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【連載】<後編>お盆の花、基本と種類を解説!どんなお花がおすすめ?

日曜連載「お盆の花」後編は、お盆で使われる切り花の種類をご紹介。前編では、お盆に用意するお花とはどんな形態があるのか「お盆の花の基本」をまとめました。後編では、昔から使われる由来のあるお花、仏花に向く長持ちするお花など、お盆に使う切り花の種類を詳しく解説。
更新: 2021年1月4日
しまうま花屋
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日本とお盆

日本のお盆って?

Photo by ume-y

日本の夏に行われる、御先祖様を供養する行事・お盆。インドから伝わった仏教が中国で道教と結びつき生まれた「盂蘭盆会」が、さらに日本に入って独自に発展していったのが今のお盆の行事です。時代とともに生活に合わせた様式へと変容していく、日本の民俗風習のひとつです。

お盆に使われるお花とその由来

Photo byShirley810

お盆に仏花や盆花などに使われるお花は、昔から謂れのある花、暑さに強い旬のお花などさまざまな切り花が使われます。基本的にはあまり厳密な決まりはありませんが、この後編では、どんなお花が使われているのか、どんな切り花がおすすめなのか、解説します。前編の記事はこちらから。

お盆の花の種類と由来

なぜお花をお供えする?

Photo by Naoki Natsume/Ishii , 夏目直樹 ,石井直樹

仏壇やお墓にはお花をお供えするのが常ですが、まず、なぜお花をお供えするのでしょう。仏教においては、香・花・灯・浄水・飲食という、「五供」と言われる5つを仏壇にお供えします。お花は、御先祖様へ美しいものを捧げるという意味と、お参りする人の心を浄化するという意味もあるようです。

お花の種類に厳密な決まりはない

Photo by nakimusi

基本的には季節の花を飾るものとされており、厳密な決まりはありません。お花の色も、白・黄・紫が基本の色とは言われていますが、故人の好きだった花や色でもかまいません。ただ地域によってはそれぞれの風習が色濃く残っていることもあるので、贈り物の場合は確認をする必要があります。

生花がよい?

Photo byMyriams-Fotos

仏教においては、お花が枯れていくまでの姿を教えのひとつとして説かれることも多いため、生花であることが基本とされています。しかし、生活様式が変わってきた現代では、造花やプリザーブドフラワーにすることも多くあります。造花と生花を組み合わせて飾ると、見栄えもして管理も少し楽になっておすすめです。

お盆特有の由来がある仏花とおすすめの切り花たち

ただ、仏花の中でもお盆に使われるお花の中には、いくつか特有の意味があるお花があります。そんなお花たちの謂れと由来、また仏花にはNGとされているお花たちを紹介します。そのほか、一般的に仏花に向いている切り花、仏花に使いやすい切り花をまとめました。

お盆の花の種類と由来:①ホオズキ

盆棚に欠かせない花

Photo by TANAKA Juuyoh (田中十洋)

ひと昔前はどこの家でもお盆に出していたという盆棚も、近年では住宅事情の関係もあってあまり見かけなくなりました。また、最近は初盆のみ出すということが多いそう。盆棚は前編でもご紹介していますが、お盆に御先祖様の霊をお迎えするための特別な祭壇です。そしてここに欠かせないのが、ホオズキです。

飾り方は地域などによる

Photo byValeriaLu

盆棚は通常、3〜4段になった階段状の祭壇で、一番背後の左右に竹笹を配置します。ホオズキは、この左右の竹笹に渡すようにつけられます。茎のままつける地域もあれば、麻紐などに実だけを結び付けて飾る地域もあります。または、お供えのお菓子や果物を同じように皿や籠に実だけを入れてお供えする場合もあります。

提灯に見立てて使われた

Photo byFotoRieth

ホオズキは漢字で「鬼灯」と書きますが、お盆の行事では、ご先祖様や精霊が帰ってくる目印となるように提灯に見立てられて使われてきました。また、帰ってきた精霊たちは、お盆の4日間ホオズキの実の中に身を宿して過ごされるともいわれています。

