はじめに
金剛山とは
金剛山は大阪府と奈良県の県境にあり、奈良時代には修験道の開祖「役の小角(えんのおずぬ)」つまり役の行者(えんのぎょうじゃ)が修行した山として知られています。金剛山への登山口は奈良県の御所市、大阪府の千早赤坂村があり、山頂はトレイルランのコースになっています。
北にある葛城山と共に「葛城金剛国定公園」に指定されています。金剛山の標高は1125mで、それほど高い山ではなく、大阪府側からも奈良盆地からのどの場所からでも見える山で、マップも不要なくらいの山です。時期を問わず日帰り登山が可能で、登山客やハイキング客にも人気があります。
歴史がいっぱい・おすすめの金剛山登山
金剛山には日本の歴史に関わりのあるものが多く、役の行者が作った転法輪寺」や、御所市にある「一言主」を祀っている「葛木神社」、千早赤坂村には鎌倉時代の武将「楠木正成」が鎌倉幕府の大軍を迎え撃つために築城した「千早赤坂城跡」など多くの史跡や神社があります。
これらを見るため、春の時期になれば多くのハイキング客で活況を呈します。また大阪府民にとっては手軽に日帰り登山ができる事と、時期や季節を問わず登山ができる事や、登山の難易度も低い事などから、金剛山は古い時代から人々に愛され親しまれて来たのです。
金剛山登山・千早側からの3つの登山ルート
1.金剛山登山・千早本道を上がる
千早赤坂村から入る千早本道を行くルートは、金剛山ルートの中でも代表的なルートです。このルートはゴールの山頂広場に登頂するまで、マップを持たなくても登山ができるよう、階段が整備されています。そのため日帰り登山ができる初心者向けのおすすめルートです。
金剛山に楠木正成が築いた千早城址
この登山ルートは千早城跡に立ち寄った後、本来の登山道である千早本道に合流し金剛山頂上へと向かうルートで、千早本道のように緩やかな坂が続く登山道とはまるで違い、急な階段が随所にある遠回りのルートなので登山タイムは長くなります。
ルートの途中には、14世紀に鎌倉幕府に抵抗して楠木正成が築城した千早城跡があります。現在は千早城跡に造営されたは千早神社が見どころです。この神社は神秘的な雰囲気を醸(かも)し出しており、時期や季節を問わずハイキング客が訪れます。
千早城は受験生に人気
千早城の戦いのとき、敵の勢力数万から十数万と言う鎌倉幕府の軍勢に対し、わずか数千人ほどの戦力で戦い抜きました。つまり砦にこもって頑として「落城しなかった」ことから、『絶対落ちる事がない』と解釈されており受験生に人気があります。
2.金剛山登山・念仏坂を上がる
金剛山念仏坂ルート概要
念仏坂(伏見林道)登山ルート情報
- 金剛ロープウェイ前バス停
- 伏見峠・ちはや園地
- 山頂広場まで、所要時間約2時間
金剛山の人気登山ルート・念仏坂ルート
念仏坂の登山ルートは、人気があるルートの一つです。このルートは登山の入り口の桃ヶ辻から、伏見峠を通っり「ちはや園地」のキャンプ場を抜けて山頂に行きます。林道の中を行くこのルートは緩やかな勾配で林道が作られ、山頂広場まで行くことができます。
念仏坂ルートの入り口は、千早ロープウェイ前のバス停の便利な場所にあり、またそこにはマイカー利用のハイキング客にも便利な、大阪府営の「金剛山登山道駐車場(駐車可能台数約 180台)」があります。
勾配は緩やか・念仏坂ルート
このルートの利点は、急な坂道ではなく勾配が緩やかな事ですが、その分距離は長くなり、タイムもかかります。けれども途中に設けられた「ちはや園地・金剛山キャンプ場」では、トイレや売店も設けられており、ゆっくりとした山登りやハイキングを楽しむ初心者向けのおすすめのルートです。
念仏坂コースは、 伏見峠で尾根を走るダイヤモンドトレイルと交差します。ちはや園地を過ぎて「一の鳥居」を越えて「夫婦杉」「葛城神社」「転法輪寺」の参拝道を過ぎて山頂広場へ続きます。観光名所を回りながら登山するため距離はありますが、日帰りが可能でハイキングコースとしておすすめです。
金剛山は初心者向けルートが多い
日帰り登山が可能な初心者向けルートですが、このルートから枝分かれした登山ルートがいくつもあって、中級者向けの「文殊尾根ルート」や「細尾谷ルート」、そして「馬の背ルート」のような登山ルートが金剛山にはいくつもあり、変化に満ちているため登山にはマップが必須です。
3.金剛山登山・文殊尾根を上がる
このコースのコース概要
女性に人気の文殊尾根ルート
- 金剛ロープウェイ前バス停
