キクの特徴
秋を彩るキクは奈良時代に中国から渡来!
春のサクラと同様に、日本の秋を彩るキクは、奈良時代に中国から渡来してきました。キク科キク属の多年草で、学名はChrysanthemum morifoliumと表記します。学名の「Chrysanthemum」の意味は、ギリシャ語で「黄金の花」という意味、そして「morifolium」とは、同じくギリシャ語で「クワの葉のような」という意味です。お花屋さんに行くと通年出回っていますが、本来の開花時期は秋、9月下旬から11月で、毎年秋になると愛好家によるキクの品評会が各地で開催され、私たちの目を楽しませてくれます。
花の色も黄色や白、黄緑などたくさん!
キクにはたくさんの品種がありますが、それに比例して花色もたくさんあるのがキクの花の特徴です。昔からあるオーソドックスで人気の色は黄色、白、ピンク。そして現代ではオレンジや黄緑、茶色、赤いキクも人気です。ちなみに大きさの特徴別に分類すると、花径が18cm以上のものを大キク、9cm以上のものを中キク、9cm未満のものを小キクと分類しています。さらにそれぞれの咲き方などによって細分されて、たくさんの種類のキクの観賞が楽しまれています。
皇室の家紋としても使われている高貴な花
キクの花は縁起の良い吉祥紋!
キクの花は皇室や宮家の家紋にも使われています。皇室の家紋として使われ始めたのは、12世紀後半の後鳥羽上皇時代からと伝えられています。そのほかキクは50円硬貨や日本人パスポートのデザインにも使われており、これまでもキクの花は縁起の良い吉祥紋として様々に使われてきました。奈良時代に中国から伝わったキクは、平安時代に栽培が盛んになりたくさんの品種が作られました。江戸時代になるとさらに品種改良が進み、江戸菊、佐賀菊、伊勢菊など、今に伝わるたくさんの品種が誕生しています。
キクは格式のある花なので仏壇に飾る!
キクというと、仏壇にお供えする花など仏花であるようにとらわれがちですが、仏壇に供えるようになった意味は、昔からキクは花の中でも格式の高い花とされており、仏様に敬意を払う意味からキクをお供えするようになったのです。この後に解説するキクの代表的な花言葉も、品格のある言葉でイメージ付けられています。ちなみに生け花として長持ちしてくれるというほか、香りがよいこと、邪気を払う意味があるからなどの理由でお供えの花に選ばれています。
和名は「菊」の意味
花びらを綴じたような形が由来
キクの和名は「菊」または「家菊(いえぎく)」です。菊という呼び名は、古語の「クク」という語源から転訛した呼び名です。「クク」とは小さな花びらを集めて、くくって綴じたような花の形から「くくる」という言葉が転訛したものです。「菊」という漢字は、両手で丸めて水をすくうことを、昔は「掬く(きく)」と言い、その言葉が転じて「球(きゅう)」、そして球状の花を咲かせる草だから草冠を付け「菊」という漢字が誕生したという、和名まつわる面白い説もあります。ちなみにキクは別名「イエギク」とか「マム」という名で呼ばれています。
キクは秋の味覚にもなる!
