はじめに
パープルセージの栽培と収穫!コモンとの違いは
プランターでも簡単に栽培することができるハーブ類。その中でもセージは初心者でも種まきから栽培することも容易で、料理にお茶にと使い勝手のよい人気の植物です。コモンセージをはじめとしてたくさんの種類がありますが、口にすることもでき更に見た目も良いため園芸にも好まれるパープルセージの育て方と収穫後の株の切り戻しやハーブの使い方・他のセージの特徴なども解説しましょう。
セージについて
基本情報
科・属:シソ科サルビア属(アキギリ属)
原産地:ヨーロッパ地中海北岸
英語名/学名:common sage/Salvia officinalis
セージの性質
昔から医薬・食においてとても幅広く用いられてきた草ですが、多年草の性質を持っておりバジルと同じく秋を越し冬になるあたりから茎が木質化して木となります。花はサルビアにとてもよく似ている他、葉には毛が生えておりそのため白っぽく見えるという特徴もあります。
セージの名前について
セージというのは元々サルビアというラテン語(正確にはラテン語のサルビアがフランスに渡りセージという読み方になり読みだけが英語圏に渡った)。ソーセージという言葉について多くの人がセージが入った肉料理だと思われているようですが、これは植物とは全く関係ないひとつの言葉。ハーブ入りのソーセージもあるため誤解されることも多いようです。
紫の葉以外には?パープルセージの特徴
色が全体に紫がかって葉が大きい
まず名前にもされているパープル(紫)はその色の特徴を指し示しています。幼い葉のうちは全体に淡い赤紫~シルバーっぽい紫色。成長すると緑も紫も濃くなりグリーンの葉に紫色の葉脈が走った形なのが一般的。葉はコモンセージよりも大きいでしょう。
コモンセージとの比較
葉の大きさ以外にパープルセージは元々のコモンセージの変質で性質も弱いことが多く花が咲かないことがあったり、成長が緩やかであったりというのが良い例といえるしょう。しかしこれはパープルセージだけでなく他の〇〇セージと呼ばれる植物でも同様で、だからと言って慣れない人には栽培が難しいことはありません。
種まきから栽培!パープルセージの育て方1.準備
育て方を知る第一歩は準備から
パープルセージを種まきから育てる場合にはどのような準備が必要でしょうか。栽培をはじめてから失敗したと思わないようまずは準備するものから見ていきましょう。種まきから育てるにはポピュラーなコモンセージと比べて種の流通量が少なく少し苦労するかも知れません。
種の入手
パープルセージの種はあまり普及してはいないものの市販されています。また自分で栽培しているパープルセージからも種を採取することができるので、種が付いたものを保管しておくのも良いですね。ゴマよりも少し小さいくらいの大きさで熟してはじけると拾い集めるのは難しいので、花に袋掛けをして取りやすくしましょう。
ハーブ栽培に用意したいツール
ハーブの栽培も一般的な園芸と一緒で苗の植え付けのためのシャベルや用土・肥料と鉢(プランター)。水をあげるためのジョウロなどを用意してください。その他収穫するときに手で枝先を掻いても良いのですが小さめの剪定バサミなどもあると良いでしょう。
種まきから栽培!パープルセージの育て方2.日光
パープルセージの好きな日当たり
野原などに自然と生えていたものですから、日当たり風当たりともに良いところが好きです。しかし耐陰性が全くないわけではありません。
室内なら窓際に
ハーブは小さなコンテナなどでキッチンで育てたいという方もいらっしゃるでしょう。ハサミで必要なだけ摘んで料理やお茶として抽出・活用できるからです。それでもできるだけ窓際に置く・時々ベランダなど屋外に出してあげるなど日光に当てるようにすることで健康的な株に育ちます。
できれば屋外で栽培したい
特に今回は種まきで育てるという育て方についてですので、種を収穫するという都合上できれば花壇やベランダなど屋外で栽培するのが好ましいです。花が咲きにくい性質ももっている植物ですので観賞用にする場合も考えて、できるだけプラスとなる環境は整えてあげる必要があるでしょう。
種まきから栽培!パープルセージの育て方3.土
パープルセージの土づくり
水はけの良い土が良いので赤玉土に腐葉土、それとパーライトを1割程度混ぜ合わせたものが向いています。全体的には6:3:1くらいになるよう配合していくようにというのが一般的です。
土で気をつけること
土の種類だけでなくこの植物を栽培する上で土に気をつけることは酸性にかたむいたものを使わないということです。大変酸性土を嫌うので花壇など古い土に使う場合はまず苦土石灰を巻いてpHを整えてからおこなってください。
