アザレアってどんな植物
アザレアは東アジア原産で、ツツジ科ツツジ属の常緑低木に分類されます。19世紀始め頃に、東アジアから持ち込まれたツツジが主にベルギーを中心に交配など品種改良が行われ、園芸品種として生まれたもので、日本などに逆輸入されたものです。花の形も一重咲きから覆輪咲き、小輪から大輪系まで幅広く、花色も華麗で豊富なのが特徴です。本来の開花季節はツツジと同じ5月ですが、園芸店などでは促成栽培された鉢植えが、クリスマスのギフトにも利用されたりと冬の季節から春の季節にも流通します。
アザレアの魅力
アザレアの魅力は何といっても、華やかで豊富な花色と一重咲きから覆輪咲きとツツジよりも少し大きめの花を咲かせ、開花期間も長く楽しめることです。耐暑性があり、剪定などで樹姿を整える必要もありますが、概ね育て方は容易で挿し木で増やせます。やや弱耐寒性ですので地植えでは寒さ除けなどの対策が必要です。主に鉢植えとして鑑賞します。暖地では地植えも可能です。
アザレアの種類
ツツジの仲間のアザレアは、現在では100種以上の園芸品種が流通しているとされ、種々なパターンの花姿と豊富な花色で人気を得ています。また、増やし方も挿し木などで割合容易に増やすことができます。
アザレアの主な園芸品種
一般的な種類に、大輪系でサーモンピンクの花が鮮やかな「ロマンスパール」、ロマンスパールの変異主でくっきりとした紅色の花の「クリスタルパール」、珍しい白色の大輪系半八重咲の「越の淡雪」、紫がかったピンクの花色で花弁の先に濃い紅色の斑点がある「ロザリー」、新種で半八重咲、赤からピンクへと花色が変化する「カメレオン」、中輪系で早咲き、株いっぱいに花を付ける「ニコレット系」が代表的品種です。
アザレアの名前の由来と花言葉
アザレアは水捌けの良い土壌を好み、やや乾燥した場所で育種します。その為にラテン語では乾燥を意味する「azaleos(アザロス)」と呼ばれます。英名ではそのまま「azalea(アザレア)」ですが、海外では本来ツツジ類のことをazaleaと呼んでいます。
アザレアの花言葉は
花言葉は、花色によって花言葉が違います。アザレアそのものには乾燥を意味して「節制」、英語で禁酒を意味する言葉の“ドライ”から「禁酒」と付けられています。花色では、白色は「恋の喜び」「愛されて幸せ」、ピンク色は「青春の喜び」です。
アザレアの季節毎の育て方や増やし方/その①生育環境・置き場所
日本で言うツツジは常緑のものや落葉するものもあって庭園木、街路樹などに地植えされていますが、アザレアは常緑の低木で耐寒性にはやや弱い性質です。暖地(無霜地域)では風通しが良く水捌けの良い場所での地植えはされますが、暖地以外での地植えは不向きで、植え替えなど手間はかかりますが鉢植えにして育てます。
アザレアの置き場所
通常の花期は4月~5月です、鉢植えの場合では春から初夏には風通しが良く日当たりの良い場所で、真夏の気温の高い時期は半日陰か遮光した場所に移して管理。秋9月中旬頃から晩秋には再び日当たりの良い場所におきます。冬季は窓際の明るい場所に置きます。但し、エアコンの風が直接当たり、暖房が効きすぎる場所は病気を誘発しますので避けましょう。
アザレアの季節毎の育て方や増やし方/その②水やり
アザレアは水をやり過ぎての加湿状態は病気の原因となりますから注意します。春から初夏にかけては盛んに生長しますので、毎日1回水やりをします。夏の期間は朝夕2回葉水と共に涼しい時間に与えます。秋9月から晩秋までには鉢植えの用土の表面が乾いていたらたっぷりと水やりをします。地植えにしている場合は、表土が乾いている場合のみ潅水します。冬、花が咲いている鉢は、水切れになると花が萎れてしまいますから用土の乾き具合をみて水を与えます。
