記されています。主に切り花でコニファーと表記されるのは上述以外のコニファー類で、たくさんありますが中でもヒノキ科ホソイトスギ属の品種などが主流です。
ブルーアイスが人気
コニファー類の中でも人気なのが、アリゾナイトスギの園芸種であるブルーアイス。細くシャープな葉っぱのかたちと、金属質なブルーシルバーがかっこいい印象のコニファーです。ホワイトクリスマスに似合う花材で、リースの材料にはもちろんクリスマスツリーとしても人気。白やシルバーの飾りがよく似合います。
花材の特徴(ブルーアイス)
リース | ◎/ベースの材料向き |
---|---|
スワッグ | ◎/使いやすい |
ドライフラワー | ◎/散りにくい |
葉色 | シルバーがかった緑 |
クリスマスリース・装飾に使える生花6:ユーカリ
人気のユーカリもクリスマスにぴったり
年中人気の花材・ユーカリも、そのシルバーがかった葉っぱの色がクリスマスによく似合います。ユーカリの切り花も種類が豊富で、葉っぱが丸く大きい品種や細長い品種、香りの強い品種にほとんどしない品種もあります。乾燥しても葉っぱが散らないので、ドライフラワー向きです。
リースの土台の材料にも
ユーカリの枝は柔らかくしなやかなので、生花の状態ではクリスマスリースの土台にも使えます。またクリスマスシーズンには実つきの枝もよく出回り、リースやスワッグのポイントにもよく使われます。白やシルバーの飾りがよく似合う、ホワイトクリスマスにおすすめの花材です。
花材の特徴
リース | ◎/ベースの材料向き |
---|---|
スワッグ | ◎/使いやすい |
ドライフラワー | ◎/散りにくい |
葉色 | 緑・シルバーがかった緑 |
クリスマスリース・装飾に使える生花7:コチア
ホワイトシルバー系のクリスマス装飾に
ホワイトシルバー系のクリスマス装飾に似合うのが、シルバーリーフたち。コチアはオーストラリア原産の植物で、年中美しい白銀色をしているのが特徴です。クリスマスの花材としてこの時期よく出回ります。コキアと表記されることもありますが、紅葉するコキア(別名ホウキギ)とは別の植物です。
ドライフラワーにするときは下向きに
枝ものというよりは葉もので、茎は柔らかめで扱いやすい花材です。ドライフラワーにもなりますが、先端がヘナッとしやすいため下向きに使うのがおすすめ。リースのパーツにするときも、先端が下向きになるようにつけるとドライになっても綺麗に仕上がります。
花材の特徴
リース | ◎/ポイントに |
---|---|
スワッグ | ◎/使いやすい |
ドライフラワー | ○/先端が水下がりしやすい |
葉色 | シルバー |
クリスマスリース・装飾に使える生花8:ダスティミラー
シルバーリーフの代表格
同じくホワイトシルバー系のクリスマス装飾におすすめのダスティミラー。シロタエギクともいいます。シルバーリーフの切り花としては代表的で、年中安定して手に入る花材のひとつです。葉っぱや茎に細かい白い毛が生えており、ふわふわとした印象の葉ものです。ドライフラワーになっても色が綺麗に残ります。
リースのベース材料にも、ポイントにも
ダスティミラーはクリスマスリースのベース材料にもアクセントパーツにもなるスグレモノ。ドライフラワーになっても色が綺麗に残ります。また園芸種としても人気で、ダスティミラーで作った寄せ植えやハンギングのリースもクリスマスシーズンにはよく見られます。ハボタンと合わせてお正月仕様にするのも人気。
花材の特徴
リース | ◎/ベース・ポイントに |
---|---|
スワッグ | ○/使えるが茎が短め |
ドライフラワー | ◎/散りにくい |
葉色 | シルバー |
クリスマスリース・装飾に使える生花9:サンゴミズキ
真っ赤なサンゴミズキ
真っ赤な枝が美しいサンゴミズキ。まっすぐの主枝から出る細い脇枝の姿もかわいらしく、冬らしい、そしてクリスマスらしい枝もの切り花です。切り花としても非常に持ちがよく、花瓶に生けておくと根っこが出たり脇芽が出たりして長持ちします。ドライフラワーにしても綺麗に色が残ります。