初心者におすすめの培養土
土づくりが難しいまたはできるだけ簡単にハーブ栽培に向いている土を手に入れるのは簡単です。ハーブ用の培養土を使うこと。新しい土ですから虫のたまごや病原菌が混入している可能性はほぼなく、元肥も入っているため手間がかからず安心して土を用意できます。
種まきから栽培!パープルセージの育て方4.種まき
ハーブの種まきは簡単
ハーブは箱まきや鉢まきと呼ばれるランダムな蒔き方で、間引きをしながら苗まで育てれば良いので簡単です。種まきをする場所と植え付ける場所が違っても構わないということで、植え替えも容易におこなえるので苗が育つまで適した場所を用意できるので計画的なガーデニングが楽しめます。
種まき時期とやり方
種の発芽には決まった温度が必要になります。セージは20度以上の気温になった春が種まき時期。温暖地域なら3-4月または9-10月ころが適期。清潔な土にバラバラとできるだけ重ならないように種まきをして土は薄くかぶせるくらい。これは好光性という光がないと発芽しない性質によります。水を切らさないよう発芽まで待ってください。
種まき注意点
ここでひとつだけ簡単な注意点があります。セージの種まきは発芽しにくくなっています。予定した数ピッタリの数しか種まきしないと思っていたより足りなくなるでしょう。予定よりも多めに蒔いて発芽させ、間引きながら良い苗を選んでいくやり方にしてください。
種まきから栽培!パープルセージの育て方5.苗
種まきからの育苗
種まきから発芽までだいたい14日程度かかります。これは一般的なお世話をしていた場合で、種の良し悪しや水やりの失敗・日当たり不足などで多少前後することがあるでしょう。発芽から苗として植え替えできるまでのお世話のやり方を解説します。
苗になるまでのお世話
ばらまきという性質上固まって同じ場所にいくつか生えてくることがあるでしょう。混み合っているところはどんなに健康そうな芽であってもお互い邪魔しあって成長を阻害します。中でもとくに良さそうなもの(大きい・青々としている)が抜けないよう軽く根元を押さえて少しずつ数を少なくして最終的には1本の良い苗までお世話してください。
苗として使える目安
間引きの目安は苗になるまで2-3回。本葉が3-4枚が植え替えできる目安となるので、それまでに1箇所に1本になるまで、日光にあて水やりをして大きく成長させましょう。
種まきから栽培!パープルセージの育て方6.肥料
ハーブの肥料のあげかた
肥料やりは大きく分けて2種類。元肥という植え替えのときに根付きを良くして早く新しい環境に慣れさせるためのものと、花や実を付けるために使われる養分を補う追肥です。ハーブはあまり肥料は必要ないので、春と秋の2回あげる程度で良いでしょう。
ハーブに向く肥料は
回数は少ないですが肥料はできるだけ長く効き目があった方が大きく成長します。緩効性肥料というゆっくり効くタイプを株元に置くようにすると良いでしょう。効果はだいたい2ヶ月程度続きます。
種まきから栽培!パープルセージの育て方7.剪定
セージの切り戻し剪定
セージの剪定は切り戻しという方法でおこないます。それ以前にも花がら摘みや収穫など枝を1本ずつ切ることにもなるでしょうが、それらが必要ない場合は旬の時期が終わった時や日当たりが悪く徒長しているようであれあれば、切り戻し剪定は必ずおこなうようにしましょう。
切り戻し剪定の時期とやり方
セージの切り戻しのやり方は2通りあります。ひとつは夏に向けて切り戻しをして風通しを良くするやり方。もうひとつは花や収穫が終わった秋に思い切って短くスッキリと刈る方法です。セージの剪定はバッサリと同じ長さで枝を切りそろえてしまってかまいません。丈夫な植物なので思い切って短くしてしまいましょう。
切り戻し剪定のポイント
細い枝や花は収穫に向いているのでそのついでにどんどん刈り込んでしまってかまいません。太い枝はある程度は残しておくとそこからまた新しく枝分かれしてきます。また混み合った場所はたとえ太い枝であっても、剪定して風通しをよくするとバランスを見ておこなってください。
種まきから栽培!パープルセージの育て方8.収穫
パープルセージの収穫時期
セージの収穫は4-10月ころまで花や若い葉など利用できる部分を長い期間おこなうことができます。梅雨時や夏前など株の蒸れが心配される頃はまとめてたくさん収穫してしまい、風通しをよくするのもひとつのおすすめの方法です。
収穫の仕方
セージの花は花穂となって咲きますのでその根元から収穫します。葉を利用する場合は若くて細い枝を元から切ってもよいですし、葉だけを必要な数だけ収穫するという方法もあります。
収穫後の保存は可能か?
