朝顔(アサガオ)とは?
★学名「Ipomoea nil」「Morning glory」 ★ヒルガオ科サツマイモ属 ★1年草植物 (多年草もあり) ★つる性 ★熱帯アジア原産 短日植物であり光が開花に影響します。開花期は主に7~10月くらい。 変化朝顔は、種子を持たない物が多いです。生育旺盛でつるを延ばして、真夏の日差しをさえぎってくれる緑のカーテンとしても人気です。
朝顔(アサガオ)の育て方の歴史
江戸時代から人気
日本原産ではなく、中国で「けんごし・けにごし」と言う名で薬草として生まれました。 中国から日本に伝わったのは奈良時代。この時も薬草として扱われました。この薬草だった朝顔を観賞用草として開化した江戸時代。色々な品種を生み出したりしてブームを巻き起こした植物なのです。 種子を持たない種類からは似たような物の種をまいて、突然変異を待つ(出物)この「メンデルの法則」をこの頃から自然と身に着けていたと言われています。
人気の朝顔(アサガオ)の種類
種類によっては育て方も違う
朝顔と言えば、小学生の時に持ち帰り夏休みには朝顔日記をつけていた記憶がありますね。 子供でも育てられる簡単な植物と思われがちです。 しかし江戸時代から様々に突然変異で生まれたり、現在までに品種改良されたりとものすごい数の種類があります。ほとんどが一年草ですが中には多年草もあったり、種ができやすいもの、できにくいものと様々です。 それらをわかりやすいように、主に変わった咲き方をする変化朝顔と呼ばれる物や、花弁の様子の違いで分けてみましょう。
桔梗咲き
その名の通り、桔梗の形に似ている咲き方。 花弁の周りが白く縁どられているのが特徴です。花もちが良く葉は大き目。普通の朝顔よりは弱く、摘心によっては花が咲かない場合もあるので、過多な摘心はやめましょう。生育が遅い為に、根が張りやすい鉢植えの方をお勧めします。 「紅獅子」や「紫獅子」などの品種があります。
采咲き
江戸時代の頃から生まれていた咲き方で花弁が裂けたような形の咲き方。 ほとんど種ができない為に、出物と言われる突然変異によって生まれる物です。花弁が岳元まで避けている様子は一瞬、しおれているように見えますが、ちゃんとした咲き方です。この様子が普通の朝顔とは真逆な控え目な感じを醸しだしていますね。 花と同様に葉も細くて清楚な姿が魅力です。
八重咲・裂弁咲き
「スプリットペタル」という品種の西洋朝顔です。 その名の意味は「裂けた花びら」。 同じ苗でも中には普通の朝顔と同じような形の物もありますが、見た目がほとんど朝顔とは違う植物に見えますね。この淡いピンク色の花弁と葉がハート型なのも特徴です。鉢植えでの栽培もお勧めです。
曜白(ようじろ)朝顔
こちらは割と見たことがある方も多いのではないでしょうか。 花弁の中央に向かって白い筋が入っていますね。他の朝顔と同じように1年草です。生育旺盛なので「緑のカーテン」に適しているでしょう。「メリーゴーランド」という品種があります。
琉球朝顔(多年草)
普通の朝顔は1年草なのに比べて、琉球朝顔は多年草植物です。 更に普通よりも強健で花つきもよく、開花期も長く葉が大きい事から緑のカーテンに向いていると言えるでしょう。色も気温などに変化し、青から紫に変わっていく様も楽しむ事ができ、多年草なので毎年見る事ができます。種ができにくい為に挿し木で増やすタイプですね。 「オーシャンブルー」という品種があります。
西洋朝顔
西洋朝顔も生育旺盛で葉がよく茂る事から、こちらも「緑のカーテン」に適しています。 開花期も8~11月まで咲き、暑い夏の間でも沢山の花を楽しませてくれるでしょう。琉球朝顔と似ていますが、西洋朝顔は宿根草と冬を越せない1年草の2タイプがあります。 人気の品種「ヘブンリーブルー」は宿根草であるけれど、本来暖かい地方で生まれた物なので耐寒性が弱く、冬には枯れてしまう事が多いです。
朝顔(アサガオ)を育てるポイント①、 その特性は?
