検索アイコン
エックス
Facebook
LINE

【連載】秋の七草の1つであるフジバカマの花言葉を解説!

奈良時代の歌人、山上憶良が万葉集の歌の中で選んだ、日本の秋を眺めて楽しむ花であるフジバカマが見頃を迎える時期となりました。月曜連載、花と花言葉。今週は秋の七草の1つであるフジバカマの花言葉やその由来ついて解説します。特徴や似た花についても合わせてご紹介します。
2020年11月4日
ティンカー・ベル
※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。

フジバカマの特徴

フジバカマは秋の七草の1つ

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1898979?title=%E7%A7%8B%E3%81%AE%E4%B8%83%E8%8D%89%E3%80%80%E3%83%95%E3%82%B8%E3%83%90%E3%82%AB%E3%83%9E&searchId=136319960

紫式部の長編物語「源氏物語」や、「春はあけぼの…」でお馴染みの清少納言の「枕草子」にも登場する、古くから日本人に親しまれてきたフジバカマ。「ハギ(萩)」「キキョウ(桔梗)」「オミナエシ(女郎花)」などと同じ秋の七草の1つです。キク科ヒヨドリバナ属の多年草で、学名はEupatorium japonicumと表記します。原産国は日本をはじめ、朝鮮半島や中国です。フジバカマの自生種は減少していますが、ヒヨドリバナ属の園芸品種は多数出回っています。

フジバカマの名前の由来

Photo by houroumono

フジバカマは、和名「藤袴(ふじばかま)」と書きます。フジバカマ(藤袴)という呼び名の由来は、筒状の花びらを袴に見立て、花の色と合わせてこのような名前が付いたそうです。フジバカマは房をなすように集まって、淡い紅色がかった紫色の小さな花を咲かせます。この花の色がフジ(藤)の花に似ており、形が袴に似ていることがこの植物の名前の由来です。

桜餅のような香りが特徴

Photo byleoleobobeo

フジバカマの開花時期は10月~11月です。花の色は紫、白、ピンク色です。細い茎の先に小さな花を無数に集めて咲く姿は、秋の風情を感じさせます。フジバカマの茎や葉は乾燥させると、桜餅のような香りを放つのが特徴で、昔は女性たちがこれを匂い袋にして身に付けたり、髪の毛を洗う時に使っていたそうです。現在は減少傾向にありますが、自生しているフジバカマは、湿った草原や林に見られ、花が枯れかけて乾燥すると、その周辺は桜餅のような香りがしているそうです。開花しているときの花は無臭ですが、長距離を移動できる美しい羽根を持ったアサギマダラという蝶は、なぜだか蜜を吸いにやって来るが特徴的です。

フジバカマの花言葉:「優しい想い出」「あの日を思い出す」


香りが由来する花言葉

Photo byximatsuking

どんな花にもその花をイメージさせる花言葉を持ち合わせていますが、その花のもつ花言葉の由来というものは、その花に隠された物語であったり、誕生説であったり、伝説、見た目の印象、風俗史、宗教や歴史との関係、そしてその花の見た目の様子や、特有の性質などが由来となり、その花のイメージに似合った言葉で表現されています。フジバカマの「優しい想い出」「あの日を思い出す」という花言葉は、乾燥すると桜餅のような良い香りを放つことが由来となって付けられた言葉ではないかという説があります。

枯れてから心地よい匂いが香るフジバカマ

Photo by M. Martin Vicente

フジバカマは、昔から香りの高い植物として知られていますが、花が咲いているときは匂いはありません。また乾燥した時とは違い、活きているときのフジバカマの実、葉、茎にはセリのような香りがあります。蕾や花を潰してみてもやはりセリのような香りがし、心地よい香りというよりも、どちらかというと香草のような香りがします。しかし花や葉が枯れて乾燥しだすとそれまでの香りから一変して、桜餅のような優しい香りを放つのがフジバカマの特徴です。そんな特徴が由来して「優しい想い出」「あの日を思い出す」という花言葉でイメージされているのでしょう。

フジバカマの花言葉:「ためらい」

花の咲き方が由来する花言葉

Photo by Phil Sellens

フジバカマの「ためらい」という花言葉は、花の咲き方からイメージされた言葉です。たくさんの小花が少しずつ咲く様子から由来しています。茎の先に小さな花を徐々に咲かせ、やがて無数に集まって咲く花の姿は美しい秋の風情を感じるということから、奈良時代に編さいされた「万葉集」の中で、万葉の歌人と言われる山上憶良の歌の中で秋の七草の1つに数えら、秋にまつわるたくさんの歌が詠まれています。

まるで線香花火のような花が魅力!

