はじめに
カキツバタの原産地や英名・花言葉を紹介
カキツバタとその同種類の植物は似たような草姿・花をしたものがたくさんあってよほど植物に詳しいという方でないと見分けることも難しいで花。これらの種類をひと目で区別をつけたりその特徴を語れると花について詳しい人と一目おかれることとなるでしょう。原産地や英名・学名などの基本情報や花言葉の意味や由来といったことまで、カキツバタについてもっと知りたい方のために詳しくご紹介しましょう。
カキツバタ(杜若)とは?1.基本情報
まずはカキツバタの基本的なことからご紹介します。この植物の分類や原産地・学名などです。これは花をはじめとする植物を区別するため付けられているだけでなく、同じ仲間を知ることでその性質や特徴などを把握するのにも役立ちます。
科・属
カキツバタはアヤメ科アヤメ属のアヤメを代表する種類の植物のひとつです。特徴的な花や草姿をしているので、見分けがつきにくいアヤメの仲間。その中でもネームバリューがあるメジャーなもののひとつと数えられています。
原産地
種類が多いアヤメの仲間の中でも有名な理由のひとつに古くから日本に存在した自生種ということも影響が大きいでしょう。この花の原産地は日本や近隣の中国・韓国などがあげられます。平安時代に書かれた伊勢物語ではカキツバタの5文字を頭の1文字として詠んだ歌が有名であり、江戸時代にはこのカキツバタやショウブの花の品種改良も盛んに行われたブームメントもおこっているため非常に品種も豊富な植物です。
学名・英名
日本や近隣のアジアの植物であるため、英語圏ではこのカキツバタを指す英名は長く存在しませんでした。学名はIris laevigata。英名では多くがアイリス〇〇という言葉でアヤメ属の花を表現しているのが特徴。最近のこの花の英名は後述でひとつずつ詳しくご紹介しましょう。
カキツバタ(杜若)とは?2.和名の意味や由来
日本には漢字があり花の名前もこの漢字で表されるものが多いです。カキツバタはどのような漢字であらわされるのか、それにはどんな意味があるのか見ていきます。
杜若の読み方と由来
英名や学名をご紹介しましたが、カキツバタには和名もいくつか存在します。その中のひとつが杜若。そのまま読むとモリワカと読んでしまいそうですが、これにはとじゃくという別の読み方があり、これはヤブミョウガという植物を指す名前でしたが、時代とともにカキツバタを表す漢字名として定着。現在に至ります。
燕子花でカキツバタと読ませる
もうひとつのカキツバタの漢字名として使われるものに燕子花があります。これはカキツバタと読む以外に読み方はないようです。こちらも別の花を読んでいた名前がカキツバタを指す漢字として定着。元々はキンポウゲの仲間の花を表す言葉だったということです。
カキツバタ(杜若)とは?3.英名の意味と由来
アジア圏が原産のカキツバタですが、学名だけでなく英語圏でこの花を呼ぶ時の名前が付けられています。草姿や生えている環境などをストレートにあらわしていることが多いので、和名よりもその花のイメージがわかりやすいかも知れませんね。
あやめ属の英名はIris
基本情報のところで軽く触れましたが、英語圏にはカキツバタの花がそもそも存在しなかったことからアヤメの仲間はすべてアイリスという名前で呼ばれていました。近年〇〇Irisであったり、Iris〇〇などと少し分類されてはきていますが、原産地のひとつである日本レベルの個体認識には至らずアヤメ科の植物の一つという程度の分類となっているようです。
英名の意味由来1.Japanese Iris
カキツバタを表す英語名のひとつがジャパニーズアイリス。和訳すると日本(で自生する)アヤメと言ったニュアンスでしょうか。日本のと付けられていることから、日本のカキツバタが海外でも有名ということがわかりますね。
英名の意味由来2.Rabbitear Iris
もうひとつの英語名はラビットイヤーアイリス。これは見た目からきている名前でうさぎの耳のような形をしたアヤメという意味です。
カキツバタ(杜若)とは?4.特徴
植物の特徴といえばその姿・見た目がわかりやすいでしょう。特に似た花との見分け方にも役立つ花と葉の特徴を見ていきます。
特徴1.
カキツバタに限らずアヤメ科の植物に多く見られる特徴としてその花の形があります。英名でもいわれているうさぎの耳に見える部分です。ストレートで細身のものから海外で品種改良された帰化植物などでは幅が広くフリルのようなものまでさまざま。アヤメではこの耳の部分がないものもありますが、カキツバタではほとんど多くのものに見られる特徴といえるでしょう。
特徴2.
花色は白や紫・青などバリエーションは少なめ。しかしカキツバタの花色の特徴としてその花びらの中央に白が入るというものがあげられます。これはカキツバタの大きな見分け方といっても過言ではありません。
特徴3.
この植物は花の他に葉にも特徴があり、特徴として見分ける材料となります。ショウブやアヤメは葉が細いのですが、カキツバタはそれと比べて幅広です。
カキツバタ(杜若)とは?5.見頃の時期は
実物を見に行きたいという方には花の時期は重要です。あまり長期間咲き続けるという花ではないので、カキツバタの旬を見逃さないように見頃の時期はチェックしておきましょう。
開花時期と生息域
日本らしい古典的な花というイメージがあるカキツバタ。その花の見頃の季節はというと5月ころ。浅い池や湿地・川辺・沢など湿ったところで開花します。
花の時期が同時期な花の種類