日本には馴染みの深い植物

ホオズキは日本原産の夏が旬の花で、お盆の時期に実がなります。日本では平安時代より鎮静剤としても利用されてきた馴染みの深い植物です。提灯の代わりのほかにも、食物が不作の年には祭壇に彩りを与えるという役割もあったと言われています。浅草をはじめ、旧暦のお盆である7月には「ほおずき市」も開催されています。

お盆の花の種類と由来:②ハス


仏教では大切な意味を持つ花

Photo by T.Kiya

仏教において特別な意味を持つハス。さまざまなモチーフに使われるハスは、泥水の中から綺麗なお花を咲かせるその姿が仏教の教えともつながり、神聖化されているお花です。ハスの開花時期もちょうどお盆のため、お盆の行事にも欠かせない盆花のひとつです。

ハスの花

Photo by TANAKA Juuyoh (田中十洋)

仏教で「蓮華」というとスイレンも含まれますが、日本のお盆で使われるのはハスです。お盆には、ハスの花・葉・実を使います。まずハスの花は、仏壇やお墓の両脇に置かれる仏花や墓花に使われます。ハスの花は切り花では水揚げが難しく、普通蕾の状態で入荷し、花が咲くことは滅多にありません。蕾のまま仏花に使われます。

ハスの開葉

Photo by Hiroyuki Tsuruno

ハスの葉は、開いている状態のもの(開葉)と巻いている状態の葉(巻葉)があります。開葉は、盆棚におく果物や水の子の皿として使われます。水の子とは細かく切ったナスやキュウリとお米を合わせたお供えのこと。お盆に帰ってくるすべての霊へのお供えものとされ、さらにハスの葉を敷くことで成仏を象徴しているそう。

ハスの巻葉

Photo by potaufeu

巻葉のほうは、塩茹でにして細かく刻んだものをご飯と混ぜた蓮葉飯(はすばめし)・蓮飯(はすめし)などと呼ばれる料理にされ、開葉に盛ってお供えにされました。また、巻葉を天ぷらにして食べたり、中国ではこの葉でご飯を巻いて包んだ「ちまき」のような料理もあります。

ハスの実

Photo byJing

ハスの実の切り花は、不思議な形の花托に実が入った状態のものを指します。蓮台(はすだい・れんだい)などとも呼ばれます。お盆の時期にはお供えの花として使われ、「ハスの実=過去・ハスの花=現在・ハスの巻葉=未来」という三世を象徴するものとして、この3つを入れた仏花を作ってお供えする地域もあります。

お盆の花の種類と由来:③ミソハギ

盆花・精霊花とも呼ばれる花

Photo byWikimediaImages

ミソハギとは、日本原産の湿地や田んぼの畔などに咲くミソハギ科の植物です。お盆頃に開花するお花がハギに似ているためにハギとついています。漢字では「禊萩」と書き、お盆の風習に使われるお花です。俗称では「盆花」「精霊花」などとも呼ばれ、日本人のお盆に身近な植物だったことがうかがえます。

邪気を払う花

お盆の行事では、ミソハギの花穂に水を含ませて、盆棚に水を掛けるという清めの役割で使われてきました。一説ではその昔、喉の渇きを止める薬草として使われていたという話もあります。邪気を払うと言われており、お墓の近くに植えられたりもしてきました。

お盆の花の種類とは

盆花迎えという風習

Photo by Kabacchi

もともとお盆にお供えする盆花は、山から取ってくるものでした。お盆の10日前後に山からお盆のお供えのための花を取ってくることを「盆花迎え」といい、精霊が盆花を依代にして山から家に降りてくると考えられていたといいます。ミソハギやカワラナデシコ、オミナエシなどが主流でした。