リースの土台にも、そのまま生けても
少し硬いですがサンゴミズキの枝はしなりやすいので、ゆっくり力を加えながら曲げればリースの土台の材料にもなります。そのまま枝を花瓶に生けて、シンプルなオーナメントを枝に引っ掛けて飾ってもかわいい。この時期はどこの花屋さんでも手に入りやすいので、ぜひ自分流で楽しんでみて。
花材の特徴
リース | ◎/リースの土台にも |
---|---|
スワッグ | ◎/使いやすい |
ドライフラワー | ◎/散らない |
色 | 赤 |
クリスマスリース・装飾に使える生花10:ミツマタ
ドライフラワーとして定番の枝もの
ミツマタとは和紙の材料としても有名な、日本では古来から親しまれている樹木です。枝が三つ又に分かれているのが特徴で、非常に軽く、主にドライフラワーとして出回ります。真っ白に漂白された晒しミツマタや、それに色を乗せた染めミツマタなどがあります。生花では、春にお花を咲かせた切り花が出回ることも。
クリスマス装飾にも人気
晒しや染めなどドライフラワーとして定番の花材で、年中お花屋さんに置いてある花材です。特にクリスマスの時期にはゴールドなどのラメがついたものも出回ります。白のミツマタは花瓶にガサっと入れておくだけでもホワイトクリスマスの装いに。昔から人気の花材ではありますが、自分流の飾り方を見つけるのも楽しいかも。
花材の特徴
リース | ◎/ポイントやアクセントに |
---|---|
スワッグ | ◎/使いやすい |
ドライフラワー | ◎/散らない |
色 | 白・ラメ・赤など多数 |
クリスマスリース・装飾に使える生花11:ポインセチア
クリスマス装飾といえば!の定番
クリスマス装飾といえば欠かせないのがポインセチアです。鉢物での流通が主流ですが、クリスマスシーズンにはまれに切り花でも売られていることがあります。鉢物でもかわいいですが、花束などにしてもかわいい花材です。ドライフラワーには不向きです。
装飾やリースには造花が便利
クリスマス装飾やリースには、たいてい造花が使われます。造花は花屋だけでなくホームセンターや雑貨屋さんでも手に入るので、おうちのクリスマス装飾に使いやすい材料です。ポインセチアをベースにした真っ赤なクリスマスリースは華やか。また、玄関にちょっと置いておくだけでもクリスマスらしくなります。
花材の特徴
リース | ×/生花は不向き |
---|---|
スワッグ | ×/生花は不向き |
ドライフラワー | ×/不向き |
葉色 | 赤・オレンジ・ゴールド |
クリスマスリース・装飾に使える生花12:つる性枝もの
アカヅルやキウイのツルなど
クリスマスリースの土台から作りたい方には、ツル性の枝ものが扱いやすくておすすめです。だいたい周年出回っていますが、クリスマス装飾の準備が始まる11月頃に花屋さんなどでよく並びます。定番なのはアカヅルやベニヅルと呼ばれる枝もの。またキウイのツルや、11月には実つきノイバラのツルなども手に入ります。
ナチュラルなクリスマスリース作りに
完全にドライになってしまった枝はリース状にしにくいので、まだ水分のあるうちに加工します。お湯につけながら作ると、柔らかくなって作りやすくなります。加工品のリース土台が綺麗な円形なのに比べ、土台から手作りするとよりナチュラルな風合いに。いつもと趣向を変えたい方におすすめです。
さいごに
次回は実ものを紹介
枝ものだけでも、けっこう種類があるクリスマス花材。赤×緑のクリスマスカラーに向くような真緑の葉っぱもあれば、ホワイト×シルバークリスマスに向くものまで、どれもそれぞれ特徴があります。ぜひお気に入りを見つけてみてくださいね。次回はクリスマス装飾に使える実ものをご紹介します。
過去の連載はこちらから
この日曜連載では、お花屋さんに実際に並ぶ切り花たちを季節のいろんなテーマでご紹介しています。毎月の旬の切り花や、季節ごとにおすすめの枝ものや実ものなどもご紹介していますので、気になる方はぜひこちらもご覧になってみてくださいね。
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