- 伏見林道・文珠尾根
- 山頂広場 行程約100分
金剛山の中でも自然が多い・文殊尾根ルート
文殊尾根ルートは、より自然が楽しめる登山ルートです。千早本道や念仏坂と言った難易度の高いルートは、倒木が横たわっている場所などがあり、道に迷う恐れもあるため、初心者は単独は避けてマップは携帯し、熟練者と一緒に行動することをおすすめします。
山ガールなどの登山ブームで最近人気が出ている文殊尾根ルートには、登山口である百ヶ辻から約10分ほど歩けば、最初に出会う水飲み場があり、裏手には文珠尾根登山ルートへの入り口があります。ここは道標は設置されていないので、登山ルートの穴場なのです。
パワースポットを巡る・文珠尾根ルート
全体的に急な勾配が続き難易度は高くなりますが、沢や谷そして水場があるので、天気がいい時は最高のルートです。自然林が瑞々しい緑を見せ、金剛山でアルプス登山のような気分が味わえるため、女性の登山者が多い知る人ぞ知る穴場スポットです。
初めて上がる場合は、上りは千早本道・下りは文殊尾根ルートでと言った登山計画もおすすめです。ルートの途中にある「岩屋文珠」は楠木正成が信仰していた知恵の神様パワースポットとして人気があります。
金剛山登山・鞍取坂ルート
金剛山鞍取坂ルート・コースと概要
コース概要は下記の通りですが、何らかの事情があって急ぎ下山する時は、金剛山社務所に立ち寄らずタイムを短縮できるルートで、セトから金剛山登山口まで凡そ50分で下山でき、そこから最寄り駅までバスが利用できます。
鞍取坂ルートコースと概要
- 近鉄富田林駅~(金剛バス35分)~水分~5分
- 建水分神社~45分~足谷林道分岐~1時間5分
- 鉄塔204~1時間~セト~40分
- 金剛山社務所~40分~ロープウェイ駅前(金剛バス40分)~富田林駅
金剛山登山・鞍取坂登山アドバイス
この登山道は古くからあり、全コースとも道はハッキリしていますが、雨水などの侵食によってV字に大きく抉られた場所に、伐採された木や枝が投げ込まれたりしている場所も見かけます。途中、道が不明瞭に感じた場合は、すぐに明瞭な場所まで引き返すことをおすすめします。
途中には展望の良い箇所もあり、充実した気分で登山が楽しめます。下りの念仏坂道は全くの安全なコースです。冬場は山頂で15センチほどの積雪で難易度も高くなり、凍結するため軽アイゼンを携行しましょう。
古い歴史の・鞍取坂ルート
紹介する鞍取坂は、古くから金剛山の参拝道として使われる古い歴史がある登山道です。古くから「ええ道ですな」と評価される事でお分かりのように、この道は「何か」を感じさせてくれる雰囲気をもっています。
江戸時代の初期には、すでに町石道になっており、登山道の起点でありる「建水分神社」の2基の鳥居の間に「六十町」と刻まれた町石が現在でも残っているという風に、とにかく歴史がある登山ルートです。
富田林駅~登山口
富田林駅前から水分行きバスで 水分に行きます。この場所がこのコースの登山口で頂上までの標高差は950mです。バス停から右の方向に進めば「建水分神社」があります。この神社の脇には「右金剛山」の古い道標があり、鳥居が六十町の町石のような感じです。
ゲートをくぐれば花の咲く時期にあじさいやシャクナゲの花が迎えてくれます。この神社の後ろ側に葛城山の山容が広がって見えます。南河内ぐりーんロードに出て右に進み、足谷川にかかっている橋を渡れば、自然林のままの「上赤坂城」の本丸が見えます。
足谷林道~バイパスを上がる
谷に添いながら上がると、両側にみかん畑が現れ、振り返れば岳山城跡に立つかんぽの宿も見え、明るい道が続きます。右手の景色が見えなくなると、まもなく足谷林道の分岐です。分岐は左の細いコースを選択します、このあたりは11月末の紅葉の時期ともなれば、黄色くなったイチョウが見られます。
左手方向にコンクリートブロックを建物が現れると、同じような方向に上の方に道が走っています。下の道は少し先で崩れることがありますので、そんな時はバイパスになる踏み跡があるので、その道を少し歩いていけば約100m先で小路に出ます。
ヤセ尾根~セトへ
小道を右に進むと鉄塔下の刈開けた場所に出て、六甲山脈や明石海峡大橋が見えます。ヤセ尾根を通り過ぎ、次に来る分岐で斜面を行きます。直進する道は崖崩れで難易度が高い道になり、その先で北尾根に合流します。
