はじめに
イチゴノキを庭に植えよう!
イチゴノキはイチゴにそっくりな実を結実させることからストロベリーツリーと呼ばれています。丁寧な育て方で栽培すると5メートルから10メートルほどの大きさにも育ってくれ、強い剪定をしなくても比較的樹形が整いやすいことから庭木や垣根として使われています。
植え付けから増やし方までを紹介!
イチゴノキの育て方を植え付けから挿し木での増やし方までを紹介します。イチゴノキを植え付けるときのおすすめの鉢植えでの育て方や庭への植え替え方法も併せて解説しますので、育て方のポイントをしっかりと押さえて観賞用の鉢植えや庭木として栽培してみましょう!
上手く育たない原因と対策も
イチゴノキが上手く育たない原因を枯れる・実がならない・注意すべき病害虫に分けて詳しく解説します。原因と対策を知ることで元気なイチゴノキを栽培できるようになります。「思うように育たない」と言うことにならないように栽培前にポイントを覚えておきましょう!
イチゴノキとは?
ツツジ科
イチゴノキはツツジ科の常緑低木に分類される植物です。丁寧に育てるととても大きな木に成長し、開花時期には壺型の可愛らしい花を枝先にたくさん咲かせてくれる樹木となります。秋が深まり、花や果実を実らせる植物が減っていく中で庭に彩りを添える貴重な植物です。
ヨーロッパに分布
地中海近辺やアイルランドなどのヨーロッパにイチゴノキは分布しています。日本では基本的に土質は放っておくと酸度が高い状態になってしまいますが、分布しているヨーロッパ周辺はアルカリ性に傾いた土が多く、イチゴノキはアルカリ性の土でよく育つ傾向にあります。
果実は観賞用
イチゴノキと呼ばれるくらいですのでもちろん果実を実らせます。私たちが普段食べ慣れているイチゴと異なりあまり味のない果実です。イチゴノキに実る果実はそのほとんどが観賞用として扱われており、食用にする国や地域は限られています。食用にする場合は砂糖やフレーバーを加えてジャムやアルコールの原料として扱われることがほとんどです。
イチゴノキに適した栽培環境
適した栽培環境を紹介!
イチゴノキは比較的簡単な手入れで育つ植樹として花壇や植栽に使われています。植物の栽培には一般的に弱酸性の土がよく育つのですが、イチゴノキに関しては当てはまりません。ここではイチゴノキの栽培に適した環境を土質・日当たり・水捌けに分けて解説します。
栽培環境1:土質
ツツジ科の植物のほとんどが酸性土壌が適しています。イチゴノキはアルカリ性の土壌でも育ちますので、土質に神経質にならなくても基本的には元気に育ちます。鉢植えでも庭植えでも石灰を利用して酸度の調整をする必要がない植物です。
栽培環境2:日当たり
イチゴノキを植え付ける場所はあまり強すぎる日当たりの場所を避けるようにしましょう。もっとも適しているのは1日のうち、半日程度の日当たりを採れる場所となります。鉢植えの場合は置き場所を変えながら栽培するようにしましょう。
栽培環境3:水捌け
イチゴノキは基本的には水捌けのよい場所で育ててください。庭植えの場合も鉢植えの場合も乾燥気味に育てる方が元気に栽培できます。乾燥気味とは言っても日頃からこまめに土やイチゴノキの状態をよく観察して適した水分量に調整し続けるようにしましょう。
イチゴノキの育て方1:植え付け
植え付け方を覚えよう!
イチゴノキは比較的簡単な手入れで育てられますが、植え付けたばかりの頃は寒さにはあまり強くありません。植え付ける時期や方法を押さえておくことで元気なイチゴノキを育てることにつながります。ここでは植え付け時期と鉢植え・庭植えごとの植え付け方法を解説しますので、ポイントを押さえておきましょう。
植え付け時期
イチゴノキの植え付けに適した時期は寒さの心配がなくなる3月から4月下旬と極端に暑い日がなくなる9月下旬から11月頃に植え付けましょう。他の植物でも同じことが言えますが、若い苗にとって寒すぎる・暑すぎる時期の植え付けは避けるようにしてください。
植え付け方法1:鉢植え
イチゴノキは乾燥気味に管理する方が元気に育ちます。鉢植えにする場合は水捌けのよくなる素焼きの鉢などを選ぶことと、バランスのよい土を入れることがポイントです。植え付け方法はイチゴノキの苗よりひとまわり大きな鉢を用意し、土を入れてから植え付け穴を開けて苗を植え付け、覆土します。最後にたっぷりと水やりをしてください。
植え付け方法2:庭植え
庭にい植え付けるときは西日が強く当たりすぎない・冬の北風を遮られるような場所を選びましょう。植え付け場所が決まったら苗鉢の2倍の深さの植え付け穴を掘って、先に腐葉土と化成肥料を入れてからよく混ぜます。その上から苗を深く植え過ぎないように調整しながら植え付けてから覆土してください。水捌けが悪そうな場所なら少し土を高く盛り気味にしましょう。
イチゴノキの育て方2:手入れ
日常の手入れは簡単!
