NC750Xのスペックを700Xと比較:はじめに
NC750Xはホンダのミューミッドシリーズコンセプトに基づいて開発されたクロスオーバースタイルのバイクです。スタイリッシュなデザインや安い価格に注目しているツーリングライダーは多いことでしょう。ここではNC750Xのスペックを徹底検証します。
ミューミッドシリーズコンセプトとは?
ニューミッドシリーズコンセプトとは①扱いやすさ②快適さ③味わい深さ④低燃費⑤低価格を追求した概念です。欧米での街乗りからツーリングまでを想定し、スペックよりも使い勝手を優先して開発されています。「ユーザーは1台のバイクで何通りもの使い方をする」そんなホンダらしさを押し出したコンセプトですね。
では本題!ここではNC750Xのスペックを検証し、旧モデルであるNC700Xと比較します。後半ではNC750Xのモデルチェンジについても触れますね。なお、この記事は2020年4月25日現在の情報をもとに作成しますことをご了承ください。
NC750Xのスペック:車体サイズ
NC750Xの車体サイズはホンダのニューミッドシリーズコンセプトを忠実に具現化しながらも、ややツーリング向け寄りの車体サイズだといえます。2020年現行モデルのNC750Xは2016年モデルのNC750X/LDと同じ車体サイズ。ちなみに、2016年モデルNC750X(STD)の車体サイズは全長2,230×全幅845×全高1,350mmです。
NC750Xのスペック:車体サイズ
【NC750Xのスペック:車体サイズ】
NC750X | 大型750cc以下 平均値 |
|
全長(mm) | 2,215 | 2176.6 |
全幅(mm) | 845 | 799.5 |
全高(mm) | 1,320 | 1205.5 |
車体サイズをNC700Xと比較!
NC700Xと比較すると、NC750Xの車体サイズはNC700XのSTDに近いですね。しかし、NC750XとNC700Xの車体サイズの違いは体感できるほどありません。車体サイズを重視して選ぶなら、中古のNC700Xも視野に入れてOKだといえます。
NC700Xのスペック:車体サイズ
【NC700Xのスペック:車体サイズ】
NC700X STD |
NC700X LD |
|
全長(mm) | 2,210 | 2,195 |
全幅(mm) | 830 | |
全高(mm) | 1,285 | 1,255 |
NC750Xのスペック:エンジンの仕様
NC750Xには水冷SOHC4バルブの直列2気筒のロングストロークエンジンが搭載されています。270度位相クランクと2軸バランサーによる低振動設計が特徴。常用域を重視するために、最高出力や最大トルクを発生させるエンジン回転数は低めです。750cc以下の平均値と比較すると、最大トルクは平均値を上回っています。
NC750Xのスペック:エンジン/仕様
【NC750Xのスペック:エンジン/仕様】
NC750X | 大型750cc以下 平均値 |
|
最高出力(PS/rpm) | 54/6,250 | 70.1PS/8,470 |
最大トルク(kgf・m/rpm) | 6.9/4,750 | 6.51/6,657 |
ボア×ストローク(mm) | 77×80 | - |
エンジンの仕様をNC700Xと比較
NC700Xと比較すると、NC750Xのエンジンパワーは少し高めです。大きく違うのはエンジンの振動を抑えるバランサー。NC700Xのエンジンには1軸バランサーが仕組まれています。エンジンの鼓動感を重視するならNC700X、スムーズさを重視するならNC750X、そんな選び方もできます。
NC700Xのスペック:エンジン/仕様
【NC700Xのスペック:エンジン/仕様】
NC700X | |
最高出力(PS/rpm) | 50/6,250 |
最大トルク(kgf・m/rpm) | 6.2/4,750 |
ボア×ストローク(mm) | 73×80 |
NC750Xのスペック:エンジンの能力
NC750Xの理論上の最高速度を計算すると、最高出力や最大トルクを発生させるエンジン回転数が低い割には速いといえます。低いエンジン回転数でドロドロと加速しながら気が付けば制限速度に達してしまう、そんな紳士的な性格のエンジンです。STDとDCTの違いは減速比が原因。1・2・6速の変速比と一次/二次減速比が違います。
NC750Xのスペック:エンジン/能力
【NC750Xのスペック:エンジン/能力】
NC750X | 大型750cc以下 平均値 |
|
最高速度1(km/h) | 200.5 192.2 |
196.0 |
最高速度2(km/h) | 152.4 146.6 |
153.5 |
※最高速度2:最大トルクを発生させるエンジン回転数での理論上の速度(トップギヤ)
※上段:NC750X/6MT、下段NC750X/DCT
※2020年4月25日現在
エンジンの能力をNC700Xと比較
NC700Xと比較すると、NC750Xの最高速度は速いことがわかります。NC700Xの最高速度は400ccクラス並みなのに対し、NC750Xの最高速度は大型バイクらしい速度です。しかし、最高出力や最大トルクを発生させるエンジン回転数は同じですし、法定速度内では体感できるほど違いません。