左手に葛城山の展望が開けて、目の前のすすきが目を引きます。三叉路になったところは標高約880m のセトでは直進し、熊笹が美しく繁る成木の植林の中を進みます。県境を越えるまで急な登りが続き、周りにブナの木が見え始めると山頂が近くなります。
展望台~念仏坂を下る
山頂で「転法輪寺葛城神社」の一の鳥居をくぐって右へ進むと、そこには展望台が広がっています。ここは金剛山の樹氷の絶好の撮影ポイントで、奈良盆地や大阪平野も見えて眺めは抜群です。
ピクニック広場やキャンプ場を過ぎたら伏見峠に到着します。ここで進路を右にとり念仏坂を終点のロープウェイ前バス停まで降りて行き、そこからは最寄り駅までバスを利用します。
金剛山登山・天ガ滝新道ルート
天ケ滝新道ルート概要
ルートの歩行時間は約5時間で、一般向けの登山コースのため難易度は低いです。登山口の御所駅までは、阿部野橋駅から近鉄吉野線急行で30分、尺土駅で御所線に乗り換え15分で御所駅到着です。
一度山の中に分け入れば、植林の中だけに展望には恵まれませんが、金剛山の中では一番綺麗な道でマップも不要なほどです。崩れたところもなく、水の流れでえぐられた場所もない 道で小和にかけては、古い金剛山道で江戸時代の道標が残っています。
金剛山登山・天ガ滝新道ルート
- 近鉄御所駅~20分(奈良交通バス)~住川(25分)
- 八幡神社~45分~桜の広場(30分)
- 天ヶ滝~35分~中の平(35分)
- 伏見峠~45分~山頂広場~セト(55分)
- 金剛山登山口~35分~近鉄富田林駅・または南海河内長野駅
住川~さくらの広場
近内の八幡神社から小和の集落まで、古い道標と出会える金剛山の古いお参り道「小和道」を歩きます。谷に沿ってシャドウを上っていくと終点には桜がたくさんあり 、季節には立派な花園となります。中腹の天ヶ滝は、奈良県が選んだ「大和の水」に選ばれています。
バス下車~登山口
近鉄御所駅前から五條バスセンター行き奈良交通バスで、住川(すがわ)で下車します。 バス停の手前の信号を西に向かいます。または JR 北大路駅で下車し線路沿いに北へと歩いても同じ道に合流します。
手前の大きな山は中葛城山、 左のおむすび形の山は神福山、右手の方に電波塔が見えるのは湧出岳です。右下には猿谷ダム管理のための電波反射板が光って見えます。公民館前の三叉路を右に進み、街並みを進むと正面に八幡神社が見えます。
小和道~登山口
神社の手前の三叉路方角に文化3年の古い道標があります。「 右五条かうや・左こんがう山」と文字があり、ここが金剛山頂の転法輪寺へのお参り道である小和道です。 神社の前には「右金剛山左地福寺」の昭和2年の道標もあります。
広い道路を横切り、右手の端の道端に「金剛山道」と書かれた寛政八年の道標と、「左かんがう山」の道標があります。ここで橋を渡り「ばあく」の店の前を通って金剛山に通じている場所で、小和道とは別れて直進して桜の広場に着きます。
中尾根~天ケ滝
広場で二つに分かれる谷の中尾根を登り、とっかかりのアルタ階段で100mの高度を稼ぎ小さな平坦地に出ます。ここから天ヶ滝へは約3分で行くことができます。ぐんぐん登って中ノ平に着きます、この辺りの標高は750m、 頂上まではまだまだです。
小和道~伏見峠~山頂
小和道の新欽明水という水場を過ぎて伏見峠に向かいます。伏見峠からキャンプ場そしてピクニック広場を終えて展望台に到着です。村の林を過ぎると間もなくすると、一の鳥居に到着です。
鳥居をくぐって山頂に向かいます、葛城神社の手前に美しい村の林があり目の前には葛城山がドット座り、樹氷の季節はカメラマンが一列に並ぶ場所です。
山頂広場〜セト〜金剛登山口
葛城神社から転法輪寺に出て、境内を横切って国見峠に向かいます「金剛山町1125m の道標を右手からセトに向かい下って行きます。セトにはベンチがあって鞍部になっており、ここから左へ下って黒栂谷に出ます。谷沿いに下り林道に出て、そこから金剛山山口までは一本道です。
金剛山登山のまとめ
最後までお付き合い頂きありがとうございます。金剛山への登山ルートを幾つか紹介しましたが、金剛山はそれほど高い山ではなく、日帰りできるため身近に感じられる山です。
これらのルートのなかには、高いレベルが求められるルートもありますが、マップなどで位置を確認しながら登山すれば困難ではありません。
日帰り登山に興味が持たれた方は、次の記事もどうぞ
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