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【連載】泥から生まれても美しく咲くハスの花言葉を解説!

仏教では穢れのない菩薩の心の象徴とされているハス。「ハスは泥より出でて泥に染まらず」と言われ、仏教では神聖な花と位置づけられています。月曜連載、花と花言葉。今週はハスの花言葉を解説します。泥の中から美しい大輪を咲かせるハス。誕生説も併せて解説します。
2020年8月28日
ティンカー・ベル
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泥から生まれても美しいハスの特徴

原産地はインドとその周辺

Photo by s9f21pantheon

原産地はインドとその周辺であるハスは、古代インドでは豊穣、多産、繁栄、健康、長寿などあらゆる吉兆の象徴の花とされていました。仏教でも極楽浄土に咲く花とされ、お寺に行くと池の中から茎を伸ばし、美しい花を咲かすハス見かけます。ハス科ハス属の水生多年草。学名はNelumbo nuciferaと表記します。開花時期は6月~8月で、白、ピンク、黄色の大輪を咲かせます。泥水の中から生まれながらも清らかな花を咲かせることから、純粋で神聖な花の象徴とされています。

和名「蓮」の由来

Photo by coloredby

英名は「lotus」、和名は「蓮(はす)」と書きますが、和名の「蓮」の由来は、花の中央にある実の入っている部分の花托(かたく)が、蜂の巣に似ていることから、「はちす」が転じて「はす」と名付けられました。別名には「蓮華(れんげ)」「水芙蓉(すいふよう)」「不語仙(ふごせん)」「池見草(いけみぐさ)」と呼ばれています。強い芳香があるのが特徴です。

ハスの誕生説とは

ギリシャ神話にまつわる逸話より

Photo byFree-Photos

ハスの誕生説は多くの神々が人間さながらの愛憎劇を繰り広げるギリシャ神話の中で、このように語られています。ある夜、酒の神様であるディオニュソス(バッカス)が精霊やほかの神々と共に酒を飲み、そして踊り、楽しんでいたのだとか。そしてみんなが疲れて眠りについた頃、1人の神が精霊の1人にそっと近づき思いを遂げようとしたのですが、邪魔が入り思い通りにはなりませんでした。

必至に逃げる精霊を1本のハスに変えた神々

https://www.photo-ac.com/main/detail/3720455?title=%E5%A4%8F%E3%81%AE%E8%97%A4%E5%8E%9F%E5%AE%AE%E8%B7%A1%E3%81%AB%E5%92%B2%E3%81%8F%E3%83%8F%E3%82%B9

一度はしつこい神から逃れた精霊でしたが、その精霊のことを諦めきれなかったその神は、なおしつこくその精霊を追いかけまわしました。必至で逃げる精霊を哀れに思ったまわりの神々が、その精霊を1本のハスに変えたという話がハスの誕生説としてギリシャ神話の中で語られています。

花言葉の由来ともなる誕生説の続きの話

子供のおもちゃにとハスを摘んだ母

Photo byhansbenn

ギリシャ神話の中で語られているハスの誕生説には、まだ続きがあります。精霊が転身したハスとは知らずに、1人の若い母親が自分の子供をあやす遊び道具にしようとハスの花を摘んだのだと。すると茎から血のような赤い液がしたたり、花が震えだしたのでした。と同時に、若い母親の足は大地に根付き、頭は葉に覆われハスに変わってしまったのです。

潔白を主張しながらも子供に残した言葉とは

Photo bybingngu93

完全にハスに姿が変わってしまう間際に、その母親は愛する小さな息子に「神様に誓って自分は潔白だけれど、それでもこんな恐ろしい罰を受けることになったわけは、草木から花を摘み取ったから。自然のすべては神々の聖体であることを覚えておくように」と言い残し、ハスに変わっていったのです。そんな話がハスの花言葉「清廉潔白(私欲はなく後ろめたい気持ちは全くないという意)」という言葉の由来となっています。

花の特徴より由来するハスの花言葉

「純潔」「気品」

Photo by masahiko

インド周辺が原産地と言われるハスの花ではありますが、仏教やヒンドゥー教に加え、古代ギリシャや古代エジプトにおいても崇拝されてきたハスを代表する花言葉は「純潔」「気品」です。これらの花言葉はハスの見た目の特徴が由来して付けられた言葉です。泥の中から汚れることなく茎を伸ばし、美しい大輪の花を咲かせる特徴、またスッと茎を伸ばす立ち姿が凛としていて美しいという見た目の特徴が由来して、このような花言葉で象徴されています。

「高尚」「神秘」「多産」

Photo by kkctys

代表的な花言葉には紹介されていませんが、ハスは花や蕾の特徴から「高尚」「神秘」「多産」という花言葉で象徴されることもあります。「高尚」という花言葉は、花びらに気高さが漂うという見た目の特徴が由来した言葉。「神秘」とは早朝に咲いて昼には花を閉じてしまう蓮の植物学的な特徴が由来して付いた花言葉。そして種が多いことで、生命の創造のシンボルとされることから「多産」という花言葉を持ち合わせています。

仏教より由来するハスの花言葉

「清らかな心」「神聖」

https://www.photo-ac.com/main/detail/945849?title=%E5%88%9D%E5%A4%8F%E3%81%AB%E6%BA%80%E9%96%8B%E3%81%AE%E3%83%8F%E3%82%B9%E6%B1%A0

