日本の夏、お盆
お盆の花ってなに?
お盆とは、日本の夏の行事のひとつ。花火大会に盆踊りや盆祭りなど、日本の夏に欠かせない光景です。今回は、そんなお盆に用意するお盆の花の種類についてや、お盆にまつわるお花をテーマに、前編後編でご紹介します。
お盆の花の基本を解説
お盆のお花といえば、お墓参りをするときにお墓にお供えするお花や、仏壇にお供えするお花などが思い浮かびます。しかしいざお花を用意しようとなると、どのような花が必要で、どういう種類があるのかわかりにくいもの。前編では、お盆の花の基本を徹底解説します。
お盆の花の種類を徹底解説:①お盆とは
中国で生まれた盂蘭盆会
お盆というのは、仏教の「盂蘭盆経」という経典を元に生まれた盂蘭盆会(うらぼんえ)という行事です。この盂蘭盆会は、インドから中国に仏教が伝わったあとに道教の中元祭という行事と結びついて生まれた、中国独自のものだといわれています。
日本独自の風習へ
盂蘭盆会が日本に伝わって、もともと日本にあった先祖供養と結びつきました。先祖供養は神道とも結びつきが強く、日本独自の変化を遂げました。さらには江戸時代に生まれた檀家制度とも合わさって、現在にも伝わるような行事になったといわれています。
宗派や地域によって違いがある
お盆の風習やその方法は、仏教においては宗派や地域によって違いがあります。お盆のための準備や日程、様式などが細かく違います。また、神道のお盆とごちゃ混ぜになったり、現代に合わせた様式になったりと、さまざまです。
盆棚・精霊棚
宗派や地域によって違いもありますが、お盆には盆棚や精霊棚と呼ばれる、御先祖の霊が帰ってくるための祭壇を作る風習があります。棚にはさまざまなお供えや飾りを置きます。現在では住宅事情も変わったことから、初盆にのみ出す場合が多くなったようです。
お盆の花の種類を徹底解説:②仏花・墓花・盆花
呼び方の違いはある?
お盆の時期になると、お花屋さんには「仏花」「墓花」「盆花」などいろんな名称でお花が売られています。地域や宗派によって違いはありますが、お盆の時期に用意されるお花たちの種類とその違いをざっとまとめてみます。
仏花(ぶっか)
まず仏花とは、仏壇の左右に生けるお花のことを指します。仏教においては、香(線香など)・灯(蝋燭など)・花の3つをお供えするのが基本です。仏花は、白・黄色・紫色を基本色に奇数本のお花を菱形になるように組みます。左右対象で2つで1対用意します。
墓花(はかばな)
墓花とは、お墓はお供えするお花のこと。仏教においては仏花と呼ぶこともあります。仏花と同じように、同じお花で左右対象で作られます。神道においては、お花は入れずに榊のみをお供えします。
盆花(ぼんばな)
盆花とは、特にお盆行事に使う仏花や墓花のことを指します。盆棚を飾る風習がある場合には、盆棚に飾るお花のことをいいます。また、お盆の時期に咲く花やお盆の風習に使う花(オミナエシやミソハギなど)を俗名で「盆花」と言ったりすることもあります。
供花?献花?