切り戻しやまとめて収穫してすぐに使わないという場合は乾燥させて密封できる入れ物に入れて保存します。種を取りたい場合は飛び散らないよう袋などかぶせてから花穂を逆さに吊るして種が取れるまで風通しの良い場所へ吊るします。
種まきから栽培!パープルセージの育て方9.植え替え
パープルセージの苗を植え替えよう
最後になりますが大きくなったセージの株や、市販苗や種まきから育てた苗の植え替えの方法もご紹介しましょう。特に鉢植えで育てる場合には株がだんだんと大きくなって鉢が手狭になりますので定期的に植え替えをするようにしてください。
植え替えの時期と手順
植え替えは植え付け時期と同じく春か秋4-5月と9-10月が適期となります。種まきから育てた場合もこのころに植え付けられる大きさの苗まで成長しているでしょう。根鉢はやさしく崩してから新しい土と鉢に鉢底石を敷き植え替えてください。肥料の時期でもありますので元肥は忘れずに、植え替え完了後は水はたっぷり与えましょう。
セージの種類
種類1.コモンセージ
一般的なセージで最もポピュラーなものといえます。ハーブのセージといえばこのコモンセージを差すことも多いです。
種類2.パープルセージ
紫色の葉が特徴的なセージの種類で、葉が若いうちは全体的に赤みがかかっていて段々と暗い紫色の葉脈から緑の葉へと変色していくのも美しいので観賞用として寄せ植えなどに使う方もいらっしゃいます。
種類3.トリコロールセージ
ピンクの斑点があるのが特徴的なセージです。とてもまろやかな香りがするので好む方も多い品種となっています。
種類4.ゴールデンセージ
黄色い斑入りのセージなため、ゴールデンという名前をいただいたセージの種類です。葉の形などはほぼコモンセージの色違いといった感じを受けるでしょう。こちらも香りはまろやかです。
種類5.スパニッシュセージ
こちらも有名なセージでお茶や料理用のほか花を観賞用として植える方も多い人気の種類です。ハーブティーにするとホウセンカのような良い香りがするので、セージを使ったハーブティーにはこの品種が使われることも多いでしょう。
その他の種類
上記のものはお茶にしたり料理に香り付け・臭み取りなどに使える種類ですが、こちらは口にすることができない種類です。同じようにセージという名前がついていますが見るだけ・育てて楽しむだけという目的にとどめておきましょう。赤い花が美しいチェリーセージ・コバルト色の花の咲くコバルトセージ・メキシカンセージは別名アメジストセージという名前でも有名で紫色の大きな花を鑑賞する目的で使います。
パープルセージのハーブとしての活用法
パープルセージの使い方
コモンセージと同じような使い方ができると考えて良いでしょう。主な使い道はハーブティーにしていただくやり方。その他に肉の臭み取りとしてもパープルセージが使われることが多いです。
薬用効果が嬉しいパープルセージ
セージの種類にはそれぞれに香りが違ったり効果が違ったりするものばかりですが、パープルセージで着目したいのは薬用効果です。喉の痛みを緩和してくれると言われているので喉がいがらっぽいときにはお茶に抽出としていただくことをおすすめします。しかしお茶には喉の油を洗うという働きもありますので、頻繁に1日何回も飲むのは逆に潤いを流してしまうため逆効果です。
まとめ
パープルセージの育て方は簡単!収穫して役立てよう
コモンセージをはじめとするセージの中でも、特にその葉色や薬効などで人気があるパープルセージの育て方や植え替え方法・剪定や収穫といった栽培を種まきからご紹介してきました。種まきから気軽に栽培できる丈夫なハーブですので初心者の方にもおすすめ。紫色の美しい植物にご興味を持たれたなら、ぜひともチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
植物の育て方が気になる方はこちらもチェック
この他暮らし~のでは植物栽培の中でも疑問点が多い切り戻しを含む剪定・増やし方・植え替え方法などを種類ごとにそれぞれ解説した記事をご用意しています。気になるものがあったら是非見てみてくださいね。
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