お寺に行くと、仏画によく仏様がハスの花の上に座っている姿が描かれている絵を見かけます。この仏画の様子は仏像の台座の1種である「蓮華座(れんげざ)」という姿を現しているものです。泥の中から生まれても美しく咲くハスは、泥から出てきても泥に汚されることはない清らかさの象徴と考えられ、ハスは仏教では神聖な花とされて仏様と一緒に描かれているのです。そんな仏教の教えが由来し、ハスは「清らかな心」「神聖」という花言葉で象徴されています。

菩薩の心にたとえられるハス

Photo byIlluvis

穢れのない心の象徴とされるハスは、仏教の教えの中で「菩薩の心は蓮華(ハス)のごとし、一切世間においてけがれなきゆえに」と唱えられています。世俗に染まらない純粋さや、功徳を表す花として、ハスの花をシンボルとしている仏教の教えの中でたとえられている言葉です。極楽浄土を唱える仏教が中国に伝わると、極楽浄土には神聖なハスが咲く池があるとされて、お寺の境内にハスの池を作るようになったそうです。


日本の伝説より由来するハスの花言葉

「過ぎ去りし恋」

Photo byMatryx

日本の伝説が由来するハスの花言葉に「過ぎ去りし恋」という言葉があります。花言葉としてはちょっと寂しく切ない花言葉ですが、伝説の内容を知ると、奥ゆかしい愛を感じるハスの花言葉です。その伝説は遥か昔、5世紀後半に日本の第21代天皇として在位していた雄略(ゆうりゃく)天皇にまつわる話に始まります。

ハスの花言葉「過ぎ去りし恋」に由来する伝説とは

Photo by sayo-ts

雄略天皇がまだ若い時、奈良の三輪川のほとりで可愛い童女と出会い、「すぐに自分が迎えに行くので、お嫁に行かないで待っていてほしい」と童女に言い残しその場を立ち去ったのだと。しかしそのことをすっかり忘れて歳月が経ったある日、雄略天皇のもとに1人の老女が訪ねてきたのでした。そしてその老女は雄略天皇に「約束を信じて待っていました」と告げました。そうです。その老女は奈良の三輪川で出合ったあの童女だったのです。

80歳になった童女がハスに託した心

Photo by TANAKA Juuyoh (田中十洋)

童女が雄略天皇を訪ねてきたときはすでに80歳。童女が老女になっていた姿を見た天皇は、自分も年老いていて、契りを結ぶことはもうできない代わりに、その想いを歌にして贈りました。老女は涙を流しながら、美しく咲くハスの花に心を託し、「盛りの年頃である若い人が羨ましい」とわが身を悲しんだという話です。そんな日本に伝わる伝説の1説から、ハスは「過ぎ去りし恋」とちょっと寂しく切ない花言葉を持ち合わせています。

ヒンドゥー教より由来するハスの花言葉

「幸福」「創造」

Photo by4174332

ハスはヒンドゥー教においても聖なる花として象徴されています。ヒンドゥー教の最高神である3大神の1神の天地創造の神ヴィシュヌが手にする4つの持ち物の1つにハスの花があります。そしてハスの花言葉である「幸福」「創造」とは、ヒンドゥー教の美しい女神より由来している花言葉です。

ハスの花言葉は富と幸福の女神から由来する

Photo by coloredby

ハスはヒンドゥー教の富と幸福の女神の花とされています。幸運の女神ラクシュミーは、ヒンドゥー教の唱える3大神の1神ヴィシュヌの妃となりますが、女神ラクシュミーの慈悲深さと、誠実さと、完璧な妻である姿を象徴する花がハスでした。美の化身とされるハスは、女神ラクシュミーを象徴し、そのことが由来となり、「幸福」「創造」という花言葉をシンボルとしています。

ヒンドゥー教の神も蓮華座をしている


Photo byDarkWorkX

仏画のようにヒンドゥー教でも、神がハスの上に座っている姿の絵や像をみます。ハスの尊さはヒンドゥー教でも神と切り離せないことがうかがわれる場面です。たとえばヒンドゥー教の神話の中にこんな話があります。3大神の1神であるヴィシュヌのへそより伸びてきたハスから、創造の神ブラフマンが生まれたのだと。ブラフマンはハスの上に舞い降り、ハスを台座にして座り、宇宙を創造したという話が伝えられています。「創造」という蓮の花言葉は、こんな神話からも併せて由来している言葉です。

ハスに関するの民間伝承

ハスの実の数珠は功徳万倍!

Photo by MShades

仏教が生まれる以前から古代インドでは神聖な植物とされていたハス。ハスは古代インドでは不老不死の妙薬にも使われていたと中国最古の薬物書の「神農本草書(しんのうほんぞうきょう)」に記載されています。またハスの実を数珠にすると功徳万倍のパワーがあるなどという民間伝承もあるハスは、世俗に染まらない純粋なものと、昔から位置づけられていた高尚な花であったことは間違いありません。

花言葉を知りハスを観賞してみよう

Photo by ototadana

「ハスは泥より出でて泥に染まらず」という仏教の言葉は、お寺の池のハスを観賞すると「なるほど」と感じずにはいられない言葉です。泥の中から美しい花を咲かせるハスは、仏教やヒンドゥー教では聖なるものの象徴とされ、純粋で尊いものとされています。近年、仏様とのご縁が結ばれた証として頂ける御朱印巡りがきっかけとなり、若い世代の方もお寺に足を運ぶ姿を多く見かけます。またハスの見ごろの季節はお盆の時期であり、お寺に足を運ぶ機会も多いことでしょう。ここで解説したハスの花言葉の話を思い出し、お寺の池でハスを見かけたら、心清らかにハスをご観賞ください。

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