シクラメンの特徴
シクラメンはサクラソウの仲間
10月下旬から3月に花期を迎えるシクラメン。市場には10月~5月頃まで流通していますが、最盛期は11月~12月頃です。冬の鉢物の定番中の定番です。サクラソウの仲間で、晩秋から春にかけて次々に花を咲かせます。サクラソウ科シクラメン属、学名はCyclamen persicumと表記します。原産地は地中海沿岸。一般的な花色は赤、白、ピンクですが、近年は黄色や紫など珍しい花色のシクラメンや、花びらもフリルのもの、大輪種からミニ品種、耐寒性のあるガーデニング用のシクラメンなど毎年次々と新品種が登場しています。
シクラメンは球根植物
シクラメンは花びらが2~3cmのミニ品種から5~6cmの大輪種までいろいろな花の大きさのある球根植物です。地中の中から葉が生えて見える根生葉で、葉の形はハート型や卵型をしています。根生葉の中心から花茎を伸ばし、スッと伸びた茎の先に5枚の花びら持った花をつけ、後ろに反り返えしたような形に花を咲かせるのが特徴です。ガーデニング用にシクラメンは耐寒性のある原種のシクラメンをもとに、品種改良された小型のシクラメンで、室内で楽しむ寒さに弱いシクラメンの鉢植えとは育て方が少し違います。この種類は普通の宿根草と同じような感覚で、庭に植えたり、寄せ植えにしたりして楽しむことができます。
室内用の鉢植えを上手に育てるコツ
室内用のシクラメンの鉢植えは、室内の窓辺など、日当たりがよく涼しい場所で育てるとよいでしょう。水は用土が乾いたら与えますが、葉や茎、球根に直接かけるのではなく、株元に与えるのがシクラメンの水やりのコツです。ただし密植している場合は難しいので、そのような時は、ボールに水を張り鉢ごとつけ、鉢底から水を吸わせる底面給水をするとよいでしょう。枯れた花柄は花茎の根元からねじり取ります。花後は、涼しい場所で鉢ごと乾かし休眠させ、翌年の秋に球根を掘り起こして植え替えすると、長い間楽しむことができます。
シクラメンという花名の由来
ギリシャ語で「円」を意味する言葉が語源!
シクラメンは、花が終わって種ができると、花首(花茎)をくるくると円を描くように巻き込む特徴があります。ギリシャ語(Κύκlοs)の「円、螺旋形の(らせんけいの)」という意味を持つ言葉が語源になり、「シクラメン」という花名になったそうです。ちなみに英名の「sowbread」の意味は「豚のパン」という意味ですが、この英名の呼び名の由来は、ヨーロッパではシクラメンの球根を豚が好んで食べることから由来してこのような花名が付いたそうです。
学名の「Cyclamen」も同じ意味が由来
学名とは世界に共通する植物の名前です。通常「属名」と「種小名」の順番に記載されています。「属名」はその植物の特徴や性質を表現した言葉で表されています。シクラメンの学名の属名「Cyclamen」 は花名の由来と同様に「円、螺旋形の」という意味のギリシャ語に由来しています。花が付くと茎が丸くねじれていく性質から「Cyclamen=円」という属名が付いたそうです。ただし近年、品種改良された種類には、丸まらない品種も少なくありません。
シクラメンの和名とその由来
和名は篝火花(カガリビバナ)
シクラメンの和名は篝火花(カガリビバナ)と言います。反り返って上を向いた花びらが篝火のように見えることが由来した花名です。また「篝火花」という呼び名の説は、一方でこんな説もあります。それは、昔、日本ではシクラメンのことを、英名の「sowbread」をそのまま訳し「豚の饅頭」という名で呼んでいました。しかし明治時代の末期に日本の1人の植物学者が、花の美しさとあまりにもかけ離れている呼び名であるということで「篝火花」と名付けたという説です。
歌人の九条武子も「篝火のようだ」と!
