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【連載】夏の風物詩アサガオの花言葉!千利休の美学に由来する花言葉も素敵!

日本の夏の風物詩として人気のアサガオ。月曜連載、花と花言葉。今週はアサガオの花言葉を解説します。日本の夏に馴染み深いアサガオは、その昔、茶の湯の文化を完成させた千利休が、茶会で見せたアサガオの生命美を尽くした美学が由来となる魅力的な花言葉も持ち合わせています。
2020年8月28日
ティンカー・ベル
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目次

日本の夏の風物詩アサガオとは

江戸時代から庶民の間で親しまれていた花

https://www.photo-ac.com/main/detail/3401658?title=%E6%9B%9C%E7%99%BD%E3%82%A2%E3%82%B5%E3%82%AC%E3%82%AA

朝に花が咲き、昼にはしぼんでしまうアサガオは、朝に咲いてこそ美しく、昔の人は「朝の美人」だと、清々しい気分で夏の朝にアサガオを観賞していました。アサガオはヒルガオ科サツマイモ属のツル性の1年草で、学名はIpomoea nilと表記します。開花時期は7月~9月。英名はmorning glory、和名は朝顔と書きます。和名の由来は書いて字のごとく、朝方に花が咲くからです。

別名は牽牛花(けんぎゅうか)という

Photo byHerriest

アサガオは別名「牽牛花(けんぎゅうか)」といいます。この呼び名は中国の昔話が由来する呼び名です。昔、中国のある農夫がアサガオの種をもらい病気が治ったのだと。そこでアサガオの種をくれた者に、お礼として、当時は貴重なもので、財産でもあった牛を牽いて渡しに行ったという中国に伝わる昔話が由来となってこのような別名が付いているそうです。

遣唐使によって中国から渡来してきた花

Photo byHans

アサガオは日本の夏に欠かさない花として有名ですが、もともとは熱帯アジアやヒマラヤが原産国です。昔、アサガオの種は中国で貴重な薬とされていて、奈良時代に遣唐使がアサガオの種子を薬用をして日本に持ち帰ったことで、アサガオの花が日本に渡来してきたのです。江戸時代になると武士や商人といった裕福な人たちばかりではなく、庶民の間でもアサガオの栽培が広く流行しました。

江戸時代のブームが由来となる「入谷朝顔市」

アサガオのブームが頂点となる江戸時代後期には、色々な変わり咲きの品種がたくさん生まれました。安産と育児の神様である鬼子母神(きしもじん)を祀っている、「入谷鬼子母神」の名称で有名な真源寺(東京都江東区下谷)の敷地内で、植木屋たちが自分の咲かせた新品種のアサガオを披露したことがきっかけとなり、この界隈でアサガオ作りが盛んになりました。それが起源となって、今も、毎年7月の七夕の頃に、入谷鬼子母神の朝顔市こと「入谷朝顔市」が開催されています。東京の夏の風物詩として有名で、江戸時代のアサガオの流行を垣間見ることができ、毎年たくさんの人で賑わっています。

アサガオの花言葉

「愛情」「固い絆」「縁結び」


「朝の美人」と昔の人はアサガオを観賞していましたが、時代が進むと今度は「日本の夏の清涼剤だ」と清々しい咲きっぷりを感嘆して観賞されています。今も昔も変わらぬ人気のアサガオの花言葉は、たくさんのポジティブな言葉で印象付けられていますが、代表的なアサガオの花言葉といえば「愛情」「固い絆」「縁結び」という言葉です。

これらの花言葉の由来

Photo by 乃良狗

「愛情」「固い絆」というアサガオの花言葉の由来は、支柱にしっかりとツルをからませることから由来した、アサガオのポジティブな花言葉です。「縁結び」という言葉は、つる性の植物に共通するポジティブな言葉で、別のものに巻き付きながら生育する植物学的な特徴から由来しています。

「財産」

「財産」とは意外なアサガオの花言葉ですが、この言葉の由来は、5世紀ごろ、中国の農民の間ではアサガオの種が薬として使われていたと伝えられており、別名「牽牛花」はアサガオの種に名付けられた呼び名だと伝えられている説もあります。中国最古の薬物書の「神農本草書」の中で、医者がアサガオの種を薬として与え、その謝礼に牛を与えられ、牛を牽いて帰ったことで、アサガオの種を「牽牛花」と呼んだと記載されています。そんな由来から「財産」という花言葉が付けられているそうです。

「命の再生」

アサガオの代表的な花言葉にはあまり紹介されていませんが、アサガオは「命の再生」という花言葉も持ち合わせています。1945年8月6日、第二次世界大戦末期、広島に原爆が投下された後に、いち早く咲いた花の1つがアサガオであったのだと。10月の初旬に爆心地から約70mの場所で風に揺れるアサガオの花を日本の調査団が撮影した映像が今も残されているそうです。そんなことが由来して「命の再生」というポジティブな花言葉が付けられています。

千利休の美的センスが由来するアサガオの花言葉

「一瞬の美」

Photo byskeeze

日本の文化の中に茶の湯の伝統を築き、茶道界の祖として知られる千利休。千利休が築いた「侘び茶」の世界は、日本の美意識の1つをも築きました。奈良時代に遣唐使によって中国から渡来したアサガオは、小さな草庵風の茶室にも似合う花です。人の世の儚なさや無常であることを美しいと感じる、千利休の美的センスが光るエピソードが由来するアサガオの花言葉は「一瞬の美」です。


