はじめに
家庭菜園初心者にもおすすめの果樹!イチジクの栽培方法
甘いイチジクはお好きですか?生食はもちろんジャムにしたりドライフルーツにしても美味しい果物ですね。昔は一家に1本はあったくらい手間がかからずたくさん実が取れるイチジクの木を自分で育てて収穫してみませんか。買ってきた苗の植え付けから水やりや肥料といった日常管理、収穫・大きくなった木の植え替え時期の見分け方とお手入れ方法を順を追って解説します。また自宅でもっと甘いイチジクの木を増やしたい方へ剪定した枝を使った挿し木の方法もわかりやすくご紹介しましょう。
イチジクについて
基本情報
科・属:クワ科イチジク属
原産地:地中海沿岸やアラビア半島の南部地域
英語名/学名:Fig tree/Ficus carica
イチジクの名前の由来
イチジクは少し変わった名前ですね。いったいどうやってこの名前が付いたかご存知でしょうか。これは1日にして1つの果実が熟し次々に毎日収穫できるというところから一熟と書きこれがなまってイチジクとなりました。こんな名前の由来を知るとたくさん採れそうでワクワクしますね。
イチジクの果実の旬の時期は
そんな甘い果実の旬の収穫時期は夏。場所や品種にもよりますが7-10月が実の盛りです。葉の数だけ実が付きますので温かい地方ではもう少しながくたくさん採れるでしょう。
イチジクが家庭菜園におすすめの理由
1本だけでも果実がなる
イチジクは単為結果(たんいけっか)といって実の結実に受粉が必要ありません。1本の木を植えておけば放置で甘い実ができてくれます。果樹によっては人が受粉してあげなければなかなか結実まで至らなかったり、品種の異なる2本を近くに植えなくては実がならないというものもある中これほど簡単に収穫までいける果物も珍しいでしょう。
地植えでなくても鉢植えでも楽しめる
またこの木は樹高が低くてもしっかりたくさん結実してくれるので、地植えだけでなく鉢植えやプランターでも十分たくさん収穫量があります。摘心をしっかりして大きくならないようにお世話すれば、狭いベランダや室内での管理も容易でしょう。
「裕福」や「子宝」など家について良い花言葉がある
イチジクは家に植えるものではないという迷信めいた俗説もありますが、特にイチジクが何か悪い作用をするという事実はありません。逆に昔は薬の木としても用いられたくらい。それだけでなくこのイチジクには子宝や裕福などという家庭にとってポジティブな花言葉もついていますので運気などを気にされる方にもおすすめ!
家庭菜園でのイチジクの育て方!1.日当たり
小さな樹高でたくさんの実が手を加えなくてもなってくれる。しかも良い花言葉まであるとなれば早速育ててみたいと思われた方もいらっしゃるでしょう。まずは植物栽培には重要な日当たり・鉢植えやプランターの置き場所の解説から御覧ください。
イチジクのための日当たり
イチジクは日当たりがよいところで育てましょう。日光にあたることで果実も甘いものに仕上がります。夏の直射日光は平気ですがもともと温かい国原産の果実であるため冬は寒い風を防除してあげる必要があるでしょう。
鉢植えやプランターの置き場所は
鉢植えやプランターなど移動できるものであれば冬は室内で管理するほうがおすすめ。この際もエアコンや暖房器具の風が直接あたらないような場所を選び土の乾燥に気をつけてください。また冬だけでなく雨が直接実に当たるのも嫌います。イチジク農家では畑に簡易的なビニールの屋根を作って雨除けをしているくらい。ご家庭であれば日の当たる軒下などが置き場所として好ましいでしょう。
日当たりと置き場所の栽培ポイント
関東より北の地域では冬の気温がイチジクの生育温度を下回るため、鉢植えやプランター栽培にして室内に置いてください。日光が当たるだけでなく冷たい北風を株に直接当てないような置き場所がポイント。
家庭菜園でのイチジクの育て方!2.土づくり
土は植物によっていろいろと好みがでるところです。はじめてのガーデニングだと少しハードルが高く感じる方もいらっしゃるでしょうが、それほど複雑なことは必要ではありません。イチジク用の土の配合を見ていきましょう。
イチジク栽培の用土
イチジクは土にはそれほどこだわらない植物です。栽培に適しているのは水はけがよく肥えている土。通常の耕された畑の土であれば問題ありません。ご家庭で新しく作るのであれば赤玉土と腐葉土を6-7:3-4くらいの割合で混ぜた一般的な用土づくりでOK。
土づくりの栽培ポイント
庭や畑がなく他に植物を育てる予定がない方は果実用の培養土というものが売られていますので、こちらを利用すると良いでしょう。買ってきたものを鉢やプランターに入れてすぐに植え付けすることができて簡単便利。ホームセンターや花木流通所・通販などで買うことができます。
家庭菜園でのイチジクの育て方!3.植え付け
