スノーボードのキッカーの基礎を徹底解説!
スノーボードの醍醐味のひとつといえるキッカーをご存知でしょうか。キッカーで遊ぶと日常生活では味わえないような浮遊感や、疾走感を感じることができるため、スノーボードがより楽しくなります。
楽しくて気持ちいいキッカーですが、その反面正しい知識がないと怪我につながるリスクもあります。そんなキッカーとはなにか、飛ぶための準備・コツ、おすすめの練習法を解説します。この記事を読むだけでスノーボードキッカーが飛躍的に上達するでしょう。
スノーボードのキッカーとは?
スノーボードのキッカーとは雪で作られたジャンプ台のことで、スノーボードを楽しむために欠かせない遊びの一つです。キッカーの多くはスキー場の中のパークと呼ばれるエリアの中に作られています。
スキー場や時期によりパークがある場所と無い場所がありますので、自分が行くスキー場のHPをチェックしましょう。
キッカーの名称の説明
飛び方の前に、キッカーの名称について説明します。キッカーは下記のように3つの要素で成り立っています。最初は覚えにくいと思いますので、キッカーの流れまで読み流したほうが分かりやすいでしょう。
アプローチ
キッカーを飛ぶ前のエリアの名称です。スキー場によってはスタート地点が決められていることがあるので、スタート地点から下記で説明するリップまでがアプローチエリアとなります。
リップ
空中に飛び出す前のエリアの名称で、上っている箇所をリップといいます。跳び箱でたとえるなら踏み切り台のような場所です。後ほど詳しく解説しますが、踏み切り台といっても高く飛ぼうと踏み切っては危険ですので注意しなければなりません。
ランディング
空中に飛び出したあと着地して、滑っていくエリアの名称です。傾斜になっているので衝撃が緩和され着地しやすくなっています。
キッカーのサイズについて
キッカーのサイズは〇メートルと表示されます。よく高さと勘違いされますが、これはリップの先端(飛び出す箇所)からランディングまでの距離のことで高さではありません。最初のうちは1から3メートルくらいの小さいサイズのキッカーで練習しましょう。
スノーボードでのキッカーの飛び方
キッカーの飛び方の中で最も重要だともいえるスキルが入り方です。キッカーへの入り方が飛び方の中で最も重要だといっても過言ではありません。
こちらのスキルさえあれば、ある程度のキッカーは安定して飛べるようになりますが、スキルが無いとキッカーを飛ぶことは、かなりリスクが高いということになります。入り方を学ぶだけでも、大いに価値があり上達への近道となるでしょう。
キッカーの飛び方①キッカーを飛ぶ前の準備
ここからはキッカーを飛ぶ前に必要な準備や最低限必要なスキルについて解説します。これらのことができていないと、キッカーの飛び方を把握していても安全に飛ぶことができません。しっかりと飛ぶ前の準備について把握しておきましょう。
直下れることだけが必須条件
真っすぐ滑ることを直下る(ちょっかる)と言います。まずは真っすぐ滑れるようになること、これが必須条件です。ただコントロール不能で真っすぐ滑るのでは意味がありません。
安定して真っすぐ滑ったり、自分のタイミングで自在に止まったりできるようになりましょう。ターンまではできても、直下ることができないといった人が多く、上達への壁の1つがここにあります。
直下り方の練習方法
木の葉滑りではヒール(かかと)側とトゥ(つま先)側の両方で滑れること、ターンではヒール(かかと)側とトゥ(つま先)側の切り替えをスムーズにすることを意識して練習しましょう。
これは、真っすぐ滑るときにヒール(かかと)側とトゥ(つま先)側の微妙な調節をできるようにするためです。姿勢はお尻と頭を板の上から出さないようなイメージを持ちましょう。
いろんな場所でオーリーをしよう
コースを滑っているときに、自由にオーリーをすることができるようになりましょう。オーリーとはテールをしならせた反発を使って踏み切り、ジャンプすることです。
始めはなだらかな平らな場所で練習するのがおすすめですが、慣れてきたらちょっとした凸凹の凸の部分で仕掛けたり、コース脇のノリメン(壁)で飛んでみたりするなどいろいろな場所で行ってみましょう。
なぜオーリーが必要か
色々な場所で自分のタイミングでオーリーができるようになるということは、真っすぐ滑れるということに繋がります。またオーリーはスノーボードのほとんどのトリックの基礎です。
ぜひこの機会にオーリーで遊びながら、スノーボードをより楽しんでみましょう。また後記で説明しますが、キッカーでの踏み切り時にオーリーは必要ありません。
スキー場では林道を滑ろう
スキー場にはメインのコースの他に、林道や連絡道といったコースがあります。比較的緩斜面になっているので、前記の直下るやオーリーのおすすめ練習コースです。