仏花は地域性が強い

仏花も同じように近くの山などで採取してくるものであったため、地域どころか集落ごとで様式や決まりが違います。今は時代とともに生活が変わり、自宅の庭や畑で育てた花を使ったり、お花屋さんで買うことが増えました。特に大手スーパーなどで売られる仏花には地域性も少なくなり、地域ごとのしきたりも少なくなりました。

現代の仏花とは

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現代の仏花は、あまり様式について厳密に気にする必要はないという風潮です。近年の仏花や墓花の基本は、ひし形になるように作ること・奇数本で作ること。色は白黄紫の3色を基本にすると言われていますが、これも厳密である必要はないとされています。地元の町のお花屋さんで買うと、地域性がよく分かるかもしれません。

お盆の仏花におすすめの花の種類

キク

Photo by coloredby

現代の仏花に使われるお花で代表的なのが、キクです。キクは年中安定して流通していることと、暑さに強いために盆花としてもおすすめのお花です。1本の茎に1輪のお花がついているリンギクは、中心と台座部分に使うと華やかに見えます。


スプレーキク

Photo bySuppenkasper

1本の茎が枝分かれしてたくさんお花がついているスプレー菊(小菊とも呼ばれます)は、小分けにして使いやすいのでおすすめです。キクは色も豊富で、仏花の基本色白・黄・紫が揃っています。キク類はハサミではなく手で折るように切り口を切るほうがより長持ちします。

カーネーション

Photo by nubobo

カーネーションも、暑い時期でも長持ちする切り花のひとつ。年中手に入るので、お盆の時期に限らず仏花の定番のお花です。キクと同じように、1本に1輪の花がついているスタンダードタイプ、数輪ついているスプレータイプとあり、仏花にするには形に整えやすくておすすめです。

スターチス

Photo by Rawpixel Ltd

スターチスは、ピンクや紫、黄色などの花色がある切り花です。そのままドライフラワーになるほど長持ちするお花のため、暑い時期に飾っておいても汚くならないのがポイント。スターチスも年中安定して手に入り、基本色の紫色の役割としてよく使われています。

リンドウ

Photo byfsHH

お盆の時期から旬を迎えるのが、リンドウです。深い青色が特徴の秋の花ですが、盆花としてお盆頃からお花屋さんに切り花が並び始めます。リンドウはお花と葉っぱが節ごとについているので小分けにしやすく、仏花として長さを調整しやすいお花です。比較的長持ちします。

ケイトウ

Photo by kanegen

暑い夏でも鮮やかな花色を見せてくれるのがケイトウです。ケイトウといっても切り花でもいろんな種類がありますが、どれも暑さに強く長持ちするのが特徴です。黄色や緑色などは仏花や盆花にも使いやすくておすすめです。

グラジオラス

Photo byCapri23auto

縦のラインが綺麗なグラジオラス。花色も豊富で、お花らしい豪華さがありながら暑さに強いのが仏花や盆花向きの切り花です。切り花でも蕾が開花しやすいのも嬉しいポイント。頂点部分の高さを出すのにおすすめの花材です。

ラン類

Photo by kanonn

近年は輸入が増えて年中安定して手に入るラン類も暑さに強く長持ちするお花です。紫色のデンファレやモカラなどは、仏花の定番となってきました。また黄色のオンシジュームなどはボリュームも出て長持ちするのでおすすめです。

現代の住宅でも合うお花

Photo bystanbalik

住宅事情が変わり仏間のある家も少なくなった現代では、これまでの仏花とは違った印象のお花を使うことも増えてきました。同じキクでも原色ではなくニュアンスカラーのオレンジ色や淡い緑の品種、ハスのようなピンク色で長持ちするクルクマや、ラインがきれいなカラーなどを使って現代風にアレンジするのもよいかも。

