世界で愛されているユリの特徴
ユリ科ユリ属の球根花
ユリはユリ科ユリ属の多年草の球根花で、学名はLiliumと表記します。現在では通年、流通していますが、本来の開花時期は5月~8月です。花色は白、オレンジ、赤、黄色、ピンクなどで、強い香りが特徴的です。日本固有種のヤマユリやササユリの他に、日本に自生するテッポウユリ、オニユリは昔から親しまれていますが、ユリはこれらの種類をもとに交配した多くの園芸品種が作られています。
シーボルトによってヨーロッパに広まる
日本に多く自生するユリを、江戸時代末期に長崎県出島に医師として来日し、日本人に最新の医学を教えたフィリップ・フランツ・
百合(ゆり)と呼ぶ和名の由来
ユリの英名はliliy、和名は百合(ゆり)と呼びます。すらりと伸びた茎の先に咲く大輪の花は、風に揺れやすいので「揺れる」が「ゆり」の語源の由来になったという説があります。万葉集の中で昔からよく謳われているユリは、淡いピンクの花が美しいササユリをはじめ、白い花びらに赤い斑点入りの大きな花が魅力的なユリの王者ヤマユリなど、もともとは日本原産の野生の花です。
カサブランカは百合の仲間
お祝いの花束に人気のカサブランカ。白いユリによく似ています。それもそのはず、カサブランカはこのような呼び名で呼ばれていますが、数あるユリの園芸品種の1つです。正式名称はオリエンタル・ハイブリッドリリーと呼びます。ユリの園芸品種であるカサブランカは、白い大輪の花を咲かせ、その花は甘い強い香りを放ちます。豪華で気品のある雰囲気のユリの園芸品種の1つです。花が咲くと花びらがいつしか跳ね返るようになるのが特徴です。花言葉は白いユリの花言葉と同じです。ちなみに生花店では色付きのカサブランカも売られていますが、定義の上ではカサブランカは白い花が本来の姿です。
ユリは聖母マリアのシンボル
白いゆりはマドンナリリーを呼ばれる
観賞価値を高く評価されているユリは、シーボルトが日本から持ち帰る以前から、ヨーロッパでも紋章や装飾のモチーフとなっていました。特にキリスト教では、白いユリを「マドンナリリー」と呼び、聖母マリアを象徴する花としています。西洋では古くから聖母マリアとの結びつきの強い特別な花とされており、聖母子像をはじめ、様々な芸術のモチーフになっている花です。イタリアのルネサンス期を代表する芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた「受胎告知」でも、神の子の懐妊を告げる天使の左手に白いユリが描かれているのは有名な話です。
ユリの誕生説
キリスト教でのユリの誕生説
白いユリは聖母マリアのシンボルとされています。ユリの誕生説の1説はキリスト教に伝わる話です。その説とは、エデンの園に追われたイブが流した後悔の涙から生まれた花がユリだという内容です。そのためユリは多くの宗教的な伝説に登場します。ユリの花言葉の由来も聖母マリアやイエス・キリストに由来する言葉がたくさんです。
ギリシャ神話に伝わるユリの誕生説
ギリシャ神話の中では、ギリシャ神話の中で最高の神とされているゼウスの妻の地上に落ちた乳がユリとなったという話がユリの誕生説となっています。ゼウスは美しい女性との間に誕生した息子であるヘラクレスを、最強の神にしてやりたいと考え、妻のヘラの乳を飲まそうともくろみました。それは妻ヘラの乳を飲めば不死身の才能を得られるからです。しかし嫉妬深い妻が黙った乳を飲ますはずがないと思ったゼウスは、彼女を薬で眠らせ、胸元にヘラクレスをそっと置いて乳を飲ませたのでした。
ヘラの乳から咲いた花
ヘラの乳をぐいぐいと飲んだヘラクレス。その勢いがあまりにも強かったので、ヘラが手で押しのけた時に乳が飛び去り、その乳の一滴が地上に落ちたところから白いユリが咲いたという話が、ギリシャ神話から伝わるユリの誕生説です。ちなみに天に向かって飛んだ乳は天の川になったのだとか。ギリシャ神話にまつわるユリの誕生説は、どこか切なくも感じますが、ギリシャ神話の最高神ゼウスの正妻であり天上界の王妃であるヘラは、結婚、出産、家庭の守護神。そんな女神の乳から誕生したユリの花には、底知れぬパワーを感じずにはいられません。
ユリの花言葉
