はじめに
スイセンノウの育て方や別名・人気品種を紹介
スイセンノウは開花した花やその茎・葉など全体の見た目が少し変わった花。また別名が非常に多く別の名前で覚えている人がたくさんいてひとつの名前を言われてもピンとこない場合もあるでしょう。見た目も別名も面白いと評判のこの花の基本情報・開花時期や栽培方法を詳しくご紹介するとともに、種を採取したり株分けでの増やし方・人気の品種も交えて詳しく解説していきます。
スイセンノウについて
植物の栽培には学者が研究をして分類する科・属のまとまりやどこの国から広まったものなのかという情報が大切な育て方ヒントとなることもあります。まずはそんな花の情報と見た目・開花時期などをご覧いただきましょう。
基本情報
科・属:ナデシコ科センノウ属
原産地:アジア・ヨーロッパ
英語名/学名:Lychnis coronaria/Silene coronaria
花・草の様子
茎から厚みがあり白く毛が生えた葉を対に付けているのがこの植物の見た目の大きな特徴です。花は白や濃いピンク・白地に中央に薄ピンク色が入ったものなどが見られますが、この花にもよく観察すると毛が生えてふわふわとしているのが確認できるでしょう。
開花時期
スイセンノウの開花時期は5-7月。1本の茎に1つの花しか付かないのが特徴で、その花の大きさは2-3センチほど。開花時期は長いですがひとつの花の寿命が長いわけではなく、次々と花芽があがってきて咲くためこのような長い開花時期となっています。
スイセンノウの名前の意味や別名
この花は別名が多い植物としても有名です。ここではスイセンノウという花の名前の由来や、別名について解説します。見た目や性質・古い名前など個性があるものばかりです。
スイセンノウという名前
スイセンノウという名前から水仙をイメージさせ何か関係あるのかと思われる方もいらっしゃるでしょうが、漢字の名前は酔仙翁。酔っ払ったおじいさんという意味があります。一節にはこの花が酔った老人の顔のように見えたからというものと、酔仙寺という寺に咲いていたからという説もあります。
別名1.フランネル草
別名の多いスイセンノウですが比較的ポピュラーなものはフランネル草という呼び方でしょう。フランネルとはネルシャツなどに使われている厚手で起毛になっている生地のこと。この草の茎や葉・花にたくさん毛が生えて分厚いというところがこの名前の由来です。
別名2.一人娘
2つ目の俗称は一人娘というもの。これは先ほどもご紹介したこの花の咲き方に大きく影響されており、ひとつの茎に1つの花しか咲かせないというところから名付けられました。
別名3.リクニス・コロナリア
これは英語名などでも呼ばれているのですが、実は古い学名からきています。現在はこの植物の学名はシレネコロナリアとなっていますが、その前はリクニスコロナリアという名前で登録されていました。その名残としてこの名前で呼ばれることも珍しくありません。
スイセンノウの育て方1.日当たり
基本的な情報を解説しおわったところで、早速気になる育て方を御覧いただきましょう。まずは買ってきた苗をどこに植え付けるか?鉢植えの場合はどこに置くかといった日当たり問題からです。
育て方に重要な日当たり・置き場所
この植物は日なたに植えるのがおすすめです。半日陰のような場所でも育たないというわけではありませんが、成長が途中で止まってしまったり草丈が小さい・花の数が少ないなど未熟で不健康な株の変化があらわれてしまうでしょう。
日本の夏は苦手
置き場所に関しては日当たりが良ければ良いというわけではなくて、高温多湿が苦手ということも十分考慮して植え付け場所や鉢の置き場所を考えてあげてください。夏場であれば高温を避けるために寒冷紗などで日差しを遮ったり、涼しい風通しのよい場所を選んで植え付けるなども効果があるでしょう。
日当たりの栽培ポイント
植え付ける場所を決める際は、日当たりだけでなく風通しや湿度の問題にも着目。日本の夏という季節が苦手な花だけに、開花時期にめいっぱい花を咲かせるには工夫をしてあげるのが良いですね。
スイセンノウの育て方2.土
土は植物の成長の基盤となる大事な部分。それぞれ合う土合わない土の配合があります。一般的によく使われるものに足したりしていくのがポピュラーな作り方です。
スイセンノウの土づくり
湿度が苦手なこの花は土づくりも重要ですが、見方を変えれば水はけがよければ良いのであってそれほど土づくりは難しいものではありません。一般的な草花用の花の土(赤玉土6に腐葉土4程度の割合)に水はけをよくする山砂などを混ぜてあげてください。
初心者におすすめの培養土
プロトリーフ ペレット培養土 5L A
鉢植えなど地植え・庭植え以外の植え付け用であったり土づくりが難しいと感じる初心者の方ならば市販の培養土を使うのが一番手っ取り早くて手間がかからないでしょう。元肥が配合されたものや水はけを考慮したものなどを買うと失敗なく栽培できます。
土づくりの栽培ポイント
土作りは水はけさえ考慮すれば新たに土を買ったり配合したりせずとも使い回すことができるでしょう。極端な話植え付け時に周りよりも低くならないよう、水分が他に流れていくよう高く植えるだけでも問題ありません。市販の培養土であれば山野草の土なども使い回すことができます。
スイセンノウの育て方3.植え方植え替え
それでは具体的なスイセンノウを植え付け・植え替える方法についてご説明しましょう。カラリとした地域では多年草扱いされていますが、日本では1年または2年草として扱われる植物ですのであまり植え替えの機会もないかも知れませんが知っておくのに越したことはないですね。
植え方植え替えの時期