林道をスムーズに滑れるようになると、自然と真っすぐ滑れるようになるという理屈もあります。
何事でも土台が一番大切
ここまで読んで「キッカーと関係ないじゃないか」と思われる方もいるでしょう。しかし直下る技術が土台、本当に大切なコツであり、一番の近道です。初心者の方がこれらのことを知らずにキッカーに入り怪我をしている所を何度も見ました。
焦らずにゆっくり上達していきましょう。
キッカーの飛び方②キッカーへの挑戦
キッカーの入り方(下準備)ができれば、かなり上達したことになり、もうほとんど飛べたようなものです。アプローチ、リップ、空中、ランディングについて、それぞれのコツを解説していきます。
アプローチですべてが決まる
ジャンプで一番重要なセクションです。初心者の人の大半がジャンプというと、空中のことだけを考えてしまいますが、おそらくアプローチのセクションが一番集中しなければならないところでしょう。
ジャンプはアプローチで全てが決まると言っても過言ではありません。バランスを崩して空中に出てしまってからでは何もできないのです。
アプローチの入り方
アプローチへの入り方で重要なことは真っすぐ滑るということです。真っすぐ滑れないとスピード不足になり危険で、安定して空中に飛び出すことができません。またスピード調整はリップを上り始める手前までに終わらせます。
リップに入る手前、上り始めに一番重力がかかりますので、ここでスピード調整をしようとするとバランスを崩す原因となるため、注意しましょう。
リップの入り方と飛び方
リップから飛び出る瞬間を「抜け」といいます。抜けの瞬間に踏み切り、オーリーはしません。オーリーができる人は飛ぼうと思ってオーリーをしかける人が多いのですが、踏み切りでバランスを崩す原因となります。
うまく飛べるようになるまでは何もせず、リップの角度に合わせて飛んでいくイメージの方が安定して飛べるのです。
空中
空中に飛び出すと足を引き付けて小さくなりましょう。注意点は、頭を下げて小さくなるのではなく、膝を胸に付けるイメージを持つこと。余裕があれば板を手で持つグラブをしてみましょう。
グラブができれば安定にも繋がりますし、かっこいいですよ。グラブについては後記で説明するので参考にしてみてください。
ランディング
着地の前に足を伸ばして、準備をしましょう。着地の際は膝のクッションを使って衝撃を吸収します。この時も板の上に頭とお尻が収まっている体勢をイメージすることで安定して着地できますよ。
またランディングのどの辺りに着地したのかも確認できれば、次回のスピード調整の参考になるでしょう。ランディングの真ん中に着地できたのであれば、スピード調整は完璧です。
スピード調整の重要性
キッカーのサイズが大きくなれば、疎かなスピード調整が失敗につながります。ランディング手前(テーブルといいます)の斜度がないところに落ちたり、反対に飛びてランディングがない場所に落ちたりすると衝撃を吸収できず、怪我の原因にもなるのです。
小さいキッカーの内から練習しておきましょう。
スキー場以外での練習方法
スノーボードは練習場所や時間が限られるといった問題があり、うまくなるのに時間がかかってしまいます。そんなときに下記のような練習ができると、みるみる上達することができますよ。
自宅
自宅でスノーボードを履いて滑る姿勢をつくります。鏡や友人に動画を撮ってもらい姿勢を確認しましょう。こんなことが練習になるのかと思う方もいらっしゃるかと思います。
しかし実際の姿勢と自分の認識が、ずれている方も多いのです。他のスポーツに比べて場所や時間が限られる分、こういった自宅での練習が上達につながります。
オフトレ施設
スノーボードでキッカーを飛びたい人には、オフトレ施設がかなりおすすめ。オフトレ施設とは雪のない時期、春から秋でもスノーボードのキッカーを練習できる施設です。
人工芝を滑ってジャンプし、着地はエアマットという、とても安全で効率よく練習ができます。最近ではオフトレ施設がかなり増えました。〇〇キングスや〇〇クエストといった施設が有名です。オフトレ施設の魅力を3点解説します。
初心者でも大丈夫
初心者でも丁寧に教えてくれますし、スノーボードを数回しか滑ったことのない人や、中には初めてスノーボードをするといった初心者の方もいらっしゃいます。キッカーのサイズも初心者用から上級者用まで数種類作られているためレベルに合わせて選べるのです。
安全に効率よく練習できる
着地がエアマットやプールなので転んでも痛くありません。さらにスキー場では1日に数回程度しか飛べないキッカーでも、オフトレ施設では20回30回と飛ぶことができるのです。
友達や師匠ができるかも
スキー場と違い場所が限られており、同じキッカーを何回も飛ぶことになるので、自然と人との距離が縮まります。そのため、同じ位のレベルの友達ができたり、上手い人からアドバイスをもらったりしやすい環境なのです。