初盆のお供えにおすすめの花の種類

初盆は白を基調に

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初盆の場合、初めてお盆に帰ってくる故人の目印になるように、白提灯を飾るのが風習です。初盆にお供えするお花も、白で統一するという習慣があります。華美になりすぎない程度に淡い青や紫・ピンクや黄色などを混ぜてもよいというところもあります。

ユリ

Photo by Dakiny

白を基調とする初盆のお花に人気なのが、華やかな印象のユリです。白はもちろん、淡い黄色やピンクのユリなども優しく上品な印象を与えてくれます。また、ユリは暑い季節でも長持ちするため、墓花としてもおすすめです。切り花でも蕾が開花することも多いため、コスパもよい切り花です。

仏花で使うユリの注意点

Photo byCouleur

しかし、ユリを避けた方がよい場合もあります。仏花や墓花、盆花には、強い香りのお花はタブーだともされているからです。同じユリでも香りがあまりないスカシユリ系・香りの少ないテッポウユリなどを選ぶのがおすすめです。また、ユリの花粉は布や墓石に色がつくと消えにくいため、かならず花粉は取り除きます。


コチョウラン

Photo byPaulaPaulsen

長持ちして華やかなコチョウランも、初盆にはおすすめのお花です。仏花として使うには扱いが難しいですが、初盆の贈り物としてアレンジメントに入れたりするのが一般的です。また、コチョウランの鉢植えを初盆に贈ることもよくあります。その際はラッピングが派手にならないようにお花屋さんには「お供え用」と伝えます。

お盆の仏花や初盆のお花にNGな花

トゲのあるお花

Photo byKatzenfee50

一方で、仏花や墓花には避けた方がよいとされているお花もあります。まずはトゲのある、バラやアザミなどです。お花を替える際に、引っ掻いて血が出たりするとよくないと言われています。ただバラは故人が好きだった場合もあるので、最近はトゲをきれいに取り除いて使えばよいとも言われますが、人に贈る場合には避けた方が無難です。

毒のある花

Photo byGlavo

また、毒のあるお花もNGだと言われています。ネリネやキョウチクトウ・ジキタリスなどです。ただ、仏花としてはNGでも墓花としては大丈夫、などと宗派によって違いがあります。よく仏花や墓花に使われる葉っぱ・シキミも猛毒がありますが、これはお墓を虫や獣から守るためだとも言われており、地域によっても違いがあります。

香りの強い花

Photo byannca

香りの強いお花も適切ではないとされています。しかしお供えの基本「五供」のうちに「香」が入っているように、花の香りを供物にするという風習もあったことから、一概にNGとも取れません。ただたくさんのお墓が集まる墓地にお供えする墓花や、人に贈る場合、香りの強すぎるお花は気分を悪くさせる可能性もあるため避けるのが無難です。

頭から落ちる花、黒い花、つる性の花

Photo bynatmel

そのほか、ツバキのように花首が落ちてしまうお花も不吉とされ、避けた方がよいと言われています。ほかにもクロユリなどの黒っぽい色のお花も避けたほうが無難です。また、つる性のお花は他のお花に絡みつく可能性があり、特に墓花などではマナーとして避けたほうがよいでしょう。

さいごに

その地域で過ごしてきた先祖に思いをはせて

Photo byOlga1205

お盆の行事は、仏教や宗教の作法に加えて土着の信仰、地域性などが深く関わっているためにとても複雑なもの。お供えするお花ひとつを取っても、どうしてその風習があるのか考えるのも、その地域の生活とご先祖様の思いを汲み取ることになるかもしれません。あまり難しく考えずとも、故人やご先祖様を思い感謝し、お花をお供えしてみてくださいね。

過去の連載はこちらから

今回は、前編後編に渡ってお盆にまつわるお花についてご紹介しました。地域によって違うこともたくさんあるので、地元のお花屋さんに聞いてみてくださいね。この日曜連載では、お花屋さんで買える花たちを中心にいろんなテーマでお花についてご紹介しています。気になる方はこちらからぜひご覧になってみてください。