甘い香りが魅力のキンモクセイの特徴
中国原産の常緑小高木
春はチンチョウゲ、夏はクチナシ、そしてキンモクセイの甘い香りが漂い始めると、季節はもう秋。秋の風物詩として親しまれているキンモクセイはキンセイ科モクセイ属の常緑高木樹です。チンチョウゲ、クチナシに続く三大香木の1つです。キンモクセイは高木樹の中でも樹高が5mほどの小高木樹です。学名はOsmanthus fragrans var. aurantiacusと表記します。原産国は中国。開花時期は9月~10月です。厚みのある濃い緑の葉に、濃い黄色(オレンジ色)の小花が密集して咲いている姿は、それだけでとても美しいものですが、キンモクセイの特徴はなんといっても甘い香りが魅力的なことです。
学名の由来について
学名というのは、全世界で共有とされている植物の名前で、国際的な植物命名の規約に基づき、属名・種小名の順番でラテン語で列記されています。最後に命名者が付記されている場合もあります。属名はその植物の特徴や性質を表す語で、ほとんどがその植物の名の由来となる内容です。
キンモクセイの学名の由来
キンモクセイの学名Osmanthus fragrans var. aurantiacusの属名「Osmanthus(オスマントゥス)」の由来は、ギリシャ語の「香り(osme)」と「花(anthos)」という言葉を合わせた内容から由来するものです。種小名「fragrans(フラグランス」はラテン語で「芳香のある」という意味の言葉。キンモクセイの国際的に通じる名前も、香りが印象的であることが学名にも由来しています。
キンモクセイの和名「金木犀」の由来
キンモクセイは、和名では「金木犀(きんもくせい)」と書きます。和名の由来は、濃い黄色(金色にたとえられる)の花を咲かせるモクセイ(木犀)科の木であることで、このような漢字が使われているそうです。「犀」の字は固いとか、鋭いという意味があり、キンモクセイの樹皮が、動物のサイ(犀)の表皮の固さに似ていることで、この字が使われているのだと言われています。ちなみにキンモクセイの英名は、「fragrant olive」と名付けられています。英名は「香りのよいオリーブ」という意味です。
別名は桂花・丹桂・木犀花
キンモクセイの別名は、桂花(けいか)、丹桂(たんけい)、木犀花(もくせいか)などと呼ばれています。桂花という別名は中国で呼ばれている呼び名で、中国では「雅な花」という意味から「桂花」と呼ばれています。その名にちなみ、中国では白ワインにキンモクセイの花を漬け込んだ「桂花陳酒(けいかちんしゅ)」が親しまれています。甘口のワインのようなお酒で、日本の中華店でも女性客から人気のお酒です。
豆知識として覚えおきたい「ギンモクセイ」
キンモクセイの仲間に、キンモクセイに似た白い花を咲かせるギンモクセイ(銀木犀)という花木があります。開花時期はキンモクセイと同じですが、香りは近づかないとわからないほどしか放っています。キンモクセイの変種ではなく、乳白色の花を咲かせる、キンセイ科モクセイ属のキンモクセイの仲間の花木です。
花言葉に由来するキンモクセイの誕生説
中国の説話から伝えられている誕生説
キンモクセイの誕生説は、中国の説話に伝わる話です。説話の内容はこんな話です。中秋の名月。美しい満月がより一層美しく見えるのは、月の前に立ちはだかるこの花木が、黄金色の花を満開に咲かすからであるという内容から話が始まります。満月の夜に、仙人となり月に登った1人の女が下界を見下ろすと、なんと自分の夫も女仙(中国の女神)から不死の薬を盗み、それを飲んで仙人となり月に登ってきたのでした。
月明かりの美しさに拍車をかける仙木の花
天上界の月には、大きな仙木がありました。緑の葉がいつも茂っている大きな木です。その木は黄金色の花を咲かせ、満開の時はより美しく月明かりを照らすのでした。月に登った夫婦は、月から下界を見下ろしました。そして月の光に照らされる町や湖の光景の美しさに魅せられました。
月の世界の仙木の種が地上で咲かせた花