飛んでいる動画を確認する
自分で思っていたよりお尻が出ている等、自分の認識と実際の姿勢には大きな違いがあることがあります。そのため、自分が滑っている動画を見ることは成長への近道なのです。
オフトレ施設ではカメラがついている施設もあり、そういった施設ではジャンプをした後にすぐチェックできます。
トランポリンもおすすめ
トランポリンは体幹が鍛えられ、空中感覚が養われます。最近ではトランポリン施設も増えてきたように思うので、近くにトランポリン施設がある方はぜひ一度遊びに行ってみてください。気軽に運動ができてダイエット効果も期待できますよ。
キッカーでできるおすすめのトリック
安定したジャンプができるようになれば、トリックにも挑戦してみましょう。ここからは空中で板を持つグラブや、回転するスピンなどかっこいいトリックについて解説します。
おすすめのトリック①グラブ
グラブは持つ手と、板を持つ位置によってトリック名が変わります。以下はレギュラー(左足が前で)で滑る人の表記です。グーフィー(右足が前で滑る人)は左右が反対になります。
グラブの種類
インディグラブは右手でトゥサイドの足の間の板を持つグラブです。メランコリーグラブは左手でヒールサイドの足の間の板を持つグラブで、ミュートグラブは左手でトゥサイドの足の間の板を持つグラブとなります。
その他にもたくさんのグラブがあるので、気になるトリックがあればぜひ挑戦してみてください。
おすすめのトリック②スピン
スピンは回転方向によってトリック名が付きます。振り返るように進行方向に背中を向けて回すスピンをバックサイド、進行方向にお腹側を向けて回すスピンをフロントサイドと呼びます。
レギュラーの人は右回転がバックサイド、左回転がフロントサイドとなり、グーフィーの人その逆です。
おすすめのトリック③グラブとスピンの組み合わせ
レギュラーの人が右回転しながら、左手でトゥサイドの足の間の板を持って、1回転すると「バックサイド360ミュートグラブ」となります。このようにグラブとスピンを組み合わせることにより、新しい技ができるのです。
難易度は少し高めですが、トリックに慣れてきたらぜひ挑戦してみてください。
トリックのコツ
このようなトリックのコツは、真っすぐ飛ぶストレートエアーを安定させることです。安定して飛べるようになればグラブやスピンといったトリックに挑戦できるようになります。
パークのルールについて
スキー場のパークにはキッカーやレール(手摺りのような鉄)ボックス(鉄板やアクリルでできた箱のようなもの)など色々なアイテムがあります。遊ぶ際には危険につながる行為もありますので、下記のようなことに注意して楽しみましょう。
キッカーの横切り禁止
他の人がキッカーに入っているときに、横切る行為は大変危険です。また、ランディング付近で止まることも衝突の原因となります。
こちらが気を付けていても、無知な人や子供が横入りしてくることもあるのです。そういった場合は無理をせず、譲ってあげましょう。
キッカーに転倒している人がいないか注意
キッカーに入るときは人がいないか確認しましょう。ランディングで人がこけていることに、飛んでから気づいても手遅れです。また自分がこけたときは、すみやかにその場を離れましょう。特に子供が飛んだあとは注意が必要です。
キッカーのサイズ選び
キッカーのサイズは大きいものだと20メートルくらいのものもあります。最初は1から3メートルくらいから始めて、安定して飛べるようになったり、恐怖心がなくなったりしてからサイズを大きくしていきましょう。
恐怖心は体に無駄な力が入り怪我の原因となります。レベルにあったサイズを選び、上達していきましょう。
キッカーでスノーボードの楽しさ倍増
スノーボードでキッカーを飛ぶ際の基礎や練習方法のコツなどを紹介しました。なんといってもキッカーで上手く飛べたときは気持ち良いですが、怪我のリスクも伴います。しかし、正しい知識と経験があれば安全に楽しくスノーボードができるのです。
怪我のリスクがあるのはどんなスポーツでも共通することでしょう。今回の解説での内容を読んで、よりスノーボードを楽しむきっかけとしていただけたら幸いです。
スノーボードのグラトリに興味がある方はこちらもチェック
今回は、ゲレンデにあるキッカーの基本的な飛び方などについて紹介しましたが、スノーボードの魅力はキッカーだけではありません。グラトリを行うこともスノーボードの楽しみ方の1つです。
そんなスノーボードのグラトリに興味がある方はこちらの記事もチェックしてみてください。魅力的なグラトリのやり方などが具体的に掲載されていますよ。
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