明治時代の末期、美人の歌人として名を上げていた九条武子が、新宿御苑の温室で、友人と一緒にシクラメンを見ながら、「まるで篝火のようね」と話していたのをきいて、その名がひらめいたと言われています。ただ「篝火花」という花名はその後一般には広まりませんでした。
シクラメンの代表的な花言葉
「はにかみ」「内気」「遠慮」
華やかな花の印象ですが、シクラメンを代表する花言葉は「はにかみ」「内気」「遠慮」と控えめな言葉でイメージされています。完全に咲くと、上向きに反転しますが、咲き始めの花の姿がやや下向きに咲いている様子が、恥じらっているように見える、見た目の印象から付けられた言葉だと言われています。
シクラメンの花言葉に由来する伝説
「はにかみ」「内気」「遠慮」という花言葉は、古代イスラエルの王様のソロモン王にまつわる伝説から付いた言葉だという説も1説にあります。ソロモン王は花好きで知られていましたが、自分の王冠に美しい花を刻みたいと兼ねてから思っていました。草花と話をすることができる才能に恵まれていたソロモン王は、いろいろな花に相談しましたが、ことごとく断られ、シクラメンだけは承諾してくれたのだとか。
ソロモン王に感謝され「はにかんだ」シクラメン!
王冠のデザインになることになったシクラメンは、王に感謝のお礼を伝えると、王もお礼を言いました。そしてシクラメンは、嬉しさのあまり、恥ずかしくなって照れてしまい下を向いてしまったのだと。その時以来シクラメンの花は首をかしげるようになったという伝説です。この伝説が由来となり、シクラメンは「はにかみ」「内気」「遠慮」という花言葉が付いているという説もあります。
シクラメンの花色別の花言葉
赤、白、ピンクのシクラメンの花言葉
よく見かけるシクラメンの花色は、赤や白、ピンクの花色が多いですが、近年は毎年次々と新品種が発表されて、花色も黄色や紫などのほか、花びらの縁に色が入っている種類など、たくさんの種類を見かけるようになりました。一般的な花色である赤、白、ピンクにはそれぞれ花言葉があります。赤いシクラメンは「嫉妬」、白いシクラメンは「純情」、ピンクのシクラメンは「内気」「はにかみ」「憧れ」という花言葉でイメージされています。
色別の花言葉の由来
シクラメンの花色別の花言葉の由来は、その理由の根拠は、残念ながら明白な根拠はわかりません。ただ赤いシクラメンの花言葉の「嫉妬」とは、反り返った花びらが燃え上がる炎ようにも見えることと、赤という色のイメージから、情熱的だともいわれるけれど、燃え上がる嫉妬心をも連想させるといわれる説があります。ピンクのシクラメンの花言葉は、ピンクの色のイメージに加え、花姿がはずかしがっているように見えることから、そして白いシクラメンの花言葉は、白い花に共通するイメージから付いた言葉だという説があります。
シクラメンの鉢植えはお見舞いには禁物!
花名の語呂合わせがお見舞いには不向き!
鉢植えは「根づく」が「寝つく」ということで、病気が長引くことをイメージさせて、お見舞いの花には不向きとされています。どんな綺麗なシクラメンの鉢植えも、病院へお見舞いの花に贈るのは都合の悪い贈り物です。またシクラメンの花名は「死(シ)」と「苦(ク)」の語呂合わせが、死を思わせるマイナスのイメージであることで、病気の方へのお見舞いの花には不向きな花だとされています。シクラメンの鉢植えを贈るときには、そんな点を気を付けて贈りましょう。
伝承では安産の花と言われていた!
古代ギリシャ・ローマ時代から伝わる伝承では、シクラメンには出産を促す薬効があるとされて「安産のお守り」として妊婦の女性の常備薬とされていたこともあったそうです。ただ、妊娠中の女性がシクラメンをまたぐと流産するという噂もあり、危険な花とも捉えられていたという話が伝承されています。
花言葉を知ってシクラメンを飾ってみよう!
11月から新春にかけてお花屋さんや園芸店の店頭を飾るシクラメンの花。斑入りの葉から伸びた茎の先に咲かせる花は、まるでお辞儀をしたような花姿で、本当に恥じらっているように見えます。一般的のシクラメンの鉢植えは、室内の暖かく日が差し込む場所で管理しましょう。室外でも育てられるガーデニング用のシクラメンも近年人気です。花の少なくなる冬の季節、シクラメンの花言葉を知って、シクラメンを飾ってみませんか。
花言葉についてもっと知りたい方はこちらもチェック!
当サイト「暮らしーの」では、花言葉について他にもまとめています。花言葉と一緒にその花の育た方のほか、月曜日は連載で季節の花を追いながら、その花の花言葉や花名の由来、その花にまつわる伝説などを解説しています。花言葉についてもっと知りたい方はこちらもチェックしてみてください。

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