イチゴノキは比較的簡単な手入れで栽培できます。ここでは日常的な手入れ方法とイチゴノキの開花と結実の周期を解説します。また、植え付けてから成木になるまでは実がつきにくい理由も併せて覚えておきましょう。
手入れ1:鉢植えの水やり
鉢植えの水やりは土の表面が乾き過ぎないように調整しながらあげてください。逆に水気があるような状態で水やりすると加湿気味となってしまいますので、その場合は水やりは控えてあげましょう。決まった時間に水やりをするのではなく常に観察をして水分管理をしてください。
手入れ2:庭植えの水やり
庭植えの水やりは基本的に天気任せで大丈夫です。しかし夏の日照りが続き、極端に乾燥する場合は気温が低い朝か夕方のタイミングで水やりをしてください。特に植え付けしたばかりのイチゴノキはまだしっかりと根を張っていませんので極端な水不足にならないように気をつけましょう。
開花と結実の周期
イチゴノキの開花から結実するまでの周期はおよそ1年です。これはどう言うことかと言うと今年開花した房が1年掛けて結実すると言うことになり、実をつける房は前年に開花、開花している房は翌年に結実すると言うことです。開花と結実の時期が重なる珍しい植物となります。
イチゴノキの育て方3:肥料
適切な肥料の与え方を
イチゴノキは肥料をたくさん与えなくても育つ植物です。与え過ぎても枯れてしまう原因につながります。ここではイチゴノキに肥料を与える時期と肥料の与え方を覚えておきましょう。
肥料1:時期
肥料を与える時期は鉢植えも庭植えの場合も開花時期が終わったあとの2月から3月下旬に掛けて与えるようにしてください。庭植えの場合はこの1度で大丈夫ですが、鉢植えの場合は土の養分が不足しがちとなりますので追肥として6月・9月にも与えましょう。
肥料2:与え方
庭植え・鉢植えともに2月から3月下旬に与える場合は遅効性の肥料を株元を軽く掘り返して埋めてあげるようにしてください。鉢植えの場合は生育時期に入る6月と結実時期に入る9月に樹勢を見ながら即効性のある液肥を与えましょう。
イチゴノキの育て方4:剪定
イチゴノキの剪定は軽めに
イチゴノキは植え付けたばかりの頃は枝数は少なめとなり、放任で育てていても樹形が整いやすくなりますので強い剪定は必要ありません。剪定に適した時期と剪定のやり方を解説します。
剪定1:時期
剪定に適した時期は肥料を与える時期と同じく開花時期が終わった2月から3月に行いましょう。開花・結実時期より前に剪定をしてしまうと花と実の数が減ってしまいますので控えてください。適した時期以外に剪定するときは枯れた枝を切る程度にしておきましょう。
剪定2:方法
イチゴノキを剪定する枝の見分け方はぴょんぴょんと伸び出ている徒長した枝を切るようにしてください。先にも解説した枯れ枝などを剪定してください。刈り込みのし過ぎは株を傷める原因となりますので、整える程度の剪定を心掛けましょう。
イチゴノキの育て方5:植え替え
鉢植えの場合は植え替えよう
イチゴノキに限らず樹木を鉢植えで栽培するときは定期的な植え替えが必要です。同じ大きさの鉢植えだと根が詰まってしまい生育不良や枯れてしまう原因につながります。またいきなり庭植えとせずにある程度の大きさになるまでは鉢植えにして丈夫な株に育ててから庭に植え替える方法もおすすめです。
植え替え1:時期
イチゴノキの植え替えに適した時期は植え付けと同じく3月上旬から4月と9月下旬から11月下旬となります。植え替えは根付くまで大きなダメージを与えてしまいますので、植え替え時期を外さないようにしてください。植え替えの目安としては根が水抜き穴から見えてくるか、2年から3年に1度は植え替えましょう。
植え替え2:方法
植え替え方法はまずひとまわり大きな鉢を用意し、植え付けたときと同じ土で充します。植え付け穴を開けてから今の鉢から軽く根を崩してから植え付けるようにしてください。根付くまでは毎日観察を心掛けましょう。
イチゴノキの育て方6:増やし方
挿し木での増やし方がおすすめ!