キクの種類の中で、苦みの少ない品種は、食用キクとして栽培され、秋の味覚としても楽しまれます。食用キクは中国では不老長寿の霊草とされており、キクの花ビラのお茶(菊花茶)は、「若返り」の妙薬だと古来からキクを食べる習慣があります。日本でもキクを浸した菊酒(きくしゅ)のほか、お浸しや酢のもの、てんぷらなどにしてキクを食べて楽しみます。
キクの色別の花言葉
キクの代表的な花言葉は「高貴」「高潔」「高尚」
キクは多種多様で、色や花びらの形、花の大きさなど色々な特徴を持つ品種がたくさんあります。すべてのキクを代表する花言葉は「高貴」「高潔」「高尚」です。どの品種にしても気品に満ちた品格のある花姿のイメージから由来している花言葉であるといわれています。
気品のある菊花紋章とは
花言葉にも「高貴」という言葉で印象付けられるキクは、皇室の家紋となるご紋。正式には「十六八重表菊(じゅうろくやえおもえぎく)」といい、「菊花紋章(きっかもんしょう)」とは正式名称の略名です。身にまとうだけでも吉祥の意味があるとされて、着物や器の文様に取り入れられました。「菊花文様」は豊穣、富、美をもたらし、高貴な美しさや品格を身に付ける意味があるとされています。
黄色のキクの花言葉は「長寿」「幸福」
黄色のキクは、キクの代表的なカラーですが、黄色のキクの花言葉は「長寿」と「幸福」です。原産国の中国では古来から不老長寿の薬草とされてきました。菊の花びらのお茶は若返りの妙薬とされ、いつまでも若々しくいられる長寿の花という意味で、食用として利用されるキクが黄色であったことに由来します。また黄色という色は黄金の象徴であることから「幸福」というイメージを印象付けています。
白いキクの花言葉は「誠実」「真実」
キクと言えば、白いキクの花もキクの代表カラーです。白いキクの花言葉は「誠実」と「真実」です。品格のある花姿と、白い花に共通するイメージが相まり「誠実」そして「真実」という言葉で印象付けられています。
ピンクは「甘い夢」赤は「あなたを愛しています」
ピンクや赤いキクの花言葉の意味は、見た目の印象と、その色が象徴するイメージが由来となった言葉が付いています。ピンクのキクは「甘い夢」、そして赤いキクは「あなたを愛しています」です。どちらも恋人に送る花束に添えたい、可愛い花言葉をもった花色のキクです。
説話が由来する花言葉「厄除け」
旧暦9月9日は菊花酒を飲む風習があった
花言葉の由来となった説話は中国に伝わる話ですが、日本でも平安時代から9月9日は「菊の節句」(別名「重陽(ちょうよう)の節句」)と言って、この日にキクの花びらを浮かべた菊花酒を飲み、邪気を祓う風習がありました。そんな風習にまつわる中国の説話が由来となり、キクは「厄除け」という花言葉も密かに持ち合わせています。
中国に伝わる説話とは
キクの花言葉「厄払い」に由来する菊酒の風習にまつわる中国の説話とは、こんな話です。昔1人の男が友人を訪ねたところ「今年の9月9日に災厄が起こるから、その日は家を離れ、高い山に逃げなさい。そしてそこで菊酒を飲んでいれば災いは避けられる」と助言されたのだと。そしてその男は友人の助言に従って、災難の逃れたのです。それ以降、その男は毎年9月9日は一家そろって菊酒を飲み、皆の無事を祈ることにしたという話が中国全土に伝わったとされています。あまりメジャーは花言葉ではありませんが、こんな説話が由来となった「厄払い」という花言葉もキクの花は持ち合わせています。
花言葉を知って秋を象徴するキクを観賞しよう
多様多種のキクは、どの種類も品格のある花姿をしています。皇室のご紋の文様になるキクは、代表的なキクの花言葉「高貴」「高潔」「高尚」のイメージ通りの花姿です。長い歴史を経て品種改良を重ねたキク。秋の「菊花展」では、愛好家によって端正に育てられたキクが楽しめます。欧米で品種改良されたスプレーキクは花束やアレンジメントにも最適です。キクの花言葉を知って、今年の秋はキクの花を存分にお楽しみください。
花言葉についてもっと知りたい方はこちらもチェック
当サイト「暮らしーの」では、花言葉についてほかにもまとめています。また月曜日は連載で季節を追いながら、四季折々の花の花言葉を紹介しています。これまで知らなかった花の誕生説や伝説も解説!花言葉についてもっと知りたい方はこちらもチェックしてみてください。

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出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/3614920?title=%E8%BE%B2%E5%AE%B6%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%8C%E8%82%B2%E3%81%A6%E3%81%9F%E6%BA%80%E9%96%8B%E3%81%AE%E5%A4%A7%E8%8F%8A&searchId=46153315