AT限定大型二輪免許で乗れるバイク:初めに
2019年12月1日に道路交通法の一部が改正され、AT限定大型二輪免許で乗れるバイクの排気量が無制限になりました。これまでは排気量650cc以下のATバイクにしか乗れなかったのですが、ビッグスクーターのラインアップが少なくなってきたことを踏まえると、自然な流れの法改正です。前半ではAT限定大型二輪免許で乗れるバイクを紹介し、後半では免許を取得するための教習期間についても触れます。
MTバイクに乗れないのはこれまで通り
AT限定大型二輪免許で乗れるのは排気量を問わずATバイクのみです。AT限定大型二輪免許を持っていても、250ccや400ccのMTバイクには普通二輪免許、125ccのMTバイクには小型限定普通二輪免許が必要です。しかし、バイクに実用性を求められつつある昨今、普通二輪免許を持っている人が、AT限定大型二輪免許を取得するのはありですね。
排気量を無制限にしても大丈夫なの?
AT限定大型二輪免許の排気量が無制限になり、免許所持者のライディングスキルを危惧する声もありますが、全く問題ないといっていいですね。AT限定大型二輪免許は試験車や教習車が650ccのATスクーターだっただけで、課題は限定なしの大型二輪免許と同じ。ライディングスキル的には問題なしです。むしろ、ニーグリップができない大型スクーターのほうが難しいとさえいわれていました。
AT限定大型二輪免許で乗れるバイクは人気!
AT限定大型二輪免許で乗れるバイクは人気を集めつつあります。大型バイクの圧倒的なエンジンパワーは、マニュアル操作で運転するよりもクラッチ操作なしで運転する方が快適だからです。ギヤを選びながらのファンライドも楽しいですが、クラッチ操作が要らないATバイクはマシンコントロールに集中できます。
走行モードの存在
AT限定大型二輪免許で乗れるバイクには二つのタイプがあり、どちらもバイク本来の操る楽しさを得られるのでおすすめです。一つは従来通りのCVTで無段変速するタイプ、もう一つは6速トランスミッションを電子制御で変速するタイプ。CVTで無段変速するタイプは走行モードを選択できますし、6速トランスミッションを電子制御するタイプはMTモードを備えています。
では本題!AT限定大型二輪免許の法改正で乗れるようになったバイクを紹介していきます。また、法改正前にも乗れたバイクも併せて紹介しますね。
AT限定大型二輪免許で乗れるバイク一覧①
ゴールドウイングDCT
ホンダのゴールドウイングDCTはAT限定大型二輪免許が法改正で排気量無制限になって乗れるようになった大陸系大型ツーリングクルーザーです。圧倒的な存在感や水平対向6気筒のトルキーなエンジンが魅力的。超重量級の大型バイクですが、ハンドリングは思いのほか素直だと評価されています。
ゴールドウイングDTCのスペック
【ゴールドウイングDCTのスペック】
最高速度1:7速5500rpm | 273.1km/h 7車種中1位 |
最高速度2:7速4500rpm | 223.4km/h 7車種中2位 |
トルクウエイトレシオ | 20.04kg/kgf・m 7車種中2位 |
エンジン回転数:7速100km/h | 2014rpm(44.8%)※ 7車種中2位 |
最高速度1:最高出力を発生させるエンジン回転数での理論上の速度
最高速度2:最大トルクを発生させるエンジン回転数での理論上の速度
※()内は最大トルクを発生させるエンジン回転数との比率
2019年12月10日現在のスペックから計算
AT限定大型二輪免許で乗れるバイク一覧②
CRF1100LアフリカツインDCT
ホンダのCRF1100LアフリカツインDCTもAT限定大型二輪免許が排気量無制限の法改正を受けて乗れるようになりました。オフロードバイクでは宿命といわれるツーリングでの尻痛。それをまったく感じさせない快適さが魅力です。クラッチを操作する必要がないので、マシンコントロールに専念できますし、走破性はアドベンチャーツアラーの比ではありません。
CRF1100LアフリカツインDCTのスペック
CRF1100LアフリカツインアドベンチャースポーツDCT
【CRF1100LアフリカツインDCTのスペック】
最高速度1:6速7500rpm | 218.6km/h 7車種中3位 |
最高速度2:6速6250rpm | 182.1km/h 7車種中3位 |
トルクウエイトレシオ | 22.06kg/kgf・m 7車種中3位 |
エンジン回転数:6速100km/h | 3431rpm(54.9%)※ 7車種中3位 |
最高速度1:最高出力を発生させるエンジン回転数での理論上の速度
最高速度2:最大トルクを発生させるエンジン回転数での理論上の速度