「純粋」「無垢」「威厳」「子の愛」
キリスト教では聖母マリアを象徴する花とされるユリを代表する花言葉は、聖母マリアのイメージから「純粋」「無垢」という花言葉が付けられています。ユリは聖母マリアの純粋のシンボルとされるなど、西洋では古くから聖なる母との結びつきの強い特別な花とされていました。そんな風習も由来となり「純粋」「無垢」という言葉か付けられています。
「威厳」は見た目の印象、「子の愛」は誕生説が由来
ユリを代表する花言葉の「威厳」の由来は、ユリの見た目の花姿が、堂々とした姿をしている印象が由来して付いた言葉です。また「子の愛」という花言葉は、ギリシャ神話の中のユリの誕生説に由来する言葉です。ギリシャ神話の中の最高神であるゼウスが息子を思う親心がこんな花言葉で象徴されています。
色別のユリの花言葉とその由来:白
「純潔」「威厳」
ユリを代表する花言葉の他に、特に白いユリには「純潔」「威厳」という花言葉が象徴的に付けられています。「純潔」という花言葉は、白い花に共通する花言葉でもありますが、とくに白いユリは「純潔」の最も象徴的な花。「マドンナリリー」と呼ばれる白いユリは、聖母マリアに捧げられた花であることから「純潔」のシンボルとされています。「威厳」という言葉に由来は、見た目から由来する言葉で、大輪を咲かせる白いヤマユリやカサブランカを見ればおのずと知れる花言葉です。
色別のユリの花言葉とその由来:赤とピンク
「虚栄心」
赤やピンクのユリには特に「虚栄心」という花言葉が付けられています。この花言葉の由来は、キリストが十字架にかけられる時にキリストが花園を歩いていると、他の多くの花がキリストの運命を嘆き首をもたげたのに対して、ユリだけが自分の美しさが慰めになるだろうと誇らしげに頭を上げていたのだと。しかしキリストに見つめられると、自分が思い上がっていたことに気づき赤くなったという逸話から由来した言葉です。そんな話が由来となり赤やピンクのユリには「虚栄心」という花言葉が付いています。
色別のユリの花言葉とその由来:その他の色
オレンジのユリは「華麗」
オレンジのユリには特に「華麗」という花言葉が付いています。オレンジのユリの花言葉の由来は、その理由の根拠は乏しいですが、オレンジ色の花を咲かせるオニユリなどのダイナミックな花姿からも想像できるように、見た目の印象から付けられた花言葉であるという説があります。
黄色いユリは「陽気」「偽り」
黄色いユリは特に「陽気」「偽り」という花言葉が付いています。黄色という色のイメージから付けられた言葉だという説がありますが、これも由来の根拠は明確ではありません。「陽気」という花言葉はポジティブな言葉ですが、「偽り」は黄色い花を咲かせるユリの否定的な花言葉。ユリを贈るときには、ちょっと気を付けたい花言葉です。だた黄色いユリは見ていると元気のでるような美しさに感動できるので、観賞する時はポジティブに「陽気」という花言葉を想いながらご観賞ください。
花言葉を知ってユリを観賞してみよう
日本固有種のユリが品種改良され、多くの園芸品種があるユリ。キリスト教では聖母マリアを象徴する花としてそのイメージから清らかな花言葉が付けられています。世界でもその美しさを高く評価されているユリですが、日本でも古くからユリの美しさは色々なたとえで表現されています。たとえば「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という日本に古くから伝わる言葉は、綺麗なユリにたとえて美しい女性を表現している言葉です。花言葉も美しい女性にふさわしい言葉がいっぱい!これから見頃を迎えるユリの花を、今年は花言葉を想いながらご観賞ください。
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当サイト「暮らしーの」では、ユリの情報を他にもまとめています。ユリの育て方や種類、ここでは詳しく紹介しきれなかったユリの花言葉など、ユリの情報をもっと知りたい方はこちらもチェックしてみてください。

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