アザレアの季節毎の育て方や増やし方/その③植え替え
アザレアは根の生育が旺盛で、鉢植えの場合すぐに鉢中が細かい根でいっぱいになってしまいます。放置すると根腐れなどによって、最悪枯らしてしまう事になります。植え替えは苗を植え付けた場合は1年目で行い、その後は花後の5~6月が植え替えの適期で、2年に1度植え替えを行います。暖地での地植えの場合は、剪定などは必要としますが、植え替えは特に行わなくても良いでしょう。
植え替え時の用土
ツツジ属は水捌けの良い酸性土壌を好みますので、有機酸を含み土壌中のphを酸性に変換させる役割をするピートモスを混ぜると良い効果があります。地植え、鉢植え共、用土は市販のツツジ用の培養土でも良いのですが、自身で作る場合は、「赤玉土(小)3:硬質鹿沼土(小)3:ピートモス2:腐葉土2」を混合します。鉢底には水捌けを良くするために、軽石(大)かひゅうが土(大)を入れることを忘れない様にしましょう。
植え替えの手順
鉢植えの場合、一回り大きめの鉢を用意しますが、出来れば浅鉢の通気性の良い素焼鉢か陶器鉢がベストです。鉢から抜き取ったら、根を傷めない様に根周りの古い土を丁寧に2分の1ほどヘラなどできれいに落とし、新しい鉢に移し替え、用意した用土を入れて根に用土が行き渡る様に竹串かヘラなどで突きまわします。半日陰に置いてたっぷりと水やりをして植え替え終了です。
アザレアの季節毎の育て方や増やし方/その④肥料の与え方
アザレアに限らず植物に肥料を施す場合は、株元に直接与えても効果はありません。養分は根の先端から吸収しますので、下部の枝が張り出している先端部分まで根張りがありますから、その部分の表土や地中に肥料を施します。地植えの場合は枝先の付近が目安で、鉢植えの場合は鉢の縁に施肥します。
アザレアの施肥は
アザレアへの肥料の与え方として、基本的には花後の5~6月に1回緩効性配合肥料を置肥します。ツツジ属はこの施肥によって夏場に次の花芽を十分に形成する養力となる訳です。暑い夏場は希釈した液体肥料を10日に1度与える程度にし、秋、夏の暑さに弱った樹勢の回復と根張りを良くするために、9月にリン酸分の割合の多い緩効性配合肥料を与えます。植え替え時には直ぐに施肥せずに用土と根が良く馴染む半月ほどおいてから施肥します。挿し木中や冬季は施肥の必要はありません。
アザレアの季節毎の育て方や増やし方/その⑤増やし方
アザレアの増やし方としては「挿し木」が一般的です。挿し木の適期は、開花後の新しい枝芽が硬くなる6月~7月中旬頃です。花が付くまでには2年ほどかかります。挿し木の用土は「赤玉土(小)3:硬質鹿沼土(小)3:ピートモス2:バーミュキライト2」を用意します。
挿し木の手順
挿し木用に新しい枝を10cmほどに切り取り、先端部分の葉を数枚残して下部の葉は取り除き、40分から1時間ほど水に浸けて水揚げをしてから、再度根元を斜めにナイフで切り発根促進剤を付けて育苗箱か3号ビニールポットに葉同士が触れない様に挿し込みます。挿し木が終えたら半日陰の場所で水を切らさない様に管理します。2ヶ月ほどで発根しますが、冬の間は室内など暖かい日の当たる場所に置き、春になったら地植えや鉢に移植します。
アザレアの季節毎の育て方や増やし方/その⑥剪定の時期と方法