イチゴノキは挿し木での増やし方で栽培数を増やすことができます。ここでは挿し木に適した時期と挿し木に使う挿し穂の選び方と方法をそれぞれに分けて解説します。増やし方のポイントを押さえて栽培数を増やしてみましょう。
増やし方1:挿し木時期
挿し木での増やし方に適した時期は生育時期にあたる6月から7月に行いましょう。挿し木に使う挿し穂の選び方としては伸び始めて木化してきている新しい鞘を選んでください。あまり大きく育てたくない場合は軽い剪定を兼ねて挿し木に使う挿し穂を間引くようにしてみましょう。
増やし方2:挿し木方法
挿し木での増やし方の方法は挿し穂に使う枝を2節から3節をまずは園芸ばさみなどで切り取ります。節の下を清潔にしたナイフで斜めに切り取り、乾燥させないようにすぐ切り口を水に浸します。30分ほど吸水させてから苗ポットに無肥料の土を挿し床にして挿し木穴を開けて直射日光に当たらない軒下などの日陰で乾燥させないように管理してください。
イチゴノキ栽培注意点1:枯れる原因
枯れる原因を解説
イチゴノキが枯れる多くの場合は植え付けてからあまり時間が経っていない若い株の時期であることが多くなります。若い時期はどうしても周囲の環境に左右されてしまい、株が弱く育ちがちです。イチゴノキが枯れる主な原因と対策を解説します。
原因1:寒さ
イチゴノキはある程度の大きさに育つまでは寒さに弱く枯れる原因となります。成木になるとマイナス15度の環境下でも生長してくれますが、成木になるまでは冬の北風に当たらない場所で栽培するようにしましょう。いきなり庭植えにせず数年は鉢植えで株を育ててから植え付けるようにすることをおすすめします。
原因2:栽培環境
イチゴノキに限らず栽培環境を整えないと幼木の頃は上手く生長してくれません。イチゴノキの場合は土質よりも水捌けのよさと強すぎる日当たりでの栽培環境だと枯れることにつながります。イチゴノキに適した環境管理を心掛けてください。
イチゴノキ栽培注意点2:実がならない原因
実がならない原因も押さえておこう!
栽培して数年経ってからイチゴノキを枯らさずに大きくしても実がならないことがあります。植え付けてから数年は「実がならない」ものと考えて栽培しましょう。ここでは実がならない主な原因と対策を解説します。
原因1:水やり
イチゴノキは根を深く張る性質ではありませんので過剰な乾燥も加湿も実がならない原因となります。植え付けて数年して根が張っても実がならないときは土質を見直すとともに乾燥させ過ぎないように日照りが続くときは水やりをしてあげることで改善につながるかもしれません。
原因2:受粉不足
栽培環境を整えても結実が少ない場合は受粉が少ないおそれがあります。イチゴノキは壺型の花で人工授粉させにくいのですが、細筆や綿棒を花口に入れて優しく刺激してあげるようにする方法を試してみてください。また花を増やすことが結実する可能性を高めることにもつながりますので、軽い剪定をして新芽をたくさん出させるような育て方も対策となります。
イチゴノキ栽培注意点3:病害虫
イチゴノキにつきやすい害虫
イチゴノキは一般的な植物につく害虫は一通り注意しておく必要があります。アブラムシやハダニ・カイガラムシなどの害虫がついていないかこまめに観察をしてください。特に幼木のうちは抵抗力があまり強くありませんので注意が必要です。数が少ないうちは見つけ次第補殺しますが、害虫はあっという間に数を増やしてしまいますので、薬剤を使用して早めの対策をしましょう。
イチゴノキが罹りやすい病気
イチゴノキが罹りやすい病気はうどん粉病です。害虫と同じく幼木の頃に罹りやすくなりますので、注意しましょう。うどん粉病はカビが原因の病気となり、感染すると葉を一面小麦粉をまぶしたように白く覆い、光合成ができなくなってしまいます。殺菌剤の散布が有効な対策です。
まとめ
イチゴノキを栽培しよう!
イチゴノキは花や実が少なくなる秋から初冬に掛けて開花・結実時期を迎える貴重な観賞植物となります。苗木から栽培する場合はある程度の大きさになるまで鉢植えで育ててから庭へ植え替えるような育て方をすると寒さに負けない元気な株を育てることができます。イチゴノキは自然に樹形が整うので、開花・結実時期のあとに軽い剪定をしましょう。イチゴノキは挿し木での増やし方で栽培数を増やせます。庭いっぱいに増やして生垣のように育ててみましょう!
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