最初はイチジクの苗を購入して植え付けるのが良いでしょう。慣れてきたら大きくなった木から挿し穂を取って苗を作ることもできますが時間がかかりますので、ある程度プロの方が大きく根付かせてくれた苗をありがたく利用させていただきましょう。
イチジクの苗の植え付け時期
この果樹の植え付けは冬場11-3月くらいにおこなうのが適しています。地植えの場合土が硬ければ苗の根の高さの倍ほどまで掘り起こし耕してから土で半分埋め戻したところに植え付けていくと早く根付きやすいです。鉢植えの場合は地上部分が大きくなって転倒しないよう深めの鉢にたっぷり土を入れて木部分とのバランスをとります。水はけをよくするためにも鉢底石を入れその上に培養土という形にしましょう。
植え付けの栽培ポイント
地植え鉢植えともに植え付け時に根の土はある程度ほぐして広げるようにして土に植えると良いでしょう。また鉢植えなどサイズが合わなくなってきたら2-3年に1度を目安に鉢を1サイズずつ大きく植え替えていくと良いです。植え替えの時期も植え付けと同じ11-3月で。
家庭菜園でのイチジクの育て方!4.水やりと肥料
イチジクの水やりと肥料は大切な日常管理です。この植物はどちらも大好き。甘い果実の成長に影響するところなので、このような果樹では水やりと肥料のやり方は事前によくチェックしておいてください。
イチジクの水やり
非常に水吸いがよくたくさんの水分を必要とする植物です。鉢植えはもちろん地植えの場合でも水やりをしてください。ただし雨水のような果実に直接雨が当たるのは嫌います。よくぱっくりと割れてしまっているイチジクを見たことはありませんか?これは果実が熟れる過程で雨にあたったときによくおこることです。地植え鉢植えともに水やりをするときは木にかけずに地面の土にが基本です。
イチジクの肥料・追肥
肥料の基本は11月から年明けくらいのおこなう寒肥と6と8-9月に行う追肥の年4回の肥料タイミングがあります。どちらも固形の化成肥料でも良いのですができればご家庭から出たゴミで良いので有機肥料を与えるのが好ましいです。
水やりと肥料の栽培ポイント
水やりと肥料はイチジク栽培では気をつけること。逆に他は楽なのでこれだけしっかりしておけば大丈夫というポイントでもあります。冬に与える肥料は有機肥料。夏場の追肥は緩効性肥料(8-8-8など3つの栄養素が同量で配合されたもの)でもかまいませんし用意した有機肥料を株から少し離した場所に埋めても。水やりは水切れを絶対におこさせないよう、地植えでも雨が振らない日以外できれば毎日水やりを日課としてください。
家庭菜園でのイチジクの育て方!5.摘心と芽かき
イチジクはクワ科の植物。クワの木をご覧になったことがあるでしょうか?とても大きくなる木で成長が早くて人の手が入らないとみあげるような大木となっているものが多いです。放置しておくとどんどん伸びる種類。イチジクもそんなクワの性質を持っていますので摘心と芽かきをして大きさ管理と日当たり・風通しの面でもきちんと幹や葉・果実の整理をしてあげることで甘い果実が採れますよ。
イチジクの摘心時期とやり方
イチジクの摘心時期は初夏5月ころ。これは地植えと鉢植えプランター栽培などでいくつ実を付けさせるかが変わってきますが人の手が届きやすい1.5メートルくらいを目安にするとはじめての人にもわかりやすいでしょう。その年伸びている枝の一番先端部分の若い芽を手でかきとってください。この時白い樹液がでますがこれは手につくとかぶれますので手袋などを着用するか剪定バサミでカットしても良いですよ。
芽かき時期とやり方
主軸を伸びないようにすると脇芽が出てくる場合があります。脇芽の位置はなっている果実の茎の根元あたり。ポツンと小さなコブのようなものがあればそれが成長して脇芽となります。脇芽を出させても養分を取られるだけで果実に良いことは何もありませんので摘心後毎日チェックして伸びているようならこれも手で取り除いてしまいましょう。出てきた芽を下にたおすとぽろりと簡単に外れます。
摘心と芽かきの栽培ポイント
摘心は収穫しやすい高さで合わせるというだけでなく余分な果実を付けさせない(養分を確実に熟れる果実に回すという目的)でも大切なお世話。イチジクは葉1枚に対して1個の実がつくのでそれだけでも収穫を想像して嬉しくなりますが、下から順に成長するため日本の気候では上の方の実は熟さぬまま冬で成長が止まってしまいます。付けても良いのですが少しでも甘い大きな果実を収穫するためには適度なところで実の数を制限した方が確実です。
家庭菜園でのイチジクの育て方!6.収穫
植え付け水やりと肥料・摘心などここまでお世話してきた結果ともいえる甘いイチジクの果実の収穫。スーパーなどでは季節の果実として旬の時期にはけっこうなお値段で売られていますが、家庭菜園で育てれば採れたての甘いイチジクが好きなだけ楽しめるでしょう。
イチジクの収穫時期