NC700Xのスペック:エンジン/能力
【NC700Xのスペック:エンジン/能力】
NC700X | |
最高速度1(km/h) | 188.7 187.5 |
最高速度2(km/h) | 143.4 142.5 |
NC750Xのスペック:足回り
NC750Xの足回りは剛性感としなやかさのバランスがよく、サスペンションストロークも申し分ありません。リヤサスペンションは段付きのプリロード調整機構になっており、荷物の積載量に合わせて調整するのに便利です。デュアルベンディングバルブフロントフォークはブレーキング時の沈み込み量を適度にコントロールしてくれます。
NC750Xのスペック:足回り
【NC750Xのスペック:足回り】
NC750X | ||
フレーム | ダイヤモンド | |
フロント | サス | Φ41mm正立フォーク |
クッション ストローク |
120mm | |
リヤ | サス | リンク式7段調整 |
アクスル トラベル |
120mm |
足回りをNC700Xと比較
NC700Xと比較するとNC750Xの足回りはグレードアップされています。しかし、プリロード調整が無段である以外は体感できるほどの違いはありません。ユーザーレビューを確認すると、足回りはNC700XよりNC750Xのほうが硬めになっている印象を受けます。ちなみに、2020年現行モデルのNC750Xの足回りは、016年モデルまで存在したNC750XLDと同じです。
【NC750Xのレビューから】『ピレリエンジェルST』に交換。サスペンションが変わったのかと思うほど段差も柔らかいこなしでストレスがなくなり評価UP。
【NC700Xのユーザーレビューより】サスペンションは大満足ではないが、価格を考えれば良く出来ていると思います。
NC700Xのスペック:足回り
【NC700Xのスペック:足回り】
NC700X/STD | NC700X/LD | ||
フレーム | ダイヤモンド | ||
フロント | サス | Φ41mm正立フォーク | |
クッション ストローク |
153.5mm | 不明 | |
リヤ | サス | リンク式 無段調整 |
リンク式 無段調整 |
アクスル トラベル |
150mm | 不明 |
NC750Xのスペック:街乗り
NC750Xの車両重量は比較的に重いですね。しかし、これはスペック上のもの。ユーザーレビューを確認すると、押し歩きでは重さを感じるものの、街乗りでは重さを感じにくいと評価されています。NC750Xは重心が低く、低速走行での安定感があるからです。2020年現行モデルのNC750XはSTDがLD仕様ですので、足つき性も悪くありません。
小さくはありませんが、全く問題ありません。低重心の為か重さを感じることが殆どありません。ただ、メインスタンドはかなり使いづらいです。筋肉質で体重75キロの私でも中々車体が上がりません。
NC750Xのスペック:街乗り
【NC750Xのスペック:街乗り】
NC750X | 大型750cc以下 平均値 |
||
シート高(mm) | 800 | 798.5 | |
車両重量(kg) | 221 231 |
208.8 | |
最小回転半径(m) | 3.0 | 2.91 |
※2020年4月25日現在
街乗り性をNC700Xと比較
NC700Xと比較すると、NC750Xの街乗りに関するスペックに大きな違いはないことがわかります。STDか?LD仕様か?これは体格に合わせて選ぶのがベストです。NC750Xはアスファルトを想定したオンロードバイクですので、サスペンションストロークはLD仕様で十分。欧米市場を視野に入れた足つき性ですので、日本国内ではLDが標準的かもです。
NC700Xのスペック:街乗り
【NC700Xのスペック:街乗り】
NC700X/STD | NC700X/LD | ||
シート高(mm) | 830 | 800 | |
車両重量(kg) | 218 228 |
218 228 |
|
最小回転半径(m) | 3.0 | 3.0 |
NC750Xのスペック:高速道路
NC750Xでの高速道路走行を想定したエンジン回転数を計算すると、低いエンジン回転数で巡行できることがわかります。リッタークラスのバイクと同等で、高速道路を多用するツーリングでも疲労を蓄積しにくいといっていいですね。常識的な速度域なら全く余裕!大人のツーリングクルーザーだといっても過言ではありません。
NC750Xのスペック:高速道路
【NC750Xのスペック:高速道路】
NC750X | 大型750cc以下 平均値 |
|
100km/h(rpm) | 3,118(65.6%) 3,240(68.2%) |
4,253(66.0%) |
80km/h(rpm) | 2,494(52.5%) 2,592(54.6%) |
3,466(54.0%) |
※()内は最大トルクを発生させるエンジン回転数比
※上段:NC750X/6MT、下段NC750X/DCT
※2020年4月25日現在
高速道路走行をNC700Xと比較
NC700Xと高速道路走行を想定したエンジン回転数を比較すると、NC750Xに優位性は感じられません。NC700Xのエンジン回転数が若干高めですが、体感できるレベルではないといえます。NC750Xはエンジンパワーを高めるために排気量を拡大したのではなく、スムーズさを得るためにボアアップされています。