ちなみに供花(きょうか・くげ)とは、お葬式でお供えされるお花のこと。供花の読みは「きょうか」が一般的で、特に仏教では「くげ」と読まれることが多いようです。また、葬儀中に棺桶に一輪ずつ入れていくお花を献花(けんか)と言います。
仏花 | 墓花 | 盆花 | 供花 | 献花 | |
読み方 | ぶっか、ぶつばな | はかばな | ぼんばな | きょうか、くげ | けんか |
置く場所 | 仏壇の左右 | お墓の左右 | 盆棚 | お葬式 | 棺桶に入れる |
形式 | 1対(左右対称) | 1対(左右対象) | 1対、または1つ | アレンジメントや花束 | 1本 |
色 | 白・黄・紫が基本で何色でもよい | 白・黄・紫が基本で何色でもよい | 白・黄・紫が基本で何色でもよい | 白・淡い色が基本 | 白・淡い色が基本 |
お盆の花の種類を徹底解説:③仏花・墓花の基本
左右対象で1対の花
仏花や墓花は、仏壇やお墓の左右に置くのが基本です。左右のお花は、同じ本数と同じ種類の花で左右対象に作られます。そのため仏花や墓花というと、左右対象に組まれた2つの花、つまり1対の花を用意するのが基本です。
奇数の本数・種類
仏花や墓花は奇数本で作るというルールがあります。奇数が縁起のよい数だとされてきたことが由来だそう。花を入れる花器・花立てに入る大きさの、3本、5本、7本程度で作るのが基本です。お花の種類も同じように3種類・5種類・7種類にします。
白・黄・紫が基本色
基本的には、白色・黄色・紫色の3色をベースとしてお花を選びます。5本や7本で作るときは、この3色をベースに、赤色やピンクなどを足していきます。ただし基本の色と言いますが、故人の好きだった色やお花でもよいとされています。
ひし形
仏花や墓花は3本(種)・5本(種)・7本(種)のお花を、引きで見て茎を含めてひし形になるように組むのが基本形です。輪ゴムまたは麻紐などでしばります。花立てに入りやすいよう、茎の切り口が広がらないようにまとめてあるのがポイントです。
お盆の花の種類を徹底解説:③盆と初盆の違い
初盆とは
初盆(はつぼん・ういぼん)とは、故人が亡くなって49日を過ぎた後に初めて迎えるお盆のことを指します。地域や宗教によっては新盆(しんぼん・にいぼん・あらぼん)などと呼んだりします。
通常のお盆とは違った決まりもある
初盆には、通常のお盆と違った様式で供養する場合が多く見られます。初盆の法要を行ったり、家族や親族以外にも親しかった人たちを招いて会食をしたりします。お盆の飾りも初盆特有のものが多くあり、お花も通常のお盆とは違った決まりがあります。
初盆の花は白が基本
普通のお盆には明るく華やかな仏花や墓花も使われますが、初盆のお花は、白一色で用意するのが基本です。淡紫や淡いピンクなど、淡い色のお花が入ってもOKというところもあります。
お盆の花の種類を徹底解説:④人に贈るお盆の花
贈る時期は確認するのがおすすめ
お盆には自分の家で行うお花の用意意外にも、親しかった故人へお盆にお花を贈ったり、初盆にお花を贈ったりする場合があります。贈るタイミングはお盆に入る前がよいとされています。地域によってお盆の時期が異なる場合があるので、確認しておくのがおすすめです。
通常のお盆の場合
通常のお盆のお花の場合には、アレンジメントや花束などが人気です。基本的には白や淡い色などがベースですが、故人の好きだったお花や色を入れるなど自由でもかまいません。この時期にお花とお線香のセットなどといったお盆ギフト用のお花があるところもあります。
初盆の場合
お盆行事の中でお花を贈るケースが多いのが、初盆です。お供えのお菓子やお線香を贈るケースも多いですが、あとに残らず華やかに見せてくれるお花も喜ばれます。初盆の場合お花がいくつか届く場合があるので、そのまま飾れるアレンジメントがおすすめです。
白や淡い色が基本
初盆のお花は基本的には白がベースです。近年は明るい色合いで、淡い紫やピンク、黄色などを入れるケースも増えています。金額は5000円から10000円が目安です。「お供え」の飾り文字と氏名を書いた名札を立てるのが一般的です。
お盆の花の種類を徹底解説:⑤どこで用意する?
花屋・スーパーなど
お盆の季節になると、花屋・スーパー・ホームセンターなどでお盆のお花のコーナーが設けられます。最近では、コンビニやドラッグストアでも物価を販売しているところもあります。花屋やスーパーにはお盆以外でも販売しています。
分からない場合は地元の花屋がおすすめ
お盆の風習は地域によって違うため、お花に限らずお供えのものはその地域のお店で用意するのが無難です。花屋ではその場で作ってくれることも多いので、分からないことがある場合はお花屋さんに聞きながら作ってもらうことをおすすめします。
次回、お盆の花の種類を解説
次回はお花の種類を解説
今回前編では、お盆に用意するお花の基本をまとめました。次回の後編では、お盆の花に使われるお花の種類を解説。昔から馴染みのあるお花たちや、お盆の花の種類の由来、近年人気のお花などもご紹介します。
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