この植物は一度に実が赤くなるわけではありません。先程も少し触れましたが下から順に熟れてきます。イチジクの名前の由来どおり1日1熟程度とお考えください。そのため収穫時期は長く6月末くらいから11月(品種による幅)。一般的には7-10月くらいが収穫の旬の時期となるでしょう。
収穫時期の果実の見分け方と収穫方法
イチジクは実の色が一番の採り時期の目安。これも白い品種もありますので一概には言えないのですが、全体的に色がまわってきたところが甘いもの。形的な見分け方はおしりのくぼみ。熟れた実はここに穴が開いてきます。置きすぎるとだんだんとこの穴が大きくなってきます。つるんとしているものはまだ収穫時期ではない証拠。少し穴が開いてきたくらいが熟しすぎず美味しいでしょう。
収穫方法の栽培ポイント
水やりや置き場所で雨に当たるといけないというお話をしましたが、収穫時期に台風が重なるときは早めに収穫してしまった方が良いかもしれません。季節的に屋外で管理されていると思いますので、いくら軒下やビニールの仮設屋根が付いていても台風には勝てないでしょう。また地植えでなければ台風の時だけは実の安全を考慮して室内に入れ込んでも良いですね。
家庭菜園でのイチジクの育て方!7.剪定
剪定というと難しそうと感じたり少し身構えてしまう方もいらっしゃるでしょう。しかしイチジクはとても簡単なやり方ですぐ終わってしまうので気楽にいきましょう。一度切る所を決めてしまえば翌年からもそこをカットすれば良いのでそのうち慣れて2-3分程度で終わってしまう作業です。
イチジクの剪定時期
剪定時期は11-3月。暖かくなる前に終わらせるのがお約束です。イチジク農家さんですとだいたい年明け前にこの作業を終わらせる方が多いでしょう。この剪定した枝は新しい苗づくりにも使えますので、挿し木をしたい方は挿し木の時期と合わせるのもひとつのタイミングを選ぶ方法。
剪定のやり方
イチジクはクワの木と同じで水分が多く柔らかいため大きめの剪定ばさみで切ることができます。太い枝の場合怖いと感じたらのこぎりを使用しても。無理してはさみで指を怪我しないよう気をつけてください。切る場所はその年実がなった枝と前年の枝の分岐部分。節から新しい芽が出てきますので分岐根元を切れば2本の枝が。そのひとつ上の節から切れば3本の新芽が出てきます。そのあたりが管理しやすいところでしょう。無駄に増やしても日当たりが悪くなり芽かきが大変になるだけなので避けてください。
剪定の栽培ポイント
イチジクの木の仕立て方・剪定方法はぶどうと似ています。果実が付くのはその年に新しく伸びてきた枝のみ。古い木は土台でしかありません。要するにどこで切っても新しく出できた枝に実がなるためどこでも良いのです。とはいえより日当たりをよくして立派な果実をつけさせるためにどこを切ったら良いのか考えて切っていきましょう。
家庭菜園でのイチジクの育て方!8.挿し木での増やし方
剪定でカットした枝を使って挿し木でもっと株を増やしてみましょう。剪定も簡単でわかりやすいですが挿し木も難しいことはありません。動画もありますが初心者の方でも動画なしでもすぐできますよ。
挿し木の時期
挿し木は3月ころにおこないます。それより前に剪定した枝を使うときは枝を丸ごと土にすっぽり埋めておくと水分が保たれ枯れ木にならず挿し木できます。もし違う種類のイチジクの木が欲しくて農家さんやお知り合いの方の剪定枝をもらってきて苗づくりする場合は、タイミングによってはこの埋める方法で枝を生かしておいてください。
挿し木のやり方
挿し木にするのは枝の先端を避けて埋める場所を残して地上2節に切りましょう。土に埋める部分はよく切れるはさみでななめにカット。節の長さにもよりますがだいたい15-20センチくらいでしょうか。節から枝が出るということを意識して長さよりも節の数で決めます。土は挿し木用の土でも良いですし畑の土でもかまいません。大切なのは保湿です。挿し穂を刺す間隔は20センチ以上。その年はそのまま育てて翌年植え替え時期に鉢植えや地植え場所に定植してあげるという形をとってください。
挿し木の栽培ポイント
苗づくりの方法は簡単ですが、全て根が張るわけではないので特に家庭で少ない本数の挿し木をする場合は余分に保険として挿し木の数を増やしておいてください。だいたい6-7割から8割付けば良い方という見かたでいましょう。またしっかり根づくまでは土の乾燥に注意をしマルチを敷いたり敷きわらをすると同時に水やりもしっかりと。
まとめ
苗づくりも簡単なイチジクを家庭菜園しよう
苗を買ってくれば簡単に収穫までできるイチジクの家庭菜園。剪定した枝を使って自分で苗を作ることもできますし、地植えでも鉢やプランターでも簡単に栽培できます。1本だけでも数十個と採れるのでご家庭では1本あれば十分ですし大きさもそれほど大きくしないよう摘心してあげれば庭がジャングルになることもないでしょう。イチジク栽培に魅力を感じられた方は是非育ててみてくださいね。
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