※()内は最大トルクを発生させるエンジン回転数との比率
2019年12月10日現在のスペックから計算
AT限定大型二輪免許で乗れるバイク一覧③
NC750S DCT
ホンダのNC750S DCTもAT限定大型二輪免許が排気量無制限に法改正されて乗れるようになりました。低中速トルクが豊かで鼓動感を得られる270°クランク並列2気筒ロングストロークエンジンや、直進性が高い大らかなハンドリングなど、バランス重視のキャラクターはホンダ車ならでは。リヤシート下に給油口があるのでキャンプツーリングでは工夫を強いられるものの、WMTCモード値燃費から計算した航続距離は400km弱もあります。
NC750S DCTのスペック
【NC750S DCTのスペック】
最高速度1:6速6250rpm | 192.9km/h 7車種中4位タイ |
最高速度2:6速4750rpm | 146.6km/h 7車種中4位タイ |
トルクウエイトレシオ | 33.04kg/kgf・m 7車種中4位 |
エンジン回転数:6速100km/h | 3240rpm(68.2%)※ 7車種中4位タイ |
最高速度1:最高出力を発生させるエンジン回転数での理論上の速度
最高速度2:最大トルクを発生させるエンジン回転数での理論上の速度
※()内は最大トルクを発生させるエンジン回転数との比率
2019年12月10日現在のスペックから計算
AT限定大型二輪免許で乗れるバイク一覧④
NC750X DCT
ホンダのNC750XもAT限定大型二輪免許が排気量無制限の法改正を受けて乗れるようになりました。エンジンは先述したNC750S DTCと全く同じなのですが、アップライトなライディングポジションが快適なATツアラーに仕上がっています。NC750Sと同様に、ダミーの燃料タンクはトランクスペースになっていますので、日帰りツーリングではシートバッグの必要性を感じません。
NC750Xのスペック
【NC750Xのスペック】
最高速度1:6速6250rpm | 192.9km/h 7車種中4位タイ |
最高速度2:6速4750rpm | 146.6km/h 7車種中4位タイ |
トルクウエイトレシオ | 33.48kg/kgf・m 7車種中5位 |
エンジン回転数:6速100km/h | 3240rpm(68.2%)※ 7車種中4位タイ |
最高速度1:最高出力を発生させるエンジン回転数での理論上の速度
最高速度2:最大トルクを発生させるエンジン回転数での理論上の速度
※()内は最大トルクを発生させるエンジン回転数との比率
2019年12月10日現在のスペックから計算
AT限定大型二輪免許で乗れるバイク一覧⑤
X-ADV
ホンダのX-ADVもAT限定大型二輪免許が排気量無制限に法改正されて乗れるようになりました。オフロードテイスト溢れる外観がかっこいいツーリングスクーターながら、変速機はCVTではなくDCT。6速ミッションを電子制御でシフトチェンジします。エンジンはNC750SやNC750Xと同じRC88Eを搭載し、重心が低く安定しているので、ツーリングだけでなく通勤などの街乗りでも快適です。
X-ADVのスペック
【X-ADVのスペック】
最高速度1:6速6250rpm | 187.8km/h 7車種中6位 |
最高速度2:6速4750rpm | 142.7km/h 7車種中6位 |
トルクウエイトレシオ | 34.49kg/kgf・m 7車種中6位 |
エンジン回転数:6速100km/h | 3329rpm(70.1%)※ 7車種中6位 |
最高速度1:最高出力を発生させるエンジン回転数での理論上の速度
最高速度2:最大トルクを発生させるエンジン回転数での理論上の速度
※()内は最大トルクを発生させるエンジン回転数との比率
2019年12月10日現在のスペックから計算
AT限定大型二輪免許で乗れるバイク一覧⑥
FJR1300AS
ヤマハのFJR1300ASもAT限定大型二輪免許が排気量無制限の法改正を受けて乗れるようになりました。FJR1300ASは洗練されたデザインや並列4気筒のハイパワーエンジンが魅力的な高速ツアラー。ハンドルスイッチで調整できる電動調整サスペンションやコーナリングライトなど、フラッグシップモデルに相応しい装備を備えています。
FJR1300ASのスペック
【FJR1300ASのスペック】
最高速度1:6速8000rpm | 266.7km/h 7車種中2位 |
最高速度2:6速7000rpm | 233.4km/h 7車種中1位 |
トルクウエイトレシオ | 20.99kg/kgf・m 7車種中1位 |
エンジン回転数:6速100km/h | 2999rpm(42.8%)※ 7車種中1位 |