アザレアの剪定は花後すぐに行います。植え替えなども同じ時期ですので、植え替えと同時に剪定もすると効率的です。促成栽培で冬季に花を咲かせて販売されているアザレアは、枝の伸長を抑制する矮化剤の使用によってコンパクトな形にされていますが、花後に枝が育ちますので、同じ様に剪定をして構いません。
剪定の季節と仕方
剪定は株全体の形を整えながら、株内の混みあいすぎる弱い細枝や枯れた枝を切り取り、全体を丸く2~3cm程度刈り込んでおきます。夏場に花芽を形成しますので、季節的には遅くとも6月下旬には剪定を済ませておきましょう。夏以降の剪定はせっかく付いた蕾も取ってしまうことになりますから注意しましょう。その後に伸長した徒長枝などは秋10月頃に切り戻します。
花がら摘み
アザレアは株全体を覆う様に花をいっぱいに咲かせますが、咲き終わった花がらは早めに摘み取っておきます。そのままにしておくと見栄えも悪くなり、カビなどによって病気の発生原因となることと、種子ができると養分を摂られてしまい株の生長に悪影響を及ぼします。
アザレアの季節毎の育て方や増やし方/その⑦病気と対策
アザレアのかかりやすい病気としては、一般的には「うどんこ病」とツツジ類に多く見られる、葉に褐色の斑点が生じ落葉してしまうか枯死してしまうことがある「褐斑病(かっぱんびょう)」や「疫病(えきびょう)」と、地際の根の周りに白い菌糸が張りつくカビの一種の「白絹病(しらきぬびょう)」がまれに発生します。
うどんこ病
春、秋に発生しやすい病気で、新芽の葉や茎の表面にうどん粉をまぶした様に覆われてしまい、光合成ができなくなって生育に支障をきたし、花付きが悪くなったり、放置すると枯死してしまいます。
防除方法
病気の症状を発見したら早目に枝ごと切り取り廃棄し、株全体に殺菌剤を散布します。予防するには、剪定などで混みあっている枝の整理を行い風通しを良くする様にします。
褐斑病
4~10月頃の高温・多湿になる時期が主な発生時期となる病気です。植物全般に糸状菌(カビの種類)によって発生します。葉の表面に最初小さな斑点が生まれ、次第に褐色または黒褐色をして大きな円形状になり、葉全体に広がって落葉しますが、株全体に広がると生育が悪くなります。
防除方法
病気が認められたら病葉が付いている枝ごと取り除いて廃棄するか焼却します。その後殺菌剤を散布しておきます。雨などが当たらない風通しの良い場所に置くことが大切です。
疫病
梅雨時や秋雨が長く続く時に発生する土壌から発生する病害です。最初、葉に水が浸み込んだ様な斑点が生まれ、湿度が高いとその部分に白カビが生え、湿度がそれほど高くない時は病斑の部分が乾燥して茶褐色に変色して枯れた様になります。茎の部分に発生すると、その部分の上部は枯れてしまいます。
防除方法
雨水が土壌に当たって跳ね返る泥跳ねにより病菌が付いて発生しますので、株元にマルチングを施しておくと予防できます。また、発生時期に殺菌剤を定期的に散布しておきます。
白絹病
高温時の真夏などに発生しやすくなります。地際の根元に白い糸状のものが密についていたら白絹病という糸状菌(カビ)による伝染性の病気で、そのまま立ち枯れてしまいます。地際に茶色の粟粒の様なものが多く出現しますが、これは菌糸のかたまりで「菌核」といい、そのまま越冬して同じ場所で高温になると発生し続けます。
防除方法
病気にかかってしまったら株ごと直ぐに取り除いて廃棄します。地表部分に菌核は残りますので、鉢植えの用土は廃棄し、地植えの場合は、白絹病という病気の発生元となる菌核は地表部分から5cmの深さの部分にしかありませんので、菌核が越冬中の冬季に土壌の天地返しをして地中深く埋め込んでしまいます。
ベニカXファインスプレー