カキツバタは水辺に咲いている花ですから、同じ時期に同じような場所に咲く花をご紹介しましょう。運が良ければカキツバタと同時に見られる花ということです。まずは湿地の花として有名なミズバショウ。場所はかなり限定されますが5月の花です。エゾノリュウキンカという菊に似た花を持つ植物も水辺を好んでカキツバタと同時期に自生する花。草丈は低いですがあざやかな黄色が目立ちます。
カキツバタ(杜若)とは?6.実と種
花は見たことがあってもなかなか知らないこの植物のこと。花後につく実は株分けだけでなくこの花の新しい株を増やすことができる種ができます。その様子や種まきからの開花までにかかる期間はどうなのでしょうか。
カキツバタには実がなる
きれいな花は見に行く方も多いでしょうが、花後のカキツバタは栽培している方でないとなかなか知らないことも多いでしょう。この花には開花後にユリの花後と似た鞘の形で実ができます。
成熟した実がはじけたら種を収穫
この実の内部には複数の種ができているので、熟して茶色く色が変わるころには鞘がはぜて種が収穫できます。この種をまくことで、カキツバタの苗を作り栽培することも可能です。
種まきから花が咲くまで3年
カキツバタの実生苗(種から育てる苗のこと)は花が咲く株になるまで長い時間がかかります。もし、気に入ったカキツバタが自生しており種を採取して自宅などで栽培しようとしたときにも、だいたい花が見られるのは種まきから3年後以降となります。
カキツバタ(杜若)とは?7.仲間・種類
ここではカキツバタと似ていて間違われやすい植物をご紹介します。このような風情ある花がお好きな方はこらちの花々にも興味が湧くのではないでしょうか。
似た種類の花1.アヤメ
アヤメ科アヤメ属の分類の元となる花ですが、他の花との違いは湿地や水辺などに咲くことがないということ。アヤメにおいてはその育て方も変わってきます。花びらに編み目のような模様があるので比較的簡単に他の種類との区別もつきやすいでしょう。開花時期はカキツバタよりも半月くらい早い5月上旬。
似た種類の花2.ハナショウブ
他のアヤメの仲間の花々よりも開花時期が遅く咲き始めるのがハナショウブの特徴。また色が青や紫・白だけでなく黄色やピンクといった洋風でカラフルなものが見かけられるのも他のアヤメ科の花との見分け方の大きなポイントとなるでしょう。
似た種類の花3.イチハツ
イチハツは海外からやってきて日本に帰化した植物のひとつ。しかしその日本での歴史は古くて、室町時代にはすでに日本に入ってきていたと考えられています。名前のイチハツの由来はアヤメの仲間のうち一番はじめに花が咲くという意味から付けられたもの。
カキツバタ(杜若)の花言葉は「高貴」
最後になりますが花といえば花言葉が気になる方も多いでしょう。美しい花はプレゼントとして用いられることも多いですし、素敵な花言葉の花を集めるというコレクター要素にもなる場合が。カキツバタにはいろいろな花言葉がありますが、その意味や由来は色や形によるものがほとんどです。
花言葉の意味や由来
この花言葉の由来は花色から。紫というこの色は古い時代では位が高い人が身につけることを許された色。紫色の花もいろいろありますが、そんな高貴な色を代表するような人気の花ということでカキツバタが選ばれたということでしょう。
そのほかの花言葉は
色香や思慕などの花言葉もありますが、幸運のアイテムとして付けられた贈り物や幸せを運ぶ・幸せは必ず来るなどの花言葉の意味は、花の形に由来します。よく見ると燕の形に似た花。燕は幸運を運んでくる鳥といわれていたことから和歌に読まれたりその歌から花言葉へとなっていきました。
カキツバタは4月29日の誕生花
花を贈り物にする目安として誕生花というものも決められています。カキツバタは4月29日の誕生花。この日がお誕生日の方には縁の深い植物といえるでしょう。花そのものをプレゼントするのも良いですし、写真パネルや刺繍をした布小物などを選べばさらにこれから1年も良いお年になるようにというお祝いをする気持ちがバースデイを迎える方にも伝わるはずです。
まとめ
英名の学名はアヤメ属共通でも個性を楽しめる花
カキツバタの特徴や花言葉・和名や英語の名前の意味や由来など詳しくご紹介してきましたがいかがでしたか?知らないとよく似ていて見分けがつきにくいアヤメ属の花々。開花時期や葉の形・花色や模様など見分け方は意外と豊富にあるということもおわかりいただけたのではないでしょうか。同時期に同じような水辺に咲く花なども参考に、日本の春から初夏に咲く花々を楽しんでいただければと思います。
学名や原産地が気になる方はこちらもチェック
暮らし~のでは植物の原産地・学名などの基本情報から育て方までいろいろとご紹介しています。たくさんある記事から気になっている花を選んで御覧ください。

ガルトニアとは?種類・品種や学名の由来、育て方などの基本情報を解説!
ガルトニアとはどのような植物かご存知でしょうか?ガルトニアは南アフリカの標高の高い場所に自生している植物ですが、生命力が強く、日本でも問題無...

赤唐辛子と鷹の爪の違いは?風味や辛み、原産地などの違いをご紹介!
普段からパスタや炒めものに必須な香辛料が赤唐辛子です。日本でも戦国の時世から利用されていますが、赤唐辛子と鷹の爪の違いは、なかなか分かりにく...

ショウガとは?原産地や殺菌作用など、ショウガの気になる疑問について解説!
風邪に効くことや、食べると体が温まることで知られるショウガですが、ショウガ自体がどんな植物かはあまり知らないと言う方も多いのではないでしょう...