最高速度1:最高出力を発生させるエンジン回転数での理論上の速度
最高速度2:最大トルクを発生させるエンジン回転数での理論上の速度
※()内は最大トルクを発生させるエンジン回転数との比率
2019年12月10日現在のスペックから計算
AT限定大型二輪免許で乗れるバイク一覧⑦
TMAX530SX/DX
ヤマハのTMAX530は排気量無制限の法改正前からAT限定大型二輪免許で乗れたビッグスクーターです。AT限定大型二輪免許で乗れるバイクで変速機がCVTなのはTMAX530のみ。変速ショックがない滑らかな駆動力を得られます。ツーリングメインならTMAX530DXがおすすめ。プリロード調整や減衰力調整ができるリヤサスペンション、クルーズコントロール、電動調整式ウインドスクリーンなどの装備が追加されています。
TMAX530SXのスペック
【TMAX530SXのスペック】
最高速度1:トップ6750rpm | 159.3km/h 7車種中7位 |
最高速度2:トップ5250rpm | 123.9km/h 7車種中7位 |
トルクウエイトレシオ | 39.81kg/kgf・m 7車種中7位 |
エンジン回転数:6速100km/h | 4237rpm(80.7%)※ 7車種中7位 |
最高速度1:最高出力を発生させるエンジン回転数での理論上の速度
最高速度2:最大トルクを発生させるエンジン回転数での理論上の速度
※()内は最大トルクを発生させるエンジン回転数との比率
2019年12月10日現在のスペックから計算
400ccのATバイク一覧
AT限定大型二輪免許で乗れる400ccクラス
400ccクラスのビッグスクーターはラインアップが減り、2019年12月10日現在ではスズキのバーグマン400一択となりました。400ccのビッグスクーターは日本の道路事情に見合ったパワー感と車体サイズが魅力なので、ラインアップが増えてほしいところですが、その見込みは期待できそうにありません。
バーグマン400
バーグマン400はすき間産業が得意なスズキならではのラインアップ。AT限定普通二輪免許で乗れる最大排気量なので貴重な存在です。最大トルクを発生させるエンジン回転数を常用域とした気持ちいい加速感が魅力的。同じスズキのバーグマン200の陰に隠れた印象はぬぐえないものの、重厚な乗り味がツーリングを快適にしてくれます。
250ccのATバイク一覧
AT限定大型二輪免許で乗れる250ccクラス
AT限定大型二輪免許で乗れるバイクは大柄なツーリングクルーザーが多く、街乗りでは車体サイズを持て余しがち。通勤や通学などの街乗りから休日のツーリングまでを1台のバイクでカバーするなら250ccクラスのビッグスクーターも検討する価値があります。ホンダのフォルツァ、ヤマハのXMAX、スズキのバーグマン、この3車種から選択できます。
バーグマン200
スズキのバーグマン200は汎用性の高さに人気のあるビッグスクーターです。最大トルクを発生させるエンジン回転数をキープしながらプーリーで加速する元気のよさや、高速道路で疲労を軽減してくれるウインドスクリーンなど、万能なビッグスクーターとして人気があります。静粛性を求めるならホンダのフォルツァ、スポーティな足回りを求めるならヤマハのXMAXもおすすめです。
150ccのATバイク一覧
AT限定大型二輪免許で乗れる150ccクラス
150ccスクーターは125ccクラスからの派生車種が多く、通勤や通学などの街乗りで活躍します。高速道路を利用したツーリングも可能なので、ここ最近人気がありますね。しかし、大型バイクと比較すると高速道路走行は苦手なので、過度な期待は禁物です。ホンダのPCX150、ヤマハのNMAX155・マジェスティS・トリシティ155、この4車種から選択できます。
PCX150
ホンダのPCX150は車体剛性やエンジンの静粛性が高く、ツーリングで愛用するバイク乗りは多いですね。アジア市場をメインにしたグローバルモデルですので、足回りに若干の硬さを感じるものの、不満を感じさせない道具的なキャラクターはホンダならでは。スポーティな旋回性を求めるならNMAX155、広い守備範囲を求めるならマジェスティSがおすすめです。
AT限定大型二輪免許の教習
AT限定大型二輪免許を取得するには、試験場で実技試験や教習所での教習を受けなければなりません。AT限定といっても簡単ではなく、課題は限定なしの大型二輪免許と同じ。①スラローム(7秒以内)②一本橋(10秒以上)③クランク④S字⑤坂道発進⑥急制動⑦波状路、といった課題をクリアしなければなりません。そういうこともあり、限定なしの大型二輪免許を取得する人のほうが多いといえます。
教習車が変われば教習課題にメリットが!