「一瞬の美」という花言葉に由来するエピソードとは

https://www.photo-ac.com/main/detail/226223?title=%E3%81%82%E3%81%95%E3%81%8C%E3%81%8A

それは千利休の「朝顔の茶会」に伝わるエピソードです。茶の湯の席を政治的にも利用していた、当時の戦国武将であった豊臣秀吉が、利休の屋敷のアサガオが見事に咲いていると聞き、ぜひとも観賞しようと利休に朝の茶席を催すように申し出ました。しかし秀吉が出かけると、アサガオの花姿はどこにも見当たらない!秀吉は納得のいかない思いで茶室に入ったのだと。茶室の中で秀吉が見たものは、たった1輪のアサガオ。床の間にたった1輪だけアサガオが活けてあったのでした。一度は不機嫌になった秀吉でしたが、1輪のアサガオの美しさに感嘆したというエピソードです。

利休の美的センスが1輪のアサガオに光る!

利休は秀吉を「朝の茶会」に招く前日の夜に、アサガオの花を全部刈ってしまったのです。そしてたった1輪のアサガオを床の間に飾る利休の知恵は、秀吉を感嘆させ、利休に褒美さえも与えたというこのエピソードは、アサガオ1輪に花の生命美を尽くした利休の美学をが光るエピソードだと伝えられています。「一瞬の美」というアサガオの花言葉は、利休の美的センスの光る魅力的な花言葉としてアサガオを象徴しています。

アサガオのネガティブの花言葉

「儚い恋」「消滅した希望」

Photo by onigiri-kun

花言葉とは、古代から伝わるその花に象徴的な意味やメッセージを込めた言葉です。花を見て美しいと思う気持ちや、生きる喜びを感じる心は老若男女を問わず、また国や宗教も問わないもの。時を超え、受け継がれてきた花言葉は、起源や由来がはっきりしている言葉もあれば、新しい園芸種などは見た目の印象から、単純に付けられた言葉も多くあります。また1つの花に対しての印象は無数にあり、ポジティブな意味ばかりではなく、時にはネガティブな意味を持つ言葉もあります。アサガオは「儚い恋」「消滅した希望」というネガティブな花言葉も持ち合わせています。

アサガオのネガティブな花言葉の由来

Photo byBluesnap

アサガオのネガティブな花言葉である「儚い恋」「消滅した希望」という言葉の由来は、アサガオの花の命が短いという「儚さ」から、このような言葉が付けられています。アサガオは、朝、咲いて、昼にはしぼんでしまう半日花。美しい花であるのに朝しか見ることができない、そんな植物学的な性質が由来して付けられた花言葉です。

ネガティブは花言葉もポジティブに捉えて観賞しよう

Photo byPerkons

「儚い恋」「消滅した希望」はアサガオのネガティブな花言葉。ただ「儚い恋」も「消失した希望」という花言葉も、その由来の捉え方を少し変えると奥の深い言葉に感じます。平安時代の文学の中でよく使われる言葉である「もののあわれ」という言葉は、愚かで儚くも、しみじみとした情緒の美を表現した言葉であり、風情に思う感情を持つ言葉です。アサガオの命を儚さを「もののあわれ」と捉えてみると、アサガオのネガティブな花言葉も趣のある言葉に感じられて、アサガオを観賞することができます。


ヒルガオ科の豆知識

サツマイモの花もアサガオそっくり!

Photo byTawnyowl

これから見ごろを迎えるアサガオ。アサガオはサツマイモ属の植物の仲間ですが、実はおやつや天ぷらにすると美味しいあのサツマイモもアサガオと同じ仲間の、ヒルガオ科サツマイモ属の植物であり、アサガオによく似た花を咲かせることをご存じでしたか?ただサツマイモの花は短日植物と言って、日照時間や気温など条件が合わなければなかなか咲きません。ちなみにサツマイモの花の花言葉は「乙女の純情」です。日本では開花条件が合わずにサツマイモの花をみかけることはほとんどありませんが、おやつに美味しいあのサツマイモは、とてもチャーミングな花言葉を持つアサガオによく似た花を咲かせます。

夏の朝を清々しく飾るアサガオを観賞しよう!

Photo by TANAKA Juuyoh (田中十洋)

昔から馴染みのあるアサガオのネガティブな花言葉も、平安時代の文学の中の言葉に習い、由来の捉え方を変えると、趣のある風情を感じてアサガオを観賞することができます。シンプルでどこでも見ることができる花ですが、育て方によってはかなりゴージャスな花を咲かせる種類もある花。七夕の時期に開催される「入谷朝顔市」ではこれぞ!というアサガオが観賞できるようです。アサガオの花言葉を想いながら、機会があればぜひ一度足を運んでみてください。

アサガオについてもっと知りたい方はこちらもチェック!

当サイト「暮らしーの」ではアサガオの育て方など、アサガオについての情報を他にもまとめています。育てる前に知っておきたいことや、お手入れの仕方、支柱の立て方などアサガオに関する情報をもっと知りたい方は、こちらもチェックしてみてください。