アザレアの季節毎の育て方や増やし方/その⑧害虫と対策
アザレアにも他の植物と例外なく鉢植えや地植えでも害虫が発生します。葉や茎などが食害されて、酷い場合は株全体に広がり生育を悪くしてしまい、枯らしてしまうことがあります。地植えは鉢植えとは違い発見するのが遅れる場合がありますが、防除するには早期発見、早期駆除が大前提となります。薬剤防除では、浸透性殺虫剤を株元に予め定期的に撒いておくと効果が期待できます。
アブラムシ
真夏を除いて4~10月の季節に発生します。旺盛な繁殖率で放置すると株全体の葉や茎から養分を吸汁して生育を弱らせてしまいます。また、排泄物によってスス病などの病害を誘発します。
防除方法
家庭用の殺虫剤でも効きますが、専用の殺虫剤を散布します。体色は様々ですが、葉や茎に発生しているのを見つけたら直ぐに駆除します。繁殖力が旺盛ですので、長期に渡って薬効がある浸透性殺虫剤を使用するのが一番です
カイガラムシ
年間を通して発生します。貝殻の様なものに覆われていることからの名前ですが、見た目も悪くなることと、アブラムシと同様に葉や茎に付着して養分を吸汁して樹勢を弱らせたり、スス病やカビの種類のこうやく病を誘発します。
防除方法
成虫になるとロウ状の殻で覆われ、茎にびっしりと貼り付いているために、駆除するには歯ブラシなどを使ってこそぎ落としますが、葉や茎を傷つけない様にするなど大変手間がかかります。初期のうちで被害が少ない内は、発生している部分の枝を切り落として処分します。幼虫が発生する5~7月にかけて専用の殺虫剤を月2回散布しておくと良いでしょう。
ハダニ
ハダニは梅雨明けから気温の上がる夏に多く発生します。葉の裏に寄生して養分を吸汁し、葉の色素が抜けてしまい白くカスリ状に変色させます。見た目も悪く枝枯れさせてしまいます。
防除方法
ハダニは水に弱い性質ですので、葉裏に時折水をかけると発生を防げますが、泥跳ねによって疫病の発生にも繋がってしまいますから、ハダニの専門駆除剤を発生しやすい季節に散布します。
ツツジグンバイムシ
春から秋にかけてツツジ類などの葉裏に発生して群がり、葉の養分を吸汁して白っぽいカスリ状にさせてしまい、見栄えも悪くなることと、生育に影響を及ぼします。排泄物によって葉の裏が黒っぽくなります。
防除方法
予防するには剪定などで風通しを良くすることです。有機リン系や有機硫黄系の殺虫剤を葉裏などにていねいに散布して駆除します。
アザミウマ
夏の高温時に発生しやすい害虫で、菊などにも発生します。スリップスという別名で種類は200以上とされ、細長く体長1~2mmほどで群生して葉のつけ根やつぼみの中に潜んで吸汁し、葉の変色や花が咲かないなどの被害が出ます。
防除方法
花後の花がらに発生すやすいので、花が咲き終わったら直ぐに摘み取り処分します。防除には浸透性殺虫剤を発生する季節前から定期的に撒いておくと良いのですが、発生が見られたら殺虫薬剤を散布します。
オルトラン粒剤
まとめ
アザレアはクリスマスの季節頃から花をたくさん付けた鉢植えが園芸店などで販売されます。これは花芽を付かせる時期を人工的に調整した促成栽培によって生育させたものです。一般には技術的に難しいですので、通常の季節に花を咲かせることが出来れば上出来です。挿し木の方法や育て方などをご紹介してみましたので参考になれば幸せです。
アザレアなどツツジ類についてはこちらもチェック!
アザレアも含め、ツツジ類についてもう少し知識をという方には「暮らし~の」のWEBマガジンでもインプットできる情報記事がありますので、ぜひご参考になさってはいかがでしょうか。