これまでAT限定大型二輪免許の教習車には650ccクラスのビッグスクーターが用いられてきましたが、今後はNC750Sのような教習車に順次入れ替わっていきます。650ccスクーターでは一本橋、急制動、波状路といった課題で難しさを感じますが、教習車がNC750Sといったバイクに入れ替わればニーグリップでコントロールできるようになるので、車体を安定させやすくなるでしょう。
AT限定大型二輪免許の取得期間
教習所に通う期間は所持免許で変わる
AT限定大型二輪免許を取得するには教習所に通うのが一般的です。交通法規や基本操作の確認をするために、教習所で実技試験免除を受ける人は多いといえます。普通二輪免許を持っていれば短い期間で卒業できますが、普通免許しか持っていなかったら教習所に通う期間は長くなります。それだけ、二輪の運転には特別な技能が必要だということです。
【AT限定大型二輪免許で受けなければならない教習時間】
所持している免許 | 学科 | 実技 |
なし(原付所持含む) | 26 | 29 |
普通自動車 | 1 | 24 |
AT小型限定普通二輪 | 0 | 18 |
小型限定普通二輪 | 0 | 17 |
AT限定普通二輪 | 0 | 10 |
普通二輪 | 0 | 9 |
※2019年12月10日現在
教習所にどれくらいの期間通えばいいの?
教習所に通わなければならない期間は人によって異なりますが、普通二輪を持っていて週に1~2日教習所に通える人なら、1か月ほどでAT限定大型二輪免許を取得できます。第1段階で1日2時間、第2段階で1日3時間の教習を受けられますので、恐れるほど長い期間通う必要はありません。しかし、二輪免許なしでAT限定大型二輪免許を取得する場合は長い期間通うことになります。実技教習の時間数から単純計算すれば3カ月必要です。
合宿免許でAT限定大型二輪免許は取得できる?
まとまった時間を作れるなら合宿でAT限定大型二輪免許を取得し、期間短縮するのもありです。普通二輪免許を持っている場合なら最短一週間程度の期間、持っていない場合なら最短二週間程度の期間で取得できます。入所期間中は旅行気分を味わえますし、同じ目的のなかまと高め合える関係を築けます。逃げ癖がついてしまった自分を追い込みたい人にもおすすめ!AT限定大型二輪免許の教習をしていない合宿所は多いので要チェックです。
AT限定大型二輪免許で乗れるバイク:まとめ
AT限定大型二輪免許が排気量無制限の法改正を受け、乗れるようになったバイクを紹介し、併せて650cc以下のビッグスクーターや排気量が小さいスクーターも紹介しました。
大型バイクは圧倒的なエンジンパワーを有しており、シフトチェンジのタイミングはイージーです。そう考えると、クラッチ操作の必要がないATバイクは理にかなっていますし、ツーリング先では絶景ワインディングロードを楽しむ余裕も増やせます。実際、旧モデルのCRF1000Lアフリカツインは6速MTとDTCの人気が互角でした。
ツーリングが気になる人はこちらをチェック!
大型バイクは長距離ツーリングにおすすめです。圧倒的なエンジンパワーや車体剛性の高さがツーリングの疲労感を軽減してくれるからです。排気量が変わればツーリングのスタイルも変わりますので、ツーリングの目的やプランの立て方を見直してみましょう。ツーリングはあなたがあなたであらんがためにあるのです。
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