NC700Xのスペック:高速道路
【NC700Xのスペック:高速道路】
NC750X | |
100km/h(rpm) | 3,313(69.7%) 3,334(70.2%) |
80km/h(rpm) | 2,650(55.8%) 2,667(56.2%) |
NC750Xのカスタム
カスタムのポイント
NC750Xでのツーリングでもっとも気がかりなのは積載性だといえます。NC750Xの給油口はリヤシートの下にありますので、リヤシートに荷物を積載すると給油しにくくなるからです。NC750Xの航続距離は400キロ近くありますので、頻繁に給油しなくていいのが救いですが、リヤシートを跳ね上げられる状態で荷物を積載する工夫を強いられます。
ツーリングカスタム!パニア+トップケース
GIVI NC750X キャリア・サポート PL1146 パニアホルダー ジビ
NC750Xにパニアケースやトップケースを追加するカスタムは人気があります。長物をトップケースの上面に固定できるカスタムをすれば完璧です。休日を利用したキャンプツーリングでは、ラゲッジスペースを含めて50~60Lの容量を確保すれば十分。また、NC750Xのシートレールは短めですので、トップケースやパニアケースでボリュームアップする方がシルエットに落ち着きが出ます。
ツーリングカスタム!リヤキャリア
【ホンダ純正】 リアキャリア NC750X/NC750S (16YM)【08L70-MKA-D80】【HONDA】
荷物をコンパクトにまとめられるなら、リヤキャリアを追加するカスタムもありです。パニアケースやトップケースは便利なものの、取り外しが億劫になりやすく、空っぽのまま日帰りツーリングする人は多いとか。日帰りツーリングやホテル泊ツーリングの回数が多い人なら、リヤキャリアを追加するカスタムで十分です。宿泊室に持ち込む荷物をひとまとめにできれば、スピーディにチェックインできます。
NC750Xの年式と中古車
2014年モデル(RC72)
2014年に新規販売が開始されたNC750Xには、STD/6MT、STD/ABS/6MT、STD/ABS/DCT、STD/Eパッケージ/DCT、LD/6MT、LD/ABS/6MT、LD/ABS/DCT、LD/Eパッケージ/DCTの8バリエーションがあります。Eパッケージ車は、ETC車載器、グリップヒーター、DCTチェンジペダルを装備。中古車価格帯は約30~64万円です。スムーズなエンジン特性を求める人にお買い得な中古車価格だといえます。
2016年モデル(RC90前期)
NC750Xは2016年の2月にフルモデルチェンジが施されました(RC90前期)。デュアルベンディングバルブフロントフォークや段付きプリリード調整ができるリヤサスペンションはRC90前期モデルからです。バリエーションは2014年モデル(RC72)と同じ8つ。中古車価格帯は約41~73万円です。キャンプツーリングにお買い得な中古車価格だといえます。
2018年モデル(RC90/中期)
NC750Xは2018年の4月にマイナーモデルチェンジが施され、全車のシート高が800mmとなり、LDの設定がなくなりました。バリエーションは6MT、Eパッケージ/6MT、Eパッケージ/DCTの3つです。Eパッケージ車にはホンダセレクタブルトルクコントロールが追加(2レベル+オフ)されました。また、6MTのEパッケージ車が登場したのも2018年モデルの特徴。中古車価格帯は約64~80万円で、中古車在庫数は少ないといえます。
2019年モデル(RC90/2020現行)
NC750Xは2018年の11月にマイナーモデルチェンジが施され、ABS、ETC車載器2.0、グリップヒーター、ホンダセレクタブルトルクコントロールが標準装備されました。よって、実質上全車Eパッケージとなり、ABS非搭載車がなくなっています。バリエーションは6MTとDCTの2つのみ。中古車価格帯を紹介できないほど、中古車在庫数はごく少ないですね。
NC750Xのスペックを700Xと比較:まとめ
NC750Xは常用域に特化したトルクフルでスムーズなエンジン特性と、安定感のある足回りがおすすめのクロスオーバースタイルのバイクです。タンデムシート下にある給油口を開けやすくするカスタムを施せば、ツーリングでこの上なく楽しいバイクだといえます。トルクコントロールにこだわらなければ、2018年モデルの中古NC750Xがお買い得!エンジンの鼓動感を楽しむなら中古車価格帯がさらに安いNC700Xも検討しましょう。
大型バイクが気になる人はこちらをチェック!
大型バイクは余裕ある動力性能とツーリングで距離を稼げるのがメリットです。その反面、車体サイズが大きく、手強さを感じるモデルもあります。軽量でコンパクトな大型バイクの記事もチェックしてみましょう。また、AT限定大型二輪免許の排気量制限が撤廃されましたので、NC750X/DCTを含めたAT車もチェックしてください。また、待望の大型オフロードバイクであるテネレ700も注目したいですね。
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