変化朝顔は正木(まさき)と出物(でもの)の2タイプ
普通の朝顔は種を採り、その種を撒けば同じ品種が芽を出します。 しかし変化朝顔は、その品種がそのままの物の正木と、突然変異により違う形の物が生まれ種ができない出物と呼ばれる物の2つがあります。 この出物と呼ばれる朝顔はほとんどが種ができにくい為に子孫を残すのは中々難しい事なのです。
朝顔(アサガオ)を育てるポイント② 支柱
育て方がカーテン仕立ての場合
朝顔はつるをどこまでも伸ばす植物。支柱は必ず必要です。 緑のカーテン仕立てにするのならば、野菜用のプランターの両端に縦の支柱、更に横の支柱を一定間隔に何本か必要です。 支柱の設置の仕方は、縦の支柱2本はプランターの中にさすか、あるいは元々プランターの両端に支柱を立てる部分を設けている作りになっているのもあります。 縦の支柱が高い場合は一番上の部分を軒などと固定すると転倒防止になります。 この横の支柱をネットにすると簡単にすみますね。また野菜プランターと支柱がセットになっていたりするので、お店の人に聞いてみましょう。
育て方が鉢植えでの場合
鉢植えで育てる場合は、行燈仕立てと呼ばれる支柱が良いでしょう。 鉢の隅3~4か所にまず縦の支柱、それらを囲むように横に丸い支柱が間隔をあけて何本か必要です。 縦の支柱だけで横の支柱の代わりに、ヒモを横に結んでもいいでしょう。 これこそ皆が絵にする朝顔の姿とも言えますね。 鉢に合わせて支柱の高さを調整します。小さな鉢に対してあまりにも高い支柱だと倒れてしまいますので気を付けましょう。
朝顔(アサガオ)を育てるポイント③ 花を咲かせる為に
アサガオは短日植物
短日植物とは、ある決められた暗期(光がない時間)により花芽を形成する植物。 朝顔のその限界日長時間(光がある時間)が、13.5~14時間。 これらを過ぎてしまう5~7月の間は開花条件にならないので、7月を過ぎた8月ごろに咲く理由がわかりますね。 分かりやすく言うと短日植物はあまり長い時間、光に当てるとかえって咲かなくなるという物です。 こういった条件も朝顔の奥の深さがうかがえます。
夕方から夜中の光に注意する
上記の事から、光に当たる時間というのが開花に影響する事がわかりますね。 なので、日が沈んだ後や夜中などに道路のライトが当たってしまうと開花しない場合があります。 そんな時は鉢を動かせますが、地植えの時はライトが当たらないように何かをかぶせておけば大丈夫。 逆にこれを利用して、日照時間が短い3~4月に温ハウスなどの温かい場所であれば早めの開花を促す事もできます。
摘心で増やせる
つるを延ばし始めたときに充分な「摘心」をする事で新たに新芽がでて増やしていく事ができます。 やり方はカーテンの項目で説明します。 これが必然的に花芽も増やす事につながり、生い茂ったカーテンを作る事ができるのです。
朝顔(アサガオ)を育てるポイント④ 土作り
酸性土が苦手
朝顔は酸性度を苦手として、中性からアルカリ性の土を好みます。 更に通気性、保水性の両方を好みます。 なんとなく相反する物のように思えますが、通気性の良い赤玉土ばかりだと全て流れてしまい、腐葉土のような保水力がある物ばかりだと湿気が多くなり腐れてしまいます。 結局はこの2面性をもつ土をそれぞれ混ぜ合わせる事で両方の役割を担えるわけですね。 その割合は、赤玉:腐葉土4:牛ふん1にします。堆肥である牛ふんを1割くらい入れてあげるとより良い土になります。 更にアルカリ性にするために苦土石灰を混ぜると良いでしょう。
朝顔(アサガオ)を育てるポイント⑤ 花色について
朝と夕方で色が違う理由
朝顔には「アントシアニン」という天然色素が含まれています。 これはPhの変化に応じて色が変わる性質の為に、気温が1番低い午前中はPhが高いアルカリ性で「青」、昼くらいから徐々に気温が上がるとPhが低い酸性となって「赤」に変わります。 科学的に色が変わるという事ですね。
実際に朝顔(アサガオ)を育ててみよう!
それではここからは実際に育てる際に必要となる8つのポイントをご紹介していきます。 具体的に何をしたらいいのかをご紹介しますので、これから育てる方は参考にしてくださいね。 それではご説明します!
朝顔(アサガオ)を育て方①、種まき
下処理が必要な場合
自分で採種した種は、下処理をした方がより発芽率が上がるでしょう。 水につけておくというのもありますが、一番はカッターなどで少し傷をつけておくという物です。 市販で購入した場合は下処理済と書かれてある事が多いのでそのまま撒きます。
種まきの時期は?
