キキョウの花の特徴
秋の七草の1つに数えられるキキョウ
春の七草は日本の習慣で、お正月明けに厳しい寒さを乗り越えるため、7つの草花を刻んでお粥にして食べることでお馴染みですが、秋の七草とは、秋の訪れを知らせ、秋に観賞するための秋を代表する美しい草花のことです。奈良時代の歌人である 山上憶良(やまのうえのおくら)が 万葉集の中で選定した7つの秋の花を「秋の七草」といいます。キキョウはその秋の七草の1つに数えられている花です。
キキョウ科キキョウ属の草花
キキョウの見ごろの時期は7月~9月。上品な青紫の花色の鐘状の花を咲かせます。キキョウ科キキョウ属の多年草の草花で、学名はPlatycodon grandiflorusと表記します。草丈は40cm~80cmくらいの高さで、本来は草地に生える山野草ですが、今では自生している姿は、稀にしか見ることはありません。オーソドックスな花色は青紫色ですが、近年の園芸品種には、淡紅色や白や混色の花色も仲間入りしました。
別名は「紫花」「岡止々岐」
花の色や咲いている場所が由来した呼び名
キキョウは別名「紫花(むらさきばな)」とか「岡止々岐(オカトトキ)」と呼ばれています。「紫花」という呼び名は、青紫色の花色の特徴が由来した呼び名。そして「岡止々岐」とはキキョウが自生している場所が岡の上であること、そして美味しい秋の山菜である止々岐(釣鐘人参)に似ていることからこのように呼ばれているのだそうです。昔は蟻の出す酸で紫色の花が赤く染まる特徴から「蟻の火吹き」などとも呼ばれていました。ちなみに英名は、花の形からballoon flower(風船の花)とか、bell flower(鐘の花)と呼ばれています。
根は漢方薬として活用される!
原産国は日本、朝鮮半島、そして中国などです。キキョウは有毒な成分を持つ草花とみられていますが、中国や朝鮮半島では、それを上手に処理して、根の部分を漢方薬として活用する習慣があります。咳を鎮め、痰を取り除く効果があるそうです。
和名が由来するキキョウの花言葉
「多徳」「加徳」
キキョウの和名は「桔梗(ききょう)」と書きます。本来の漢字の読みは「きちきょう」と読みますが、その読み方が転訛して「ききょう」と呼びます。「桔梗」という和名は、縁起の良い字に恵まれており、「更に吉」という語呂合わから「縁起を担ぐ」という意味が名前に秘められていることが由来し、キキョウは「多徳」「加徳」という花言葉を持ち合わせています。縁起の良い秋の七草と言われるのは、この和名が由来したものです。
家紋に人気!「勝利」という花言葉もある
キキョウは和名の「桔梗」が縁起の良い名前であるということで、家紋に人気の花です。昔、桔梗紋を付けた武将が勝利を治めたという歴史があります。源頼朝が率いる武将たちが、キキョウの花を兜の前立てに挿して戦い、大勝利を得たことで、縁起の良い花としてキキョウをモチーフにし、清和源氏を象徴する家紋にされた歴史があります。そんな歴史が由来し、あまり知られていない花言葉ですが、「勝利」という花言葉もキキョウは持ち合わせています。キキョウは武士からも人気の花でした。
見た目の印象から由来するキキョウの花言葉
「誠実」「清楚」「気品」
品の良い立ち姿や、清らかな色など、見た目の印象からキキョウは「誠実」「清楚」「気品」という花言葉で印象付けられています。どれもキキョウを表す代表的な花言葉です。凛としていて控えめな花姿に由来するキキョウの花言葉。古くは「万葉集」にも詠まれ、長く日本人の親しまれてきた秋の七草の1つであるキキョウの青紫色は、日本の女性から好まれる色で、特に紫のキキョウは「気品」、そして白いキキョウは「清楚」という花言葉で印象付けられています。
万葉集の中のアサガオはキキョウのこと!
「万葉集(8巻1538)」で山上憶良が詠んだ歌の中に「荻の花、尾花葛花 なでしこの花 女郎花 また藤袴 朝顔の花」という歌があります。この歌の中には秋の七草に朝顔(アサガオ)の名が入っています。しかしこの最後の「朝顔の花」とはキキョウの花のことであろうと言われています。理由はさなかではありませんが、アサガオが日本に渡来したのが奈良時代であり、万葉集の中の他の句でキキョウを思わせる花が「アサガオ」と詠まれていることで、万葉期のアサガオは、イコール、キキョウであるというのが現代の定説です。
伝説から由来するキキョウの花言葉1:「永遠の愛」「従順」
家紋のキキョウを見つめ夫を待ち続けた伝説
昔から愛され、そして縁起の良い花とされていたキキョウは、武士からも愛され、家紋とされることが多い花でした。武士にも愛されていたキキョウにまつわるこんな伝説があります。その話はこんな話です。ある武士が長い戦に出かけた後、その妻はずっと夫の帰りを家紋であるキキョウの花を見つめながら待ち続けていました。
潔白を証明するため自害した妻!
とうとう夫が帰ってくるという日がやってきました。ところが夫のために宴の準備をしていたところ、帰ってきた夫に別の男性と結婚したと疑われてしまうのです。そして妻は自分の潔白を示すために自害してしまいました。しかしその後、本当のことを知った夫も、悔やんで妻のあとを追ったという伝説です。この伝説が由来し、キキョウの花言葉に「永遠の愛」「従順」という言葉があるそうです。
伝説から由来するキキョウの花言葉2:「怨念」
キキョウにまつわる切ない伝説とは
キキョウの花には、花言葉に由来する切ない伝説がまだあります。その伝説とはこんな話です。わずかな配下の軍勢を引き連れ、戦いに出た平安時代の豪族・平将門は、最愛の妻である桔梗姫が自分を裏切り、敵方に寝返ったと思い、本当のことを問い、信じることもせずに惨殺してしまったのだと。この時、桔梗姫は黒髪を振り乱し無実を訴えたのですが、聞き入れられず殺されてしまったのです。
咲かないキキョウ伝説が由来する花言葉は「怨念」
無実を訴えながら、同時に「この山にはキキョウの花は咲くまいぞ」と言い残して息絶えた桔梗姫。それ以降、秋の草花が咲く季節になってもキキョウだけはこの山には咲かなくなりました。平将門にまつわる伝説は数々ありますが、この伝説もその1つ。この伝説が由来し「怨念」という花言葉があります。将門の終焉の地となった秩父の城峯山の地には「秋の七草 薄紫の花のキキョウがなぜたりぬ 城峯昔の物語」という小唄が昔話を伝承しているそうです。
花言葉を想いながらキキョウを観賞しよう!
和風の気品を感じさせる花色や端正な花姿が、古くから日本の秋を美しく飾ってきたキキョウ。和名の「桔梗」は縁起の良い意味が秘められていて、武士からも好かれていたという花です。秋の七草の1つに数えられるキキョウの見た目、そして伝説が由来する花言葉を想いながら、今年の秋はキキョウの花をとくとご観賞ください。
花言葉についてもっと知りたい方はこちらもチェック!
当サイト「暮らしーの」では、月曜日に連載で季節の花の花言葉を解説しています。これまであまり紹介されていなかった誕生説や、その花にまつわる伝説などを、花言葉と一緒に紹介しています。花言葉と一緒にもっと花のことを知りたい方は、こちらもチェックしてみてください。

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