Photo by anro0002

フジバカマの花は小さく細長い形をしています。茎の先にその小花を密集して咲かせます。花は5mmほどの大きさですが、その密集した大きさは1cmから10cmくらいの大きな集まりになって咲いています。細長い小さな花が密集して咲いている姿は、まるで線香花火のようにも見えるとも言われます。草丈は50cmくらいですが、大きいものは1mを超えるものもあります。

フジバカマの花言葉:「遅れ」「延期」

フジバカマのネガティブな花言葉

Photo by anro0002

フジバカマの花の咲き方の特徴からイメージされた花言葉は「遅れ」「遅延」という、ちょっとネガティブな言葉で表現されています。一度にパッと咲くのではなく、小さな花がちょっとずつ咲いていくことから、のんびりした言葉でイメージされているのでしょう。返事を急いでいる場面や退院間近のお見舞いの花束やアレンジメントに添えるのは控えた方が無難な花言葉です。花を贈る場面によっては、ちょっと気を付けたい花言葉も持ち合わせていることを覚えておいておくとよいでしょう。

切り花として楽しめるのは5日~1週間!

フジバカマは切り花にして床の間とかに飾られることもあります。ネガティブな花言葉は別として、茶人の千利休が「茶室に花を飾る心得として、花は野にあるように」という言葉を残しているように、風情がある秋の野の花の1つとして茶席にもよく飾られます。切り花にした時のフジバカマの日持ちは5日~1週間くらいです。長く楽しみたい場合は、花器の水を少なめにして、水は毎日かえるようにようにしましょう。また水の中に栄養剤を入れておくのも長持ちさせる1つの手段です。
 

フジバカマによく似た花

フジバカマとサワヒヨドリのミックス花

フジバカマは秋の七草の1つとして「万葉集」の中でもたびたび詠われているので、名前はよく知られています。しかしフジバカマの数は大変減っており、現在、フジバカマは準絶滅危惧種に指定されているのです。私たちが園芸店や生花店で「フジバカマ」という名で購入できる花は、フジバカマとサワヒヨドリの雑種で「サワフジバカマ」といわれるものがその大半です。「フジバカマ」と名乗るくらいですから、フジバカマによく似た花です。自生種のフジバカマに比べると小型で、全体に花色が濃い紫色をしています。この種は地下茎で繁殖旺盛でたくさん育ちます。開花は本来のフジバカマと同じ10月~11月ごろです。白い花の種類もあります。


フジバカマの仲間

準絶滅危惧種に指定されているフジバカマですが、フジバカマの仲間でよく似た花がいくつかあります。現在園芸店や生花店で「フジバカマ」の名で売られている「サワフジバカマ」の元来の一種であるサワヒヨドリ、サワヒヨドリの変種のハマヒヨドリ、またフジバカマの属名でもあるヒヨドリバナ、その園芸種であるヨツヒヨドリバナなど。茎丈の高さが違ったり、花びらの数が違ったりと、ちょっと見ただけでは見分けがつかない、フジバカマとよく似た花がいくつかあります。ただどれも同じ時期に咲くフジバカマの仲間です。

花言葉を知ってフジバカマを観賞してみよう!

Photo by anro0002

秋の七草の1つフジバカマ。開花しているときは花を楽しみ、枯れてしまえば桜餅のような匂いが楽しめるので、ドライフラワーにすると2度楽しむことができます。ドライフラワーを小さく砕いて匂い袋にして持ち歩くのもおすすめです。花言葉には「ためらい」や「遅れ」などという少し後ろ向きの言葉もありますが、「ためらってよく考えて前に進む」「遅れてもマイペースで頑張ればよい」とポジティブに思考を変えて秋の七草を楽しんでください。

花言葉についてもっと知りたい方はこちらもチェック!

当サイト「暮らしーの」では花言葉について、他にもまとめています。月曜日は連載して春、夏、秋、冬と季節を追いながら、季節ごとに見られる花を掲載し、その花の特徴や、その花の花言葉や由来について解説しています。花の誕生説やエピソードなども興味をそそられる話もご紹介しています。花言葉についてもっと知りたい方は、こちらもチェックしてみてください。