発芽温度が20~30℃なので、5月中旬くらいに撒くのベストでしょう。 理想は25℃くらいで短期間で発芽させる方が、その後の生育が旺盛だと言います。 さらに発芽までの期間が長いと種が腐る可能性があります。 水やりは乾いたら与える程度でやりすぎに注意しましょう。
発芽
気温が高ければ、1週間くらいで発芽します。 最初は双葉でこの後にあと2枚(計4枚)くらい出てきてから植え付けします。 根をちぎらないように丁寧に植えましょう。
朝顔(アサガオ)を育て方②、植え付け
カーテン仕立ての野菜プランター植え
葉が3~4枚になったら幅の広い野菜プランターに植えると夏にはカーテンの役割もしてくれます。 3~4株が理想です。 カーテンの役目の他には、普通の鉢植えよりも花数も多く見た目が華やかになります。
行燈仕立ての鉢植えの場合
少し大き目の7号以上の鉢に、2株くらいを植えます。 鉢植えのメリットは、気軽に支柱も一緒に動かす事ができるので、日に当てる場所や光の当たり具合で理想の条件の場所に移動できます。 高さも自分で調節してコンパクトにまとめる事ができるのも、鉢植えならではですね。
朝顔(アサガオ)を育て方③、カーテンにする為に
摘心を忘れない
鉢植えでもそうですが、特にカーテンにしたい時は「摘心」を忘れずにしましょう。 葉が8枚くらいになってきた時に先端部分を少しカットしてあげます。 この摘心をわすれてしまうと、ひょろひょろと細長い茎が上へ上へと伸びて、見た目がスカスカのカーテンになってしまいます。
朝顔(アサガオ)を育て方⑤、つるの誘引
摘心を繰り返しながらつるを増やしていく
親つるを最初に摘心すると、子つる(脇芽)が出てきます。子つるを摘心すると更に孫つるが出てくると言った具合に増やしていきます。 カーテンにするには特にこの作業をしながら、上手に絡み合わないように誘引していきましょう。 誘引の色々ありますが、親つるを真っすぐにしてその左右に扇型のように子つると孫つるを横に広げると分かりやすいでしょう。 別の誘引のやり方は親つるをあえて横に伸ばしていき、そこから子つるや孫つるを縦にするやり方もあります。
朝顔(アサガオ)を育て方⑥、水やりや肥料
1日1回、毎日与えましょう。気温の低い朝に与えることをお勧めします。 夏は気温の高さと成長する季節なので1日2回は必要です。この時も気温が低い朝と夕方です。 特に鉢植えの場合はこまめな水やりが必要ですね。 追肥は植え付けた後は、緩効性肥料を花が咲きはじめたら、液体肥料を週に1度くらいのペースで与えます。
朝顔(アサガオ)を育て方⑦、種の採り方
最初は緑の実
花がしおれた後に花弁が落ちるとやがて緑色の実になります。 しばらくしたらこの実が膨らんできて、茶色になりカラカラに乾いた状態で中に黒い種が透けて見えてきたら、収穫時期です。 この時にはじけたりしたら種が散らばってしまうので、袋などをかぶせて茎と一緒にカットしてしまいましょう。
種の保存の仕方
皮を破ると種が出てきます。これらを日干しして乾燥させます。そうしないとカビたり腐れてしまったりします。 その後は来年の種まきの時期までは茶封筒に入れて保管しておくか、密閉した袋に入れて冷蔵庫であれば、より長く保存できます。
朝顔(アサガオ)を育て方⑧、害虫や病気
ハダニ、ホコリダニ、アブラムシなど
他の植物にもいるハダニやアブラムシは朝顔にもついている事があります。 これらは春先の出たばかりの芽や、やわらかい葉につくので、春の早めの薬剤噴射をすると良いでしょう。 せっかくついた蕾にも虫がつくと、楽しみにしていた花を見る事ができずに蕾からとれてしまいます。 冬の間に「オルトラン」を撒いておくと根から吸収して春に出てくる茎などにも浸透して予防になります。
斑紋病、うどんこ病、べと病など
カーテンにする場合は特に葉の病気に気を付けましょう。病気が原因で葉が生い茂る事ができなくなるとカーテンにならなくなります。 雨続きや、過剰な水やりが原因でカビが生えたり細菌が茎や葉の中に入り起こる病気があります。 それぞれ専用の薬剤で対処します。全体に広がると株自体が枯れてしまったりする事があるので、早めの対策をしましょう。
まとめ
育て方は奥が深い
小学生の頃の朝顔と言ったら、育て方が簡単なイメージで大人になっても「朝顔は簡単に育てられる」と思い込んでいます。 しかし朝顔ほど色々な「顔」を持つ植物はそうはないと言えるでしょう。 江戸時代から様々な品種を生み出してきて、中にはまたとない種類の物もあり、もう二度とお目にかかれないと思うとなおさらいとおしくなりますね。 西洋朝顔もありますが、やはり朝顔というのはどこか日本らしい姿、すだれがよく似合う植物です。 だからこそ、1度は手塩にかけて育ててみたいですね。