植え方・植え替えに適した時期は春と秋。苗が出回る時期がその地域での植え付け適期となるので、お住いの地域に適した時期はわかりやすいでしょう。
植え方植え替えの方法
ここまでご紹介した日当たり・置き場所や用土によって鉢や庭植えにしていきます。植え替えに関しては夏を乗り越えてまだ元気であるような株に対して行ってください。株もその頃にはひとまわり大きくなっていることと思いますので、大きな鉢に植え替えるのがポピュラーな方法です。
植え方植え替えの栽培ポイント
培養土の水はけを考えて鉢底石を用いたり用土に砂を混ぜたりと工夫をして植え付け・植え替えをするのがポイント。株に元気がないようでしたら無理に植え替えにこだわらず、種まきなどで更新してあげるのが翌年の開花のためには良いでしょう。
スイセンノウの育て方4.切り戻し
切り戻しは開花している間におこなう剪定のやり方です。植物によっては切り戻しでもう1度花を楽しめることもあるので、開花時期を長くしたい人にはおすすめ。
切り戻し方法と時期
切り戻しは花がら摘みという形でおこないます。花が咲いたあと種を収穫する目的がない限り早めに切り戻してあげることで花芽もあがり開花期間中であれば次の花が咲き続けます。
切り戻しの栽培ポイント
面倒だという方やお忙しい方は放置でもそれなりに開花時期は長く保つことができます。しかし株を長く保たせたり、より長く開花を楽しみたいという方は積極的に切り戻し剪定を行うことをおすすめします。
スイセンノウの育て方5.種まき
ここからはスイセンノウの増やし方・株の更新のやり方についてご説明しましょう。まずは種まきの時期ややり方・苗として定植できる目安などの解説から。
種まきの時期や方法
【輸入種子】Mr.Fothergill's Seeds Royal Horticultural SocietyRose Campionローズ キャンピオンミスター・フォザーギルズシード
日本では1-2年草扱いですので、増やし方は種まきで株の更新をおこなうのが一般的な方法。種は簡単に収穫することができ収穫したあとすぐに種まきする秋蒔きと保存して春にまく春まきの2回のチャンスがあります。こぼれ種でも翌年自然と開花することもありますが、コントロールしたい場合は育苗箱などで管理、本葉3-4枚のころに定植しましょう。
種まきでの増やし方栽培ポイント
種まき用には清潔な土を用います。寒さにより花を咲かせるための芽が構成されますので、秋蒔きであれば翌年に春蒔きならばまたその翌年に開花ということになるでしょう。秋蒔きでも種まき時期が遅くなると開花も遅くなり最悪翌年に開花しなくなりますので、種を収穫したら後回しにせず時間が許すかぎりすぐに種まき作業に取り掛かってください。
スイセンノウの育て方6.株分け
株分けの時期や方法
増やし方のふたつめとして株分けという方法もあります。種ができない品種の株を増やしたい時などは株分けで株の更新をおこなうしかありませんね。おこなう時期は花後の秋10-11月くらいまで。株を掘り上げて、あまり細かく分けすぎない程度に分けてそれぞれ植え替えましょう。
株分けでの増やし方栽培ポイント
株分けをするメリットは種が手に入らない品種でも翌年も楽しめること、珍しい花色が他の色と混じらずに保存できることとなるでしょう。種ができる品種でも白など他の色と混じりやすいものの場合は、保存のためにも株分けの増やし方をすることをおすすめします。
人気のスイセンノウの品種
ガーデナーズ・ワールド
美しい真紅の八重咲きの花を持つスイセンノウです。その花の美しさ、銀色のひげがたくさん生えた柔らかそうな葉といった見た目だけでなく、夏場の乾燥にも強く育てやすい品種として人気があります。
アボッツウッド・ローズ
スイセンノウの特徴である白い産毛とバラのような八重もある濃いピンク色の花はローズという別名にピッタリ。この植物を育てる理由に、その毛のさわり心地が良いからという理由もあげられるくらいです。
マツモトセンノウ
原産地がはっきりしない謎のスイセンノウの仲間。夏の山野草として有名で日本でもあちこちで自生している姿が見られます。長野県の松本が原産地なのでこの名前が付いたとされていますが、大陸伝来の花であるなど諸説あります。赤の他にも白・オレンジ・ピンク・絞りと花色が豊富です。
まとめ
フランネルの別名もあるスイセンノウを育てよう
白銀色の茎や葉にあざやかな赤やピンク・可憐な白系などの花を付けるスイセンノウ。フランネル草など別名で呼ばれることも多いこの植物の基本情報や開花時期・切り戻し方法などご紹介してきましたがいかかでしたか?かわいらしい花の様子など話題となることも多い植物。ぜひご自分でも栽培・株分け種まきなどの増やし方にチャレンジしてみてはいかがでしょう。
別名が気になる方はこちらもチェック
花にはその地域独特の呼び名や各国それぞれの別名などが存在します。暮らし~のではそんな植物の呼び名・別名についてもいろいろと解説しています。気になる方はぜひこちらも見てくださいね。
緋寒桜とは?早咲きの特徴をもつ桜の花言葉や別名、育て方まで解説!
緋寒桜とはどのような桜かご存知でしょうか?寒緋桜とも呼ばれており、日本で最も早咲きの桜です。沖縄で主に見かけますが、どこでも育てられますので...
シロヨメナ(白嫁菜)とは?その特徴や気になる名前の由来も解説!
シロヨメナといえば野菊を代表する花の名前で、ノコンギクやイナカギクとよく似た花であることから混同されがちですがふたつを見比べると明らかに違う...
忘れな草とは?気になる名前の由来と育て方!種まきや植え付け時期を解説!
忘れな草といえば、花言葉が切なくも愛のある悲恋だということはなんとなく思い浮かぶでしょうか?そんな忘れな草の花名の由来や花言葉もまとめて紹介...