その美しさに魅せられた女が、月明かりをより美しく見せる仙木の、まるで金のしずくのように咲く花の枝に触れてゆすり始めると、その花や種が月から地上に落ちていったのです。そして地上に落ちた種が大地に根付き、秋になると月明かりのように輝く花を咲かせたのだと。その花がキンモクセイであり、キンモクセイの誕生説だと伝えられています。
誕生説から由来するキンモクセイの花言葉
「陶酔」
キンモクセイの誕生説から由来するキンモクセイン花言葉は、「陶酔」です。月の美しさをなお美しく見せるキンモクセイの花の色。月明かりに照らし出される下界の美しさにうっとりとして、月の光の美しさに拍車をかける仙木にふれて、種が地上に落ち誕生したキンモクセイ。そんな説話が由来し「陶酔」という言葉に印象付けられています。月の美しさを一段と美しく見せるキンモクセイの花の色は、月に登り仙人になった夫婦のみならず、キンモクセイをかすめて満月を望むと、我々もその美しさに魅了させらてしまいます。
「気高い人」
天上界の仙木の種が地上に根付いたのがキンモクセイであるという、中国に伝わる説話が由来して「気高い人」という花言葉に印象付けられるという説がある一方で、「気高い人」という花言葉は、雨が降ると、その魅力的な香りを惜しむことなく、いさぎよく花を散らしてしまう様子が由来しているという説もあります。花が散ると木の下は、まるでオレンジ色の絨毯がひかれたように見える趣も、秋の風情を感じさせてくれるキンモクセイの観賞の見どころです。
見た目から由来するキンモクセイの花言葉
「謙遜」
キンモクセイの代表的な花言葉は、見た目と香りの印象から由来した「謙遜」という言葉です。素晴らしい魅力的な香りを放つのに、花はその香りとは裏腹に、意外に小さく、控えめなことで、キンモクセイは「謙遜」という言葉に印象付けられ、この言葉がキンモクセイの代表的な花言葉として紹介されています。
「成功」「人徳」
「成功」というキンモクセイの花言葉の由来は、黄金色のようなオレンジ色に輝く美しさ、そして心地よい強い香りがするため、上を目指して成功する象徴となる花に見立てられていたことで、「成功」という言葉に印象付けられているという説があります。「人徳」という花言葉の由来は、花が咲く季節には貴人が訪ねて来ることから、幸せを運ぶ木とされていたことに由来しています。
中国の説話が由来するキンモクセイの花言葉
「月明かり」
あまり知られていないキンモクセイの花言葉ですが、誕生説とは別に、中国に伝わる説話が由来し、キンモクセイは「月明かり」という花言葉が付いています。説話の内容は、月の光は綺麗だけれど、太陽ほど輝くことはない月のことを表現している話です。
「月明かり」という花言葉にまつわる説話とは
中国に伝わるキンモクセイの「月明かり」という花言葉にまつわる説話とは、こんな話です。仙人になりそこねた1人の男が月に登ると、モクセイの木の枝刈りの仕事をさせられていたのでした。しかしその枝は刈っても刈っても伸び広がり、いっこうに月の光が明るくならないという話です。この説話は、太陽ほど輝くことのない月を表現した説話とされています。こんな説話が由来となり、キンモクセイを象徴する花言葉に「月明かり」という言葉が付いているのだそうです。
花言葉を知ってキンモクセイを観賞しよう!
三大香木の1つであるキンモクセイは、秋の訪れを知らせる甘い香りが魅力的な花木です。魅力的な香りを放っているに、香りとは裏腹に、花は意外に小さいことが由来して付いた花言葉は「謙遜」です。このほかのキンモクセイを印象付ける花言葉も、説話や誕生説を知ると「なるほど」と感じる言葉です。十五夜の月明かりの美しさに拍車をかけるキンモクセイの花の色。中秋の名月の季節はキンモクセイの見頃の時期です。今年の秋は花言葉を想いながらキンモクセイをご観賞してください。
キンモクセイについてもっと知りたい方はこちらもチェック!
当サイト「暮らしーの」では、キンモクセイについて他にもまとめています。キンモクセイの魅力的な匂いの特徴や、種類、育て方など、キンモクセイについてもっと知りたい方はこちらもチェックしてみてください。
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